#健康要有文化素養 & 健康要有哲學頭腦#
特集
ニッポン丸ごといただきます!
01 おいしい“地元”の
食べ方入門
~東日本編~
全国各地の地元に根付いた地産地消の取組と、
地元ならではの興味深い食べ方を
フードジャーナリストの向笠千恵子さんに紹介していただきました。
今週の見どころ
地産地消からおいしいものが生まれる
鳥獣被害防止のため捕獲したエゾシカを自然の恵みとしてジビエに
伝統の「南部もぐり」で水揚げされる天然ホヤ
江戸時代から受け継がれている壬生町のかんぴょうづくり
伝統野菜「吉川ナス」の種と栽培技術を継承し まちの園芸農業を再生
監修・お話
向笠千恵子(むかさちえこ)さん
フードジャーナリスト、食文化研究家、エッセイスト。
日本の本物の味、安心できる食べもの、郷土料理、伝統食品づくりの現場を知る第一人者。
「ディスカバー農山漁村(むら)の宝」有識者懇談会委員
地産地消からおいしいものが生まれる
郷土料理には、その土地に暮らしてきた人々に受け継がれてきた、生活の知恵が凝縮されています。料理そのものだけでなく、お皿に盛りつける前の食材にも、それらに関わる独自のストーリーがあります。こうした背景を知っておくと、さらに料理が楽しめ、味が深まります。地産地消推進はそれを確かめるのに最適な取組です。
鳥獣被害防止のため捕獲したエゾシカを
自然の恵みとしてジビエに
北海道阿寒郡鶴居村
ハートンツリー
エゾシカ
北海道全域でエゾシカによる農林業への被害が深刻になっており、エゾシカの個体数の管理は重要なテーマ。
北海道の東部にある釧路湿原に囲まれた鶴居村では、国立公園の対策協議会等と情報共有や連携をし、自然環境に配慮しながらエゾシカの捕獲を行っており、ジビエとして活用しています。ハンターによる狩猟や、大型の囲い罠で捕獲したエゾシカは、村内にある加工処理施設で精肉や加工品として処理。鮮度の良いエゾシカ肉を味わえる環境が整っています。地域資源としても生かされており、村ではその土地の食文化に触れることを目的とした旅(ガストロノミーツーリズム)を提案。村内の様々な飲食店でエゾシカ肉の料理を提供しています。
地元ではこう食べる!
鹿肉のローストブルーベリーソース
豊富な鉄分と赤身が特徴のエゾシカ肉。焼いたり煮込むなどしていただきます。鶴居村のエゾシカは、ほどよく脂が乗っていて美味。写真は「鹿肉のローストブルーベリーソース」。
提供/ハートンツリー
向笠千恵子(むかさちえこ)さん
日本のシカ肉料理はかつては和風で食べられていましたが、近年、洋風に調理されるようになりました。鶴居村はフレンチに取り入れ、チーズやワインなど地元産の食材と一緒に、トータルで地産地消を楽しむことができます。
伝統の「南部もぐり」で水揚げされる
天然ホヤ
岩手県九戸郡洋野町(ひろのちょう)
はまなす亭
南部もぐり
ダイバーが「南部もぐり」で海底から天然ホヤを収獲。その潜水技術は現在も同町の岩手県立種市高等学校で教えられている。
真っ赤な天然ホヤの水揚げの様子。
岩手県九戸郡洋野町のホヤ漁で行われている「南部もぐり」は、伝統的なヘルメット式潜水を今に受け継いだ潜水技術です。もともとこの技術は、座礁した貨客船の解体引き揚げのために伝えられたものですが、その後ホヤ漁に応用。上質な天然ホヤが、同町の伝統食材になりました。天然ホヤを使った料理が人気のはまなす亭では、旨みを生かした混ぜごはん「ホヤめし」をはじめ、磯の風味が引き立つ「焼きホヤ」などが味わえます。また、同店の「ほやラーメン」は、同町のご当地グルメとしてイベントなどでも提供されています。
地元ではこう食べる!
ホヤづくし御膳
洋野町の料理が味わえる「ホヤづくし御膳」。ホヤめし、ホヤのお吸い物、ホヤキムチ、焼きホヤ、ホヤ刺しなどがていねいに調理されています。
ほやラーメン
たっぷりのホヤが入った、塩味の「ほやラーメン」。
向笠千恵子(むかさちえこ)さん
はまなす亭は県認定「食の匠」の女性リーダーが率いる人気店。「南部もぐり」ダイバーが収穫した天然ホヤ料理で、地域活性化に努めています。伝統の食材をセンスある味付けで、洗練されたメニューを開発。郷土料理を次世代につなげています。
江戸時代から受け継がれている
壬生町のかんぴょうづくり
栃木県下都賀郡壬生町(みぶまち)
ユウガオの実「ふくべ(瓢)」
かんぴょうの原料となるユウガオ。ユウガオの実は「ふくべ(瓢)」と呼ばれています。
ユウガオの果肉を薄く細くむく
ユウガオの果肉を薄く細くむき、乾燥させたものがかんぴょう。
提供:(株)mf
1712年、壬生藩(現在の下都賀郡壬生町)に国替えとなった藩主が、旧領からユウガオの種を取り寄せて試作を命じたことが、かんぴょうの歴史の始まりとされています。300年以上の伝統を守り、後世へ受け継いでいけるように、壬生町では様々な取り組みを行っており、その一つが毎月1回、町内の小・中学校で実施される「ふくべランチの日」。かんぴょうを使ったメニューが、給食で提供されます。また、地元で親しまれていたわさび入りのかんぴょう巻きは、「みぶのサビかん」として商品化もされています。
地元ではこう食べる!
サビかん
しょう油で甘く煮たかんぴょうの巻きずしにワサビを添えた「サビかん」。壬生町の新名物です。
ぐるぐる巻きおいなりさん
寿司の具のように煮たかんぴょうをいなり寿司に巻き付けた「ぐるぐる巻きおいなりさん」。
提供/篠原商店
カミナリ汁
栃木県中央部は、落雷が多いことでも知られています。ノリをかみなり雲に、玉子とかんぴょうを稲妻に見立てた「カミナリ汁」は、町内の学校給食で昔から親しまれています。
向笠千恵子(むかさちえこ)さん
壬生町にはかんぴょうを使った様々な家庭料理があります。そのなかでも昔から親しまれてきたのが「サビかん」。商品化されたことで、産地のアピールにもつながっています。
伝統野菜「吉川ナス」の種と栽培技術を継承し
まちの園芸農業を再生
福井県鯖江市
鯖江市伝統野菜等栽培研究会
吉川ナス
巾着型で重さは300グラムほどの「吉川ナス」。皮が薄く、よく締まった肉質で煮崩れしにくいのが特徴。
鯖江市伝統野菜等栽培研究会メンバーの農家
鯖江市伝統野菜等栽培研究会メンバーの農家では、丹精を込めて吉川ナスを守り続けています。
1000年以上の歴史があるともいわれる「吉川ナス」は福井県鯖江市の伝統野菜でしたが、2009年に栽培農家が1戸もなくなるという危機がありました。そこで残っていた実を受け継ぎ、関係機関で種とりした種から再興に挑んだのが「鯖江市伝統野菜等栽培研究会」です。8戸の農家でスタートした同会は、2022年には21戸に拡大。栽培に留まらず、「吉川ナス」を使った加工品や料理の提供も行っています。また、地理的表示(GI)保護制度への登録により、同市のブランド産品にまで成長。GIへの登録は国内の伝統野菜では初めてのことでした。これらの取組により、改めて地域住民にも吉川ナスのすばらしさが理解され、「鯖江の野菜といえば吉川ナス」といわれるほどになっています。
地元ではこう食べる!
吉川ナスバーガー
油で揚げた輪切りの吉川ナスを挟んだ「吉川ナスバーガー」。
吉川ナスの肉みそ田楽
器に仕立てた吉川ナスを素揚げし、肉みそを詰めた「吉川ナスの肉みそ田楽」。
向笠千恵子(むかさちえこ)さん
加熱すると実がとろっと柔らかくなり、おいしい吉川ナス。田楽や揚げ物などの食べ方がぴったりです。ブランド化が進み、伝統的な食べ方以外に「吉川ナスバーガー」なども生まれ、これからもっと広く知られていくでしょう。
特集
ニッポン丸ごといただきます!
01 おいしい“地元”の
食べ方入門
~東日本編~
全国各地の地元に根付いた地産地消の取組と、
地元ならではの興味深い食べ方を
フードジャーナリストの向笠千恵子さんに紹介していただきました。
今週の見どころ
地産地消からおいしいものが生まれる
鳥獣被害防止のため捕獲したエゾシカを自然の恵みとしてジビエに
伝統の「南部もぐり」で水揚げされる天然ホヤ
江戸時代から受け継がれている壬生町のかんぴょうづくり
伝統野菜「吉川ナス」の種と栽培技術を継承し まちの園芸農業を再生
監修・お話
向笠千恵子(むかさちえこ)さん
フードジャーナリスト、食文化研究家、エッセイスト。
日本の本物の味、安心できる食べもの、郷土料理、伝統食品づくりの現場を知る第一人者。
「ディスカバー農山漁村(むら)の宝」有識者懇談会委員
地産地消からおいしいものが生まれる
郷土料理には、その土地に暮らしてきた人々に受け継がれてきた、生活の知恵が凝縮されています。料理そのものだけでなく、お皿に盛りつける前の食材にも、それらに関わる独自のストーリーがあります。こうした背景を知っておくと、さらに料理が楽しめ、味が深まります。地産地消推進はそれを確かめるのに最適な取組です。
鳥獣被害防止のため捕獲したエゾシカを
自然の恵みとしてジビエに
北海道阿寒郡鶴居村
ハートンツリー
エゾシカ
北海道全域でエゾシカによる農林業への被害が深刻になっており、エゾシカの個体数の管理は重要なテーマ。
北海道の東部にある釧路湿原に囲まれた鶴居村では、国立公園の対策協議会等と情報共有や連携をし、自然環境に配慮しながらエゾシカの捕獲を行っており、ジビエとして活用しています。ハンターによる狩猟や、大型の囲い罠で捕獲したエゾシカは、村内にある加工処理施設で精肉や加工品として処理。鮮度の良いエゾシカ肉を味わえる環境が整っています。地域資源としても生かされており、村ではその土地の食文化に触れることを目的とした旅(ガストロノミーツーリズム)を提案。村内の様々な飲食店でエゾシカ肉の料理を提供しています。
地元ではこう食べる!
鹿肉のローストブルーベリーソース
豊富な鉄分と赤身が特徴のエゾシカ肉。焼いたり煮込むなどしていただきます。鶴居村のエゾシカは、ほどよく脂が乗っていて美味。写真は「鹿肉のローストブルーベリーソース」。
提供/ハートンツリー
向笠千恵子(むかさちえこ)さん
日本のシカ肉料理はかつては和風で食べられていましたが、近年、洋風に調理されるようになりました。鶴居村はフレンチに取り入れ、チーズやワインなど地元産の食材と一緒に、トータルで地産地消を楽しむことができます。
伝統の「南部もぐり」で水揚げされる
天然ホヤ
岩手県九戸郡洋野町(ひろのちょう)
はまなす亭
南部もぐり
ダイバーが「南部もぐり」で海底から天然ホヤを収獲。その潜水技術は現在も同町の岩手県立種市高等学校で教えられている。
真っ赤な天然ホヤの水揚げの様子。
岩手県九戸郡洋野町のホヤ漁で行われている「南部もぐり」は、伝統的なヘルメット式潜水を今に受け継いだ潜水技術です。もともとこの技術は、座礁した貨客船の解体引き揚げのために伝えられたものですが、その後ホヤ漁に応用。上質な天然ホヤが、同町の伝統食材になりました。天然ホヤを使った料理が人気のはまなす亭では、旨みを生かした混ぜごはん「ホヤめし」をはじめ、磯の風味が引き立つ「焼きホヤ」などが味わえます。また、同店の「ほやラーメン」は、同町のご当地グルメとしてイベントなどでも提供されています。
地元ではこう食べる!
ホヤづくし御膳
洋野町の料理が味わえる「ホヤづくし御膳」。ホヤめし、ホヤのお吸い物、ホヤキムチ、焼きホヤ、ホヤ刺しなどがていねいに調理されています。
ほやラーメン
たっぷりのホヤが入った、塩味の「ほやラーメン」。
向笠千恵子(むかさちえこ)さん
はまなす亭は県認定「食の匠」の女性リーダーが率いる人気店。「南部もぐり」ダイバーが収穫した天然ホヤ料理で、地域活性化に努めています。伝統の食材をセンスある味付けで、洗練されたメニューを開発。郷土料理を次世代につなげています。
江戸時代から受け継がれている
壬生町のかんぴょうづくり
栃木県下都賀郡壬生町(みぶまち)
ユウガオの実「ふくべ(瓢)」
かんぴょうの原料となるユウガオ。ユウガオの実は「ふくべ(瓢)」と呼ばれています。
ユウガオの果肉を薄く細くむく
ユウガオの果肉を薄く細くむき、乾燥させたものがかんぴょう。
提供:(株)mf
1712年、壬生藩(現在の下都賀郡壬生町)に国替えとなった藩主が、旧領からユウガオの種を取り寄せて試作を命じたことが、かんぴょうの歴史の始まりとされています。300年以上の伝統を守り、後世へ受け継いでいけるように、壬生町では様々な取り組みを行っており、その一つが毎月1回、町内の小・中学校で実施される「ふくべランチの日」。かんぴょうを使ったメニューが、給食で提供されます。また、地元で親しまれていたわさび入りのかんぴょう巻きは、「みぶのサビかん」として商品化もされています。
地元ではこう食べる!
サビかん
しょう油で甘く煮たかんぴょうの巻きずしにワサビを添えた「サビかん」。壬生町の新名物です。
ぐるぐる巻きおいなりさん
寿司の具のように煮たかんぴょうをいなり寿司に巻き付けた「ぐるぐる巻きおいなりさん」。
提供/篠原商店
カミナリ汁
栃木県中央部は、落雷が多いことでも知られています。ノリをかみなり雲に、玉子とかんぴょうを稲妻に見立てた「カミナリ汁」は、町内の学校給食で昔から親しまれています。
向笠千恵子(むかさちえこ)さん
壬生町にはかんぴょうを使った様々な家庭料理があります。そのなかでも昔から親しまれてきたのが「サビかん」。商品化されたことで、産地のアピールにもつながっています。
伝統野菜「吉川ナス」の種と栽培技術を継承し
まちの園芸農業を再生
福井県鯖江市
鯖江市伝統野菜等栽培研究会
吉川ナス
巾着型で重さは300グラムほどの「吉川ナス」。皮が薄く、よく締まった肉質で煮崩れしにくいのが特徴。
鯖江市伝統野菜等栽培研究会メンバーの農家
鯖江市伝統野菜等栽培研究会メンバーの農家では、丹精を込めて吉川ナスを守り続けています。
1000年以上の歴史があるともいわれる「吉川ナス」は福井県鯖江市の伝統野菜でしたが、2009年に栽培農家が1戸もなくなるという危機がありました。そこで残っていた実を受け継ぎ、関係機関で種とりした種から再興に挑んだのが「鯖江市伝統野菜等栽培研究会」です。8戸の農家でスタートした同会は、2022年には21戸に拡大。栽培に留まらず、「吉川ナス」を使った加工品や料理の提供も行っています。また、地理的表示(GI)保護制度への登録により、同市のブランド産品にまで成長。GIへの登録は国内の伝統野菜では初めてのことでした。これらの取組により、改めて地域住民にも吉川ナスのすばらしさが理解され、「鯖江の野菜といえば吉川ナス」といわれるほどになっています。
地元ではこう食べる!
吉川ナスバーガー
油で揚げた輪切りの吉川ナスを挟んだ「吉川ナスバーガー」。
吉川ナスの肉みそ田楽
器に仕立てた吉川ナスを素揚げし、肉みそを詰めた「吉川ナスの肉みそ田楽」。
向笠千恵子(むかさちえこ)さん
加熱すると実がとろっと柔らかくなり、おいしい吉川ナス。田楽や揚げ物などの食べ方がぴったりです。ブランド化が進み、伝統的な食べ方以外に「吉川ナスバーガー」なども生まれ、これからもっと広く知られていくでしょう。
#健康要有文化素養 & 健康要有哲學頭腦#
詳しく知って楽しく食べよう!
おいしいきのこ図鑑
私たちの身近な食材の1つであるきのこ。
食用きのこにはたくさんの種類があり、風味や食感はさまざまです。
それぞれのきのこの特徴を知って、美味しいきのこ料理を楽しんでみませんか?
きのこの国内生産量
日々の食卓で親しまれているきのこの国内での生産状況を見てみましょう。
きのこの国内生産量の変化
昭和60年と令和2年のきのこの国内生産量を比較してみましょう。
栽培技術の進化や品種改良などにより、きのこ類の国内生産量は昭和60年と比較して増加傾向にあります。ただし、しいたけやひらたけなど、昔から食べられてきた一部のきのこに関しては生産量が減少しています。
グラフ:きのこの種類別国内生産量(昭和60年と令和2年の比較)
都道府県別きのこの生産量
令和2年のきのこの生産量上位2県を紹介します。
グラフ:令和2年 都道府県別きのこの生産量
図は「令和2年特用林産物生産統計調査結果」を加工して作成。
しいたけの菌種にこだわり、
山の恵みしいたけの魅力を発信!
原木栽培のしいたけにこだわり、その魅力を伝える「(株)椎茸祭」。代表取締役の竹村さんに、しいたけの魅力としいたけの菌種にこだわった商品づくりについて伺いました。
きのこ画像
(株)椎茸祭を立ち上げたきっかけの一つに、古くから料理に使われてきた和食の資産でもあるしいたけ出汁の魅力をもっと多くの方に知っていただきたいという想いがありました。
スープ画像
袋詰めしたしいたけ
現在、主力商品はしいたけ出汁と原木栽培の干ししいたけ。商品づくりで最もこだわっているのはしいたけの菌種です。実はしいたけは菌種ごとに味わいが大きく違うのですが、販売される時には大きさや重さなどで分類されて、菌種による分類が行われることはあまりないため、色々な菌種のしいたけが混ざっており何の菌種が含まれているかわからない状態で販売されています。これでは、味の均一性が保たれず、例えばたまたま個性的な味のしいたけを食べて苦手だと感じると、それぞれの菌種に個性や特徴があるにもかかわらず「しいたけ」そのものに苦手意識を持ってしまうこともあり得ます。それは非常にもったいないことだと思い、50軒以上の原木栽培農家を訪問して、菌種ごとの味の違いを研究し、「115」「240」「193」「324」という4種類の菌種のしいたけに絞って提供することにしました。
菌種「115」のしいたけは肉厚でステーキなどに最適なのに対して、「240」はやわらかくて甘い香り、「193」はニンニクのような香り、そして「324」はコーヒーのような香りで後味がスッキリ、とそれぞれに特徴があります。これがしいたけの魅力を最も感じていただける組み合わせだと思っています。
代表者のイメージ写真
原木栽培は木を切って菌を植え付けてから収穫までに2年半ほどかかります。更に私たちは、木を植えるところから始め、20年後、30年後にその木を使ってしいたけを栽培する体制を作っています。時間をかけて育てた原木しいたけは、「山の栄養を丸ごと食べられる」珍しい林産物だと考えています。
今回教えてくれたのは・・・
プロフィール写真
(株)椎茸祭 代表取締役
竹村賢人 さん
大学卒業後入社した会社を退職し、インドへ渡り現地の事業所でプログラマーなどを経験。帰国後にはデジタルアートの製作に関わるなどした後、2017年に(株)椎茸祭を立ち上げる。
きのこの魅力はまだまだあります。
下記ページでおいしいきのこのレシピが多数掲載されています!
【日本特用林産振興会】
https://t.cn/A6T4oOLL
【日本産・原木乾しいたけをすすめる会】
https://t.cn/A6T4oOL2
【林野庁情報誌「林野-RINYA-」令和2年11月号】
https://t.cn/A6T4oOLA kouhousitu/jouhoushi/0211.html
詳しく知って楽しく食べよう!
おいしいきのこ図鑑
私たちの身近な食材の1つであるきのこ。
食用きのこにはたくさんの種類があり、風味や食感はさまざまです。
それぞれのきのこの特徴を知って、美味しいきのこ料理を楽しんでみませんか?
きのこの国内生産量
日々の食卓で親しまれているきのこの国内での生産状況を見てみましょう。
きのこの国内生産量の変化
昭和60年と令和2年のきのこの国内生産量を比較してみましょう。
栽培技術の進化や品種改良などにより、きのこ類の国内生産量は昭和60年と比較して増加傾向にあります。ただし、しいたけやひらたけなど、昔から食べられてきた一部のきのこに関しては生産量が減少しています。
グラフ:きのこの種類別国内生産量(昭和60年と令和2年の比較)
都道府県別きのこの生産量
令和2年のきのこの生産量上位2県を紹介します。
グラフ:令和2年 都道府県別きのこの生産量
図は「令和2年特用林産物生産統計調査結果」を加工して作成。
しいたけの菌種にこだわり、
山の恵みしいたけの魅力を発信!
原木栽培のしいたけにこだわり、その魅力を伝える「(株)椎茸祭」。代表取締役の竹村さんに、しいたけの魅力としいたけの菌種にこだわった商品づくりについて伺いました。
きのこ画像
(株)椎茸祭を立ち上げたきっかけの一つに、古くから料理に使われてきた和食の資産でもあるしいたけ出汁の魅力をもっと多くの方に知っていただきたいという想いがありました。
スープ画像
袋詰めしたしいたけ
現在、主力商品はしいたけ出汁と原木栽培の干ししいたけ。商品づくりで最もこだわっているのはしいたけの菌種です。実はしいたけは菌種ごとに味わいが大きく違うのですが、販売される時には大きさや重さなどで分類されて、菌種による分類が行われることはあまりないため、色々な菌種のしいたけが混ざっており何の菌種が含まれているかわからない状態で販売されています。これでは、味の均一性が保たれず、例えばたまたま個性的な味のしいたけを食べて苦手だと感じると、それぞれの菌種に個性や特徴があるにもかかわらず「しいたけ」そのものに苦手意識を持ってしまうこともあり得ます。それは非常にもったいないことだと思い、50軒以上の原木栽培農家を訪問して、菌種ごとの味の違いを研究し、「115」「240」「193」「324」という4種類の菌種のしいたけに絞って提供することにしました。
菌種「115」のしいたけは肉厚でステーキなどに最適なのに対して、「240」はやわらかくて甘い香り、「193」はニンニクのような香り、そして「324」はコーヒーのような香りで後味がスッキリ、とそれぞれに特徴があります。これがしいたけの魅力を最も感じていただける組み合わせだと思っています。
代表者のイメージ写真
原木栽培は木を切って菌を植え付けてから収穫までに2年半ほどかかります。更に私たちは、木を植えるところから始め、20年後、30年後にその木を使ってしいたけを栽培する体制を作っています。時間をかけて育てた原木しいたけは、「山の栄養を丸ごと食べられる」珍しい林産物だと考えています。
今回教えてくれたのは・・・
プロフィール写真
(株)椎茸祭 代表取締役
竹村賢人 さん
大学卒業後入社した会社を退職し、インドへ渡り現地の事業所でプログラマーなどを経験。帰国後にはデジタルアートの製作に関わるなどした後、2017年に(株)椎茸祭を立ち上げる。
きのこの魅力はまだまだあります。
下記ページでおいしいきのこのレシピが多数掲載されています!
【日本特用林産振興会】
https://t.cn/A6T4oOLL
【日本産・原木乾しいたけをすすめる会】
https://t.cn/A6T4oOL2
【林野庁情報誌「林野-RINYA-」令和2年11月号】
https://t.cn/A6T4oOLA kouhousitu/jouhoushi/0211.html
#健康要有文化素養 & 健康要有哲學頭腦#
特集
減らそう「食品ロス」02
「もったいない」を
大変革!
様々な手法で食品ロス削減に尽力している企業や学校を紹介します。
私たちの生活でも実践できるヒントがあるかもしれません。
今週の見どころ
Case1 捨てられそうになった食品を再流通 年間約700トンの食品ロス削減
Case2 捨てられていた食材をアップサイクル 食べて食品ロスを減らす製品づくり
Case3 食品廃棄物を使った飼料や豚脂を使った石けんを開発
賞味期限は「おいしく食べられる」目安です
Case1
捨てられそうになった食品を再流通
年間約700トンの食品ロス削減
お話を聞いた人
合同会社ファンタイム 代表 松井順子さん
合同会社ファンタイム 代表 松井順子さん
食品ロス削減を目的としたスーパーマーケット「マルヤス」代表。2018年に創業し、2023年11月現在、東京都と埼玉県で7店舗を展開。
賞味期限切れの食品も食べられる
食品スーパーの「マルヤス」では、賞味期限切れや外装のダメージ商品など流通のチャンスを失ってしまった商品を扱っています。以前、アパレルのネットショップを運営していたとき、知り合いの食品業者からこうした商品が常に一定数廃棄されているという現状を聞き、「もったいないな」と思っていました。賞味期限が切れてある程度日数が経った食品でも食べられるものは数多くあります。そういった食品を工夫して販売すれば、食品ロスを削減できるのではと考え、開業を決めました。
東京都足立区の足立花畑店
東京都足立区の足立花畑店。看板には「食品ロス削減」を明記。
店内イメージ
店内には賞味期限切れなどの食品が手に取りやすい価格で山積みに。
商品POPや掲示を工夫して徐々に認知されるように
賞味期限切れの食品は、私たちスタッフが味や香りをチェックし、問題ない食品だと確認してから、店頭に並べています。
ただ、2018年のオープン当初は、食品ロスという言葉があまり一般に浸透しておらず、保健所に通報されたこともありました。それでも、まだ食べられるのに廃棄される食品を再流通させることは、社会的に必要なことだと強く思っていました。
そこで、「賞味期限切れ」などの表示をPOPに大きく記載したり、会社の取組や食品ロスについての説明を店内に掲示して、お客様にもっと取組の意義を理解してもらえるよう工夫を重ねました。また、いくつかのテレビ番組で店舗を紹介してもらったこともあり、徐々に「賞味期限切れでも食べられる」「食品ロス削減に貢献するための活動である」ことがお客様に伝わるようになってきました。
店の入り口
店の入り口に、食品ロス削減の意義を記載したポスターなどを掲示。
企業や自治体の災害備蓄品など
商品の仕入れ先は様々。企業や自治体の災害備蓄品なども売られている。
無料提供や寄付も実施
賞味期限切れ食品以外にも、外装のダメージ品やシーズンが過ぎたイベント用商品、余剰在庫品などを仕入れて、販売しています。また、仕入れ量が多い物はサービス品として無料提供したり、生活に困窮されている方々を支援する団体などへの寄付も積極的に行っています。
こうした取組で2022年度は全店舗で約700トンの食品ロス削減に貢献できました。2023年度は1,000トン削減を目標にしています。
商品イメージ
通販での購入者が受け取らず、宅配業者の保管期間が過ぎたもの。販売元では再販できないこうした商品も再流通。
商品イメージ
外装の状態が悪い商品は、ていねいに補修。衛生的に問題ないことを確認して販売している。
Case2
捨てられていた食材をアップサイクル
食べて食品ロスを減らす製品づくり
お話を聞いた人
オイシックス・ラ・大地(株) 経営企画本部 グリーン戦略室室長 Upcycle by Oisix 事業統括 東海林園子さん
国内約46万世帯に食品のサブスクリプションを提供しているOisix(オイシックス)では、サプライチェーン全体で食品ロス削減に取り組んでいます。2021年7月からは、畑や加工現場での廃棄品にも着目。活用されてこなかった食材をアップサイクルし、オリジナル商品として販売する新ブランド「Upcycle by Oisix」をスタートさせました。
アップサイクルとは、非可食部や未利用食材など、これまで捨てられていたものに付加価値をつけて商品にすることです。食べない部分には食べないなりの理由があり、どうすればおいしく、素材の味も大切にできるか考えて商品化しています。
ブロッコリーの茎チップス写真の
「ブロッコリーの
茎チップス」のほか、
全74種類が
商品化されている。
例えば、冷凍ブロッコリーを作る工程で廃棄されていたブロッコリーの茎は、素材の味が引き立つように、シンプルな味付けにして食べやすいチップスにしました。
お客様からは「家でもブロッコリーの茎を食べ切るようになった」というお声をいただくことも増えましたし、家庭でもできる食品ロス対策につながることは、とても意義があると思っています。
また、他社との共同開発も行っており、チョーヤ梅酒(株)と取り組んだ商品が好評です。
この商品は、梅酒に漬けた後の梅を活用しています。梅の食味は残りにくくなっていますが、逆転の考え方をして、漬けたからこそ出るしっとりした食感や旨みを生かし、乾燥もセミドライで加工しました。
これらのようなアップサイクルの取組により、2年間で90トン近くの食品ロス削減が達成できました。
ドライフルーツ
チョーヤ梅酒(株)と共同開発した「梅酒から生まれたしっとりドライフルーツ」。
ドライフルーツ
ドライフルーツの原料は梅酒づくりに使われた梅を種抜きしたもの。加工は梅農家が行うため、農家の収入アップや雇用の創出にもつながっている。
Case3
食品廃棄物を使った飼料や
豚脂を使った石けんを開発
お話を聞いた人
熊本県立熊本農業高等学校 畜産科・3年生 「養豚プロジェクト」メンバー 岩村みのりさん(左) 髙口真子さん(右)
熊本県立熊本農業高等学校 畜産科・3年生 「養豚プロジェクト」メンバー 岩村みのりさん(左) 髙口真子さん(右)
洗濯石けん「シンデレラネオの輝き」
洗濯石けん「シンデレラネオの輝き」。豚のキャラクターのデザインは、髙口さんが担当。
畜産科の有志で活動している「養豚プロジェクト」は、廃棄物ゼロで持続可能な畜産業を目指しています。2017年には食品廃棄物を活用した飼料(エコフィード)を開発し、畜産業の課題である飼料費を大幅に削減。さらに2018年には、地元企業に余った納豆やパンの耳、菓子くずなどを安価で提供していただき、栄養価と肉質にもこだわった食品廃棄物100パーセントの飼料を開発しました。この飼料で育てたブランド豚「シンデレラネオポーク」は、市販の飼料で育てた子豚に比べて、肉の旨み成分である脂肪酸が2倍から3.5倍、ビタミンEが1.5倍から3倍アップし、好評をいただいています。(岩村さん)
豚の加工の際に発生している豚脂を大量に破棄していたため、「持続可能な畜産業になっていないのではないか」という問題点も浮上していました。そこで私たちの先輩たちは「命を無駄にしたくない。何かに利用できないか」との思いから、地元企業の助言を得て、豚脂の洗浄力を生かした洗濯用石けんづくりをスタートさせたのです。(髙口さん)
シンデレラポーク
畜産科の生徒たちが育てている「シンデレラポーク」。
洗浄力が高く、肌にやさしい石けんを作るにはどの成分をどう配合したらいいのか。何度も計算をして実験するのは大変でしたが、その分達成感も大きかったです。約3年かけて完成させた「シンデレラネオの輝き」は洗浄力が高く、使用後の排水が微生物により分解される速度も速いことが分かりました。現在は学校や町のイベントで限定販売されていますが、今後はネット販売を考えており、より多くの方に知ってもらえることで、全体の意識も変わっていくんじゃないかなと思います。(髙口さん)
2022年には、私たちの活動を知ったJICA(国際協力機構)とルワンダの食品会社・ルワミッツ社の提案で、石けんづくりのオンライン指導を実施。経済発展と環境保全を両立した取組が評価され、国連大学から表彰を受けました(2023年2月、サステイナビリティ高等研究所長賞)。石けんを製造・販売することで彼らの収益にもつながると考えています。これからも学びを深め、海外に目を向けた活動を増やしていきたいと思っています。(岩村さん)
養豚業のゼロエミッション
廃棄物を出さないゼロエミッション
石けんを作る際に出る「豚脂粕」は、採卵鶏の代替飼料として活用。廃棄物を出さないゼロエミッションに取り組んでいる。
Column
賞味期限は
「おいしく食べられる」目安です
食べものに、もったいないを、もういちど。
賞味期限
定められた方法により保存した場合に、期待される全ての品質の保持が十分に可能であると認められる期限。ただし、当該期限を超えた場合でも、これらの品質が保持されていることがあります。
消費期限
定められた方法により保存した場合、腐敗、変敗その他の品質(状態)の劣化に伴い、安全性を欠くこととなるおそれがないと認められる期限です。
特集
減らそう「食品ロス」02
「もったいない」を
大変革!
様々な手法で食品ロス削減に尽力している企業や学校を紹介します。
私たちの生活でも実践できるヒントがあるかもしれません。
今週の見どころ
Case1 捨てられそうになった食品を再流通 年間約700トンの食品ロス削減
Case2 捨てられていた食材をアップサイクル 食べて食品ロスを減らす製品づくり
Case3 食品廃棄物を使った飼料や豚脂を使った石けんを開発
賞味期限は「おいしく食べられる」目安です
Case1
捨てられそうになった食品を再流通
年間約700トンの食品ロス削減
お話を聞いた人
合同会社ファンタイム 代表 松井順子さん
合同会社ファンタイム 代表 松井順子さん
食品ロス削減を目的としたスーパーマーケット「マルヤス」代表。2018年に創業し、2023年11月現在、東京都と埼玉県で7店舗を展開。
賞味期限切れの食品も食べられる
食品スーパーの「マルヤス」では、賞味期限切れや外装のダメージ商品など流通のチャンスを失ってしまった商品を扱っています。以前、アパレルのネットショップを運営していたとき、知り合いの食品業者からこうした商品が常に一定数廃棄されているという現状を聞き、「もったいないな」と思っていました。賞味期限が切れてある程度日数が経った食品でも食べられるものは数多くあります。そういった食品を工夫して販売すれば、食品ロスを削減できるのではと考え、開業を決めました。
東京都足立区の足立花畑店
東京都足立区の足立花畑店。看板には「食品ロス削減」を明記。
店内イメージ
店内には賞味期限切れなどの食品が手に取りやすい価格で山積みに。
商品POPや掲示を工夫して徐々に認知されるように
賞味期限切れの食品は、私たちスタッフが味や香りをチェックし、問題ない食品だと確認してから、店頭に並べています。
ただ、2018年のオープン当初は、食品ロスという言葉があまり一般に浸透しておらず、保健所に通報されたこともありました。それでも、まだ食べられるのに廃棄される食品を再流通させることは、社会的に必要なことだと強く思っていました。
そこで、「賞味期限切れ」などの表示をPOPに大きく記載したり、会社の取組や食品ロスについての説明を店内に掲示して、お客様にもっと取組の意義を理解してもらえるよう工夫を重ねました。また、いくつかのテレビ番組で店舗を紹介してもらったこともあり、徐々に「賞味期限切れでも食べられる」「食品ロス削減に貢献するための活動である」ことがお客様に伝わるようになってきました。
店の入り口
店の入り口に、食品ロス削減の意義を記載したポスターなどを掲示。
企業や自治体の災害備蓄品など
商品の仕入れ先は様々。企業や自治体の災害備蓄品なども売られている。
無料提供や寄付も実施
賞味期限切れ食品以外にも、外装のダメージ品やシーズンが過ぎたイベント用商品、余剰在庫品などを仕入れて、販売しています。また、仕入れ量が多い物はサービス品として無料提供したり、生活に困窮されている方々を支援する団体などへの寄付も積極的に行っています。
こうした取組で2022年度は全店舗で約700トンの食品ロス削減に貢献できました。2023年度は1,000トン削減を目標にしています。
商品イメージ
通販での購入者が受け取らず、宅配業者の保管期間が過ぎたもの。販売元では再販できないこうした商品も再流通。
商品イメージ
外装の状態が悪い商品は、ていねいに補修。衛生的に問題ないことを確認して販売している。
Case2
捨てられていた食材をアップサイクル
食べて食品ロスを減らす製品づくり
お話を聞いた人
オイシックス・ラ・大地(株) 経営企画本部 グリーン戦略室室長 Upcycle by Oisix 事業統括 東海林園子さん
国内約46万世帯に食品のサブスクリプションを提供しているOisix(オイシックス)では、サプライチェーン全体で食品ロス削減に取り組んでいます。2021年7月からは、畑や加工現場での廃棄品にも着目。活用されてこなかった食材をアップサイクルし、オリジナル商品として販売する新ブランド「Upcycle by Oisix」をスタートさせました。
アップサイクルとは、非可食部や未利用食材など、これまで捨てられていたものに付加価値をつけて商品にすることです。食べない部分には食べないなりの理由があり、どうすればおいしく、素材の味も大切にできるか考えて商品化しています。
ブロッコリーの茎チップス写真の
「ブロッコリーの
茎チップス」のほか、
全74種類が
商品化されている。
例えば、冷凍ブロッコリーを作る工程で廃棄されていたブロッコリーの茎は、素材の味が引き立つように、シンプルな味付けにして食べやすいチップスにしました。
お客様からは「家でもブロッコリーの茎を食べ切るようになった」というお声をいただくことも増えましたし、家庭でもできる食品ロス対策につながることは、とても意義があると思っています。
また、他社との共同開発も行っており、チョーヤ梅酒(株)と取り組んだ商品が好評です。
この商品は、梅酒に漬けた後の梅を活用しています。梅の食味は残りにくくなっていますが、逆転の考え方をして、漬けたからこそ出るしっとりした食感や旨みを生かし、乾燥もセミドライで加工しました。
これらのようなアップサイクルの取組により、2年間で90トン近くの食品ロス削減が達成できました。
ドライフルーツ
チョーヤ梅酒(株)と共同開発した「梅酒から生まれたしっとりドライフルーツ」。
ドライフルーツ
ドライフルーツの原料は梅酒づくりに使われた梅を種抜きしたもの。加工は梅農家が行うため、農家の収入アップや雇用の創出にもつながっている。
Case3
食品廃棄物を使った飼料や
豚脂を使った石けんを開発
お話を聞いた人
熊本県立熊本農業高等学校 畜産科・3年生 「養豚プロジェクト」メンバー 岩村みのりさん(左) 髙口真子さん(右)
熊本県立熊本農業高等学校 畜産科・3年生 「養豚プロジェクト」メンバー 岩村みのりさん(左) 髙口真子さん(右)
洗濯石けん「シンデレラネオの輝き」
洗濯石けん「シンデレラネオの輝き」。豚のキャラクターのデザインは、髙口さんが担当。
畜産科の有志で活動している「養豚プロジェクト」は、廃棄物ゼロで持続可能な畜産業を目指しています。2017年には食品廃棄物を活用した飼料(エコフィード)を開発し、畜産業の課題である飼料費を大幅に削減。さらに2018年には、地元企業に余った納豆やパンの耳、菓子くずなどを安価で提供していただき、栄養価と肉質にもこだわった食品廃棄物100パーセントの飼料を開発しました。この飼料で育てたブランド豚「シンデレラネオポーク」は、市販の飼料で育てた子豚に比べて、肉の旨み成分である脂肪酸が2倍から3.5倍、ビタミンEが1.5倍から3倍アップし、好評をいただいています。(岩村さん)
豚の加工の際に発生している豚脂を大量に破棄していたため、「持続可能な畜産業になっていないのではないか」という問題点も浮上していました。そこで私たちの先輩たちは「命を無駄にしたくない。何かに利用できないか」との思いから、地元企業の助言を得て、豚脂の洗浄力を生かした洗濯用石けんづくりをスタートさせたのです。(髙口さん)
シンデレラポーク
畜産科の生徒たちが育てている「シンデレラポーク」。
洗浄力が高く、肌にやさしい石けんを作るにはどの成分をどう配合したらいいのか。何度も計算をして実験するのは大変でしたが、その分達成感も大きかったです。約3年かけて完成させた「シンデレラネオの輝き」は洗浄力が高く、使用後の排水が微生物により分解される速度も速いことが分かりました。現在は学校や町のイベントで限定販売されていますが、今後はネット販売を考えており、より多くの方に知ってもらえることで、全体の意識も変わっていくんじゃないかなと思います。(髙口さん)
2022年には、私たちの活動を知ったJICA(国際協力機構)とルワンダの食品会社・ルワミッツ社の提案で、石けんづくりのオンライン指導を実施。経済発展と環境保全を両立した取組が評価され、国連大学から表彰を受けました(2023年2月、サステイナビリティ高等研究所長賞)。石けんを製造・販売することで彼らの収益にもつながると考えています。これからも学びを深め、海外に目を向けた活動を増やしていきたいと思っています。(岩村さん)
養豚業のゼロエミッション
廃棄物を出さないゼロエミッション
石けんを作る際に出る「豚脂粕」は、採卵鶏の代替飼料として活用。廃棄物を出さないゼロエミッションに取り組んでいる。
Column
賞味期限は
「おいしく食べられる」目安です
食べものに、もったいないを、もういちど。
賞味期限
定められた方法により保存した場合に、期待される全ての品質の保持が十分に可能であると認められる期限。ただし、当該期限を超えた場合でも、これらの品質が保持されていることがあります。
消費期限
定められた方法により保存した場合、腐敗、変敗その他の品質(状態)の劣化に伴い、安全性を欠くこととなるおそれがないと認められる期限です。
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