自民 秋本真利議員の事務所捜索 多額資金受領の疑い 東京地検
2023年8月4日 13時11分
脱炭素の実現に向けて政府が導入拡大を目指している洋上風力発電をめぐり、外務政務官で自民党の秋本真利 衆議院議員が東京の風力発電会社側から多額の資金提供を受けていた疑いがあるとして、東京地検特捜部は収賄の疑いで東京 千代田区の衆議院第一議員会館にある秋本議員の事務所などを捜索し、強制捜査に乗り出しました。
提供された資金の総額は数千万円に上るとみられ、特捜部は不透明な資金の流れについて実態解明を進めるものとみられます。
捜索を受けているのは、▽東京 千代田区の衆議院第一議員会館にある秋本真利議員(47)の事務所や▽千葉県佐倉市にある秋本議員の地元事務所で、このうち議員会館の事務所には午前11時すぎ、東京地検特捜部の係官数人が事務所に入りました。
関係者によりますと、秋本議員は政府が導入拡大を目指している洋上風力発電をめぐり、東京 千代田区に本社がある風力発電会社「日本風力開発」側から多額の資金提供を受けた収賄の疑いがあるということです。
「日本風力開発」は、政府が3年前からおととしにかけて入札を実施した洋上風力発電のプロジェクトなどへの参入を目指していましたが、落札することができなかったということです。
この入札について秋本議員は、去年2月に国会で質問し、次のプロジェクトの公募から入札の評価基準を見直すよう求めていました。
秋本議員は、2017年8月から翌年10月まで国土交通政務官を務め、2019年4月に施行された洋上風力発電の導入を促進する「再エネ海域利用法」の法案作成に関わったほか、去年8月からは外務政務官を務めています。
関係者によりますと、秋本議員に会社側から提供された資金の総額は数千万円に上るとみられ、特捜部は、捜索で押収した資料を分析し、不透明な資金の流れや趣旨などについて実態解明を進めるものとみられます。
NHKの取材に対し日本風力開発は「当社が、国会議員ほか公務員に対し、贈賄をした事実は一切なく、この点を立証できる客観的な証拠が数点存在しています」とコメントしています。
また、秋本議員は3日夜、海外の訪問先から帰国しましたが、報道陣の問いかけには応じませんでした。
日本風力開発側の弁護士「賄賂贈った疑いとの指摘 事実と違う」
4日、日本風力開発側の弁護士が報道陣の取材に応じ「秋本議員側に賄賂を贈った疑いがあるという指摘は全く事実と違う」と主張しました。
秋本真利議員とは
自民党の秋本真利衆議院議員(47)は、比例代表南関東ブロック選出で当選4回。千葉県富里市出身で法政大学を卒業後、2003年から地元の富里市議会議員を2期・8年務め、2012年の衆議院選挙で千葉9区から立候補し初当選しました。
2014年と2017年の衆議院選挙でも千葉9区から立候補し、いずれも当選したほか、おととしの衆議院選挙でも比例代表で復活当選しました。
「脱原発」の推進派で、同じ大学出身の菅前総理大臣や、将来的な「脱原発」が持論の河野デジタル大臣と近いことで知られています。
2017年8月から2018年10月まで国土交通政務官を務め、2019年4月に施行された再生可能エネルギーの活用拡大に向けて洋上風力発電の導入を促進する「再エネ海域利用法」の法案の作成に関わりました。
去年8月からは外務政務官を務めています。
秋本議員 「再エネ推進」を強く訴え
秋本議員は、自民党の「再生可能エネルギー普及拡大議員連盟」の事務局長を務めるなど「再エネ推進」を強く訴えています。
2017年8月から翌年の10月まで国土交通政務官を務めていた際には、洋上風力発電の導入を促進する「再エネ海域利用法」の法案作成に関わり、去年2月の衆議院予算委員会では「安倍総理大臣(当時)や菅官房長官(当時)にお願いをしてこの洋上風力の法律を作るために国交省に政務官として行かせていただいた。政務官の間に法律は成立しなかったが、まさにこの法案を作っている時の国交省の責任者の1人だった」などと発言しています。
また、政務官当時、新エネルギー専門の情報誌に寄せた記事では「洋上風力の普及拡大のために必要な制度設計に尽力したい。そう遠くない未来に発電事業者が事業展開しやすい環境をつくりたい」と述べていました。
政治資金収支報告書によりますと、秋本議員が代表を務める「自民党千葉県第九選挙区支部」は複数の再生可能エネルギー関連企業から2021年までの6年間にあわせて2500万円余りの献金を受けていますが、「日本風力開発」からの献金は記載されていません。
「洋上風力発電」とは
海上に風車を設置して発電する「洋上風力発電」はヨーロッパを中心に普及が進んでいます。
障害物がなく強い風が吹く海で陸上よりも大型の風車を使うため、安定して大規模な発電ができることや、コストも下がり大きな経済効果も期待できることから、日本政府も「洋上風力発電」を再生エネルギーの主力電力化に向けた切り札と位置づけています。
政府は発電能力を2040年までに3000万から4500万キロワットまで拡大すること目指すとしていて、これは大型の火力発電所に換算すると30基分以上になる計算です。
洋上風力発電 入札の経緯は
洋上風力発電をめぐっては、2019年4月に導入を促進する「再エネ海域利用法」が施行され、▽政府が重点的に整備する海域をあらかじめ指定し、▽入札によって選ばれた事業者が最長30年間、指定の海域を利用して洋上風力発電を行うことが可能になりました。
政府は2019年から翌年にかけて秋田県と千葉県、長崎県の沖合の4つの海域を重点的に整備する「促進区域」に指定し、3年前からおととしにかけて
▽秋田県の「能代市・三種町・男鹿市沖」と
▽「由利本荘市沖」
▽千葉県の「銚子市沖」の3つのプロジェクトについて入札を実施しましたが、2021年12月、圧倒的に低い供給価格を示した大手商社「三菱商事」を中心とする企業連合がいずれも落札しました。
こうした中、政府は202210月、多様な事業者の参入を促して関連する産業を育成するためとして、入札で事業者を選ぶ評価基準を見直しました。
新たな基準では電力の安定供給を確保するためには早期の稼働を促す必要があるとして、▽これまでと比べて稼働時期の早さに重点を置くことや、▽1つの事業グループが落札できる発電の規模に上限を設けること、それに▽事業者が提案する価格が一定の基準を下回っていれば評価を同じにして、価格の面だけでなく事業全体を見て評価するとしました。
そして去年12月、入札評価基準の見直しのためいったん公募を停止していた秋田県の「八峰町・能代市沖」を含む長崎県や新潟県などの沖合の4つのプロジェクトで新しい基準での入札の公募が始まり、ことし6月に締め切られました。
政府は現時点で▽あわせて8つの海域を重点的に整備する「促進区域」に指定しているほか、▽「有望区域」に10の海域、▽「準備区域」に6つの海域をそれぞれ指定しています。
松野官房長官「現時点で報道に関して報告は受けていない」
松野官房長官は記者会見で「現時点で報道に関して秋本政務官から報告は受けていない。捜査機関の活動内容に関わる事柄であり、本人に報告を求めることは考えていない」と述べました。
西村経済産業相「コメントは差し控えたい」
西村経済産業大臣は4日、経済産業省で記者団の取材に応じ「事実関係を承知していないのでコメントは差し控えたい」と述べました。
その一方で、洋上風力発電について入札で事業者を選ぶ基準が去年10月に見直されたことについて「秋本議員が事務局長を務めている再エネ議連から提言をもらったことはあるが、見直しのプロセスは外部有識者を含む審議会で議論をして、パブリックコメントを経て決定したものだ」と述べ、基準の見直しは適切に行われたという認識を示しました。
立民 泉代表「説明責任を果たすべきだ」
立憲民主党の泉代表は記者会見で「説明責任を果たすべきだ。何が違法で違法でないかなどは今後、捜査が進んでいくと思うが、せっかくクリーンなエネルギーなのに、ダーティーな話が出てくるのは何なのかと思う。自民党の議員にお金が集まる、おかしい構図ができていることを考えなければならず、党に関係なく共通のルールとして企業・団体献金を禁止していかなければならない」と述べました。
公明 石井幹事長「事態の進展と本人の対応見守りたい」
公明党の石井幹事長は記者会見で「捜査当局が捜査をしているという報道があるが、まだ正確な動きは承知していないので、今後の事態の進展と本人の対応を見守りたい」と述べました。
2023年8月4日 13時11分
脱炭素の実現に向けて政府が導入拡大を目指している洋上風力発電をめぐり、外務政務官で自民党の秋本真利 衆議院議員が東京の風力発電会社側から多額の資金提供を受けていた疑いがあるとして、東京地検特捜部は収賄の疑いで東京 千代田区の衆議院第一議員会館にある秋本議員の事務所などを捜索し、強制捜査に乗り出しました。
提供された資金の総額は数千万円に上るとみられ、特捜部は不透明な資金の流れについて実態解明を進めるものとみられます。
捜索を受けているのは、▽東京 千代田区の衆議院第一議員会館にある秋本真利議員(47)の事務所や▽千葉県佐倉市にある秋本議員の地元事務所で、このうち議員会館の事務所には午前11時すぎ、東京地検特捜部の係官数人が事務所に入りました。
関係者によりますと、秋本議員は政府が導入拡大を目指している洋上風力発電をめぐり、東京 千代田区に本社がある風力発電会社「日本風力開発」側から多額の資金提供を受けた収賄の疑いがあるということです。
「日本風力開発」は、政府が3年前からおととしにかけて入札を実施した洋上風力発電のプロジェクトなどへの参入を目指していましたが、落札することができなかったということです。
この入札について秋本議員は、去年2月に国会で質問し、次のプロジェクトの公募から入札の評価基準を見直すよう求めていました。
秋本議員は、2017年8月から翌年10月まで国土交通政務官を務め、2019年4月に施行された洋上風力発電の導入を促進する「再エネ海域利用法」の法案作成に関わったほか、去年8月からは外務政務官を務めています。
関係者によりますと、秋本議員に会社側から提供された資金の総額は数千万円に上るとみられ、特捜部は、捜索で押収した資料を分析し、不透明な資金の流れや趣旨などについて実態解明を進めるものとみられます。
NHKの取材に対し日本風力開発は「当社が、国会議員ほか公務員に対し、贈賄をした事実は一切なく、この点を立証できる客観的な証拠が数点存在しています」とコメントしています。
また、秋本議員は3日夜、海外の訪問先から帰国しましたが、報道陣の問いかけには応じませんでした。
日本風力開発側の弁護士「賄賂贈った疑いとの指摘 事実と違う」
4日、日本風力開発側の弁護士が報道陣の取材に応じ「秋本議員側に賄賂を贈った疑いがあるという指摘は全く事実と違う」と主張しました。
秋本真利議員とは
自民党の秋本真利衆議院議員(47)は、比例代表南関東ブロック選出で当選4回。千葉県富里市出身で法政大学を卒業後、2003年から地元の富里市議会議員を2期・8年務め、2012年の衆議院選挙で千葉9区から立候補し初当選しました。
2014年と2017年の衆議院選挙でも千葉9区から立候補し、いずれも当選したほか、おととしの衆議院選挙でも比例代表で復活当選しました。
「脱原発」の推進派で、同じ大学出身の菅前総理大臣や、将来的な「脱原発」が持論の河野デジタル大臣と近いことで知られています。
2017年8月から2018年10月まで国土交通政務官を務め、2019年4月に施行された再生可能エネルギーの活用拡大に向けて洋上風力発電の導入を促進する「再エネ海域利用法」の法案の作成に関わりました。
去年8月からは外務政務官を務めています。
秋本議員 「再エネ推進」を強く訴え
秋本議員は、自民党の「再生可能エネルギー普及拡大議員連盟」の事務局長を務めるなど「再エネ推進」を強く訴えています。
2017年8月から翌年の10月まで国土交通政務官を務めていた際には、洋上風力発電の導入を促進する「再エネ海域利用法」の法案作成に関わり、去年2月の衆議院予算委員会では「安倍総理大臣(当時)や菅官房長官(当時)にお願いをしてこの洋上風力の法律を作るために国交省に政務官として行かせていただいた。政務官の間に法律は成立しなかったが、まさにこの法案を作っている時の国交省の責任者の1人だった」などと発言しています。
また、政務官当時、新エネルギー専門の情報誌に寄せた記事では「洋上風力の普及拡大のために必要な制度設計に尽力したい。そう遠くない未来に発電事業者が事業展開しやすい環境をつくりたい」と述べていました。
政治資金収支報告書によりますと、秋本議員が代表を務める「自民党千葉県第九選挙区支部」は複数の再生可能エネルギー関連企業から2021年までの6年間にあわせて2500万円余りの献金を受けていますが、「日本風力開発」からの献金は記載されていません。
「洋上風力発電」とは
海上に風車を設置して発電する「洋上風力発電」はヨーロッパを中心に普及が進んでいます。
障害物がなく強い風が吹く海で陸上よりも大型の風車を使うため、安定して大規模な発電ができることや、コストも下がり大きな経済効果も期待できることから、日本政府も「洋上風力発電」を再生エネルギーの主力電力化に向けた切り札と位置づけています。
政府は発電能力を2040年までに3000万から4500万キロワットまで拡大すること目指すとしていて、これは大型の火力発電所に換算すると30基分以上になる計算です。
洋上風力発電 入札の経緯は
洋上風力発電をめぐっては、2019年4月に導入を促進する「再エネ海域利用法」が施行され、▽政府が重点的に整備する海域をあらかじめ指定し、▽入札によって選ばれた事業者が最長30年間、指定の海域を利用して洋上風力発電を行うことが可能になりました。
政府は2019年から翌年にかけて秋田県と千葉県、長崎県の沖合の4つの海域を重点的に整備する「促進区域」に指定し、3年前からおととしにかけて
▽秋田県の「能代市・三種町・男鹿市沖」と
▽「由利本荘市沖」
▽千葉県の「銚子市沖」の3つのプロジェクトについて入札を実施しましたが、2021年12月、圧倒的に低い供給価格を示した大手商社「三菱商事」を中心とする企業連合がいずれも落札しました。
こうした中、政府は202210月、多様な事業者の参入を促して関連する産業を育成するためとして、入札で事業者を選ぶ評価基準を見直しました。
新たな基準では電力の安定供給を確保するためには早期の稼働を促す必要があるとして、▽これまでと比べて稼働時期の早さに重点を置くことや、▽1つの事業グループが落札できる発電の規模に上限を設けること、それに▽事業者が提案する価格が一定の基準を下回っていれば評価を同じにして、価格の面だけでなく事業全体を見て評価するとしました。
そして去年12月、入札評価基準の見直しのためいったん公募を停止していた秋田県の「八峰町・能代市沖」を含む長崎県や新潟県などの沖合の4つのプロジェクトで新しい基準での入札の公募が始まり、ことし6月に締め切られました。
政府は現時点で▽あわせて8つの海域を重点的に整備する「促進区域」に指定しているほか、▽「有望区域」に10の海域、▽「準備区域」に6つの海域をそれぞれ指定しています。
松野官房長官「現時点で報道に関して報告は受けていない」
松野官房長官は記者会見で「現時点で報道に関して秋本政務官から報告は受けていない。捜査機関の活動内容に関わる事柄であり、本人に報告を求めることは考えていない」と述べました。
西村経済産業相「コメントは差し控えたい」
西村経済産業大臣は4日、経済産業省で記者団の取材に応じ「事実関係を承知していないのでコメントは差し控えたい」と述べました。
その一方で、洋上風力発電について入札で事業者を選ぶ基準が去年10月に見直されたことについて「秋本議員が事務局長を務めている再エネ議連から提言をもらったことはあるが、見直しのプロセスは外部有識者を含む審議会で議論をして、パブリックコメントを経て決定したものだ」と述べ、基準の見直しは適切に行われたという認識を示しました。
立民 泉代表「説明責任を果たすべきだ」
立憲民主党の泉代表は記者会見で「説明責任を果たすべきだ。何が違法で違法でないかなどは今後、捜査が進んでいくと思うが、せっかくクリーンなエネルギーなのに、ダーティーな話が出てくるのは何なのかと思う。自民党の議員にお金が集まる、おかしい構図ができていることを考えなければならず、党に関係なく共通のルールとして企業・団体献金を禁止していかなければならない」と述べました。
公明 石井幹事長「事態の進展と本人の対応見守りたい」
公明党の石井幹事長は記者会見で「捜査当局が捜査をしているという報道があるが、まだ正確な動きは承知していないので、今後の事態の進展と本人の対応を見守りたい」と述べました。
九州北部で記録的大雨 川の氾濫や土砂災害に引き続き警戒を
2023年7月11日 6時56分
九州北部では10日、線状降水帯が発生して記録的な大雨となり、川の氾濫や土砂災害が相次ぎました。九州北部では今も地盤が緩み、少しの雨でも災害につながるおそれがあり、土砂災害などに警戒し、危険な場所には近づかないようにしてください。
気象庁によりますと10日、前線の活動が活発になった影響で、九州北部では線状降水帯が相次いで発生し、福岡県と大分県に一時大雨の特別警報が発表されました。
今月6日の降り始めからの雨の量は、福岡県の英彦山で600ミリを超えるなど各地で記録的な大雨となりました。
前線は対馬海峡付近に停滞していて、午前6時までの1時間には長崎県が対馬市に設置した雨量計で58ミリの非常に激しい雨を観測しました。
また、前線の影響で、東北でも局地的に雨雲が発達しています。これまでの雨で九州北部では、地盤が緩んでいたり川の堤防や護岸が損傷したりしているところがあり災害のリスクが高い状態が続いています。
土砂災害の危険性が高い状態が続いていて、佐賀県では土砂災害警戒情報が発表されている地域があります。
前線北上も大気不安定続く
今後、前線は徐々に北上する見込みですが11日も西日本から北日本の広い範囲で大気が不安定な状態が続く見込みです。
特に関東甲信では局地的に雷を伴って1時間に50ミリ以上の非常に激しい雨が降るおそれがあります。
大雨となった地域では、ふだんより少ない雨でも土砂災害や川の氾濫などの災害の危険度が急激に高まるおそれがあります。土砂災害や低い土地の浸水、川の氾濫に警戒し、川や山の斜面など危険な場所には近づかないようにしてください。
また、東北の日本海側でも13日にかけて大雨のおそれがあります。今後の情報に注意してください。
国交省会見「局地的に大雨が降れば一気に状況が変わる」
大雨の特別警報の警報への切り替えに先立ち、気象庁と国土交通省は10日午後5時ごろ合同で会見を開きました。
この中で国土交通省の豊口佳之河川環境課長は、「筑後川などでは高い水位が継続していて大雨警報に切り替わったからといって災害の危険がなくなったわけではない。広域的、集中的に長時間降るような状況は見込まれないかもしれないが、局地的に大雨が降れば一気に状況が変わる可能性がある。当面は川に近づくことなどを避け避難情報に従って身の安全を確保してほしい」と呼びかけました。
また「これまでの雨で流域は湿潤状態にあるほかダムは、多くの水がたまっているため余力があまり無い。今後、大雨が発生すると河川の氾濫の危険性が高まる。今後の大雨の状況には注意してほしい」と話しています。
11日にかけ前線停滞 西~北日本で激しい雨のおそれ
今後の見通しです。
前線は11日にかけてほとんど位置を変えずに停滞する見込みで、西日本から北日本の広い範囲で雷を伴った激しい雨が降り、局地的には非常に激しい雨が降るおそれがあります。
夜のうちは川や山沿いの渓流斜面などからは離れ、引き続き、安全を確保するようにしてください。
また、東北の日本海側でも13日ごろにかけて大雨のおそれがあります。今後の情報に注意してください。
一方、関東甲信では湿った空気の影響で局地的に雨雲が発達し、午後10時までの1時間には埼玉県鴻巣市で36ミリの激しい雨が降りました。関東甲信は11日の午後も大気の状態が不安定になる見込みで、急な激しい雨や落雷、竜巻などの激しい突風、ひょうなどに十分な注意が必要です。
大雨特別警報を警報に切り替え 引き続き厳重警戒を
福岡県と大分県では大雨の特別警報が警報に切り替えられましたが、引き続き土砂災害や川の氾濫に厳重に警戒してください。
気象庁によりますと、過去には雨が弱まったりやんだりしてから数時間たって土砂災害が発生し、犠牲者が出たケースや、大雨の特別警報が解除されたあとに川の氾濫が発生して大きな被害となったケースがあります。
土の中の“タンク”には大量の水が
2018年の西日本豪雨では、天気が回復し復旧作業が進む中で広島県府中町を流れる榎川の上流で土石流が発生し、住宅に土砂が流れ込みました。
また1997年には鹿児島県出水市で雨がやんだおよそ4時間後に大規模な土石流が発生し、21人が死亡しました。
線状降水帯が発生するなど記録的な大雨となった九州を中心に、土砂災害の危険度の指標となる「土壌雨量指数」が高くなっている地域があり、今後の雨で土砂災害の危険度が急激に高まるおそれがあります。
「土壌雨量指数」は降った雨がどれくらい土の中にたまっているか、水分量を示す指標です。気象庁の大雨警報や土砂災害警戒情報はこのデータをもとに発表されています。九州では線状降水帯が発生した10日の明け方から朝にかけて「土壌雨量指数」が高くなり、夕方になってもふだんよりも高い状態となっています。
土砂災害に詳しい専門家によると、一般的に雨がやんで1日や2日では土の中の水分はほとんど抜けず、地質の違いを考慮しても、ある程度の水分が残ったままの状態が続くということです。つまり、土の中の“タンク”は水がたまった状態で抜けきっていないため、今後、少しの雨で土砂災害が発生したり、規模の大きな災害につながる危険性があります。
気象庁の土砂災害警戒情報や自治体からの避難の情報などに注意してすぐに避難できるよう準備をしておいてください。
前兆現象が起きることも
また、土砂災害が発生する前には「前兆現象」が起きることがあります。
例えば、
▽斜面から小石が落ちてくる、
▽斜面に亀裂ができる、
▽斜面から突然水が湧き出したり 川の水が急に少なくなったりするほか、
▽「山鳴り」や「地響き」がするといったものです。
土砂災害警戒情報や避難の情報が出ていなかったとしても、こうした、いつもと異なる現象に気付いた場合は、すぐに崖や斜面から離れて安全な場所に避難してください。※土砂災害の前に必ず前兆が見られるわけではないことに留意してください※
特別警報解除後に氾濫 大河川の水位すぐに下がらず
2019年の台風19号では、大雨の特別警報が解除されたあと、長野県の千曲川や宮城県の吉田川など複数の河川で氾濫が発生しました。
長野市では大雨特別警報が解除されたあと避難所から自宅へ戻り、その後、川の氾濫によって自宅が浸水したという人もいました。
九州の雨は弱まっていますが、福岡県では筑後川上中流部で避難指示の発令の目安となる「氾濫危険情報」が発表されているほか、現在も水位が高い状態が続いている川があります。
山あいの広い範囲に降った雨が大きな川に流れ込むまでには時間がかかるため、雨がやんだり降り方が弱まったりしても時間差で水位が上昇するおそれがあります。
増水した川には近づかず、自治体の情報などをもとに引き続き安全な場所で避難を続けてください。
2023年7月11日 6時56分
九州北部では10日、線状降水帯が発生して記録的な大雨となり、川の氾濫や土砂災害が相次ぎました。九州北部では今も地盤が緩み、少しの雨でも災害につながるおそれがあり、土砂災害などに警戒し、危険な場所には近づかないようにしてください。
気象庁によりますと10日、前線の活動が活発になった影響で、九州北部では線状降水帯が相次いで発生し、福岡県と大分県に一時大雨の特別警報が発表されました。
今月6日の降り始めからの雨の量は、福岡県の英彦山で600ミリを超えるなど各地で記録的な大雨となりました。
前線は対馬海峡付近に停滞していて、午前6時までの1時間には長崎県が対馬市に設置した雨量計で58ミリの非常に激しい雨を観測しました。
また、前線の影響で、東北でも局地的に雨雲が発達しています。これまでの雨で九州北部では、地盤が緩んでいたり川の堤防や護岸が損傷したりしているところがあり災害のリスクが高い状態が続いています。
土砂災害の危険性が高い状態が続いていて、佐賀県では土砂災害警戒情報が発表されている地域があります。
前線北上も大気不安定続く
今後、前線は徐々に北上する見込みですが11日も西日本から北日本の広い範囲で大気が不安定な状態が続く見込みです。
特に関東甲信では局地的に雷を伴って1時間に50ミリ以上の非常に激しい雨が降るおそれがあります。
大雨となった地域では、ふだんより少ない雨でも土砂災害や川の氾濫などの災害の危険度が急激に高まるおそれがあります。土砂災害や低い土地の浸水、川の氾濫に警戒し、川や山の斜面など危険な場所には近づかないようにしてください。
また、東北の日本海側でも13日にかけて大雨のおそれがあります。今後の情報に注意してください。
国交省会見「局地的に大雨が降れば一気に状況が変わる」
大雨の特別警報の警報への切り替えに先立ち、気象庁と国土交通省は10日午後5時ごろ合同で会見を開きました。
この中で国土交通省の豊口佳之河川環境課長は、「筑後川などでは高い水位が継続していて大雨警報に切り替わったからといって災害の危険がなくなったわけではない。広域的、集中的に長時間降るような状況は見込まれないかもしれないが、局地的に大雨が降れば一気に状況が変わる可能性がある。当面は川に近づくことなどを避け避難情報に従って身の安全を確保してほしい」と呼びかけました。
また「これまでの雨で流域は湿潤状態にあるほかダムは、多くの水がたまっているため余力があまり無い。今後、大雨が発生すると河川の氾濫の危険性が高まる。今後の大雨の状況には注意してほしい」と話しています。
11日にかけ前線停滞 西~北日本で激しい雨のおそれ
今後の見通しです。
前線は11日にかけてほとんど位置を変えずに停滞する見込みで、西日本から北日本の広い範囲で雷を伴った激しい雨が降り、局地的には非常に激しい雨が降るおそれがあります。
夜のうちは川や山沿いの渓流斜面などからは離れ、引き続き、安全を確保するようにしてください。
また、東北の日本海側でも13日ごろにかけて大雨のおそれがあります。今後の情報に注意してください。
一方、関東甲信では湿った空気の影響で局地的に雨雲が発達し、午後10時までの1時間には埼玉県鴻巣市で36ミリの激しい雨が降りました。関東甲信は11日の午後も大気の状態が不安定になる見込みで、急な激しい雨や落雷、竜巻などの激しい突風、ひょうなどに十分な注意が必要です。
大雨特別警報を警報に切り替え 引き続き厳重警戒を
福岡県と大分県では大雨の特別警報が警報に切り替えられましたが、引き続き土砂災害や川の氾濫に厳重に警戒してください。
気象庁によりますと、過去には雨が弱まったりやんだりしてから数時間たって土砂災害が発生し、犠牲者が出たケースや、大雨の特別警報が解除されたあとに川の氾濫が発生して大きな被害となったケースがあります。
土の中の“タンク”には大量の水が
2018年の西日本豪雨では、天気が回復し復旧作業が進む中で広島県府中町を流れる榎川の上流で土石流が発生し、住宅に土砂が流れ込みました。
また1997年には鹿児島県出水市で雨がやんだおよそ4時間後に大規模な土石流が発生し、21人が死亡しました。
線状降水帯が発生するなど記録的な大雨となった九州を中心に、土砂災害の危険度の指標となる「土壌雨量指数」が高くなっている地域があり、今後の雨で土砂災害の危険度が急激に高まるおそれがあります。
「土壌雨量指数」は降った雨がどれくらい土の中にたまっているか、水分量を示す指標です。気象庁の大雨警報や土砂災害警戒情報はこのデータをもとに発表されています。九州では線状降水帯が発生した10日の明け方から朝にかけて「土壌雨量指数」が高くなり、夕方になってもふだんよりも高い状態となっています。
土砂災害に詳しい専門家によると、一般的に雨がやんで1日や2日では土の中の水分はほとんど抜けず、地質の違いを考慮しても、ある程度の水分が残ったままの状態が続くということです。つまり、土の中の“タンク”は水がたまった状態で抜けきっていないため、今後、少しの雨で土砂災害が発生したり、規模の大きな災害につながる危険性があります。
気象庁の土砂災害警戒情報や自治体からの避難の情報などに注意してすぐに避難できるよう準備をしておいてください。
前兆現象が起きることも
また、土砂災害が発生する前には「前兆現象」が起きることがあります。
例えば、
▽斜面から小石が落ちてくる、
▽斜面に亀裂ができる、
▽斜面から突然水が湧き出したり 川の水が急に少なくなったりするほか、
▽「山鳴り」や「地響き」がするといったものです。
土砂災害警戒情報や避難の情報が出ていなかったとしても、こうした、いつもと異なる現象に気付いた場合は、すぐに崖や斜面から離れて安全な場所に避難してください。※土砂災害の前に必ず前兆が見られるわけではないことに留意してください※
特別警報解除後に氾濫 大河川の水位すぐに下がらず
2019年の台風19号では、大雨の特別警報が解除されたあと、長野県の千曲川や宮城県の吉田川など複数の河川で氾濫が発生しました。
長野市では大雨特別警報が解除されたあと避難所から自宅へ戻り、その後、川の氾濫によって自宅が浸水したという人もいました。
九州の雨は弱まっていますが、福岡県では筑後川上中流部で避難指示の発令の目安となる「氾濫危険情報」が発表されているほか、現在も水位が高い状態が続いている川があります。
山あいの広い範囲に降った雨が大きな川に流れ込むまでには時間がかかるため、雨がやんだり降り方が弱まったりしても時間差で水位が上昇するおそれがあります。
増水した川には近づかず、自治体の情報などをもとに引き続き安全な場所で避難を続けてください。
大雨特別警報を警報に切り替え 引き続き厳重警戒を
福岡県と大分県では大雨の特別警報が警報に切り替えられましたが、引き続き土砂災害や川の氾濫に厳重に警戒してください。
気象庁によりますと、過去には雨が弱まったりやんだりしてから数時間たって土砂災害が発生し、犠牲者が出たケースや、大雨の特別警報が解除されたあとに川の氾濫が発生して大きな被害となったケースがあります。
土の中の“タンク”には大量の水が
2018年の西日本豪雨では、天気が回復し復旧作業が進む中で広島県府中町を流れる榎川の上流で土石流が発生し、住宅に土砂が流れ込みました。
また1997年には鹿児島県出水市で雨がやんだおよそ4時間後に大規模な土石流が発生し、21人が死亡しました。
線状降水帯が発生するなど記録的な大雨となった九州を中心に、土砂災害の危険度の指標となる「土壌雨量指数」が高くなっている地域があり、今後の雨で土砂災害の危険度が急激に高まるおそれがあります。
「土壌雨量指数」は降った雨がどれくらい土の中にたまっているか、水分量を示す指標です。気象庁の大雨警報や土砂災害警戒情報はこのデータをもとに発表されています。九州では線状降水帯が発生した10日の明け方から朝にかけて「土壌雨量指数」が高くなり、夕方になってもふだんよりも高い状態となっています。
土砂災害に詳しい専門家によると、一般的に雨がやんで1日や2日では土の中の水分はほとんど抜けず、地質の違いを考慮しても、ある程度の水分が残ったままの状態が続くということです。つまり、土の中の“タンク”は水がたまった状態で抜けきっていないため、今後、少しの雨で土砂災害が発生したり、規模の大きな災害につながる危険性があります。
気象庁の土砂災害警戒情報や自治体からの避難の情報などに注意してすぐに避難できるよう準備をしておいてください。
前兆現象が起きることも
また、土砂災害が発生する前には「前兆現象」が起きることがあります。
例えば、
▽斜面から小石が落ちてくる、
▽斜面に亀裂ができる、
▽斜面から突然水が湧き出したり 川の水が急に少なくなったりするほか、
▽「山鳴り」や「地響き」がするといったものです。
土砂災害警戒情報や避難の情報が出ていなかったとしても、こうした、いつもと異なる現象に気づいた場合は、すぐに崖や斜面から離れて安全な場所に避難してください。※土砂災害の前に必ず前兆が見られるわけではないことに留意してください※
特別警報解除後に氾濫 大河川の水位すぐに下がらず
2019年の台風19号では、大雨の特別警報が解除されたあと、長野県の千曲川や宮城県の吉田川など複数の河川で氾濫が発生しました。
長野市では大雨特別警報が解除されたあと避難所から自宅へ戻り、その後、川の氾濫によって自宅が浸水したという人もいました。
九州の雨は弱まっていますが、福岡県では筑後川上中流部で避難指示の発令の目安となる「氾濫危険情報」が発表されているほか、現在も水位が高い状態が続いている川があります。
山あいの広い範囲に降った雨が大きな川に流れ込むまでには時間がかかるため、雨がやんだり降り方が弱まったりしても時間差で水位が上昇するおそれがあります。
増水した川には近づかず、自治体の情報などをもとに引き続き安全な場所で避難を続けて下さい。
福岡県と大分県では大雨の特別警報が警報に切り替えられましたが、引き続き土砂災害や川の氾濫に厳重に警戒してください。
気象庁によりますと、過去には雨が弱まったりやんだりしてから数時間たって土砂災害が発生し、犠牲者が出たケースや、大雨の特別警報が解除されたあとに川の氾濫が発生して大きな被害となったケースがあります。
土の中の“タンク”には大量の水が
2018年の西日本豪雨では、天気が回復し復旧作業が進む中で広島県府中町を流れる榎川の上流で土石流が発生し、住宅に土砂が流れ込みました。
また1997年には鹿児島県出水市で雨がやんだおよそ4時間後に大規模な土石流が発生し、21人が死亡しました。
線状降水帯が発生するなど記録的な大雨となった九州を中心に、土砂災害の危険度の指標となる「土壌雨量指数」が高くなっている地域があり、今後の雨で土砂災害の危険度が急激に高まるおそれがあります。
「土壌雨量指数」は降った雨がどれくらい土の中にたまっているか、水分量を示す指標です。気象庁の大雨警報や土砂災害警戒情報はこのデータをもとに発表されています。九州では線状降水帯が発生した10日の明け方から朝にかけて「土壌雨量指数」が高くなり、夕方になってもふだんよりも高い状態となっています。
土砂災害に詳しい専門家によると、一般的に雨がやんで1日や2日では土の中の水分はほとんど抜けず、地質の違いを考慮しても、ある程度の水分が残ったままの状態が続くということです。つまり、土の中の“タンク”は水がたまった状態で抜けきっていないため、今後、少しの雨で土砂災害が発生したり、規模の大きな災害につながる危険性があります。
気象庁の土砂災害警戒情報や自治体からの避難の情報などに注意してすぐに避難できるよう準備をしておいてください。
前兆現象が起きることも
また、土砂災害が発生する前には「前兆現象」が起きることがあります。
例えば、
▽斜面から小石が落ちてくる、
▽斜面に亀裂ができる、
▽斜面から突然水が湧き出したり 川の水が急に少なくなったりするほか、
▽「山鳴り」や「地響き」がするといったものです。
土砂災害警戒情報や避難の情報が出ていなかったとしても、こうした、いつもと異なる現象に気づいた場合は、すぐに崖や斜面から離れて安全な場所に避難してください。※土砂災害の前に必ず前兆が見られるわけではないことに留意してください※
特別警報解除後に氾濫 大河川の水位すぐに下がらず
2019年の台風19号では、大雨の特別警報が解除されたあと、長野県の千曲川や宮城県の吉田川など複数の河川で氾濫が発生しました。
長野市では大雨特別警報が解除されたあと避難所から自宅へ戻り、その後、川の氾濫によって自宅が浸水したという人もいました。
九州の雨は弱まっていますが、福岡県では筑後川上中流部で避難指示の発令の目安となる「氾濫危険情報」が発表されているほか、現在も水位が高い状態が続いている川があります。
山あいの広い範囲に降った雨が大きな川に流れ込むまでには時間がかかるため、雨がやんだり降り方が弱まったりしても時間差で水位が上昇するおそれがあります。
増水した川には近づかず、自治体の情報などをもとに引き続き安全な場所で避難を続けて下さい。
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