専門家 “都民の約80人に1人が療養中” 都モニタリング会議
“まん延防止”延長 病床増加やワクチン接種を加速へ
2022年2月10日
東京都のモニタリング会議のなかで専門家は、都内の感染状況と医療提供体制を、4段階ある警戒レベルのうちいずれも最も深刻なレベルで維持しました。
このうち感染状況は、新規陽性者の7日間平均が9日時点で1万7686.4人となり、1週間前の今月2日より1600人余り増加していて、専門家は「これまでに経験したことがない危機的な感染状況が続いている」と指摘しました。
また、都内で先月、1月3日から30日にかけて、
▽福祉施設で150件
▽学校や教育施設で128件
▽医療機関で17件の、
クラスターが発生したという報告があったことを明らかにしました。
そのうえで、専門家は「医療機関や高齢者施設などでは、職員の就業制限などで社会機能の低下が深刻になりつつある。また、保育園や幼稚園の休園などで保護者が欠勤しなければならず、社会機能に大きな影響を与えていることを注視する必要がある」として、感染防止対策をより一層、徹底するよう呼びかけました。
一方、医療提供体制について専門家は、入院患者が9日時点で4111人と、1週間前の2月2日より、およそ400人増加したと説明しました。
そのうえで「就業制限を受ける医療従事者などが多数発生し、マンパワー不足で患者の受け入れが困難になる医療機関が増加している」と述べ、強い危機感を示しました。
また、都の入院調整本部に調整を依頼する件数が高い水準で推移していて「人工透析や介護が必要な患者、妊婦など入院調整が難航するケースがあり、翌日以降への繰り越しも多数、発生している」と指摘しました。
さらに、感染の急増によって、都内の療養者数は第5波のピーク時をはるかに超えていると説明しました。
専門家は「現在、都民のおよそ80人に1人が検査陽性者として、入院・宿泊・自宅のいずれかで療養している。急変時、症状が重い方や重症化リスクが高い方などが速やかに医療機関を受診して、適切な医療が受けられるよう体制整備を進めるとともに、宿泊および自宅療養体制の充実が必要だ」と指摘しました。
都は1月末までの2か月間、宿泊施設と自宅で療養している人を対象にアンケート調査を行いました。
それによりますと、ワクチンを2回接種した人に複数回答で症状を聞いたところ、
▽頭痛が最も多く75.8%
次いで、
▽発熱が72.6%
▽のどの痛みが66.4%
▽せきが63.1%でした。
都は、第5波の去年8月にも同じ調査を行っていて、去年8月と、ことし1月を比べると、
▽頭痛を訴えた人は59.3%から76.0%に、
▽発熱を訴えた人は57.7%から73.1%に、
▽のどの痛みを訴えた人は45.3%から66.4%に、
それぞれ上昇しました。
会議の中で専門家は「ワクチンは接種後であっても、時間の経過とともに効果が徐々に低下する可能性が指摘されていて、追加接種を進めることが必要だ。オミクロン株は軽症が多いと言われるが、なかには非常に強いのどの痛みを訴える人もいる。ぜひ積極的に接種を検討してもらいたい」と述べました。
今月13日が期限のまん延防止等重点措置が来月6日まで3週間、延長されることを受けて東京都は10日夜、対策をまとめました。それによりますと、現在行われている飲食店への営業時間の短縮要請は重点措置が延長された期間も続けます。
また医療提供体制の強化策として病床使用率が50%を超えて上昇していることを踏まえ、旧東京女子医大の東医療センターと都立や公社の病院を活用して病床を310床増やし、合わせて7229床確保します。
さらにオミクロン株の特性を踏まえた対策として重症化リスクが高い高齢者への3回目のワクチン接種を加速させるため、車内で接種を受けられる「ワクチンバス」を編成し、高齢者施設などを巡回させます。
「ワクチンバス」は2つ編成され、施設の入所者や従事者を対象に1日当たりおよそ100人から200人にモデルナのワクチンを接種していくということです。
また感染拡大で保育所などが休園した場合も保護者が仕事を続けられるよう区市町村が児童館などを活用して預かり先を確保した場合、財政面で支援することにしています。
【小池知事「総力戦で感染を止める」】
小池知事は記者団に対し「命と暮らしを守ることが最も重要だ。都民、事業者、行政それぞれが持てる力をすべて発揮して、まさしく総力戦で『感染を止める、社会は止めない』これを推し進めていきたい」と述べました。
また都内の感染確認が9日と10日、2日連続で前の週の同じ曜日を下回ったことに関連し、小池知事は「ピークアウトの議論にエネルギーをかけるよりは、現場はしっかりと一人ひとりの命を守りながらワクチンの接種や経口薬の開発への支援などをやっていくことが必要だ」と述べました。
“まん延防止”延長 病床増加やワクチン接種を加速へ
2022年2月10日
東京都のモニタリング会議のなかで専門家は、都内の感染状況と医療提供体制を、4段階ある警戒レベルのうちいずれも最も深刻なレベルで維持しました。
このうち感染状況は、新規陽性者の7日間平均が9日時点で1万7686.4人となり、1週間前の今月2日より1600人余り増加していて、専門家は「これまでに経験したことがない危機的な感染状況が続いている」と指摘しました。
また、都内で先月、1月3日から30日にかけて、
▽福祉施設で150件
▽学校や教育施設で128件
▽医療機関で17件の、
クラスターが発生したという報告があったことを明らかにしました。
そのうえで、専門家は「医療機関や高齢者施設などでは、職員の就業制限などで社会機能の低下が深刻になりつつある。また、保育園や幼稚園の休園などで保護者が欠勤しなければならず、社会機能に大きな影響を与えていることを注視する必要がある」として、感染防止対策をより一層、徹底するよう呼びかけました。
一方、医療提供体制について専門家は、入院患者が9日時点で4111人と、1週間前の2月2日より、およそ400人増加したと説明しました。
そのうえで「就業制限を受ける医療従事者などが多数発生し、マンパワー不足で患者の受け入れが困難になる医療機関が増加している」と述べ、強い危機感を示しました。
また、都の入院調整本部に調整を依頼する件数が高い水準で推移していて「人工透析や介護が必要な患者、妊婦など入院調整が難航するケースがあり、翌日以降への繰り越しも多数、発生している」と指摘しました。
さらに、感染の急増によって、都内の療養者数は第5波のピーク時をはるかに超えていると説明しました。
専門家は「現在、都民のおよそ80人に1人が検査陽性者として、入院・宿泊・自宅のいずれかで療養している。急変時、症状が重い方や重症化リスクが高い方などが速やかに医療機関を受診して、適切な医療が受けられるよう体制整備を進めるとともに、宿泊および自宅療養体制の充実が必要だ」と指摘しました。
都は1月末までの2か月間、宿泊施設と自宅で療養している人を対象にアンケート調査を行いました。
それによりますと、ワクチンを2回接種した人に複数回答で症状を聞いたところ、
▽頭痛が最も多く75.8%
次いで、
▽発熱が72.6%
▽のどの痛みが66.4%
▽せきが63.1%でした。
都は、第5波の去年8月にも同じ調査を行っていて、去年8月と、ことし1月を比べると、
▽頭痛を訴えた人は59.3%から76.0%に、
▽発熱を訴えた人は57.7%から73.1%に、
▽のどの痛みを訴えた人は45.3%から66.4%に、
それぞれ上昇しました。
会議の中で専門家は「ワクチンは接種後であっても、時間の経過とともに効果が徐々に低下する可能性が指摘されていて、追加接種を進めることが必要だ。オミクロン株は軽症が多いと言われるが、なかには非常に強いのどの痛みを訴える人もいる。ぜひ積極的に接種を検討してもらいたい」と述べました。
今月13日が期限のまん延防止等重点措置が来月6日まで3週間、延長されることを受けて東京都は10日夜、対策をまとめました。それによりますと、現在行われている飲食店への営業時間の短縮要請は重点措置が延長された期間も続けます。
また医療提供体制の強化策として病床使用率が50%を超えて上昇していることを踏まえ、旧東京女子医大の東医療センターと都立や公社の病院を活用して病床を310床増やし、合わせて7229床確保します。
さらにオミクロン株の特性を踏まえた対策として重症化リスクが高い高齢者への3回目のワクチン接種を加速させるため、車内で接種を受けられる「ワクチンバス」を編成し、高齢者施設などを巡回させます。
「ワクチンバス」は2つ編成され、施設の入所者や従事者を対象に1日当たりおよそ100人から200人にモデルナのワクチンを接種していくということです。
また感染拡大で保育所などが休園した場合も保護者が仕事を続けられるよう区市町村が児童館などを活用して預かり先を確保した場合、財政面で支援することにしています。
【小池知事「総力戦で感染を止める」】
小池知事は記者団に対し「命と暮らしを守ることが最も重要だ。都民、事業者、行政それぞれが持てる力をすべて発揮して、まさしく総力戦で『感染を止める、社会は止めない』これを推し進めていきたい」と述べました。
また都内の感染確認が9日と10日、2日連続で前の週の同じ曜日を下回ったことに関連し、小池知事は「ピークアウトの議論にエネルギーをかけるよりは、現場はしっかりと一人ひとりの命を守りながらワクチンの接種や経口薬の開発への支援などをやっていくことが必要だ」と述べました。
下一代能源代替的激烈竞争中,丰田汽车在想什么トヨタ自動車の豊田章男社長はレースに参加した岡山県内のサーキットで、「敵は炭素であり、内燃機関ではない」と語った。11月13日、岡山県美作市で撮影(2021年 ロイター/Tim Kelly)
各国首脳が英グラスゴーで気候変動対策を議論した先週末、トヨタ自動車の豊田章男社長は岡山県内のサーキットで自動車レースに参戦していた。電気自動車(EV)が脱炭素を実現する車として唯一の選択肢ではない、既存の内燃機関を使った自動車なら業界に携わる数百万人の雇用を維持できると訴えるのが狙いだった。
さまざまな選択肢
豊田社長がハンドルを握ったのは、鮮やかにカラーリングされた「カローラ スポーツ」。小型車「GRヤリス」のエンジンを改造し、ガソリンの代わりに水素を燃料に使った水素エンジン車だ。実用化できれば、脱炭素化時代でも内燃機関を活かし続けることができる。
「敵は炭素であり、内燃機関ではない。1つの技術にこだわるのではなく、すでに持っている技術を活用していくべきだ」と豊田社長はサーキットで語った。「カーボンニュートラル(温暖化ガスの実質排出ゼロ)とは、選択肢を1つに絞ることではなく、選択肢を広げておくことだ」。
各国が地球温暖化対策で排ガス規制を強め、欧米や中国の自動車メーカーがEVに注力する中、トヨタはEV市場もこれから本格的に攻めつつ、水素技術にも取り組んでいる。
世界の新車市場に占めるEVの割合は3%未満とまだごく一部に過ぎない。しかし、国際エネルギー機関(IEA)によると、2020年は新型コロナウイルス感染拡大で新車市場全体が前年から約16%減少したにもかかわらず、EV登録台数は30.2%伸びた。外部充電可能なバッテリーと内燃機関の両方を積んだプラグインハイブリッド車も合わせれば、増加率は41%だった。
トヨタは25年までに15車種のEVを投入する予定で、30年までに電動車用の電池生産と研究開発に計約1兆5000億円を投資する計画を打ち出している。
19世紀の「電流戦争」再来
13日夜に閉幕した国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)は、石炭火力の段階的削減に向け努力することを盛り込んだ「グラスゴー合意」を採択するとともに、米ゼネラル・モーターズとフォード・モーター、スウェーデンのボルボ、独ダイムラーAGのメルセデス・ベンツなど大手自動車6社が、40年までに世界で販売する新車をすべて「ゼロエミッション(二酸化炭素排出ゼロ)」化する声明に署名した。
ゼロエミッション化への移行は世界の多くの地域でまだ時間がかかることなどを理由に、トヨタは署名を見送った。販売台数で世界トップをトヨタと争う独フォルクスワーゲンも署名しなかった。
トヨタの早川茂副会長はロイターとのインタビューで、「われわれは『EV』を追求する会社ではなく、どの地域でも『環境に一番良い車』を提供する会社でありたい」と語った。国ごとに電源構成やインフラの整備状況、政策などが異なるとし、「その市場で一番プラクティカル(実用的)でサステナブル(持続可能性)でアフォーダブル(価格が手頃)なことが大事だ」と述べた。早川氏は自動車業界が現在直面している技術的な選択を、直流送電か交流送電かを巡って争った19世紀後半の「電流戦争」になぞらえる。環境車開発には巨額の投資が必要で、賭けに負けた際の代償は大きい。「結局、今は直流と交流の両方が併存している。多様なアプローチで問題解決にあたることが、まさに今、ヒントになる」。
自動車調査会社カノラマの宮尾健アナリストは、「自動車産業が目指しているのはあくまでもカーボンニュートラルの世の中であり、EVの普及ではない」と指摘。「脱炭素燃料の普及が早ければ、EVブームは終了する可能性がある」と予想する。
大規模な人員削減が政治的に困難な日本では、水素やバイオなど代替燃料の魅力はEVへ完全に移行するより混乱が少ないことだ。日本自動車工業会によると、550万人が国内の自動車産業に従事している。
トヨタ以外にも水素を燃料に発電し、モーターを回して走る燃料電池車の開発に力を入れるメーカーはあるが、内燃機関を活用する水素エンジン技術に意欲的なところは少ない。
EVの弱点、水素の弱み
発電所で作られた電気を使って走るEVは、石炭火力から太陽光まで、各国の電源構成によって全体の温暖化ガス排出削減量が左右される弱点がある。一方の水素エンジンも完全に脱炭素を実現できるわけではない。排出するのは水素と酸素を燃焼させた副産物としての水だが、エンジンオイルが燃焼する際にごくわずかな二酸化炭素も出る。排ガスには微量の窒素酸化物も含まれる。
水素エンジン車には大型のタンクも必要だ。トヨタの水素エンジン車は後部座席やトランクの大部分が水素のタンクで占められ、後部の窓を塞いでいた。
日本政府は脱炭素を目指す電源構成の重要な要素として、水素燃料を支持している。しかし、1カ所約4億円の建設費用がかかる水素ステーションの普及は遅れている。政府は今年3月末までに160カ所の設置を目指していたが、8月末時点でも目標に6カ所届いていない。
IEAは今月出した報告書で「水素は有望な低炭素の輸送燃料としてみられてきたが、輸送燃料の構成の1つとして定着するには難しい状況が続いている」と指摘した。
燃料インフラが十分に整備されたとしても、航続距離、販売価格、維持費などの面でガソリン車やEVと競争できる車両を製造する必要がある。トヨタは水素エンジン車の量産時期はまだ言える段階にないとしている。技術は前進しているものの、市販化するには品質や安全性などまだ確認すべきことが多いという。
香川県からレースを観戦しに訪れていた57歳の男性は、「選択肢がたくさんあることはいいと思う」と話す。「すべてEVになったら、その産業の多くが中国勢に占められてしまう」。
(Tim Kelly、白木真紀 編集:Gerry Doyle、Emelia Sithole-Matarise、久保信博)
各国首脳が英グラスゴーで気候変動対策を議論した先週末、トヨタ自動車の豊田章男社長は岡山県内のサーキットで自動車レースに参戦していた。電気自動車(EV)が脱炭素を実現する車として唯一の選択肢ではない、既存の内燃機関を使った自動車なら業界に携わる数百万人の雇用を維持できると訴えるのが狙いだった。
さまざまな選択肢
豊田社長がハンドルを握ったのは、鮮やかにカラーリングされた「カローラ スポーツ」。小型車「GRヤリス」のエンジンを改造し、ガソリンの代わりに水素を燃料に使った水素エンジン車だ。実用化できれば、脱炭素化時代でも内燃機関を活かし続けることができる。
「敵は炭素であり、内燃機関ではない。1つの技術にこだわるのではなく、すでに持っている技術を活用していくべきだ」と豊田社長はサーキットで語った。「カーボンニュートラル(温暖化ガスの実質排出ゼロ)とは、選択肢を1つに絞ることではなく、選択肢を広げておくことだ」。
各国が地球温暖化対策で排ガス規制を強め、欧米や中国の自動車メーカーがEVに注力する中、トヨタはEV市場もこれから本格的に攻めつつ、水素技術にも取り組んでいる。
世界の新車市場に占めるEVの割合は3%未満とまだごく一部に過ぎない。しかし、国際エネルギー機関(IEA)によると、2020年は新型コロナウイルス感染拡大で新車市場全体が前年から約16%減少したにもかかわらず、EV登録台数は30.2%伸びた。外部充電可能なバッテリーと内燃機関の両方を積んだプラグインハイブリッド車も合わせれば、増加率は41%だった。
トヨタは25年までに15車種のEVを投入する予定で、30年までに電動車用の電池生産と研究開発に計約1兆5000億円を投資する計画を打ち出している。
19世紀の「電流戦争」再来
13日夜に閉幕した国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)は、石炭火力の段階的削減に向け努力することを盛り込んだ「グラスゴー合意」を採択するとともに、米ゼネラル・モーターズとフォード・モーター、スウェーデンのボルボ、独ダイムラーAGのメルセデス・ベンツなど大手自動車6社が、40年までに世界で販売する新車をすべて「ゼロエミッション(二酸化炭素排出ゼロ)」化する声明に署名した。
ゼロエミッション化への移行は世界の多くの地域でまだ時間がかかることなどを理由に、トヨタは署名を見送った。販売台数で世界トップをトヨタと争う独フォルクスワーゲンも署名しなかった。
トヨタの早川茂副会長はロイターとのインタビューで、「われわれは『EV』を追求する会社ではなく、どの地域でも『環境に一番良い車』を提供する会社でありたい」と語った。国ごとに電源構成やインフラの整備状況、政策などが異なるとし、「その市場で一番プラクティカル(実用的)でサステナブル(持続可能性)でアフォーダブル(価格が手頃)なことが大事だ」と述べた。早川氏は自動車業界が現在直面している技術的な選択を、直流送電か交流送電かを巡って争った19世紀後半の「電流戦争」になぞらえる。環境車開発には巨額の投資が必要で、賭けに負けた際の代償は大きい。「結局、今は直流と交流の両方が併存している。多様なアプローチで問題解決にあたることが、まさに今、ヒントになる」。
自動車調査会社カノラマの宮尾健アナリストは、「自動車産業が目指しているのはあくまでもカーボンニュートラルの世の中であり、EVの普及ではない」と指摘。「脱炭素燃料の普及が早ければ、EVブームは終了する可能性がある」と予想する。
大規模な人員削減が政治的に困難な日本では、水素やバイオなど代替燃料の魅力はEVへ完全に移行するより混乱が少ないことだ。日本自動車工業会によると、550万人が国内の自動車産業に従事している。
トヨタ以外にも水素を燃料に発電し、モーターを回して走る燃料電池車の開発に力を入れるメーカーはあるが、内燃機関を活用する水素エンジン技術に意欲的なところは少ない。
EVの弱点、水素の弱み
発電所で作られた電気を使って走るEVは、石炭火力から太陽光まで、各国の電源構成によって全体の温暖化ガス排出削減量が左右される弱点がある。一方の水素エンジンも完全に脱炭素を実現できるわけではない。排出するのは水素と酸素を燃焼させた副産物としての水だが、エンジンオイルが燃焼する際にごくわずかな二酸化炭素も出る。排ガスには微量の窒素酸化物も含まれる。
水素エンジン車には大型のタンクも必要だ。トヨタの水素エンジン車は後部座席やトランクの大部分が水素のタンクで占められ、後部の窓を塞いでいた。
日本政府は脱炭素を目指す電源構成の重要な要素として、水素燃料を支持している。しかし、1カ所約4億円の建設費用がかかる水素ステーションの普及は遅れている。政府は今年3月末までに160カ所の設置を目指していたが、8月末時点でも目標に6カ所届いていない。
IEAは今月出した報告書で「水素は有望な低炭素の輸送燃料としてみられてきたが、輸送燃料の構成の1つとして定着するには難しい状況が続いている」と指摘した。
燃料インフラが十分に整備されたとしても、航続距離、販売価格、維持費などの面でガソリン車やEVと競争できる車両を製造する必要がある。トヨタは水素エンジン車の量産時期はまだ言える段階にないとしている。技術は前進しているものの、市販化するには品質や安全性などまだ確認すべきことが多いという。
香川県からレースを観戦しに訪れていた57歳の男性は、「選択肢がたくさんあることはいいと思う」と話す。「すべてEVになったら、その産業の多くが中国勢に占められてしまう」。
(Tim Kelly、白木真紀 編集:Gerry Doyle、Emelia Sithole-Matarise、久保信博)
【大学生とミカン販売店のチャットが話題に】浙江大学の大学院生が研究のためネットでミカンを買ったところ、5キロのミカンが無料で送られてきた。ミカンのネットショップのオーナー陳さんは、「国のための研究だから」役に立ちたかったのだという。そして、実験で数100個のミカンが必要だと知ると、また5箱分計50キロのミカンを送った。その後、大学院生が陳さんとのチャット記録をネットで拡散すると、陳さんの店にはたくさん注文が入るようになった。陳さんは「以前は1日100箱ほどだったのに、今では2000箱以上に増えた。ささいな事をしたまでなのに、こんなに大きな影響力があるなんて思ってもみなかった」と話している。https://t.cn/A6xtSzNa
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