東京都 感染状況の警戒レベル 最も深刻なレベルに引き上げ
2022年1月20日 16時12分
急速な拡大が続く東京都内の感染状況について、都の専門家は最も深刻な警戒レベルに引き上げました。
専門家は「社会活動の停止を余儀なくされる可能性がある」などと述べ、強い危機感を示すとともに重症化リスクの高い高齢者の感染が増えているとして、家庭内や高齢者施設などで対策を徹底するよう呼びかけました。
20日開かれた都のモニタリング会議で、都内では、19日までの新規陽性者の7日間平均が4555.3人となり、1週間前の1135.7人からおよそ4倍に増加したことなどが報告されました。
またこのままの増加比が続けば、1週間後の1月27日には、感染確認が1万8266人になるという推計が明らかされました。
専門家は「第5波の立ち上がりをはるかに上回るスピードで増加しており、これまでに経験したことのない危機的な感染状況となる可能性がある」と指摘しました。
また「感染拡大が急速に進んでおり、社会活動の停止を余儀なくされる可能性がある」などと述べ、強い危機感を示しました。
専門家は都内の感染状況の警戒レベルを1段引き上げ、4段階のうち最も深刻なレベルにしました。
感染状況の警戒レベルは3週連続で引き上げられ、最も深刻なレベルになるのは去年9月24日以来です。
また会議では、1月17日までの1週間に65歳以上の高齢者の感染が1184人確認され、前の週の4倍余りに増えていることが報告されました。
専門家は「高齢者は重症化リスクが高く、入院期間も長期化することが多い」として、家庭内や高齢者施設などで対策を徹底するよう呼びかけました。
一方、会議では、都内の、
▽入院患者が19日時点で1805人と、1週間前より851人増え、
▽重症患者も10人となり、1週間前より6人増加したことが、
報告されました。
専門家は、医療提供体制の警戒レベルを1段引き上げ、4段階のうち上から2番目のレベルにしました。
レベルの引き上げは2週連続で、上から2番目になるのは去年10月14日以来です。
専門家は、このままの水準で新規陽性者が増加した場合、新たに発生する入院患者は、都が確保している病床数を超えるおよそ7160人に上るとみられると指摘し「医療提供体制のひっ迫が危惧される」と述べ、強い危機感を示しました。
【都内感染者 95%余がオミクロン株疑い(17日までの1週間)】
東京都内の感染者を対象に1月17日までの1週間に行われたスクリーニング検査で、オミクロン株の疑いが95%あまりにのぼったことがわかりました。
20日開かれた都のモニタリング会議で、今月17日までの1週間に検査を行った6112人のうち、判定不能だった376人を除き、95.3%にあたる5466人がオミクロン株に感染している疑いがあるということです。
前の1週間の87.1%からさらに8ポイントあまり増えました。
都の「専門家ボード」の座長で、東北医科薬科大学の賀来満夫特任教授は「都内で最初に確認されてから5週目で9割に達した。デルタ株よりも10週早く達しており、これまでにない速いスピードでオミクロン株に置き換わっている」と述べました。
そのうえで「長時間にわたる会食、特にマスクなしでの会食をできる限り避けるなど対策を徹底することで感染のリスクを減らすことが重要だ」と指摘しました。
「通常医療含め医療提供体制ひっ迫が予測される」
モニタリング会議の中で、東京都医師会の猪口正孝副会長は「冬は緊急対応を要する脳卒中や心筋梗塞、骨折などの救急受診が多い。しかし、それぞれの病院では新型コロナの患者の病床確保を進めているため、これらの患者の入院の受け入れが非常に難しくなっている。感染者や濃厚接触者となり就業制限を受ける医療従事者が多数発生すれば、病床が空いていてもマンパワー不足で患者の受け入れができなくなり、通常の医療も含めた医療提供体制がひっ迫することが予測される」と話していました。
「生活を守るための対策早急に講じる必要」
モニタリング会議の中で、国立国際医療研究センターの大曲貴夫国際感染症センター長は、感染拡大が急速に進んでいるとして「社会活動を維持し、都民の生活を守るための対策を早急に講じる必要がある」と述べました。
また「人との接触の機会を減らすため外出や買い物の回数を減らすことや、自分や家族が感染者や濃厚接触者となり外出できなくなった場合を想定して生活必需品を準備することなどを、都民に呼びかける必要がある」と述べました。
そのうえで「新規感染者のうち10歳未満と10代の割合が上昇している。12歳未満はワクチン未接種であることから、保育園や幼稚園、学校生活で感染防止対策の徹底が求められている」と呼びかけていました。
2022年1月20日 16時12分
急速な拡大が続く東京都内の感染状況について、都の専門家は最も深刻な警戒レベルに引き上げました。
専門家は「社会活動の停止を余儀なくされる可能性がある」などと述べ、強い危機感を示すとともに重症化リスクの高い高齢者の感染が増えているとして、家庭内や高齢者施設などで対策を徹底するよう呼びかけました。
20日開かれた都のモニタリング会議で、都内では、19日までの新規陽性者の7日間平均が4555.3人となり、1週間前の1135.7人からおよそ4倍に増加したことなどが報告されました。
またこのままの増加比が続けば、1週間後の1月27日には、感染確認が1万8266人になるという推計が明らかされました。
専門家は「第5波の立ち上がりをはるかに上回るスピードで増加しており、これまでに経験したことのない危機的な感染状況となる可能性がある」と指摘しました。
また「感染拡大が急速に進んでおり、社会活動の停止を余儀なくされる可能性がある」などと述べ、強い危機感を示しました。
専門家は都内の感染状況の警戒レベルを1段引き上げ、4段階のうち最も深刻なレベルにしました。
感染状況の警戒レベルは3週連続で引き上げられ、最も深刻なレベルになるのは去年9月24日以来です。
また会議では、1月17日までの1週間に65歳以上の高齢者の感染が1184人確認され、前の週の4倍余りに増えていることが報告されました。
専門家は「高齢者は重症化リスクが高く、入院期間も長期化することが多い」として、家庭内や高齢者施設などで対策を徹底するよう呼びかけました。
一方、会議では、都内の、
▽入院患者が19日時点で1805人と、1週間前より851人増え、
▽重症患者も10人となり、1週間前より6人増加したことが、
報告されました。
専門家は、医療提供体制の警戒レベルを1段引き上げ、4段階のうち上から2番目のレベルにしました。
レベルの引き上げは2週連続で、上から2番目になるのは去年10月14日以来です。
専門家は、このままの水準で新規陽性者が増加した場合、新たに発生する入院患者は、都が確保している病床数を超えるおよそ7160人に上るとみられると指摘し「医療提供体制のひっ迫が危惧される」と述べ、強い危機感を示しました。
【都内感染者 95%余がオミクロン株疑い(17日までの1週間)】
東京都内の感染者を対象に1月17日までの1週間に行われたスクリーニング検査で、オミクロン株の疑いが95%あまりにのぼったことがわかりました。
20日開かれた都のモニタリング会議で、今月17日までの1週間に検査を行った6112人のうち、判定不能だった376人を除き、95.3%にあたる5466人がオミクロン株に感染している疑いがあるということです。
前の1週間の87.1%からさらに8ポイントあまり増えました。
都の「専門家ボード」の座長で、東北医科薬科大学の賀来満夫特任教授は「都内で最初に確認されてから5週目で9割に達した。デルタ株よりも10週早く達しており、これまでにない速いスピードでオミクロン株に置き換わっている」と述べました。
そのうえで「長時間にわたる会食、特にマスクなしでの会食をできる限り避けるなど対策を徹底することで感染のリスクを減らすことが重要だ」と指摘しました。
「通常医療含め医療提供体制ひっ迫が予測される」
モニタリング会議の中で、東京都医師会の猪口正孝副会長は「冬は緊急対応を要する脳卒中や心筋梗塞、骨折などの救急受診が多い。しかし、それぞれの病院では新型コロナの患者の病床確保を進めているため、これらの患者の入院の受け入れが非常に難しくなっている。感染者や濃厚接触者となり就業制限を受ける医療従事者が多数発生すれば、病床が空いていてもマンパワー不足で患者の受け入れができなくなり、通常の医療も含めた医療提供体制がひっ迫することが予測される」と話していました。
「生活を守るための対策早急に講じる必要」
モニタリング会議の中で、国立国際医療研究センターの大曲貴夫国際感染症センター長は、感染拡大が急速に進んでいるとして「社会活動を維持し、都民の生活を守るための対策を早急に講じる必要がある」と述べました。
また「人との接触の機会を減らすため外出や買い物の回数を減らすことや、自分や家族が感染者や濃厚接触者となり外出できなくなった場合を想定して生活必需品を準備することなどを、都民に呼びかける必要がある」と述べました。
そのうえで「新規感染者のうち10歳未満と10代の割合が上昇している。12歳未満はワクチン未接種であることから、保育園や幼稚園、学校生活で感染防止対策の徹底が求められている」と呼びかけていました。
【日本語コーナー/日语角】
本日の四字熟語:自暴自棄(じ・ぼう・じ・き)
例文:桜丘国際日本語学校の先生は、試験で失敗して自暴自棄になった留学生Aさんに個別面談と生活指導を行いました。その後、Aさんは落ち込んだ気持ちを切り替え、再び大学受験を挑戦することを決めました。
(译文)樱丘国际日本语学校的老师对于在考试中失利、陷入自暴自弃的留学生A同学进行了个别面谈与生活指导。这之后,A同学转变了消沉的情绪,下定决心再次挑战大学入学考试。 https://t.cn/RBNdC6P
本日の四字熟語:自暴自棄(じ・ぼう・じ・き)
例文:桜丘国際日本語学校の先生は、試験で失敗して自暴自棄になった留学生Aさんに個別面談と生活指導を行いました。その後、Aさんは落ち込んだ気持ちを切り替え、再び大学受験を挑戦することを決めました。
(译文)樱丘国际日本语学校的老师对于在考试中失利、陷入自暴自弃的留学生A同学进行了个别面谈与生活指导。这之后,A同学转变了消沉的情绪,下定决心再次挑战大学入学考试。 https://t.cn/RBNdC6P
堂本光一「停滞するのは簡単」「今できることを模索する」 それでも前進する理由
2021.6.7
https://t.cn/A6V8CaWU
舞台公演の中止、コンサートのリアルから配信への切り替え、制作の中断や延期──。コロナ禍で数々の苦難に直面した。東京は3度目の緊急事態宣言下にあり、予定されている舞台やステージに立てるかどうかはわからない。だが、言葉に悲愴感はない。希望を持って歩みを進める。AERA 2021年6月7日号から。
* * *
——6年ぶりとなるソロアルバムのタイトル「PLAYFUL(プレイフル)」は、「遊び心のある」という意味も持つ。コロナ禍の今だからこそ、失くしたくないものの一つでもある。
堂本光一(以下、堂本):そこまで深い意味を持ってつけたわけではないですけど、そう受け取っていただけるなら、ありがたいですね。
このアルバム自体、ひっちゃかめっちゃかなんですよ。コンセプトがあって全体を作ったわけではないし。「PLAYFUL」は、それがいい意味でおさまる言葉です。実は、多くが海外アーティストによる作曲で、一曲一曲は非常に計算されています。コーラスはすべて自分でやっているので、全体を通して聞いたときに「光一らしいな」とか、「この曲に対してこんなコーラス入れるんだ」とか思っていただければと。
■本番よりも稽古が好き
堂本:ものごとを構築する、作り上げていく、その作業自体が好きなんです。ライブにしても舞台にしてもそう。ある意味、本番より稽古が好きです。そうやって緻密に積み上げた先に生まれる遊び心が、すごく魅力的だと思うんですよね。はなっから「自由でいいや」というのとはちょっと違う。その意味では、自分とは相反するタイトルでもあるんです。
——ソロ以外にも、KinKi Kidsとして、舞台人として、多様な音楽活動を展開している。ソロとしての表現を、どのように捉えているのだろうか。
堂本:それぞれ全く違う表現ですが、「これはこうだ」「あれはああだ」とか、いちいち頭で切り替えていません。自分が思うようにやれば、それになるんですよ。その場でのやり方っていうのがありますから。KinKi Kidsになると、バランスは考慮しますが。
ソロ活動って、本当に自分自身の表現じゃないですか。前回から6年も空いてしまったのは、昨年出す予定が世の中の状況で難しくなったこともありますが、そこに対する意欲がそんなに高くなかったこともあるんです。
「自分自身を見せたいと思わない」って、表現者としてはアウトですよね。ファンの方が聞いたら、「はぁ? コイツ何言っとるんじゃ、ボケ」と思われるかもしれませんが(笑)、そういう感覚で自分をお見せするほうが失礼になると。自分自身を発見できなくなっていたわけじゃないけど、舞台で役を演じるほうが、いろいろ追求していけるという感覚が強かったんです。
だけど、スクエニ(スクウェア・エニックス)さんとの出合いがあって、新しいものが生まれていくワクワク感を久しぶりに感じて、こうしてかたちにすることができました。
すべてが無限大になる
——スクエニは「ファイナルファンタジー」「ドラゴンクエスト」シリーズなど、世界的なゲームを開発してきた。堂本が「ファイナルファンタジーXI」のファンを公言していたことからコラボレーションが実現、アルバム収録曲「V(ファイブ)」とそれをモチーフにしたショートムービーが制作された。フルCGと実写、2人の堂本が王と影武者を演じ、物の怪(け)と対峙する映像は、迫力と美しさを併せ持つ。その画像はアルバムジャケットにも使用されている。
堂本:(スクエニの)野末武志さんたちとの話は、非常におもしろかったですね。自分のやってきたことと真逆なんですよ。
自分の場合、ライブにせよ舞台にせよ、自分の体を使ってなんぼだし、代わりはいない。「こういうことやりたいけど、絶対無理だよなぁ」の繰り返しで、どうやって現実に落とし込むかを考えなくてはならない。
それがCGとなると、すべてが無限大になる。もちろんCG制作は非常に細かい、大変な作業なんですけど、「やれないことはない」という考え方をもっていらっしゃる。
これは、自分の想像の範疇(はんちゅう)にない何かが生まれる、できなかったことが現実にできるようになっていく第一歩なんだと思います。ただ、めちゃめちゃお金かかるんです(笑)。金額は明かしていませんが、普通じゃないですね。
■すべては考え方次第
——6月20日からは、アルバムを引っさげたソロツアーの開催を予定している。緊急事態宣直発出直前の4月下旬の会見の席で、堂本は「希望を持ってやっていくことが大事」「中止になっても無駄ではない。向かっていった事実、経験がある」と語っていた。
堂本:正直、「こんな状況ならやらんほうがええんちゃうの?」って思う自分もいるんですよ。ただ、本当は去年開催するはずだったもので、いろいろな事情を考慮するとこれ以上先延ばしにもできない。
開催を発表することによって、改めて自分を律して、緊張感を持って生きていくことができる。感染しない、させないようにしようとか。こうした状況のなかで、足を運んでくださるお客さんに「来て良かった」と思っていただけるものを作らなくてはならないとか。じゃないと、進まないですから。
「無理でしょ」と言って、停滞するのは簡単なんですよ。でも、今できることを模索しながら生きていったほうがいい。もちろん、そのためには、世の中の動きを柔軟に捉える必要がある。医療が崩壊するとか、大変な状況になったときには、潔くやめなくてはならない。その覚悟がなければ、「やろう」とは言えません。
——実際、感染拡大防止のため、2020年2月には主演舞台「Endless SHOCK」の公演中止をいち早く決断した。一方で同年9月には、感染対策を考慮したスピンオフ舞台「Endless SHOCK─Eternal─」を生み出すなど、歩みを止めていない。
堂本:去年の2月時点では、新型コロナウイルスは今よりも得体の知れないものでした。演者だけで40~50人いるカンパニーのリスクマネジメントをどうやっていくのか。それを自信を持って説明できるか。できないんだったらやめよう、というのが自分の意見でした。
結局、すべては考え方次第なんですよね。もちろん、誰かに感染させてはいけないし、感染を広げてはいけない。そのなかで何を正しいと思うかは人それぞれだし、難しい問題です。だけど自分としては、柔軟性をもって前に進んでいきたいんです。
——だが、努力を積み重ねて作り上げたものが日の目を見ることなく終わる可能性があるというのはつらいことだろう。そう伝えると、笑顔でこう答えた。
堂本:さっきも言ったように、俺、稽古が好きなんですよ。もしも披露することもなく中止になってしまったとしたら、またそこで考えればいいじゃないですか。来年どこかで何らかのかたちでやるとか。そうなった場合、自分は来年まで芸能生活が保障されていることになる(笑)。考え方次第です。
(朝日新聞出版・野村美絵)
※AERA 2021年6月7日号
2021.6.7
https://t.cn/A6V8CaWU
舞台公演の中止、コンサートのリアルから配信への切り替え、制作の中断や延期──。コロナ禍で数々の苦難に直面した。東京は3度目の緊急事態宣言下にあり、予定されている舞台やステージに立てるかどうかはわからない。だが、言葉に悲愴感はない。希望を持って歩みを進める。AERA 2021年6月7日号から。
* * *
——6年ぶりとなるソロアルバムのタイトル「PLAYFUL(プレイフル)」は、「遊び心のある」という意味も持つ。コロナ禍の今だからこそ、失くしたくないものの一つでもある。
堂本光一(以下、堂本):そこまで深い意味を持ってつけたわけではないですけど、そう受け取っていただけるなら、ありがたいですね。
このアルバム自体、ひっちゃかめっちゃかなんですよ。コンセプトがあって全体を作ったわけではないし。「PLAYFUL」は、それがいい意味でおさまる言葉です。実は、多くが海外アーティストによる作曲で、一曲一曲は非常に計算されています。コーラスはすべて自分でやっているので、全体を通して聞いたときに「光一らしいな」とか、「この曲に対してこんなコーラス入れるんだ」とか思っていただければと。
■本番よりも稽古が好き
堂本:ものごとを構築する、作り上げていく、その作業自体が好きなんです。ライブにしても舞台にしてもそう。ある意味、本番より稽古が好きです。そうやって緻密に積み上げた先に生まれる遊び心が、すごく魅力的だと思うんですよね。はなっから「自由でいいや」というのとはちょっと違う。その意味では、自分とは相反するタイトルでもあるんです。
——ソロ以外にも、KinKi Kidsとして、舞台人として、多様な音楽活動を展開している。ソロとしての表現を、どのように捉えているのだろうか。
堂本:それぞれ全く違う表現ですが、「これはこうだ」「あれはああだ」とか、いちいち頭で切り替えていません。自分が思うようにやれば、それになるんですよ。その場でのやり方っていうのがありますから。KinKi Kidsになると、バランスは考慮しますが。
ソロ活動って、本当に自分自身の表現じゃないですか。前回から6年も空いてしまったのは、昨年出す予定が世の中の状況で難しくなったこともありますが、そこに対する意欲がそんなに高くなかったこともあるんです。
「自分自身を見せたいと思わない」って、表現者としてはアウトですよね。ファンの方が聞いたら、「はぁ? コイツ何言っとるんじゃ、ボケ」と思われるかもしれませんが(笑)、そういう感覚で自分をお見せするほうが失礼になると。自分自身を発見できなくなっていたわけじゃないけど、舞台で役を演じるほうが、いろいろ追求していけるという感覚が強かったんです。
だけど、スクエニ(スクウェア・エニックス)さんとの出合いがあって、新しいものが生まれていくワクワク感を久しぶりに感じて、こうしてかたちにすることができました。
すべてが無限大になる
——スクエニは「ファイナルファンタジー」「ドラゴンクエスト」シリーズなど、世界的なゲームを開発してきた。堂本が「ファイナルファンタジーXI」のファンを公言していたことからコラボレーションが実現、アルバム収録曲「V(ファイブ)」とそれをモチーフにしたショートムービーが制作された。フルCGと実写、2人の堂本が王と影武者を演じ、物の怪(け)と対峙する映像は、迫力と美しさを併せ持つ。その画像はアルバムジャケットにも使用されている。
堂本:(スクエニの)野末武志さんたちとの話は、非常におもしろかったですね。自分のやってきたことと真逆なんですよ。
自分の場合、ライブにせよ舞台にせよ、自分の体を使ってなんぼだし、代わりはいない。「こういうことやりたいけど、絶対無理だよなぁ」の繰り返しで、どうやって現実に落とし込むかを考えなくてはならない。
それがCGとなると、すべてが無限大になる。もちろんCG制作は非常に細かい、大変な作業なんですけど、「やれないことはない」という考え方をもっていらっしゃる。
これは、自分の想像の範疇(はんちゅう)にない何かが生まれる、できなかったことが現実にできるようになっていく第一歩なんだと思います。ただ、めちゃめちゃお金かかるんです(笑)。金額は明かしていませんが、普通じゃないですね。
■すべては考え方次第
——6月20日からは、アルバムを引っさげたソロツアーの開催を予定している。緊急事態宣直発出直前の4月下旬の会見の席で、堂本は「希望を持ってやっていくことが大事」「中止になっても無駄ではない。向かっていった事実、経験がある」と語っていた。
堂本:正直、「こんな状況ならやらんほうがええんちゃうの?」って思う自分もいるんですよ。ただ、本当は去年開催するはずだったもので、いろいろな事情を考慮するとこれ以上先延ばしにもできない。
開催を発表することによって、改めて自分を律して、緊張感を持って生きていくことができる。感染しない、させないようにしようとか。こうした状況のなかで、足を運んでくださるお客さんに「来て良かった」と思っていただけるものを作らなくてはならないとか。じゃないと、進まないですから。
「無理でしょ」と言って、停滞するのは簡単なんですよ。でも、今できることを模索しながら生きていったほうがいい。もちろん、そのためには、世の中の動きを柔軟に捉える必要がある。医療が崩壊するとか、大変な状況になったときには、潔くやめなくてはならない。その覚悟がなければ、「やろう」とは言えません。
——実際、感染拡大防止のため、2020年2月には主演舞台「Endless SHOCK」の公演中止をいち早く決断した。一方で同年9月には、感染対策を考慮したスピンオフ舞台「Endless SHOCK─Eternal─」を生み出すなど、歩みを止めていない。
堂本:去年の2月時点では、新型コロナウイルスは今よりも得体の知れないものでした。演者だけで40~50人いるカンパニーのリスクマネジメントをどうやっていくのか。それを自信を持って説明できるか。できないんだったらやめよう、というのが自分の意見でした。
結局、すべては考え方次第なんですよね。もちろん、誰かに感染させてはいけないし、感染を広げてはいけない。そのなかで何を正しいと思うかは人それぞれだし、難しい問題です。だけど自分としては、柔軟性をもって前に進んでいきたいんです。
——だが、努力を積み重ねて作り上げたものが日の目を見ることなく終わる可能性があるというのはつらいことだろう。そう伝えると、笑顔でこう答えた。
堂本:さっきも言ったように、俺、稽古が好きなんですよ。もしも披露することもなく中止になってしまったとしたら、またそこで考えればいいじゃないですか。来年どこかで何らかのかたちでやるとか。そうなった場合、自分は来年まで芸能生活が保障されていることになる(笑)。考え方次第です。
(朝日新聞出版・野村美絵)
※AERA 2021年6月7日号
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