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矢吹奈子、アイドル卒業から1年!女優業で手応え!「寝ながらセリフを覚えている」

HKT48やIZ*ONEで活躍し、卒業後は女優やモデルとして活躍している矢吹奈子(やぶき なこ​​)が本日2024年4月20日(いちごの日)、東京都内渋谷にて開催の「矢吹奈子カレンダー 2024.4-2025.3」発売記念イベントに登場。イベント前にマスコミ向け記者会見が開催され、ACTRESS PRESS編集部にて取材に伺った。

本作は、矢吹奈子にとって記念すべき初のカレンダー。矢吹は「今まではAKB48のファンだったので、皆のカレンダーが出るたびにすごく喜んで、見るのも楽しみにしていたので、今回このカレンダーを作る時に、”いろんな私を見せられたらいいな”と思い、すぐにコンセプトを考えられましたね!」と明かし、喜びを表した。

”カレンダーのテーマ”について訊くと、矢吹は「いろんな私が見られるのがテーマです。衣装もメイクも結構変えてるんですよ。7着くらい衣装も着たので、いろんな私が見られるようなカレンダーになっています」と笑顔で紹介した。

本作は、4月始まりのカレンダー。”今年度をどんな年にしたいか”について訊くと、矢吹は「この4月でアイドルを卒業して1年になるので、また俳優としてもっともっと活躍できるように頑張っていきたいなと思っています。」と意気込みを語った。

本作の撮影は、今年の初頭に東京都内にて敢行された。”撮影地が都内のどこなのか”の話題に及ぶと、矢吹は「スタジオのすぐ外でも撮ったので、場所がわかる方もいるかもしれないです。どこかわかったら教えてください(笑)」と語った。

”撮影に挑むにあたり何か準備をしたか”について訊くと、矢吹は「1月に撮ったので正月太りしたまま撮りました(笑)もちろん、ちょっとは意識していましたけど、正月は食べちゃいましたね。タイに旅行に行っていたので、ずっとパッタイを食べていました。」と語り、照れ笑いしながら明かした。

そして、”正月太りした状態で撮影したからこその見どころ”について訊くと、「そこまで顔に出たわけではないんですけど、朝イチで最初に撮ったカットは、ちょっと浮腫んでますかね(笑)。1日で撮ったのですが、顔のむくみが全然違うので、”撮った順番を当ててみる”っていう楽しみ方もあるかもしれないです(笑)」と語った。ちなみに、朝イチで撮ったカットは12月のものだそうだ。

”お気に入りカット”について訊くと、矢吹は6月のカットをあげた。2001年6月18日生まれの矢吹、6月は自身の誕生月でもある。「結構盛れました。誕生月だしお気に入りです。あと2ヶ月!」と語り、微笑んだ。

このカットの撮影中、手に持っていたケーキを落としてしまうハプニングがあったことを明かした。矢吹は「ケーキと写真を撮ったんですけど、30秒ぐらいで落としちゃって(笑)。その後に撮った写真がこれです!」と次のカットを見せてくれた。

このカットを見せながら、矢吹は「クリームをわざと手に付けたわけじゃなくて、実際に落としちゃって、アタフタした後の写真です。」と明かした。

記念すべき初のカレンダー。”誰かにお渡ししたか”と訊くと、矢吹は「家族に渡しました。お母さんが自分に飾ってくれたり。あと、妹はアイドルが好きなんですけど、推しの隣に飾ってくれてないので、おすすめしたいと思います(笑)」と明かした。

さらに、”指原莉乃さんあたりにもお渡ししてみてはどうか”と訊くと、矢吹は「あ、渡したいですね!ちょうど昨日会ったんですけど、渡せば良かった(笑)。またすぐに会おうと話しているので、ご飯に行ったときにお渡ししたいです。」と語った。同じHKT48出身のふたり、やはり新興は深いようだ。

”ファンの方にはお家のどこにカレンダーを飾って欲しいか”を訊くと、「どこがいいんだろう?一人暮らしだったら、リビングなのかなぁ。毎日目につくところがいいかなと思うので、リビングののテーブルの真ん中とか、目立つようなところに置いてほしい。ご飯食べながらも見てほしいです。」と呼びかけた。

続いて、すこし気の早い話だが、”来年のカレンダーはどんなものにしたいか”について訊くと、矢吹は「今回、ロケがあんまりなかったので、外で自然体な感じの写真を撮ってみたいです。”遊園地行ったりとかしてみたいです!”って、言っておきます、今から(笑)」とアピールした。

昨年4月にHKT48を卒業し、はや1年。バラエティー番組や女優業など、幅広いジャンルで活動を続けている矢吹奈子。この1年を振り返った感想について訊くと、矢吹は「本当に卒業して1年というのが信じられないです。”あれ、まだ1年だったの?”って感じるくらい、バラエティーや俳優業も忙しくさせてもらってたので、不思議な感じがしています。」と語り、日々の活動が充実しているようだ。

”この1年で生活がどう変わったか”について訊くと、矢吹は「めちゃくちゃ変わったかというと、そうでもないかもしれないです。ただ、踊らなくなったので、本当に”運動しないとな”と思いますね。体力がなくなりました。この間、本田仁美ちゃん、田中美久ちゃんの卒業コンサートにゲスト出演した時、1曲踊っただけで息切れしちゃって(笑う)、今までどうやって2時間のコンサートをやっていたんだろうって、不思議になるくらい体力なくなってましたね。」と明かした。さらに「キックボクシングもずっとやりたいと言っているんですけど、まだ始められていないので、今年中に始めたいです。」と意気込みを表した。

この1年、女優業で活躍を見せている矢吹奈子。”女優業でセリフをスムーズに覚えられるか”と訊くと、矢吹は「私は寝ながら覚えるタイプです。寝る前に集中して読んで、寝る直前にもう1回、読み直して、そのまま寝て。寝ている間に頭に覚えさせる、というやり方をしています。HKT48の時からダンスもそうやって覚えてました。」と語り、秘訣を明かした。

1月の記者会見”の際にも、今年の抱負”として「俳優としてのお仕事をHKT48から卒業して本格的に始めさせていただいてるんですけど、より多くの作品に出会って皆さんに届けられたらと思っています」と語っていた矢吹。”寝ながら覚える”内容をダンスから演技やセリフに変えて、順調に歩み始めたようである。

今日の会見でも、笑顔で明るいトークで、充実ぶりが伝わってきた。女優業でどのような演技を見せてくれるのか、期待して注目していきたい。


夏目漱石

 二階の手摺てすりに湯上りの手拭てぬぐいを懸かけて、日の目の多い春の町を見下みおろすと、頭巾ずきんを被かむって、白い髭ひげを疎まばらに生はやした下駄げたの歯入が垣の外を通る。古い鼓つづみを天秤棒てんびんぼうに括くくりつけて、竹のへらでかんかんと敲たたくのだが、その音は頭の中でふと思い出した記憶のように、鋭いくせに、どこか気が抜けている。爺さんが筋向すじむこうの医者の門の傍わきへ来て、例の冴さえ損そこなった春の鼓つづみをかんと打つと、頭の上に真白に咲いた梅の中から、一羽の小鳥が飛び出した。歯入は気がつかずに、青い竹垣をなぞえに向むこうの方へ廻り込んで見えなくなった。鳥は一摶ひとはばたきに手摺の下まで飛んで来た。しばらくは柘榴ざくろの細枝に留とまっていたが、落ちつかぬと見えて、二三度身みぶりを易かえる拍子ひょうしに、ふと欄干らんかんに倚よりかかっている自分の方を見上げるや否や、ぱっと立った。枝の上が煙けむるごとくに動いたと思ったら、小鳥はもう奇麗きれいな足で手摺の桟さんを踏ふまえている。
まだ見た事のない鳥だから、名前を知ろうはずはないが、その色合が著いちじるしく自分の心を動かした。鶯うぐいすに似て少し渋味しぶみの勝った翼つばさに、胸は燻くすんだ、煉瓦れんがの色に似て、吹けば飛びそうに、ふわついている。その辺あたりには柔やわらかな波を時々打たして、じっとおとなしくしている。怖おどすのは罪だと思って、自分もしばらく、手摺に倚ったまま、指一本も動かさずに辛抱していたが、存外鳥の方は平気なようなので、やがて思い切って、そっと身を後うしろへ引いた。同時に鳥はひらりと手摺の上に飛び上がって、すぐと眼の前に来た。自分と鳥の間はわずか一尺ほどに過ぎない。自分は半なかば無意識に右手めてを美しい鳥の方に出した。鳥は柔やわらかな翼つばさと、華奢きゃしゃな足と、漣さざなみの打つ胸のすべてを挙あげて、その運命を自分に託するもののごとく、向うからわが手の中うちに、安らかに飛び移った。自分はその時丸味のある頭を上から眺めて、この鳥は……と思った。しかしこの鳥は……の後あとはどうしても思い出せなかった。ただ心の底の方にその後あとが潜ひそんでいて、総体を薄く暈ぼかすように見えた。この心の底一面に煮染にじんだものを、ある不可思議の力で、一所ひとところに集めて判然はっきりと熟視したら、その形は、――やっぱりこの時、この場に、自分の手のうちにある鳥と同じ色の同じ物であったろうと思う。自分は直ただちに籠かごの中に鳥を入れて、春の日影の傾かたむくまで眺めていた。そうしてこの鳥はどんな心持で自分を見ているだろうかと考えた。
やがて散歩に出た。欣々然きんきんぜんとして、あてもないのに、町の数をいくつも通り越して、賑にぎやかな往来おうらいを行ける所まで行ったら、往来は右へ折れたり左へ曲ったりして、知らない人の後あとから、知らない人がいくらでも出て来る。いくら歩いても賑にぎやかで、陽気で、楽々しているから、自分はどこの点で世界と接触して、その接触するところに一種の窮屈を感ずるのか、ほとんど想像も及ばない。知らない人に幾千人となく出逢であうのは嬉うれしいが、ただ嬉しいだけで、その嬉しい人の眼つきも鼻つきもとんと頭に映らなかった。するとどこかで、宝鈴ほうれいが落ちて廂瓦ひさしがわらに当るような音がしたので、はっと思って向うを見ると、五六間先の小路こうじの入口に一人の女が立っていた。何を着ていたか、どんな髷まげに結ゆっていたか、ほとんど分らなかった。ただ眼に映ったのはその顔である。その顔は、眼と云い、口と云い、鼻と云って、離れ離れに叙述する事のむずかしい――否、眼と口と鼻と眉まゆと額といっしょになって、たった一つ自分のために作り上げられた顔である。百年の昔からここに立って、眼も鼻も口もひとしく自分を待っていた顔である。百年の後のちまで自分を従えてどこまでも行く顔である。黙って物を云う顔である。女は黙って後うしろを向いた。追いついて見ると、小路と思ったのは露次ろじで、不断ふだんの自分なら躊躇ちゅうちょするくらいに細くて薄暗い。けれども女は黙ってその中へ這入はいって行く。黙っている。けれども自分に後を跟つけて来いと云う。自分は身を穿すぼめるようにして、露次の中に這入った。
黒い暖簾のれんがふわふわしている。白い字が染抜いてある。その次には頭を掠かすめるくらいに軒灯が出ていた。真中に三階松さんがいまつが書いて下に本もととあった。その次には硝子ガラスの箱に軽焼かるやきの霰あられが詰っていた。その次には軒の下に、更紗さらさの小片こぎれを五つ六つ四角な枠わくの中に並べたのが懸かけてあった。それから香水の瓶びんが見えた。すると露次は真黒な土蔵の壁で行き留った。女は二尺ほど前にいた。と思うと、急に自分の方をふり返った。そうして急に右へ曲った。その時自分の頭は突然先刻さっきの鳥の心持に変化した。そうして女に尾ついて、すぐ右へ曲った。右へ曲ると、前よりも長い露次が、細く薄暗く、ずっと続いている。自分は女の黙って思惟するままに、この細く薄暗く、しかもずっと続いている露次の中を鳥のようにどこまでも跟いて行った。

江戸の化物
岡本綺堂

池袋の女

 江戸の代表的怪談といえば、まず第一に池袋の女というものを挙げなければなりません。
 今日の池袋の人からは抗議が出るかもしれませんが、どういうものか、この池袋の女を女中などに使いますと、きっと何か異変があると言い伝えられて、武家屋敷などでは絶対に池袋の女を使わないことにしていたということです。また、町家などでも池袋の女を使うことを嫌がりましたので、池袋の女の方でも池袋ということを隠して、大抵は板橋とか雑司ヶ谷とかいって奉公に出ていたのだそうです。
 それも、女が無事におとなしく勤めている分には別になんの仔細もなかったのですが、もし男と関係でもしようものなら、忽ち怪異が頻々ひんぴんとして起こるというのです。
 これは、池袋の女が七面様の氏子なので、その祟たたりだ[#「祟たたりだ」は底本では「崇たたりだ」]といわれていましたが、それならば不埓ふらちを働いた当人、即ち池袋の女に祟れば[#「祟れば」は底本では「崇れば」]よさそうなものですが、本人にはなんの祟も[#「祟も」は底本では「崇も」]なくて、必ずその女の使われている家へ祟る[#「祟る」は底本では「崇る」]のだそうです。まったく理窟では判断がつきませんが、まず家が揺れたり、自然に襖ふすまが開いたり、障子の紙が破れたり、行灯あんどんが天井に吸い付いたり、そこらにある物が躍おどったり、いろいろの不思議があるといいます。
 こういうことがあると、まず第一に池袋の女を詮議することになっていましたが、果してその蔭には必ず池袋の女が忍んでいたということです。
これは私の父なども親しく見たということですが、麻布の龍土町(いまの港区六本木七丁目六~八番)に内藤紀伊守の下屋敷がありました。この下屋敷というところは、多く女子供などが住んでいるのです。
 ある夜のことでした。何処からとなく沢山の蛙が出て来てぴょこぴょこと闇に動いていましたが、いつとはなしに女たちの寝ている蚊帳かやの上にあがって、じっとつくばっていたということです。それを見た女たちの騒ぎは、どんなであったでしょう。
 すると、こんどは家がぐらぐらとぐらつき出したので、騒ぎはますます大きくなって、上屋敷からも武士が出張するし、また他藩の武士の見物に行った者などが交じって、そこらを調べて見ましたが、さっぱり訳が判りません。そこで狐狸こりの仕業ということになって屋敷中を狩り立てましたが、狐や狸はさておき、かわうそ一疋も出なかったということです。で、その夜は十畳ばかりの屋敷に十四、五人の武士が不寝番ねずのばんをすることになりました。
 ところが、夜もだんだん更けゆくにつれ、行灯の火影も薄暗くなって、自然と首が下がるような心持になると、どこからとなく、ぱたりぱたりと石が落ちてくるのです。皆の者がしゃんとしている間は何事もないのですが、つい知らずに首が下がるにつれて、ぱたりぱたりと石が落ちてくるので、「これはどうしても狐狸の仕業に相違ない。ためしに空鉄砲を放してみよう」といって、井上某が鉄砲を取りに立とうとすると、ぽかりと切石が眉間みけんに当たって倒れました。
 こんどは他の者が代わって立とうとすると、また、その者の横鬢よこびんのところに切石が当たったので、もう誰も鉄砲を[#「鉄砲を」は底本では「鉄砲に」]取りに行こうという者もありません。互いに顔を見合わせているばかりでしたが、ある一人が「石の落ちてくるところは、どうも天井らしい」と、いい終わるか終わらぬうちに、ぱっと畳の間から火を吹き出したそうです。
 こういうような怪異のことが、約三月くらい続いているうちに、ふとかの地袋の女ということに気がついて、下屋敷の女たちを厳重に取調べたところが、果して池袋から来ている女中があって、それが出入りの者と密通していたということが知れました。
 で、この女中を追い出してしまいますと、まるで嘘のように不思議なことが止んだということです。
 これも塚原渋柿園じゅうしえんの直話じきわですが、牛込の江戸川橋のそばに矢柄やがら何某という槍の先生がありました。この家に板橋在の者だといって住み込んだ女中がありましたが、どうも池袋の女らしいので、そのことを細君から主人に告げて、今のうちに暇を出してしまいたいといいますと、さすがは槍の先生だけあって、「実は池袋の女の不思議を見たいと思っていたのだが、ちょうど幸いである。そのままにしておけ」ということで、細君も仕方なしに知らぬ振りをしていましたが、別になんのこともなかったそうです。
 ところがある日、主人公が食事をしている時でした。給仕をしている細君があわてて飯櫃めしびつを押さえていますので、どうしたのかと聞くと、飯櫃がぐるぐる廻り出したというのです。
 矢柄先生はそれを非常に面白がられて、ぐるぐると廻っている飯櫃をじっと見ていましたが、やがて庭の方の障子を開けますと、飯櫃はころころと庭に転げ落ちて、だんだん往来の方へ転げて行きます。で、稽古に来ている門弟たちを呼んでそのあとをつけさせますと、飯櫃は中の橋の真ん中に止まって、逆様さかさまに伏せって動かなくなったので、それを取ってみますとすっかり飯が減っていたということです。
 これを調べて見ると、その池袋の女中が近所の若い者といたずらをしていたということが判りました。女中も驚いて自分から暇を取ろうとしましたが、先生は面白がってどうしても暇をやらなかったので、とうとういたたまらなくなって、女も無断で逃げていってしまったということです。この種の怪談が江戸時代にも沢山ありました。
天狗や狐憑き、河童など

 天狗に攫さらわれるということも、随分沢山あったそうです。もちろんこれには嘘もあり、本当もあり、一概にはいえないのですが、とにかくに天狗に攫われるような者は、いつもぼんやりして意識の明瞭を欠いていた者が多かったそうです。従って、「あいつは天狗に攫われそうな奴だ」というような言葉があったくらいです。これは十日くらいの間、行方不明になっていて、どこからかふらりと戻って来るのです。
 これらは科学的に説明すれば、いろいろの解釈がつくのですが、江戸時代ではまず怪談の一つとして数えていました。
 狐憑きつねつき、これもなかなか多かったようですが、一種の神経衰弱者だったのでしょう。この時代には「狐憑」もあれば、「狐使い」もありました。狐を使う者は飯綱いいづなの行者だと言い伝えられていました。そのほかに管狐くだぎつねを使う者もありました。
 管狐というのは、わざわざ伏見の稲荷へ行って管の中へ狐を入れて来るので、管の中へ入れられた狐は管から出してくれといって、途中で泣き騒いでいたということですが、もう箱根を越すと静かになるそうです。
 昔は狐使いなどといって、他に嫌がられながらも一方にはまた恐れられ、種々の祈祷料などをもらっていたのですが、今日では狐を使う行者などは跡を絶ちました。
 この狐憑は、狐が落ちさえすればけろりと治ってしまいますが、治らずに死ぬ者もありました。
 河童かっぱは筑後の柳川が本場だとか聞いていますが、江戸でも盛んにその名を拡めています。これはかわうそと亀とを合併して河童といっていたらしく、川の中で足などに搦からみつくのは大抵は亀だそうです。
 この河童というものが、江戸付近の川筋にはよく出たものです。どういう訳か、葛西かさいの源兵衛(源兵衛堀―いまの北十間じっけん川のこと)が名所になっています。
 徳川の家来に福島何某なにがしという武士がありました。ある雨の夜でしたが、虎の門の濠端ほりばたを歩いていました。この濠のところを俗にどんどんといって、溜池の水がどんどんと濠に落ちる落口になっていたのです。
 その前を一人の小僧が傘もささずに、びしょびしょと雨に濡れながら裾を引き摺って歩いているので、つい見かねて「おい、尻を端折はしょったらどうだ」といってやりましたが、小僧は振り向きもしないので、こんどは命令的に「おい、尻を端折れ」といいましたが、小僧は振り向きもしないので、こんどは命令的に「おい、尻を端折れ」といいましたが、小僧は相変わらず知らぬ顔をしています。で、つかつかと寄って、後ろから着物の裾をまくると、ぴかっと尻が光ったので、「おのれ」といいざま襟に手をかけて、どんどんの中へ投げ込みました。
 が、あとで、もしそれが本当の小僧であっては可哀相だと思って、翌日そこへ行って見ましたが、それらしき死骸も浮いていなければ、そんな噂もなかったので、まったくかわうそだったのだろうと、他に語ったそうです。
 芝の愛宕山の下〔桜川の大溝〕などでも、よくかわうそが出たということです。
 それは多く雨の夜なのですが、差している傘の上にかわうそが取りつくので、非常に持ち重りがするということです。そうして顔などを引っ掻かれることなどがあったそうですが、武士などになると、そっと傘を手許に下げておよその見当をつけ、小柄こづかを抜いて傘越しにかわうそを刺し殺してしまったということです。
 中村座の役者で、市川ちょび助という宙返ちゅうがえりの名人がありました。やはり雨の降る晩でしたが、芝居がはねて本所の宅へ帰る途中で遭ったそうです。差している傘が石のように重くなって、ひと足も歩くことができなくなったので、持前の芸を出して、傘を差したまま宙返りをすると、かわうそが大地に叩きつけられて死んでいた、ということです。
 日比谷の亀も有名でした。桜田見附から日比谷へ行く濠の底に大きい亀が棲すんでいたということで、この亀が浮き出すと濠一杯になったと言い伝えられています。亀が浮くと、龍たつの口くちの火消屋敷の太鼓を打つことになっていました。その太鼓の音に驚いて、大亀は沈んでしまうといいます。しかし、その亀を見た者はないようです。


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