#魔道祖師##魔道祖师#
忘羨
R18
「あっ、藍湛まっ……! それ俺のっ……天子笑……」
あーあ、と俺は思わず溜息を溢す。藍湛に酒を飲ませてはいけない。なのに藍湛は俺の天子笑に誤って口をつけた。
「ら、藍湛……さん?」
途端に藍湛の目が据わる。他人ならぱっと見ではわかりづらいかもしれないが、俺は最近ようやく藍湛の表情を読み取れるようになってきた。今晩は荒れそうだな、と俺はそっと腹をさすった。
藍湛の抱き方は乱暴だ。
吸って、噛んで、縛って、叩く。
涼しそうな無表情を崩さないまま、粗い呼吸の合間に俺の名前を何度も呼ぶ。額から頬を伝った汗が背中にぽつぽつと落ちてくる。
「あっ、らん、ざ……んぅ、んっ!」
後ろから抱きすくめられて、片方のその大きな手だけで頭上に腕を繋ぎ止められ、逃れることができない。
頸に朱い痕を残したかと思えば、肩に噛みつかれる。繋がった箇所からは濡らした油と体から溢れた粘液の音が、そして、肌と肌のぶつかる音も静室に響く。
俺の粗い呼吸も、声も、寝台が軋む音も、しんとした室内に漏れた。
「らんっざ、も、早い……っ、ゆっく、りってぇ……っ」
これで何度目だろうか、吐精した回数はもう覚えていない。段々、溢す量が減っていって、もう出ないと俺は首を振ったけど、藍湛が俺を繋ぎ止める力を緩める気はないようだった。
「……ゆっくり?」
そう、確かめるように藍湛に尋ねられる。けれど藍湛には加減する気はないのだから、なんの問いかけでもない。
何度も出さずに達して、いつもそこからが始まりだと言ってもいい。
「らん、らんざ……んうっ、あっ、あっ、も、ゆるし……も、出ないからあっ!」
吐精せずに達した後、俺は布団に頽れた。藍湛が俺の様子を見るように少し止まってくれたから、俺は短く粗い呼吸を繰り返した。
「はっ……っ、は、はっ……っ」
立てていた膝はがくがくと震えているし、肌がぶつかっていた尻たぶはじん、っと熱をもっている。喉はからからだし、意識はぼんやりとしていた。
けれど、これだけ俺が翻弄されているのに、藍湛はまだ一度も達していない。俺の胎内で存在を主張するように、硬く大きなままだ。
少し呼吸が整うと、また藍湛が腰を進める。ごりごりと傘の部分で何度もしこりを押されて、潰されて、急に奥まで差し込まれると、結腸を抉られる。その快感に顔をそらせると、口角から唾液がこぼれ落ちた。
「あ゛っ、あ……っ! そこ、そこだめぇっ」
吐精した白濁だったものと解すのに使った油がじゅくじゅくと音を立てる。ぎりぎりまで引き抜かれたかと思えば大きく穿たれる。
「魏嬰……、魏嬰…………っ」
藍湛の腰の動きが早くなって、肌同士がぶつかる音も大きくなった。
耳元で切ないように囁かれる自分の名に、まるで電気が背筋を這い上がっていく感じがした。
「あっ、は……っ、んぐ……っ、んぅ……っ」
全身に多幸感が広がって、胸がきゅうと引き絞られる。
藍湛が愛おしい、かわいい、かっこいい、抱きしめたい。
「藍湛……っ、なあ、……なあってっ!」
「魏嬰?」
俺が手首を解くようにと腕を動かすと、藍湛がようやく繋ぎ止めていた大きな手を離してくれた。
俺の手首には藍湛の指の形までしっかりと残っている。
「らんざん……俺、前からが、いい……っ、藍湛のこと抱きしめて、した、っんむ、っ」
最後まで言わせてもらえなかった。
藍湛は一度雄を引き抜き、その怪力で俺の体を軽々とひっくり返すと、唇を奪った。噛み付くみたいに、貪るって言った方が正しい。
唾液が頬へと溢れるまま、舌が俺の口内を蹂躙する。歯列をなぞられ、上顎を舐められる。舌同士が絡まって、唾液を飲み込む事ができずにいると、藍湛はそれすら自分のものだと言わんばかりにそれを吸い、飲み下した。
「ん、ぢゅ……っ、ん、く……んぅ」
そのまま、また、藍湛が挿ってきた。剛直なそれは壁を押し広げ、後ろから交わっていた時とは違う場所を押し広げながら中へ中へと進んでいく。
俺は思わず藍湛の背にしがみついた。
ぎゅうと抱きつくと、唇を合わせたまま胎内を圧迫感する感覚に、小さく声が詰まった。
「ん、っ、っぐ、っ……ぅ」
痛くはないけれど、藍湛の雄は大きいから内臓がぐっと押される。最奥まで収まると、薄い腹の上からどこまで挿っているのかがわかるくらいだ。
向き合って雄を埋め込んでくる藍湛の顔を見ると相変わらず表情はそんなに変わらないのに、頬が蒸気して、眦まで朱い。汗が顎から滴って俺の頬へと落ちる。
「っ、……魏嬰っ」
限界が近いのか、はっと大きく息を吐いた藍湛が腰を振る。ぐっぐっとまるで押しつけられるように奥を穿つ。
俺はした事はないから春画の受け売りだけど、もし俺が女の子だったら最奥っていうのは胎内で。そこに穿たれて、白濁を吐き出されるっていうのは子供ができるってことだ。頭のどこかで俺には無理だけど、と聞こえた気もしたけれど、そんな事を考えているうちに内臓が迫り上がる。
「藍湛っ、まっ、て……あっ、あ゛っ、くる、っいつもの、くるから……止まっ、止まって……っ、」
唇を重ねて、耳元で吐息を感じて、藍湛の黒くて長くて艶やかな髪が頬を撫でるたびに、肌がぞわぞわと泡立つ。気持ちが良すぎて、藍湛が体を起こした頃には俺は半開きにした唇からただただ甘い声を漏らしていた。
いつもの、内側からじわっと溢れるような達し方。その前兆がある。藍湛の背中に爪を立てて堪えようとしたけれど、そんなのは無意味だった。
何度も前で達するよりも深くて長い快感を思い出すだけで、後孔がぎゅうと藍湛を締め付けた。
「まっ、まって……あ゛、っだめ、だめ、っ……くる、く、ぐ……っ……ぁ、あ゛ぁぁあ、っ」
藍湛が俺の太腿に噛み付いた事でその蓋が外れたように体の中心から蜜にも似た快感が体中に広がる。目の前がちかちかと明滅して、涙が溢れ、体が震える。つま先は突っ張って、背中が反った。胎内の藍湛の剛直の形がわかるくらいに締め付けているのがわかる。
「っ、ぅう、っ! あ、ぁ……っ」
「っ、魏嬰……っ」
藍湛の腹と俺の尻たぶが一際大きな音を立てると、藍湛の剛直も震えた。胎内でどくどくと鼓動のように跳ね、熱い白濁が中を濡らす。粘度のあるそれを擦り付けるように何度か腰をぐっと押しつけた藍湛は、大きく呼吸を繰り返してからゆっくりと体を屈めて、俺と唇を合わせる。
「魏嬰」
唇が触れる前のほんの一瞬、名を呼ばれた。ただでさえ達した余韻ではくはくと呼吸をしていたのに、また体が熱くなる。もう限界だと思っていても、彼に愛されるのが好きだ。
それから今晩もまた、疼く体で藍湛を抱きしめるのだ。
毎日のように体を合わせているけど、嫌だと思ったことなんて一度もない。ちょっと体が重いかな、とか、気怠い気がしたりはあるけれど、体には藍湛が付けてくれた跡がたくさんあって、それが愛されてる証拠だと思うと自然と顔が緩む。
俺は藍湛が大好きだ。
「けどな」
「……魏嬰」
俺は酔った藍湛とするのは好きじゃない。いや嫌いじゃない。藍湛とするのはいつだって気持ちがいい。
でも。
「どうせ覚えてないんだろう?」
「……うん」
「……はあ。いや、今後は藍湛の目の前に酒を置かないように気をつける。藍湛も飲まないように気をつけろよ?」
「うん」
藍湛の酒癖の悪さが嫌いだ。
面白いけどな。
覚えてないのはつまらん。
忘羨
R18
「あっ、藍湛まっ……! それ俺のっ……天子笑……」
あーあ、と俺は思わず溜息を溢す。藍湛に酒を飲ませてはいけない。なのに藍湛は俺の天子笑に誤って口をつけた。
「ら、藍湛……さん?」
途端に藍湛の目が据わる。他人ならぱっと見ではわかりづらいかもしれないが、俺は最近ようやく藍湛の表情を読み取れるようになってきた。今晩は荒れそうだな、と俺はそっと腹をさすった。
藍湛の抱き方は乱暴だ。
吸って、噛んで、縛って、叩く。
涼しそうな無表情を崩さないまま、粗い呼吸の合間に俺の名前を何度も呼ぶ。額から頬を伝った汗が背中にぽつぽつと落ちてくる。
「あっ、らん、ざ……んぅ、んっ!」
後ろから抱きすくめられて、片方のその大きな手だけで頭上に腕を繋ぎ止められ、逃れることができない。
頸に朱い痕を残したかと思えば、肩に噛みつかれる。繋がった箇所からは濡らした油と体から溢れた粘液の音が、そして、肌と肌のぶつかる音も静室に響く。
俺の粗い呼吸も、声も、寝台が軋む音も、しんとした室内に漏れた。
「らんっざ、も、早い……っ、ゆっく、りってぇ……っ」
これで何度目だろうか、吐精した回数はもう覚えていない。段々、溢す量が減っていって、もう出ないと俺は首を振ったけど、藍湛が俺を繋ぎ止める力を緩める気はないようだった。
「……ゆっくり?」
そう、確かめるように藍湛に尋ねられる。けれど藍湛には加減する気はないのだから、なんの問いかけでもない。
何度も出さずに達して、いつもそこからが始まりだと言ってもいい。
「らん、らんざ……んうっ、あっ、あっ、も、ゆるし……も、出ないからあっ!」
吐精せずに達した後、俺は布団に頽れた。藍湛が俺の様子を見るように少し止まってくれたから、俺は短く粗い呼吸を繰り返した。
「はっ……っ、は、はっ……っ」
立てていた膝はがくがくと震えているし、肌がぶつかっていた尻たぶはじん、っと熱をもっている。喉はからからだし、意識はぼんやりとしていた。
けれど、これだけ俺が翻弄されているのに、藍湛はまだ一度も達していない。俺の胎内で存在を主張するように、硬く大きなままだ。
少し呼吸が整うと、また藍湛が腰を進める。ごりごりと傘の部分で何度もしこりを押されて、潰されて、急に奥まで差し込まれると、結腸を抉られる。その快感に顔をそらせると、口角から唾液がこぼれ落ちた。
「あ゛っ、あ……っ! そこ、そこだめぇっ」
吐精した白濁だったものと解すのに使った油がじゅくじゅくと音を立てる。ぎりぎりまで引き抜かれたかと思えば大きく穿たれる。
「魏嬰……、魏嬰…………っ」
藍湛の腰の動きが早くなって、肌同士がぶつかる音も大きくなった。
耳元で切ないように囁かれる自分の名に、まるで電気が背筋を這い上がっていく感じがした。
「あっ、は……っ、んぐ……っ、んぅ……っ」
全身に多幸感が広がって、胸がきゅうと引き絞られる。
藍湛が愛おしい、かわいい、かっこいい、抱きしめたい。
「藍湛……っ、なあ、……なあってっ!」
「魏嬰?」
俺が手首を解くようにと腕を動かすと、藍湛がようやく繋ぎ止めていた大きな手を離してくれた。
俺の手首には藍湛の指の形までしっかりと残っている。
「らんざん……俺、前からが、いい……っ、藍湛のこと抱きしめて、した、っんむ、っ」
最後まで言わせてもらえなかった。
藍湛は一度雄を引き抜き、その怪力で俺の体を軽々とひっくり返すと、唇を奪った。噛み付くみたいに、貪るって言った方が正しい。
唾液が頬へと溢れるまま、舌が俺の口内を蹂躙する。歯列をなぞられ、上顎を舐められる。舌同士が絡まって、唾液を飲み込む事ができずにいると、藍湛はそれすら自分のものだと言わんばかりにそれを吸い、飲み下した。
「ん、ぢゅ……っ、ん、く……んぅ」
そのまま、また、藍湛が挿ってきた。剛直なそれは壁を押し広げ、後ろから交わっていた時とは違う場所を押し広げながら中へ中へと進んでいく。
俺は思わず藍湛の背にしがみついた。
ぎゅうと抱きつくと、唇を合わせたまま胎内を圧迫感する感覚に、小さく声が詰まった。
「ん、っ、っぐ、っ……ぅ」
痛くはないけれど、藍湛の雄は大きいから内臓がぐっと押される。最奥まで収まると、薄い腹の上からどこまで挿っているのかがわかるくらいだ。
向き合って雄を埋め込んでくる藍湛の顔を見ると相変わらず表情はそんなに変わらないのに、頬が蒸気して、眦まで朱い。汗が顎から滴って俺の頬へと落ちる。
「っ、……魏嬰っ」
限界が近いのか、はっと大きく息を吐いた藍湛が腰を振る。ぐっぐっとまるで押しつけられるように奥を穿つ。
俺はした事はないから春画の受け売りだけど、もし俺が女の子だったら最奥っていうのは胎内で。そこに穿たれて、白濁を吐き出されるっていうのは子供ができるってことだ。頭のどこかで俺には無理だけど、と聞こえた気もしたけれど、そんな事を考えているうちに内臓が迫り上がる。
「藍湛っ、まっ、て……あっ、あ゛っ、くる、っいつもの、くるから……止まっ、止まって……っ、」
唇を重ねて、耳元で吐息を感じて、藍湛の黒くて長くて艶やかな髪が頬を撫でるたびに、肌がぞわぞわと泡立つ。気持ちが良すぎて、藍湛が体を起こした頃には俺は半開きにした唇からただただ甘い声を漏らしていた。
いつもの、内側からじわっと溢れるような達し方。その前兆がある。藍湛の背中に爪を立てて堪えようとしたけれど、そんなのは無意味だった。
何度も前で達するよりも深くて長い快感を思い出すだけで、後孔がぎゅうと藍湛を締め付けた。
「まっ、まって……あ゛、っだめ、だめ、っ……くる、く、ぐ……っ……ぁ、あ゛ぁぁあ、っ」
藍湛が俺の太腿に噛み付いた事でその蓋が外れたように体の中心から蜜にも似た快感が体中に広がる。目の前がちかちかと明滅して、涙が溢れ、体が震える。つま先は突っ張って、背中が反った。胎内の藍湛の剛直の形がわかるくらいに締め付けているのがわかる。
「っ、ぅう、っ! あ、ぁ……っ」
「っ、魏嬰……っ」
藍湛の腹と俺の尻たぶが一際大きな音を立てると、藍湛の剛直も震えた。胎内でどくどくと鼓動のように跳ね、熱い白濁が中を濡らす。粘度のあるそれを擦り付けるように何度か腰をぐっと押しつけた藍湛は、大きく呼吸を繰り返してからゆっくりと体を屈めて、俺と唇を合わせる。
「魏嬰」
唇が触れる前のほんの一瞬、名を呼ばれた。ただでさえ達した余韻ではくはくと呼吸をしていたのに、また体が熱くなる。もう限界だと思っていても、彼に愛されるのが好きだ。
それから今晩もまた、疼く体で藍湛を抱きしめるのだ。
毎日のように体を合わせているけど、嫌だと思ったことなんて一度もない。ちょっと体が重いかな、とか、気怠い気がしたりはあるけれど、体には藍湛が付けてくれた跡がたくさんあって、それが愛されてる証拠だと思うと自然と顔が緩む。
俺は藍湛が大好きだ。
「けどな」
「……魏嬰」
俺は酔った藍湛とするのは好きじゃない。いや嫌いじゃない。藍湛とするのはいつだって気持ちがいい。
でも。
「どうせ覚えてないんだろう?」
「……うん」
「……はあ。いや、今後は藍湛の目の前に酒を置かないように気をつける。藍湛も飲まないように気をつけろよ?」
「うん」
藍湛の酒癖の悪さが嫌いだ。
面白いけどな。
覚えてないのはつまらん。
茨城県漁業者団体会長「影響計り知れず死活問題」
北茨城の漁業者から風評被害懸念の声
2021年4月13日
トリチウムなど放射性物質を含む処理水を海へ放出することについて、茨城県の漁業者の団体の会長は「県内の漁業への影響は計り知れず、漁業者にとって死活問題だ」として、政府の決定は容認できないという考えを示しました。
県内にある10の漁協でつくる茨城沿海地区漁業協同組合連合会の飛田正美会長は「決定内容は到底容認できるものではなく、海洋放出は行わないでほしい」としたうえで、「県内への影響は計り知れず、風評被害により漁業が衰退してしまう」と述べました。
また、「茨城県も東日本大震災の被災地で、10年たっても魚介類は事故前の6割から7割の値段で取引される状況だ。それでも事故当時に比べ少しでもよくなってきた状況のなかで、海洋に放出されるのは漁業者にとっては死活問題だ」と訴えていました。
連合会は、去年2月、茨城県の大井川知事に政府に対して処理水を海に放出させないよう求める要望書を手渡すなど、反対の立場を示してきました。
東京電力福島第一原子力発電所で増え続けるトリチウムなど放射性物質を含む処理水の処分方法について、政府が、海へ放出する方針を決めたことについて、福島県との県境に位置する茨城県北茨城市の漁業者からは風評被害を懸念する声が相次いでいます。
県内有数の港町である北茨城市はシラス漁が盛んで、原発事故の前には年間1000トンの水揚げがありました。
漁協などによりますと、原発事故のあとは2年近くシラスに値がつかない時期もあり事故から10年がたちようやく、シラスの価格は原発事故の前の6割から7割ほどに回復してきたといいます。
さらに、原発事故の前までは北茨城市と隣り合う福島県いわき市の沖合が主な漁場でしたが、福島県の漁協が行っていた試験操業に協力し、いわき市沖での操業を自粛してきたため漁獲量は半分ほどにとどまっています。
このため、後継者の問題が深刻になっていてこの10年に市内で新たにシラス漁を始めようとする若者はおととし1人現れただけだといいます。
そうした中で、急増しているのが夫と妻の夫婦で漁をする「夫婦舟」です。
子どもに後を継がせられないと親子で乗る船が減ったことに伴うもので、大津漁港では「夫婦舟」は原発事故前は、4隻でしたが現在は10隻にまで増え、港の船の3分の1余りを占めています。
祖父の代から北茨城市でシラスをとってきた酒井正三さん(59)も妻と「夫婦船」で漁をしています。
原発事故の前は長男に漁を継いでもらい、いつかは一緒に船に乗ることを考えていました。
しかし、原発事故の前のように漁ができない状況に、長男は後を継がず現在は会社員として働いています。
今回の海洋放出の決定で風評被害が起きるおそれがあると思うと、ますます漁を継がせることはできないと考えています。
酒井さんは、「この状況では長男に漁師を継いでくれとは言えなかったです。原発事故から10年の間にシラスのPR活動なども行って価格が戻りつつあった矢先の海洋放出の決定でした。これまでの取り組みも水の泡になってしまう気がしますし、風評被害がさらに大きくなってしまうのはものすごく不安です」と話していました。
北茨城市でシラス漁を営む59歳の男性は、政府の決定について「魚のPR活動なども行い価格が戻りつつあった矢先の海洋放出となり、これまでの努力が水の泡になると思います。国や東京電力には誠意を持って、われわれのところに来て説明してほしいです」と話していました。
また、69歳の漁業者の男性は「海に水を流されると、あと何年苦労しなきゃいけないのかと思います。10年間苦労してきた状況を見てもらい、漁業者たちの声を聞いて風評被害対策をしてほしいです」と話していました。
72歳の漁業者の男性は「原発事故のあとは若い人が船に乗る状況になく後継者の問題が深刻ですが、海洋放出はそれに追い打ちをかけることになります」と話していました。
北茨城の漁業者から風評被害懸念の声
2021年4月13日
トリチウムなど放射性物質を含む処理水を海へ放出することについて、茨城県の漁業者の団体の会長は「県内の漁業への影響は計り知れず、漁業者にとって死活問題だ」として、政府の決定は容認できないという考えを示しました。
県内にある10の漁協でつくる茨城沿海地区漁業協同組合連合会の飛田正美会長は「決定内容は到底容認できるものではなく、海洋放出は行わないでほしい」としたうえで、「県内への影響は計り知れず、風評被害により漁業が衰退してしまう」と述べました。
また、「茨城県も東日本大震災の被災地で、10年たっても魚介類は事故前の6割から7割の値段で取引される状況だ。それでも事故当時に比べ少しでもよくなってきた状況のなかで、海洋に放出されるのは漁業者にとっては死活問題だ」と訴えていました。
連合会は、去年2月、茨城県の大井川知事に政府に対して処理水を海に放出させないよう求める要望書を手渡すなど、反対の立場を示してきました。
東京電力福島第一原子力発電所で増え続けるトリチウムなど放射性物質を含む処理水の処分方法について、政府が、海へ放出する方針を決めたことについて、福島県との県境に位置する茨城県北茨城市の漁業者からは風評被害を懸念する声が相次いでいます。
県内有数の港町である北茨城市はシラス漁が盛んで、原発事故の前には年間1000トンの水揚げがありました。
漁協などによりますと、原発事故のあとは2年近くシラスに値がつかない時期もあり事故から10年がたちようやく、シラスの価格は原発事故の前の6割から7割ほどに回復してきたといいます。
さらに、原発事故の前までは北茨城市と隣り合う福島県いわき市の沖合が主な漁場でしたが、福島県の漁協が行っていた試験操業に協力し、いわき市沖での操業を自粛してきたため漁獲量は半分ほどにとどまっています。
このため、後継者の問題が深刻になっていてこの10年に市内で新たにシラス漁を始めようとする若者はおととし1人現れただけだといいます。
そうした中で、急増しているのが夫と妻の夫婦で漁をする「夫婦舟」です。
子どもに後を継がせられないと親子で乗る船が減ったことに伴うもので、大津漁港では「夫婦舟」は原発事故前は、4隻でしたが現在は10隻にまで増え、港の船の3分の1余りを占めています。
祖父の代から北茨城市でシラスをとってきた酒井正三さん(59)も妻と「夫婦船」で漁をしています。
原発事故の前は長男に漁を継いでもらい、いつかは一緒に船に乗ることを考えていました。
しかし、原発事故の前のように漁ができない状況に、長男は後を継がず現在は会社員として働いています。
今回の海洋放出の決定で風評被害が起きるおそれがあると思うと、ますます漁を継がせることはできないと考えています。
酒井さんは、「この状況では長男に漁師を継いでくれとは言えなかったです。原発事故から10年の間にシラスのPR活動なども行って価格が戻りつつあった矢先の海洋放出の決定でした。これまでの取り組みも水の泡になってしまう気がしますし、風評被害がさらに大きくなってしまうのはものすごく不安です」と話していました。
北茨城市でシラス漁を営む59歳の男性は、政府の決定について「魚のPR活動なども行い価格が戻りつつあった矢先の海洋放出となり、これまでの努力が水の泡になると思います。国や東京電力には誠意を持って、われわれのところに来て説明してほしいです」と話していました。
また、69歳の漁業者の男性は「海に水を流されると、あと何年苦労しなきゃいけないのかと思います。10年間苦労してきた状況を見てもらい、漁業者たちの声を聞いて風評被害対策をしてほしいです」と話していました。
72歳の漁業者の男性は「原発事故のあとは若い人が船に乗る状況になく後継者の問題が深刻ですが、海洋放出はそれに追い打ちをかけることになります」と話していました。
梶山経産相が知事と会談 放出方針決定を説明
梶山経済産業相「地元の声 重く受け止める」
双葉町の伊澤町長「国民にしっかり説明を」
大熊町の吉田町長「復興に影響及ばないよう国の責任で対応を」
2021年4月13日
梶山経済産業大臣は、トリチウムなど放射性物質を含む処理水を海へ放出する方針を決定したことについて地元に説明するため、13日昼すぎに福島県庁を訪れ、内堀知事と会談しました。
内堀知事は、通常、閣僚が県庁を訪れた際には部屋の入り口で出迎えますが、今回はこれをせず、会談は緊張感に包まれた中で始まりました。
この中で、梶山大臣は、決定までの経緯などを説明したうえで「風評対策に万全を期し、これまでの復興への努力が台なしにならないように取り組んでいく。地元の声は何より重要で、基本方針に理解いただくとともに、今後の対応に協力をお願いしたい」と述べました。
これに対して、内堀知事は「この問題は福島の復興にとって重く困難な課題だ。県として基本方針の精査を行い、改めて意見を述べる」とだけ述べ、会談は当初の想定より大幅に短い5分程度で終わりました。
トリチウムなど放射性物質を含む処理水の海への放出を政府が決定したことについて、福島第一原発が立地する大熊町の吉田淳町長は、町の復興に影響が及ばないよう国が責任を持って対応することを求めました。
13日夕方の会談で、吉田町長は梶山大臣に対し「処理水の処分は廃炉の行程の中では避けて通れない問題で、廃炉が遅れることは町の復興に影響を及ぼす。処理水の処分にあたっては透明性が高い情報発信と国民の理解を第一に、あらゆる面で国が責任を持って対応してもらいたい」と述べ、福島第一原発が立地する町の復興を進めるためにも国の責任で処理水の処分を着実に進めるよう求めました。
これに対して、梶山大臣は「安全安心は最優先だが、人の気持ちの問題でもある。風評が発生するようであればすぐに対応し地元の思いを肝に銘じて取り組む」と応じていました。
会談のあと、吉田町長は「避難指示が徐々に解除される中でタンクが増え続けること自体が住民の帰還の意欲をそぐものになる。海洋放出によって予想される風評被害に対して、国はただちに対応してもらいたい」と話していました。
梶山経産相と会談 双葉町の伊澤町長「国民にしっかり説明を」
梶山経済産業大臣は、トリチウムなど放射性物質を含む処理水を海へ放出する方針を決定したことを説明するため、13日午後、県庁に続いて原発が立地する双葉町の伊澤史朗町長と会談しました。
この中で、梶山大臣は政府の方針決定について説明し「復興に向け廃炉を進めるうえで処理水の海洋放出は不可欠なことだと考えている。これまでの地元の努力を台無しにしないよう徹底した風評対策を実施していく」として理解を求めました。
これに対し、伊澤町長は「政府が決めた海洋放出の方針は受け止めたいと思う」としたうえで「なぜ海に放出しなければいけないのかを国民の皆さんにしっかりと説明していただきたい」と話し、国民全体の理解を得る必要があるとくぎを刺しました。
会談の後、伊澤町長は「原発事故の被害を最も受けた双葉町や大熊町がタンクの保管を続けることは復興を進める状況においてはこれ以上は厳しい。いかなる処分方法でも少なからず風評被害は出ると思うが、国には影響を限りなくゼロにするための取り組みを求めていく」と話していました。
全漁連 岸会長「強く抗議 反対の立場変わらず」
全漁連=全国漁業協同組合連合会の岸宏会長は抗議の声明を発表しました。
この中で、岸会長は先週、菅総理と会談したことに触れ「海洋放出には、断固反対であることを改めて申し入れ慎重な判断を強く求めたところだ。それにもかかわらず、本方針が決定されたことは極めて遺憾であり、到底容認できるものではない。強く抗議する」としたうえで、「今後とも、海洋放出反対の立場はいささかも変わるものではない」としています。
そして、なぜ海洋放出の方針を決めたのかを漁業者や国民に責任を持って説明すること、また風評被害にどう対処するのか、安全性をどう国内外に説明し担保するのか、さらに福島県をはじめ全国の漁業者が安心して漁業が継続できるための方策を明確に示すことなどを改めて求めています。
福島県の内堀知事や原発の立地自治体、それに漁業関係者などとの一連の会談のあと、梶山大臣は記者団に対して「さまざまな意見があり、厳しい意見もいただいた。地元の声は何より大事だ。決定までの議論が不足しているという声もいただいているが、重く受け止めないといけない」と話していました。
そのうえで「処理水の問題でこれからの廃炉作業を停滞させてはいけない。実際に放出するまでには2年程度かかるので、それまでの期間を有効に使って誠心誠意、国民に説明していきたい」と述べました。

梶山経済産業相「地元の声 重く受け止める」
双葉町の伊澤町長「国民にしっかり説明を」
大熊町の吉田町長「復興に影響及ばないよう国の責任で対応を」
2021年4月13日
梶山経済産業大臣は、トリチウムなど放射性物質を含む処理水を海へ放出する方針を決定したことについて地元に説明するため、13日昼すぎに福島県庁を訪れ、内堀知事と会談しました。
内堀知事は、通常、閣僚が県庁を訪れた際には部屋の入り口で出迎えますが、今回はこれをせず、会談は緊張感に包まれた中で始まりました。
この中で、梶山大臣は、決定までの経緯などを説明したうえで「風評対策に万全を期し、これまでの復興への努力が台なしにならないように取り組んでいく。地元の声は何より重要で、基本方針に理解いただくとともに、今後の対応に協力をお願いしたい」と述べました。
これに対して、内堀知事は「この問題は福島の復興にとって重く困難な課題だ。県として基本方針の精査を行い、改めて意見を述べる」とだけ述べ、会談は当初の想定より大幅に短い5分程度で終わりました。
トリチウムなど放射性物質を含む処理水の海への放出を政府が決定したことについて、福島第一原発が立地する大熊町の吉田淳町長は、町の復興に影響が及ばないよう国が責任を持って対応することを求めました。
13日夕方の会談で、吉田町長は梶山大臣に対し「処理水の処分は廃炉の行程の中では避けて通れない問題で、廃炉が遅れることは町の復興に影響を及ぼす。処理水の処分にあたっては透明性が高い情報発信と国民の理解を第一に、あらゆる面で国が責任を持って対応してもらいたい」と述べ、福島第一原発が立地する町の復興を進めるためにも国の責任で処理水の処分を着実に進めるよう求めました。
これに対して、梶山大臣は「安全安心は最優先だが、人の気持ちの問題でもある。風評が発生するようであればすぐに対応し地元の思いを肝に銘じて取り組む」と応じていました。
会談のあと、吉田町長は「避難指示が徐々に解除される中でタンクが増え続けること自体が住民の帰還の意欲をそぐものになる。海洋放出によって予想される風評被害に対して、国はただちに対応してもらいたい」と話していました。
梶山経産相と会談 双葉町の伊澤町長「国民にしっかり説明を」
梶山経済産業大臣は、トリチウムなど放射性物質を含む処理水を海へ放出する方針を決定したことを説明するため、13日午後、県庁に続いて原発が立地する双葉町の伊澤史朗町長と会談しました。
この中で、梶山大臣は政府の方針決定について説明し「復興に向け廃炉を進めるうえで処理水の海洋放出は不可欠なことだと考えている。これまでの地元の努力を台無しにしないよう徹底した風評対策を実施していく」として理解を求めました。
これに対し、伊澤町長は「政府が決めた海洋放出の方針は受け止めたいと思う」としたうえで「なぜ海に放出しなければいけないのかを国民の皆さんにしっかりと説明していただきたい」と話し、国民全体の理解を得る必要があるとくぎを刺しました。
会談の後、伊澤町長は「原発事故の被害を最も受けた双葉町や大熊町がタンクの保管を続けることは復興を進める状況においてはこれ以上は厳しい。いかなる処分方法でも少なからず風評被害は出ると思うが、国には影響を限りなくゼロにするための取り組みを求めていく」と話していました。
全漁連 岸会長「強く抗議 反対の立場変わらず」
全漁連=全国漁業協同組合連合会の岸宏会長は抗議の声明を発表しました。
この中で、岸会長は先週、菅総理と会談したことに触れ「海洋放出には、断固反対であることを改めて申し入れ慎重な判断を強く求めたところだ。それにもかかわらず、本方針が決定されたことは極めて遺憾であり、到底容認できるものではない。強く抗議する」としたうえで、「今後とも、海洋放出反対の立場はいささかも変わるものではない」としています。
そして、なぜ海洋放出の方針を決めたのかを漁業者や国民に責任を持って説明すること、また風評被害にどう対処するのか、安全性をどう国内外に説明し担保するのか、さらに福島県をはじめ全国の漁業者が安心して漁業が継続できるための方策を明確に示すことなどを改めて求めています。
福島県の内堀知事や原発の立地自治体、それに漁業関係者などとの一連の会談のあと、梶山大臣は記者団に対して「さまざまな意見があり、厳しい意見もいただいた。地元の声は何より大事だ。決定までの議論が不足しているという声もいただいているが、重く受け止めないといけない」と話していました。
そのうえで「処理水の問題でこれからの廃炉作業を停滞させてはいけない。実際に放出するまでには2年程度かかるので、それまでの期間を有効に使って誠心誠意、国民に説明していきたい」と述べました。

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