#映画エゴイスト #宫泽冰鱼##铃木亮平##利己主义# 你们不要给我剧透!!赶紧给我上流媒体!!!
【ここから先の投稿はネタバレになりますので、作品鑑賞後にお読みください】
場面写真解説
浩輔(#鈴木亮平)が
龍太(#宮沢氷魚)に車をプレゼントするシーン
このシーンにおける #松永大司 監督の
演出意図をにて説明‼️
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場面写真解説
浩輔(#鈴木亮平)が
龍太(#宮沢氷魚)に車をプレゼントするシーン
このシーンにおける #松永大司 監督の
演出意図をにて説明‼️
#健康身体 健康地球 健康生活#
〔高齢者の低栄養の要因と手だて〕
第2回 新しい危険因子のインパクト
公開日:2018年12月14日 13時24分
更新日:2019年6月11日 09時41分
柴田 博(しばた ひろし)
人間総合科学大学保健医療学部学部長
かつて、わが国は栄養の不足やバランスの悪さにより心身の健康が損なわれることを「栄養失調」や「栄養不良」と呼んでいた。その後、それをアカデミックに「低栄養」と呼ぶことが一般的となり、定着していった。しかし、まだ一般の辞典には低栄養という言葉をあまり見ない。
低栄養とは、英語の「Malnutrition」に由来するのだが、栄養失調という言葉の持つ「特定の栄養素の過剰」のニュアンスを持たない。なぜなら、別に過栄養という言葉があるからだ。そういった意味で、低栄養はより厳密な用語であるのだが、筆者のような古い日本人にはやや味気ない気もする。
低栄養には、開発途上国型と先進国型の2つのタイプがある。開発途上国型とは、タンパク質(Protein)と総熱量(Energy)の不足(Malnutrition)のタイプで、頭文字をつないでPEMと呼ばれている。先進国型は、精製された食品に偏ることに起因するマグネシウム、葉酸、食物繊維の不足などを来すタイプである。
興味深いことに、高齢者にみられる低栄養は先進国においても開発途上国型のものもある。しかも低栄養の高齢者の数は、栄養過剰といわれているアメリカのほうが日本より多いなど、その原因が単純でないことを示唆している。
高齢者の低栄養は余命を短くするが、それは肺炎やがんなどを介するためであるとかつて考えられていた。しかし、1990年代に入ると、低アルブミン血症が高齢者の冠動脈疾患(心筋梗塞など)の危険因子として有意であることを示す報告がいくつも発表されるようになった。栄養過剰に起因すると考えられていた冠動脈疾患が高齢者においては、低アルブミン血症という低栄養によって引き起こされるという。これは何とも皮肉な話である。
低栄養のスクリーニング方式や評価方法は、筆者も親しいフランスのトゥールーズ大学のVellas教授らが開発したMini Nutritional Assessment (MNA)がヨーロッパを中心に用いられている。これは、国際比較のために点数化するなど厳密ではあるが、やや使いづらい。筆者は、このMNAの基となったアメリカのセントルイス大学メディカルセンターのMorley教授の評価票が包括的でもあり、簡便でもあると考えている。それを筆者が日本人向きに修正したのが表のものである。体重はポンドで示してあったものをグラムの近似値に修正した。
表:低栄養の原因と兆候
うつ状態がある。
体重が1か月に1kgまたは6か月で2.5kgくらい減る。
血中総コレステロール160mg/dl未満。
血中アルブミン(タンパク質)4g/dl未満。
身体的あるいは認知的な障害による摂食障害。
経済的理由、買い物不自由(徒歩圏内にスーパーマーケットがなく、車の運転もできないなど)。
注:Morley JE:J Am Geriatr Soc. 39(11), 1139, 1991. 引用改変
出典:柴田 博:肉を食べる人は長生きする.PHP研究所.2013.
表中の項目の選択と基準値は誠に正鵠(せいこく)を射ているというのが、長年高齢者の栄養と健康の問題に取り組んできた筆者の実感である。まず、うつ病であるが最近の研究では、うつ病の原因として肥満や糖尿病のほか、脂肪組織から分泌されるアディポカイン(脂肪細胞から分泌される生理活性タンパク質の総称)なども注目されている。成因が何であれ、うつ病にかかったら食欲不振に陥ることは疑いない。疾患として完成したうつ病でなくとも、高齢者に多い抑うつ気分でも意欲が低下してしまう。
次に体重の減少は、もっとも測定誤差が少なく普遍性のある低栄養の兆候である。人間の筋量や骨密度は20歳代前半にピークを迎え、その後は加齢とともに低下する。一方、脂肪組織は大きくなり、加齢に伴い体重は増加する。しかし、真の老化が始まるとダイエットをしなくとも体重が減少する。このライフステージでは一般的に皮下脂肪、血中アルブミン、コレステロールなども低下する。したがって、体重低下は本人が自覚できる確実な低栄養化のシンボルといえる。
また、血中総コレステロール160mg/dl未満も低栄養の明らかな兆候である。コレステロールが基準値を下回ると死亡率が高くなり、寝たきりや認知症になる人も多くなるなど、健康寿命を低下させる原因ともなる。
30年ほど前までは、「血中コレステロールは低いほどよい」とする欧米の一部の考え方が世界を席巻していた。もちろんこれは冠動脈疾患との関係性を敷衍(ふえん)した考えである。死亡率全体でみると中年期でも中程度の高さがよい。高齢者にとっては、血中コレステロールが高いほうが余命にも生活機能にも有利である。コレステロールは、タンパク質やリン脂質とともに細胞膜の三大精成要素であり、加えて高齢者の生活機能に関連するビタミンD、性ホルモン、副腎皮質ホルモンの材料なのである。
血中アルブミンの重要性は、拙書『肉を食べる人は長生きする』(PHP研究所)でも詳しく述べたので繰り返しは避けたい。ともあれ、現在日本の特定高齢者のスクリーニング値3.8g/dlは低過ぎる。筆者たちの研究も低栄養の予防的な意味では4.0g/dlを意識する必要があることを示している。
表中の6つの項目は、わが国が抱える高齢者の低栄養問題を考える上で、極めて重要であることを指摘しておきたい。先に述べたように、高齢者の低栄養は日本よりアメリカに多かった。その原因の1つは、アメリカの所得格差が日本より大きかったことである。加えて、アメリカは車社会であるため、生活機能の低下により車の運転ができなくなるとマーケットにアクセスできなくなるのである。
一方、日本はこれまで多くの地域で徒歩圏にマーケットがあるか、宅配サービスが普及していた。しかし、最近過疎地域では徒歩圏にマーケットがないばかりか、採算に合わないため宅配サービスや出張販売もなくなるといった"食の砂漠化"が広がっている。これは新型の低栄養化とでもいえようか。
さらに、都市部でもシャッター通り商店街の拡大により"食の砂漠化"が進んでいる。この問題については、岩間信之茨城キリスト教大学准教授がもっとも先進的に取り組んでいるため、今後の提言に期待したい。
筆者たちは地域高齢者を対象に毎日摂食する食品の種類の多さ(多様性)と生活機能の関連について調査研究を行った。その際、食品摂取の多様性を計るための尺度をつくった(図)。10種類の主要な食品をほぼ毎日食べると10点となる尺度である。
図:地域高齢者を対象とした毎日摂食する食品の多様性と生活機能の関連における調査研究を行う際の食品摂取の多様性を計る尺度を表す図。肉類、魚介類、卵類、牛乳、大豆・大豆製品、緑黄色野菜、海藻類、イモ類、果物、油脂類の10種類の主要な食品をほぼ毎日食べると10点となる。
図:食品摂取の多様性得点の算出方法
出典:熊谷修・柴田博ほか:日本公衛誌.50(11),1171,2003.
分析の結果、食品摂取の多様性が高いほど長生きをし、健康寿命も長いことが明らかになった。筆者たちが長い間調査をさせていただいたある地域の高齢者平均値は6点台で、東京都のある区の高齢者平均値は5点台であった。しかし、"食の砂漠化"となった地域では3点台である。
(2013年7月発行エイジングアンドヘルスNo.66より転載)
筆者_柴田博氏
柴田 博(しばた ひろし)
人間総合科学大学保健医療学部学部長
1937年生まれ。北海道大学医学部を卒業した後、東京大学医学部第四内科医員、東京都老人研究所副所長(現在名誉所長)、桜美林大学大学院老年研究科教授(現在名誉教授)を歴任。2011年より人間総合科学大学保健医療学部学部長、大学院教授。高齢者の寿命と高い生活水準・社会貢献を促すために、東京都、文部科学省、厚生労働省などの研究プロジェクトのリーダーを務めてきた。※プロフィールは誌面掲載当時のものです
著書
『肉を食べる人は長生きする』(PHP研究所)、『中高年健康常識を疑う』(講談社)など多数
〔高齢者の低栄養の要因と手だて〕
第2回 新しい危険因子のインパクト
公開日:2018年12月14日 13時24分
更新日:2019年6月11日 09時41分
柴田 博(しばた ひろし)
人間総合科学大学保健医療学部学部長
かつて、わが国は栄養の不足やバランスの悪さにより心身の健康が損なわれることを「栄養失調」や「栄養不良」と呼んでいた。その後、それをアカデミックに「低栄養」と呼ぶことが一般的となり、定着していった。しかし、まだ一般の辞典には低栄養という言葉をあまり見ない。
低栄養とは、英語の「Malnutrition」に由来するのだが、栄養失調という言葉の持つ「特定の栄養素の過剰」のニュアンスを持たない。なぜなら、別に過栄養という言葉があるからだ。そういった意味で、低栄養はより厳密な用語であるのだが、筆者のような古い日本人にはやや味気ない気もする。
低栄養には、開発途上国型と先進国型の2つのタイプがある。開発途上国型とは、タンパク質(Protein)と総熱量(Energy)の不足(Malnutrition)のタイプで、頭文字をつないでPEMと呼ばれている。先進国型は、精製された食品に偏ることに起因するマグネシウム、葉酸、食物繊維の不足などを来すタイプである。
興味深いことに、高齢者にみられる低栄養は先進国においても開発途上国型のものもある。しかも低栄養の高齢者の数は、栄養過剰といわれているアメリカのほうが日本より多いなど、その原因が単純でないことを示唆している。
高齢者の低栄養は余命を短くするが、それは肺炎やがんなどを介するためであるとかつて考えられていた。しかし、1990年代に入ると、低アルブミン血症が高齢者の冠動脈疾患(心筋梗塞など)の危険因子として有意であることを示す報告がいくつも発表されるようになった。栄養過剰に起因すると考えられていた冠動脈疾患が高齢者においては、低アルブミン血症という低栄養によって引き起こされるという。これは何とも皮肉な話である。
低栄養のスクリーニング方式や評価方法は、筆者も親しいフランスのトゥールーズ大学のVellas教授らが開発したMini Nutritional Assessment (MNA)がヨーロッパを中心に用いられている。これは、国際比較のために点数化するなど厳密ではあるが、やや使いづらい。筆者は、このMNAの基となったアメリカのセントルイス大学メディカルセンターのMorley教授の評価票が包括的でもあり、簡便でもあると考えている。それを筆者が日本人向きに修正したのが表のものである。体重はポンドで示してあったものをグラムの近似値に修正した。
表:低栄養の原因と兆候
うつ状態がある。
体重が1か月に1kgまたは6か月で2.5kgくらい減る。
血中総コレステロール160mg/dl未満。
血中アルブミン(タンパク質)4g/dl未満。
身体的あるいは認知的な障害による摂食障害。
経済的理由、買い物不自由(徒歩圏内にスーパーマーケットがなく、車の運転もできないなど)。
注:Morley JE:J Am Geriatr Soc. 39(11), 1139, 1991. 引用改変
出典:柴田 博:肉を食べる人は長生きする.PHP研究所.2013.
表中の項目の選択と基準値は誠に正鵠(せいこく)を射ているというのが、長年高齢者の栄養と健康の問題に取り組んできた筆者の実感である。まず、うつ病であるが最近の研究では、うつ病の原因として肥満や糖尿病のほか、脂肪組織から分泌されるアディポカイン(脂肪細胞から分泌される生理活性タンパク質の総称)なども注目されている。成因が何であれ、うつ病にかかったら食欲不振に陥ることは疑いない。疾患として完成したうつ病でなくとも、高齢者に多い抑うつ気分でも意欲が低下してしまう。
次に体重の減少は、もっとも測定誤差が少なく普遍性のある低栄養の兆候である。人間の筋量や骨密度は20歳代前半にピークを迎え、その後は加齢とともに低下する。一方、脂肪組織は大きくなり、加齢に伴い体重は増加する。しかし、真の老化が始まるとダイエットをしなくとも体重が減少する。このライフステージでは一般的に皮下脂肪、血中アルブミン、コレステロールなども低下する。したがって、体重低下は本人が自覚できる確実な低栄養化のシンボルといえる。
また、血中総コレステロール160mg/dl未満も低栄養の明らかな兆候である。コレステロールが基準値を下回ると死亡率が高くなり、寝たきりや認知症になる人も多くなるなど、健康寿命を低下させる原因ともなる。
30年ほど前までは、「血中コレステロールは低いほどよい」とする欧米の一部の考え方が世界を席巻していた。もちろんこれは冠動脈疾患との関係性を敷衍(ふえん)した考えである。死亡率全体でみると中年期でも中程度の高さがよい。高齢者にとっては、血中コレステロールが高いほうが余命にも生活機能にも有利である。コレステロールは、タンパク質やリン脂質とともに細胞膜の三大精成要素であり、加えて高齢者の生活機能に関連するビタミンD、性ホルモン、副腎皮質ホルモンの材料なのである。
血中アルブミンの重要性は、拙書『肉を食べる人は長生きする』(PHP研究所)でも詳しく述べたので繰り返しは避けたい。ともあれ、現在日本の特定高齢者のスクリーニング値3.8g/dlは低過ぎる。筆者たちの研究も低栄養の予防的な意味では4.0g/dlを意識する必要があることを示している。
表中の6つの項目は、わが国が抱える高齢者の低栄養問題を考える上で、極めて重要であることを指摘しておきたい。先に述べたように、高齢者の低栄養は日本よりアメリカに多かった。その原因の1つは、アメリカの所得格差が日本より大きかったことである。加えて、アメリカは車社会であるため、生活機能の低下により車の運転ができなくなるとマーケットにアクセスできなくなるのである。
一方、日本はこれまで多くの地域で徒歩圏にマーケットがあるか、宅配サービスが普及していた。しかし、最近過疎地域では徒歩圏にマーケットがないばかりか、採算に合わないため宅配サービスや出張販売もなくなるといった"食の砂漠化"が広がっている。これは新型の低栄養化とでもいえようか。
さらに、都市部でもシャッター通り商店街の拡大により"食の砂漠化"が進んでいる。この問題については、岩間信之茨城キリスト教大学准教授がもっとも先進的に取り組んでいるため、今後の提言に期待したい。
筆者たちは地域高齢者を対象に毎日摂食する食品の種類の多さ(多様性)と生活機能の関連について調査研究を行った。その際、食品摂取の多様性を計るための尺度をつくった(図)。10種類の主要な食品をほぼ毎日食べると10点となる尺度である。
図:地域高齢者を対象とした毎日摂食する食品の多様性と生活機能の関連における調査研究を行う際の食品摂取の多様性を計る尺度を表す図。肉類、魚介類、卵類、牛乳、大豆・大豆製品、緑黄色野菜、海藻類、イモ類、果物、油脂類の10種類の主要な食品をほぼ毎日食べると10点となる。
図:食品摂取の多様性得点の算出方法
出典:熊谷修・柴田博ほか:日本公衛誌.50(11),1171,2003.
分析の結果、食品摂取の多様性が高いほど長生きをし、健康寿命も長いことが明らかになった。筆者たちが長い間調査をさせていただいたある地域の高齢者平均値は6点台で、東京都のある区の高齢者平均値は5点台であった。しかし、"食の砂漠化"となった地域では3点台である。
(2013年7月発行エイジングアンドヘルスNo.66より転載)
筆者_柴田博氏
柴田 博(しばた ひろし)
人間総合科学大学保健医療学部学部長
1937年生まれ。北海道大学医学部を卒業した後、東京大学医学部第四内科医員、東京都老人研究所副所長(現在名誉所長)、桜美林大学大学院老年研究科教授(現在名誉教授)を歴任。2011年より人間総合科学大学保健医療学部学部長、大学院教授。高齢者の寿命と高い生活水準・社会貢献を促すために、東京都、文部科学省、厚生労働省などの研究プロジェクトのリーダーを務めてきた。※プロフィールは誌面掲載当時のものです
著書
『肉を食べる人は長生きする』(PHP研究所)、『中高年健康常識を疑う』(講談社)など多数
俳優・高良健吾さん、日常を離れ、アナログな「時」を楽しむ旅 【前編】
これまでやりたくても「時間」がなくてできなかったことに挑戦する「時間」をセイコー プレザージュが提供するこの企画。
昨年の「瀬戸内しまなみ海道」での自転車旅に続いて、俳優の高良健吾さんが再び旅立った。2日間、自然の中へ——。旅の目的は、「やりたかったことをすべて叶(かな)える」こと。とかく情報過多になりがちな日常を抜け出して、アナログな時間の流れに身を置いた高良さんは、何を感じ、どんな思いを抱いたのか。今回お届けする前編では、都会の喧噪(けんそう)から離れ、兵庫県北部の山間(やまあい)で自然をゆるりと楽しむ様子を追った。
腕時計と地図。アナログなツールでドライブへ
とある初夏の一日、高良さんが訪れたのは山間に佇(たたず)む古民家宿。やりたかったことをすべて叶える、今回の旅の拠点だ。大きな窓のあるメインルームでソファに座り、高良さんは持参した文庫本をしばし読みふける。
「本は好きです。こんな何百円で、人の考えに触れられるなんてすごいですよね。手に取らないと出会えないような言葉だったり、生き方だったり、そういうものを知ることができる。ある意味、ちょっとした旅だと思います」
そしてふと顔を上げ、明るい光が入り込む大きな窓から、山々を見つめる高良さん。そろそろ出発の時間だ。日常から離れるために、スマートフォンは置いていく。ルートは地図で、時間は腕時計で確認するアナログな旅の始まりだ。
「自分は基本アナログ。家にパソコンはないし、映画館に行くときはスマホを家に置いていくこともよくあります。スマホを気にしない分、別のものが見えてくる。こういう自然の中なら周囲をよく見るようになるし、いつもと違うアンテナも張れます」。地図を眺め、腕時計に目を向けてから、高良さんは車へ乗り込んだ。
小一時間、車を走らせて訪れたのは、歴史ある寺院。しっかりとした足取りで、初めて訪れる寺の山門をくぐる。
寺院では本堂に上がり、庭に向かってあぐらをかく。瞑想(めいそう)、これもまた高良さんがこの日、やりたかったことのひとつだ。背筋をぴしりと伸ばし、目をつぶって微動だにしない。葉ずれの音、鳥やカエルの鳴き声が止(や)んだ瞬間は、まるで時が止まっているかのようだ。
高良さんにとって瞑想は、ルーティンのようなものだという。
「だいたい寝る前にやるんです。撮影している期間は日中集中しているので、寝付きが悪かったり、途中で目が覚めたりすることもあるので、眠る前にちょっと心を落ち着かせるという感じ。今日のように自然の音に囲まれた場所だと、家の中で瞑想するよりも入りやすいですね。何も考えない、無理をしない時間が過ごせました」
自然の揺れを感じに。日常にない、贅沢時間
瞑想を終え、「ゴチャゴチャしていたものが整理された」と言う高良さんの次の目的地は、山中の釣り場。川に沿って続く遊歩道を、土の感触を確かめるように泰然と歩いていく高良さん。途中、足を止めて伸びをしたり、思いのままに満喫しているようだ。
こうして自然に囲まれながら思うのは、「自分が落ち着く場所、癒やされる場所は、自然なんだ」ということ。
「原風景が祖父母の田舎なんですよね。阿蘇と北九州の田川。きっと、そういう田舎で遊んでいた、楽しかった記憶があるんだろうと思います。自然の揺れって、見ているだけで落ち着くので、そこを求めに行っている。東京にいると、そういう揺れは風とか、上を見ないと感じられないので」
やがてたどり着いたのが、半径15mほどの滝壺(つぼ)。主にニジマスが釣れるという。海でのルアーフィッシング経験はある高良さんだが、川釣りは初挑戦。竹竿(ざお)にウキという組み合わせも、やはり初めて使う道具だそうだ。照れくさそうに「海ではルアーをなくしてばかりいたし、今回のやりたいことの中では一番自信がない」と言うものの、慣れた手つきで竿を操っている。
糸を垂らし、狙うポイントを変えながら数十分。前日の雨で濁った水面がゆらめく様子を、ただ見つめながら過ごす贅沢(ぜいたく)な時間だ。
「釣れなくても、3時間くらいは平気で過ごせますね。どれだけ時間が経ったかを確認することはあっても、苦ではないです。こうやって自然の中で過ごしている時は、時間の確認は腕時計がいいですね。それもデジタルの数字じゃなくて、針で見るっていうのがいい」
そんな話をするうちに、不意にウキが動き出した。「食いついた!」。そう思った瞬間、必死に暴れる魚の姿が。木漏れ日に輝く銀色の体はかなり大きく、高良さんもしばらく格闘したものの、魚はハリから外れて滝壺の底へと消えていった。その後すぐに再び別の獲物を捕らえるが、今度は糸が切れてしまう事態に。この装備では、少し心許(こころもと)ないようだ。
そろそろ宿に戻ろうか……と諦めかけたところで、またもウキが躍り出す。三度目の正直とばかりに、見事釣り上げた高良さん。「今日に限らず、以前から目の前で逃がしてばかりだったけど、ようやく釣れた!」と、喜びであふれんばかりの笑顔を向けた。
手を掛けるだけ愛着が増す。フォーマルな印象のモデル
「1時間で3匹なら入れ食い状態」と笑みを浮かべながら、宿へと戻ってきた。本日、予定していた夕食は屋外でのバーベキューだった。しかし、天気は下り坂。焚(た)き火台に火を入れ、炎が上がり始めるころには雨も降り出してきたため、部屋の中の囲炉裏に場所を移しての食事となった。
周囲には街灯や民家がなく、夜の帳(とばり)が下りれば辺りは真っ暗に。肉に魚、野菜も焼いて、時折、焚き火を眺めるひととき。
「焚き火って、本当に自然の揺らぎですよね。人間が作り出せない揺れというか。それこそ波だってそうだし、空だって雲の流れだったり、風の流れだったり、それって人間が絶対作り出せない。そういう場所に身を置くことが、自分にとっての癒やしですかね」。そう語る彼を包み込むように、時間はゆったりと過ぎていく。
この日、高良さんの腕で時を刻んだのは、「セイコー プレザージュ Sharp Edged Series SARX097」。アナログな旅によく似合う、機械式時計だ。
「機械式時計の良さは、自分がちゃんとその時計を扱っていないといけないこと。毎日見て、定期的にちゃんとメンテナンスしてあげることでより愛着が湧きますよね。耳を近付けて音を聞きながらりゅうずを巻くのも、好きな行為ですね」
「この『セイコー プレザージュ Sharp Edged Series SARX097』は、どちらかというとフォーマルな印象でした。白文字盤は持っていなかったんですが、いいですね。スーツのようなキレイめにも合うし、幅広いシーンで使えると思いました。(白文字盤は)似合う年齢が少し上という勝手なイメージがあったんですけど、 身につけてみると、“いや、そんなことないな”って気がしました」
そう言って、「セイコー プレザージュ Sharp Edged Series SARX097」に視線を落とす高良さん。「静の旅」となった1日が、そろそろ終わろうとしている。明日は一転、「動の旅」と言えるほど、バラエティーに富んだアクティブな旅となる。そちらは後編として次回、改めてご紹介しよう。
(文・石川由紀子 写真・高橋雄大 取材協力・円覚山宗鏡寺、glaminka KAMIKAWA、日高神鍋観光協会、清滝地区コミュニティセンターの皆様)
これまでやりたくても「時間」がなくてできなかったことに挑戦する「時間」をセイコー プレザージュが提供するこの企画。
昨年の「瀬戸内しまなみ海道」での自転車旅に続いて、俳優の高良健吾さんが再び旅立った。2日間、自然の中へ——。旅の目的は、「やりたかったことをすべて叶(かな)える」こと。とかく情報過多になりがちな日常を抜け出して、アナログな時間の流れに身を置いた高良さんは、何を感じ、どんな思いを抱いたのか。今回お届けする前編では、都会の喧噪(けんそう)から離れ、兵庫県北部の山間(やまあい)で自然をゆるりと楽しむ様子を追った。
腕時計と地図。アナログなツールでドライブへ
とある初夏の一日、高良さんが訪れたのは山間に佇(たたず)む古民家宿。やりたかったことをすべて叶える、今回の旅の拠点だ。大きな窓のあるメインルームでソファに座り、高良さんは持参した文庫本をしばし読みふける。
「本は好きです。こんな何百円で、人の考えに触れられるなんてすごいですよね。手に取らないと出会えないような言葉だったり、生き方だったり、そういうものを知ることができる。ある意味、ちょっとした旅だと思います」
そしてふと顔を上げ、明るい光が入り込む大きな窓から、山々を見つめる高良さん。そろそろ出発の時間だ。日常から離れるために、スマートフォンは置いていく。ルートは地図で、時間は腕時計で確認するアナログな旅の始まりだ。
「自分は基本アナログ。家にパソコンはないし、映画館に行くときはスマホを家に置いていくこともよくあります。スマホを気にしない分、別のものが見えてくる。こういう自然の中なら周囲をよく見るようになるし、いつもと違うアンテナも張れます」。地図を眺め、腕時計に目を向けてから、高良さんは車へ乗り込んだ。
小一時間、車を走らせて訪れたのは、歴史ある寺院。しっかりとした足取りで、初めて訪れる寺の山門をくぐる。
寺院では本堂に上がり、庭に向かってあぐらをかく。瞑想(めいそう)、これもまた高良さんがこの日、やりたかったことのひとつだ。背筋をぴしりと伸ばし、目をつぶって微動だにしない。葉ずれの音、鳥やカエルの鳴き声が止(や)んだ瞬間は、まるで時が止まっているかのようだ。
高良さんにとって瞑想は、ルーティンのようなものだという。
「だいたい寝る前にやるんです。撮影している期間は日中集中しているので、寝付きが悪かったり、途中で目が覚めたりすることもあるので、眠る前にちょっと心を落ち着かせるという感じ。今日のように自然の音に囲まれた場所だと、家の中で瞑想するよりも入りやすいですね。何も考えない、無理をしない時間が過ごせました」
自然の揺れを感じに。日常にない、贅沢時間
瞑想を終え、「ゴチャゴチャしていたものが整理された」と言う高良さんの次の目的地は、山中の釣り場。川に沿って続く遊歩道を、土の感触を確かめるように泰然と歩いていく高良さん。途中、足を止めて伸びをしたり、思いのままに満喫しているようだ。
こうして自然に囲まれながら思うのは、「自分が落ち着く場所、癒やされる場所は、自然なんだ」ということ。
「原風景が祖父母の田舎なんですよね。阿蘇と北九州の田川。きっと、そういう田舎で遊んでいた、楽しかった記憶があるんだろうと思います。自然の揺れって、見ているだけで落ち着くので、そこを求めに行っている。東京にいると、そういう揺れは風とか、上を見ないと感じられないので」
やがてたどり着いたのが、半径15mほどの滝壺(つぼ)。主にニジマスが釣れるという。海でのルアーフィッシング経験はある高良さんだが、川釣りは初挑戦。竹竿(ざお)にウキという組み合わせも、やはり初めて使う道具だそうだ。照れくさそうに「海ではルアーをなくしてばかりいたし、今回のやりたいことの中では一番自信がない」と言うものの、慣れた手つきで竿を操っている。
糸を垂らし、狙うポイントを変えながら数十分。前日の雨で濁った水面がゆらめく様子を、ただ見つめながら過ごす贅沢(ぜいたく)な時間だ。
「釣れなくても、3時間くらいは平気で過ごせますね。どれだけ時間が経ったかを確認することはあっても、苦ではないです。こうやって自然の中で過ごしている時は、時間の確認は腕時計がいいですね。それもデジタルの数字じゃなくて、針で見るっていうのがいい」
そんな話をするうちに、不意にウキが動き出した。「食いついた!」。そう思った瞬間、必死に暴れる魚の姿が。木漏れ日に輝く銀色の体はかなり大きく、高良さんもしばらく格闘したものの、魚はハリから外れて滝壺の底へと消えていった。その後すぐに再び別の獲物を捕らえるが、今度は糸が切れてしまう事態に。この装備では、少し心許(こころもと)ないようだ。
そろそろ宿に戻ろうか……と諦めかけたところで、またもウキが躍り出す。三度目の正直とばかりに、見事釣り上げた高良さん。「今日に限らず、以前から目の前で逃がしてばかりだったけど、ようやく釣れた!」と、喜びであふれんばかりの笑顔を向けた。
手を掛けるだけ愛着が増す。フォーマルな印象のモデル
「1時間で3匹なら入れ食い状態」と笑みを浮かべながら、宿へと戻ってきた。本日、予定していた夕食は屋外でのバーベキューだった。しかし、天気は下り坂。焚(た)き火台に火を入れ、炎が上がり始めるころには雨も降り出してきたため、部屋の中の囲炉裏に場所を移しての食事となった。
周囲には街灯や民家がなく、夜の帳(とばり)が下りれば辺りは真っ暗に。肉に魚、野菜も焼いて、時折、焚き火を眺めるひととき。
「焚き火って、本当に自然の揺らぎですよね。人間が作り出せない揺れというか。それこそ波だってそうだし、空だって雲の流れだったり、風の流れだったり、それって人間が絶対作り出せない。そういう場所に身を置くことが、自分にとっての癒やしですかね」。そう語る彼を包み込むように、時間はゆったりと過ぎていく。
この日、高良さんの腕で時を刻んだのは、「セイコー プレザージュ Sharp Edged Series SARX097」。アナログな旅によく似合う、機械式時計だ。
「機械式時計の良さは、自分がちゃんとその時計を扱っていないといけないこと。毎日見て、定期的にちゃんとメンテナンスしてあげることでより愛着が湧きますよね。耳を近付けて音を聞きながらりゅうずを巻くのも、好きな行為ですね」
「この『セイコー プレザージュ Sharp Edged Series SARX097』は、どちらかというとフォーマルな印象でした。白文字盤は持っていなかったんですが、いいですね。スーツのようなキレイめにも合うし、幅広いシーンで使えると思いました。(白文字盤は)似合う年齢が少し上という勝手なイメージがあったんですけど、 身につけてみると、“いや、そんなことないな”って気がしました」
そう言って、「セイコー プレザージュ Sharp Edged Series SARX097」に視線を落とす高良さん。「静の旅」となった1日が、そろそろ終わろうとしている。明日は一転、「動の旅」と言えるほど、バラエティーに富んだアクティブな旅となる。そちらは後編として次回、改めてご紹介しよう。
(文・石川由紀子 写真・高橋雄大 取材協力・円覚山宗鏡寺、glaminka KAMIKAWA、日高神鍋観光協会、清滝地区コミュニティセンターの皆様)
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