【blog】2022.09.18
ドードーの落下日誌(後編)
稽古17日目
テツさんを見ていて役の深度が深まってきてると感じる。そこにいるだけで世界が拡大する。とても参考になるけどなかなか真似できない。加藤さんの演出の一つ一つを確実にクリアしつつ、演技で提示していくことも恐れないのは大切かもしれない。提示していくことで加藤さんのアイデアが膨らんだりするから。でもまず演出の一つ一つをクリアすること、そして台詞や台詞に込められたニュアンスを間違えずに発していくことがめっちゃ難しい。脳みそをめっちゃ使う。
今日も20時まで稽古したが、みんなの集中力が散漫になっていくのを感じる。その中であえてラストシーンまで粘って稽古を続ける。そこに発見があった気がする。体力的にもある程度追い込まれた状態でないと見えないことがある。明日は再び通し稽古。前回の反省を生かして、力まずに、発見していこう。会話の中で自然に生まれていく感情を。関係性を。カレー食べる。美味しい。
稽古18日目
通し稽古。前よりは上手くいく。
結末の着地をどうしようか、と加藤さんが言う。結末の着地をどうするか話し合う、その余白がある作品を素敵だなと感じる。肝の部分が見えてきた通し稽古だった。
帰り道、山脇と話す。とりあえずドードーが終わったらボクシングで殴り合おうと話す。怖すぎ。
今日の通し稽古の夏目さんの表情を忘れられない。
稽古19日目
怒涛の返し稽古。感情が身体に連動し、台詞にニュアンスが出てくるまで何度も稽古をする。一人で演じるのではなく、他者との共有や疑問、焦り、関係性の変化を言葉の一語一語に見つけ出して、ニュアンスを生んでいく。そうすることで感情が一つではなく、いくつも重なって生まれていく。
待合室のソファーが他公演の事情により撤去され、寂しくなる。俺たちの余白が。でもこれにもまたすぐ慣れていくんだろうなあ。
肉じゃが食べる。美味しい。
稽古20日目
行き詰まる。前の通し稽古と芝居が変わらない。そのせいで集中力が切れる。
帰り道、今井隆文さんと二人で電車で帰る。演じる上でヒントをもらう。今井さんは客観的に物語を見ていて、どんなことが信也の心に蓄積していくのか、二人で話し合って確認していく。想像が膨らんでいく。明後日の通し稽古では何かが変わりそうな気がする。こうするって決めるんじゃなく、一つ一つのシーンが蓄積して結果その場所に運ばれていく。今井さんの感想でナルホドと思う感想があったが、それはこれから観る人のためにここには書かない。
スーパーでシチューの具材買う。会計が1円だけ足りなくて慌ててたら隣のお兄さんがくれる。ありがとうございました。シチューたべる。
21日目。書き忘れる。試行錯誤。
夢を見る。
22日目。書き忘れる。試行錯誤。
23日目。かきわすれる。
稽古24日目。
明日から劇場に入る。本番は9月21日。
誰とも喋れないくらい、疲れました。
でも稽古を乗り切った。
自分を、褒めてあげたい。
暗い穴蔵で自分を磨くような稽古期間、派手ではないし、わかりやすく認められたり褒められたりもしない。これでいいのかこれでいいのか、いや違うの繰り返し。それでも目の前の物語に打ち込むしかなかった。この先の楽しみも過去のちょっとした栄光も捨てて、ただ、目の前の過ぎてゆく時間に全集中。幕が上がれば前も後ろもない。過ぎてゆく今、今、今。
明日から劇場だ。静かな達成感。何も考えず、身体の力を抜いて向かっていきたい。忘れられない瞬間へ向かっていきたい。唯一自分を肯定できる場所へ向かっていきたい。あの場所で息がしたい。
あの頃、僕らはいつも価値のない時間に向かっていった。それが今じゃ、忙しい、いま人といる、やることがある、次の日が辛い、などと時間に価値をつけ時間を大切にし始める。あの頃、君が辛ければ僕はすぐ飛んでいった。そしてただただ対話をした。夜が明けるまで話し続けた。その対話も今じゃ減っていった。手を伸ばすこと。相手に。興味を示すこと。対話すること。劇団た組でずっとやってきたこと。あの場所へ帰る。劇場で。
稽古25日目
劇場稽古初日。クタクタ。
稽古26日目
劇場稽古二日目。かなり悩んでいる。眠りたいのに眠れない。もう日誌を書けなくなっている。物語を体感しつつある。それと客観的意見との戦いなのかな。
稽古27日目。
朝。寝ても覚めてもドードーが落下する。
今日は加藤さんだけを信じよう。
変わらないことも、変わっていくことも、静かに受け入れて見つめてみよう。
その日の夜。
光が少し見える。つかめそう。言葉にしたら消えかかってしまいそうな。集中しすぎて、芝居のことはもう何も書けない。全てが芝居につながってしまう。
席が続々と完売している。札幌公演も完売。
23歳の時、劇団た組に初めて出演した時、必死にチケットを売った。友人もみんな呼んだ。その時も横浜だった。赤レンガ倉庫、初めての大きい舞台での主演だった。必死に売って1200枚くらい。自分の誇りになった。座組のみんなで力を合わせていっぱい誘った。今はもうその枚数を軽く超えている。嬉しいまじで。
稽古28日目。
今日でこの日誌を終えます。
もう書けることがなくなってしまった。
今日のゲネプロで何かを掴んだ。でもこの掴んだ何かは、気を抜くとすぐに手のひらをすり抜ける。言葉にすると逃げてしまう。
書けなくなることもある、というのは初めての体験だ。でもだから演劇やってるのかもな。
天気が心配だけど皆さん大丈夫でしょうか。
お会いできるのを楽しみにしています。
同じ空間で同じ空気を吸って、一回限りの「ドードーが落下する」を体感してもらえたらと思います。
明後日、9月21日開幕です。
余談ですが、同時に俳優10年目です。頑張ります。
最後まで駆け抜けます。
劇場で待ってます。
では。
https://t.cn/A6SA0w14
藤原季節と、かとうたくやと、中山求一郎
https://t.cn/A6SB5KgN
ドードーの落下日誌(後編)
稽古17日目
テツさんを見ていて役の深度が深まってきてると感じる。そこにいるだけで世界が拡大する。とても参考になるけどなかなか真似できない。加藤さんの演出の一つ一つを確実にクリアしつつ、演技で提示していくことも恐れないのは大切かもしれない。提示していくことで加藤さんのアイデアが膨らんだりするから。でもまず演出の一つ一つをクリアすること、そして台詞や台詞に込められたニュアンスを間違えずに発していくことがめっちゃ難しい。脳みそをめっちゃ使う。
今日も20時まで稽古したが、みんなの集中力が散漫になっていくのを感じる。その中であえてラストシーンまで粘って稽古を続ける。そこに発見があった気がする。体力的にもある程度追い込まれた状態でないと見えないことがある。明日は再び通し稽古。前回の反省を生かして、力まずに、発見していこう。会話の中で自然に生まれていく感情を。関係性を。カレー食べる。美味しい。
稽古18日目
通し稽古。前よりは上手くいく。
結末の着地をどうしようか、と加藤さんが言う。結末の着地をどうするか話し合う、その余白がある作品を素敵だなと感じる。肝の部分が見えてきた通し稽古だった。
帰り道、山脇と話す。とりあえずドードーが終わったらボクシングで殴り合おうと話す。怖すぎ。
今日の通し稽古の夏目さんの表情を忘れられない。
稽古19日目
怒涛の返し稽古。感情が身体に連動し、台詞にニュアンスが出てくるまで何度も稽古をする。一人で演じるのではなく、他者との共有や疑問、焦り、関係性の変化を言葉の一語一語に見つけ出して、ニュアンスを生んでいく。そうすることで感情が一つではなく、いくつも重なって生まれていく。
待合室のソファーが他公演の事情により撤去され、寂しくなる。俺たちの余白が。でもこれにもまたすぐ慣れていくんだろうなあ。
肉じゃが食べる。美味しい。
稽古20日目
行き詰まる。前の通し稽古と芝居が変わらない。そのせいで集中力が切れる。
帰り道、今井隆文さんと二人で電車で帰る。演じる上でヒントをもらう。今井さんは客観的に物語を見ていて、どんなことが信也の心に蓄積していくのか、二人で話し合って確認していく。想像が膨らんでいく。明後日の通し稽古では何かが変わりそうな気がする。こうするって決めるんじゃなく、一つ一つのシーンが蓄積して結果その場所に運ばれていく。今井さんの感想でナルホドと思う感想があったが、それはこれから観る人のためにここには書かない。
スーパーでシチューの具材買う。会計が1円だけ足りなくて慌ててたら隣のお兄さんがくれる。ありがとうございました。シチューたべる。
21日目。書き忘れる。試行錯誤。
夢を見る。
22日目。書き忘れる。試行錯誤。
23日目。かきわすれる。
稽古24日目。
明日から劇場に入る。本番は9月21日。
誰とも喋れないくらい、疲れました。
でも稽古を乗り切った。
自分を、褒めてあげたい。
暗い穴蔵で自分を磨くような稽古期間、派手ではないし、わかりやすく認められたり褒められたりもしない。これでいいのかこれでいいのか、いや違うの繰り返し。それでも目の前の物語に打ち込むしかなかった。この先の楽しみも過去のちょっとした栄光も捨てて、ただ、目の前の過ぎてゆく時間に全集中。幕が上がれば前も後ろもない。過ぎてゆく今、今、今。
明日から劇場だ。静かな達成感。何も考えず、身体の力を抜いて向かっていきたい。忘れられない瞬間へ向かっていきたい。唯一自分を肯定できる場所へ向かっていきたい。あの場所で息がしたい。
あの頃、僕らはいつも価値のない時間に向かっていった。それが今じゃ、忙しい、いま人といる、やることがある、次の日が辛い、などと時間に価値をつけ時間を大切にし始める。あの頃、君が辛ければ僕はすぐ飛んでいった。そしてただただ対話をした。夜が明けるまで話し続けた。その対話も今じゃ減っていった。手を伸ばすこと。相手に。興味を示すこと。対話すること。劇団た組でずっとやってきたこと。あの場所へ帰る。劇場で。
稽古25日目
劇場稽古初日。クタクタ。
稽古26日目
劇場稽古二日目。かなり悩んでいる。眠りたいのに眠れない。もう日誌を書けなくなっている。物語を体感しつつある。それと客観的意見との戦いなのかな。
稽古27日目。
朝。寝ても覚めてもドードーが落下する。
今日は加藤さんだけを信じよう。
変わらないことも、変わっていくことも、静かに受け入れて見つめてみよう。
その日の夜。
光が少し見える。つかめそう。言葉にしたら消えかかってしまいそうな。集中しすぎて、芝居のことはもう何も書けない。全てが芝居につながってしまう。
席が続々と完売している。札幌公演も完売。
23歳の時、劇団た組に初めて出演した時、必死にチケットを売った。友人もみんな呼んだ。その時も横浜だった。赤レンガ倉庫、初めての大きい舞台での主演だった。必死に売って1200枚くらい。自分の誇りになった。座組のみんなで力を合わせていっぱい誘った。今はもうその枚数を軽く超えている。嬉しいまじで。
稽古28日目。
今日でこの日誌を終えます。
もう書けることがなくなってしまった。
今日のゲネプロで何かを掴んだ。でもこの掴んだ何かは、気を抜くとすぐに手のひらをすり抜ける。言葉にすると逃げてしまう。
書けなくなることもある、というのは初めての体験だ。でもだから演劇やってるのかもな。
天気が心配だけど皆さん大丈夫でしょうか。
お会いできるのを楽しみにしています。
同じ空間で同じ空気を吸って、一回限りの「ドードーが落下する」を体感してもらえたらと思います。
明後日、9月21日開幕です。
余談ですが、同時に俳優10年目です。頑張ります。
最後まで駆け抜けます。
劇場で待ってます。
では。
https://t.cn/A6SA0w14
藤原季節と、かとうたくやと、中山求一郎
https://t.cn/A6SB5KgN
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悲しみの海に沈んだ私,
目を開けるのも億劫,
このままどこまでも堕ちて行き,
誰にも見つけられないのかな,
どこへ向かい、何をすれば?
ふと差し込む一筋の光,
手を伸ばせば届きそうだけど,
波に拐(さら)われて見失った,
あれは一体なんだったのかな,
あたたかくて眩しかったの,
無意識のカウンターイルミネーション,
嘘つきは誰?
深海少女 まだまだ沈む,
暗闇の彼方へ閉じこもる,
深海少女 だけど知りたい,
心惹かれるあの人を見つけたから,
昼も夜も無かったこの場所,
なのに眠れない夜は続く,
自由の羽を大きく広げて,
泳ぐあなたは奇麗でした,
そしてまた光は降りそそぐ,
見とれていたら目が合った,
気付いてこっちを振り返るあなたに,
嘘つきな私…,
深海少女 わざわざ沈む,
暗闇のさなかに赤い頬,
深海少女 ハダカの心を見せる勇気,
黒い海がまだ許さない,
こんなに服は汚れてしまった,
笑颜も醜くゆがんでいった,
谁にも合わせる顔なんて無いの,
もう放っておいてよ!
声にならない気持ちが溢れてとけた,
次の瞬間、君が突然姿を消した,
心配性の 彼女は焦る,
闇が彼を隠しひとりきり,
限界少女 その手を伸ばす,
「ほらね、君も素敵な色を隠してた」,
深海少女 腕を引かれる,
歌う祝福のマリンスノー,
深海少女 もっと知りたい,
心惹かれるあの人を見つけたから,
この海を出て 今飛び立つの。
悲しみの海に沈んだ私,
目を開けるのも億劫,
このままどこまでも堕ちて行き,
誰にも見つけられないのかな,
どこへ向かい、何をすれば?
ふと差し込む一筋の光,
手を伸ばせば届きそうだけど,
波に拐(さら)われて見失った,
あれは一体なんだったのかな,
あたたかくて眩しかったの,
無意識のカウンターイルミネーション,
嘘つきは誰?
深海少女 まだまだ沈む,
暗闇の彼方へ閉じこもる,
深海少女 だけど知りたい,
心惹かれるあの人を見つけたから,
昼も夜も無かったこの場所,
なのに眠れない夜は続く,
自由の羽を大きく広げて,
泳ぐあなたは奇麗でした,
そしてまた光は降りそそぐ,
見とれていたら目が合った,
気付いてこっちを振り返るあなたに,
嘘つきな私…,
深海少女 わざわざ沈む,
暗闇のさなかに赤い頬,
深海少女 ハダカの心を見せる勇気,
黒い海がまだ許さない,
こんなに服は汚れてしまった,
笑颜も醜くゆがんでいった,
谁にも合わせる顔なんて無いの,
もう放っておいてよ!
声にならない気持ちが溢れてとけた,
次の瞬間、君が突然姿を消した,
心配性の 彼女は焦る,
闇が彼を隠しひとりきり,
限界少女 その手を伸ばす,
「ほらね、君も素敵な色を隠してた」,
深海少女 腕を引かれる,
歌う祝福のマリンスノー,
深海少女 もっと知りたい,
心惹かれるあの人を見つけたから,
この海を出て 今飛び立つの。
「君たちは誰なの?」
「私たちは薔薇よ。」
「そんな!」
王子さまはとても悲しい気持ちになった。
王子さまの花は、自分は宇宙で たった一つだけの存在と語っていた。
それなのに、この庭園だけで同じ花が五千本もあるなんて。
「あの花がこれを見たら、酷く傷つくだろうな。笑いものにならないように激しく咳をして、死んだふりをするかも。
そして僕は花を介抱するふりをしなきゃいけなくなるんだ。そうしないと、僕に恥じ入らせようとして、本当に死んでしまう。」
「私たちは薔薇よ。」
「そんな!」
王子さまはとても悲しい気持ちになった。
王子さまの花は、自分は宇宙で たった一つだけの存在と語っていた。
それなのに、この庭園だけで同じ花が五千本もあるなんて。
「あの花がこれを見たら、酷く傷つくだろうな。笑いものにならないように激しく咳をして、死んだふりをするかも。
そして僕は花を介抱するふりをしなきゃいけなくなるんだ。そうしないと、僕に恥じ入らせようとして、本当に死んでしまう。」
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