「日本一のお兄ちゃんをもう一度見たい」大阪桐蔭→慶應大キャプテン福井章吾が妹と目指す“春秋連覇”《4年前の後悔とは?》

 2017年のセンバツを制した大阪桐蔭高校。そして今春、全日本大学野球選手権を制した慶應義塾大学。4年という月日が経っても、歓喜の輪の中心には主将・福井章吾がいた。

「彼が率いるチームはいつもひとつにまとまっていて強い」

 甲子園で抱いた思いが、神宮での歓喜を見てよみがえってきた。

◇◇◇

「主将となったこの春の優勝は、部員165人分の達成感を感じましたし、これまで支えてくれた家族や指導者の方々に恩返しができました」

 今季の慶大が掲げたスローガンは『繋勝~Giving Back~』。そのチーム理念の通り、監督・選手・スタッフが互いに信頼し合えたことが勝因だと、福井は何度も強調する。

 堀井哲也監督が常日頃から部員たちに伝える「チームの勝利に対してどんな働きをしたかが大事。たとえ4打数ノーヒットでもチームの勝利に貢献できればいい」という教えが、福井はもちろん、陰でチームを支えるアナリストらにも浸透。天皇杯を争う東京六大学リーグや、大学日本一を決める全日本大学野球選手権でも誰一人としてフォア・ザ・チームの精神を忘れることはなかった。

大阪桐蔭→慶大野球部は史上初
 いまや、春秋連覇を視野に入れるチームを牽引する福井だが、当初は自らの意思で慶大を志望していたわけではなかったという。大阪桐蔭時代の恩師・西谷浩一監督に勧められ、慶大の関係者と話したことが福井の考えを大きく変えた。

 東京六大学野球や早慶戦について勉強していくうちに、同校の教えにある『独立自尊の精神』が「ひとつのことに捉われず、いろいろなことにチャレンジすることで、一度きりの人生がより面白くなる」という自身の考え方にマッチしていると気づいた。「慶應で野球をやってみたい」という思いは次第に強くなり、2度のAO入試の末に合格切符を掴んだ。

 少し意外だが、錚々たるOBを輩出する大阪桐蔭としては初のルートである。

 大学1年春からベンチ入りを果たした福井はそこから3年半で逞しく成長。堀井監督に「福井(章吾)の成長が、そのままチームの躍進に繋がった」と言われるほどの存在になった。

「もともとの性格からリーダーの役割を果たしていける生粋のリーダー。チームを引っ張る立場であることを負担に感じるどころか、『自分の力を発揮する場所だ』『自分のステージだ』とでもいうかのように、前向きな気持ちでやっている」(堀井監督)

 監督が感じる課題を察し、自ら提案してくることも多いと堀井監督は感心する。そればかりか、選手に一番伝わりやすいベストタイミングを狙ってチームに浸透させていくという。

 さらに大学3年春から正ポジションの座についたキャッチャーとしても、そのキャプテンシーをグラウンドの上で遺憾無く発揮する。ピンチの場面でも堂々としたボディランゲージとポジティブな声掛けでナインをまとめ、得点圏にランナーを背負いそうなシーンでは果敢に盗塁を刺す。緊迫した場面で打席に入る時には、応援のリズムに合わせた打撃動作を見せたこともあり、楽しむ余裕すら見せつける。どんな時も動じない強心臓は、大阪桐蔭時代からずっと変わらない。

「それこそ自分軸ではなくチーム軸という考え方です。前日にバッティングピッチャーをやってくれた同級生の顔や、徹夜してデータをとってくれたデータ班の顔、いつもサポートしてくれている監督やスタッフ、家族の顔を思い出したりすると、ちょっとやそっとのことでは引けないというか、そこで何かを体現したいという気持ちになります。それが前面的に出る気持ちの強さなのかなと思います」(福井)

 また、「野球に対する勉強量が多く、相手の心理やベンチの心理を吸収する姿勢がものすごく高い」(堀井監督)と、捕手として投手の力を最大限に引き出す能力にも磨きがかかった。打者として重要な場面で結果を残せる勝負強さも、地道な積み重ねで培ってきた。

アナリストになった妹・みなみ
 そんな福井にとって、今年は心強い“味方“が増えた。妹・みなみ(1年)が慶大に入学し、アナリストとして野球部に加わったのだ。

 センバツの21世紀枠を目指していた北野高校の野球部でマネージャーを務めたみなみは、スポーツ推薦枠のない慶大が、全国の強者が揃う東京六大学リーグで戦う姿に共感し、サポートしたいという気持ちを強く抱いたという。

「マネージャーとしてもっと選手の役に立ちたかった、という感覚のまま終わらせずに、大学でもまた野球部に貢献できたらいいなと思いました。兄が近くにいたことで、アナリストという仕事も知れたので、もう一度やってみようかなと」

 春の優勝は「兄がセンバツで優勝した時と同じく、夢のような気分でした」と特別な思いを抱いたが、それ以上に兄がまとめるチームの姿に魅せられている。

「慶大野球部には200人弱の部員がいますが、プレーはもちろん、人としてのレベルがすごく高いと感じました。何をするにも、いろいろな人から『ありがとう』という言葉が飛んできますし、誰に挨拶をしても笑顔で返してくれます。当たり前のようですごく大事なことをみなさんが徹底されている姿を見て『それは強いよね』と思いました」

 まだアナリストとして慣れない作業も多いが、だからこそ、自分の時間を削ってでも「チームの勝利のために」と数字を追う日々を続けている。

「データは選手のためにあるので、私たちアナリストがデータを出すことで自己満足するのではなく、選手を優先に考えて行動したいと思います」

 現在は基本的な投打成績に加え、打者の貢献度を測るQAB(クオリティー・アット・バット)や得点期待値、投手が3球で追い込んだ確率などのデータを扱う。最終学年になった時には、野球経験者が揃うデータ班が提出するような、より試合に直結する数値を扱える存在になりたいと抱負も教えてくれた。

兄妹で目指す“春秋連覇”
 妹とともに戦うことになったとはいえ、福井にとって今シーズンが大学ラストイヤーとなる。つまり、みなみと同じ時間を共有できるのもこの秋まで。明治神宮野球大会を制して実現する“春秋連覇”への思いは一層、高まっている。

「妹と一緒に戦う野球はこの秋が最後なので、アイツに『おつかれさま』と言ってもらえるよう頑張りたいです。今年のチームのテーマである『一戦必勝』を念頭に、『1試合ずつ強くなるぞ』という気持ちで戦い、結果的に連覇に繋げられたらいいなと思います」

 そんな兄の思いを妹はしっかりと受け止めている。

「兄は私の中で一番カッコイイ野球選手。1打席、1イニングでも長く兄の野球をしている姿を近くで見ていたいです。大学に入るまでは『頑張ってね』と言葉で伝えることしかできませんでしたが、今は同じチームにいるので役に立つことができるはずです」

 実は、みなみには忘れられない思い出がある。

 4年前の夏、家族とともに大阪桐蔭で春夏連覇を目指す兄を応援するため甲子園へ足を運んでいた。しかし、高校受験を控えていたみなみは、3回戦の仙台育英戦を前に塾へ行くために甲子園を離れた。勝利を信じて疑わなかったがゆえの行動だったが、結果はまさかのサヨナラ負け。

 大阪桐蔭が敗れたことも悲しかったが、何より最後の試合を現地で応援できなかったことへの後悔が、みなみの心にはずっと残っている。

「笑って学生野球を終わってほしいと思いますし、日本一のお兄ちゃんをもう一度見たいです。そのためにも私はチームのために自分の役割を果たしたいです」

 兄妹が力を合わせて“連覇”を目指す秋。その戦いは9月18日から始まる。

田中哲司×松田龍平が挑む伝説の舞台。ふた組の恋が今に何を響かせるか 『近松心中物語』キャストインタビュー【前編:忠兵衛&与兵衛】

初演は、42年前の1979年。戦後を代表する劇作家・秋元松代が、近松門左衛門の『冥途の飛脚』をベースに創作し、蜷川幸雄の演出で千回を超える上演が重ねられて、演劇界の金字塔と評された。その『近松心中物語』が、長塚圭史の演出で新たに立ち上がる。描かれるのは、境遇の違うふた組の男女の、心中へと追い詰められていく恋物語だ。今回はまず、その男側のふたりが登場。遊女・梅川を愛する忠兵衛役の田中哲司と、心中に憧れる妻・お亀に寄り添う与平衛役の松田龍平が、男の胸の内や、名作に挑む思いを語った。
哲司さんとの共演は「逆に警戒しています(笑)」(松田)
──舞台では、長塚圭史さん演出の『冒した者』(2013年)で共演経験のあるおふたりですが、お互いにどんな印象をお持ちですか。

田中 これはあくまでも僕の感覚なんですけど、役とか芝居へのアプローチの仕方が、僕とは全然違うところからくるなと思ったんです。芝居で絡んでみて気づいたのですが、独特のものがあってとても刺激になります。なので当時、ふたりで向かい合って座って長いセリフのやりとりをしたのが、すごく楽しかったんですよ。僕はあまりしゃべってなかったです(笑)。ほぼ龍平くんがしゃべってました。だから今回は、忠兵衛が与平衛に、梅川の身請けの手付金を借りに行くシーンでふたりでしゃべるので、そこが楽しみですね。

松田 『冒した者』ほんと楽しかったなぁ。あの舞台は今も自分の中に大きく残ってますね。哲司さんの佇まいとか、雰囲気に救われていました。実は、最後の通し稽古の途中、ふたりで向かいあってるシーンで、セリフが飛んじゃったんですけど、その時もめちゃくちゃスムーズに助けてもらって。

田中 そんなことあった? ちゃんと助けられた?

松田 はい(笑)。サラッと助けてもらったのを覚えてます。だから今回もまた助けてもらえるという安心感で、逆に、またセリフが出てこないみたいなことが起きるんじゃないかと思って、警戒してます(笑)。

「与平衛が龍平くんなので安心」(田中)
──前回共演されたのが三好十郎さんの戯曲で日本の名作でしたが、今回も伝説の舞台と言われているような名作ですね。

田中 この『近松心中物語』は、ニナガワカンパニーにいた僕にとっては、本当に敷居が高い作品です。本番の舞台を観たことはないのですが、やっぱり大きな存在なんですよね。しかも、その忠兵衛役をやるので、心して挑まねばならないなと思っています。ただ、与平衛が龍平くんなので安心であったりもします。ちょっと気弱な遊び人で、人に流される与平衛っていうのがすでに見えてくるので。今は、「よし、そっちは大丈夫だ、あとはこっちが頑張ればいい」という感じになれています。

松田 たくさんの人に愛されてる作品ですから、プレッシャーはありますが、面白くなるに違いないという期待を胸に、これから皆さんと作っていけたらと思っています。ただ、哲司さんが演じる忠兵衛の年齢が20代だって聞いて、大丈夫かなって、さっき話していたんですけど(笑)。

田中 (笑)。それを圭史くんに聞いて、そうか、若いから心中できるんだよな、若い命が散っていくから悲しいんだよなと思えるんです。当初それが頭になかったから、このまま稽古に入ってたら危ないところでした。だから、若さゆえっていうところを、動きとか感情の揺れで、ちゃんと出さなきゃいけないなと思いますね。それこそ歌舞伎でも有名な“封印切”のシーンなんかは、はっちゃけてウワーッと。

松田 オジサンが無理しちゃってる感じに見えないようにしないと(笑)。

田中 心中へ追い詰められる悲壮感にちゃんとつながるように演じなければと思っています。片や龍平くんの与平衛とお亀には、本当に笑える面白いシーンもあるよね。

松田 与平衛とお亀では温度差が面白いですよね。お亀は、与兵衛のことが好きで仕方ないと言う感じで、与兵衛は色々うんざりしちゃって、乞食にでもなって、自由に暮らすのも良いかもと思っていて。ふたりが心中に向かっていくところも、お亀のロマンチックモードに、なんとかついていってる感じで(笑)。 与平衛は心優しい真っ直ぐな男なんですけど、後先考えず「わかった」と言ってしまうんです。与兵衛は間違ったことはしていないように思うんだけど、なんか、ずれちゃってて。その感じがすごく魅力的なんですよ。

──ちなみに、それぞれのお相手となる、梅川役の笹本玲奈さん、お亀役の石橋静河さんの印象は?

田中 笹本さんは『ピーターパン』の主演でデビューされていて芸歴が長いですし。ミュージカル畑の方だから、どういう感じの芝居でこられるのか、ワクワクしてます。やっぱり思わぬものがきたほうが、予定調和よりも全然楽しいですからね。ふたりでどんなものが作れるか、本当に楽しみにしています。

松田 僕は石橋さんのことは、親の繋がりもあって小さい頃から知ってるんです。お亀と与兵衛も幼なじみなので、繋がるところがあるのは面白いですし、お芝居するのが楽しみです。

描かれていることは、今の時代とまったく変わらない(田中)
──身請けのお金が工面できない忠兵衛と、忠兵衛にお金を貸せる与平衛。この物語にはそうした境遇の違いが様々にあって、それを今の格差や貧富の問題につながるものとして描きたいと長塚さんはおっしゃっています。おふたりは、今にどんなものが届く芝居になると思われますか。

田中 ここに描かれていることは、今の時代とまったく変わらないですよね。忠兵衛は、何百両何千両のお金を扱う仕事をしていながら給料は少なくて、女のために使い込みを働いてしまう。だから、若さもそうですけど、遊女になるしかなかった梅川も含め、貧しいっていうことは強調して出していかないといけないなと思いますね。

松田 でも、現代で「心中」っていう言葉を聞くと、家族で無理心中。みたいなイメージがありますけど、この時代に、自由に恋愛をすることが出来なかった男女にとって「心中」は最後のチャンスだったのかもしれないですね。心中にポジティブ、みたいな(笑)。哲司さんは「心中」どうですか?

田中 絶対できない。だから、与平衛の感じはすごくわかります。お客さんも与平衛に共感する人が多いんじゃないかな。でも、龍平くんは、お亀の心臓を突かないといけない。そんなの一発で上手くいかないよね。

松田 なかなか死ねないみたいな(笑)。それ、芝居でやってみますか?

田中 稽古でやってみる価値はあるかも。笑いにならない程度に。

松田 圭史さんにすぐ「それいらないな」って言われそう(笑)。

──その長塚さんの演出は、いかがですか。

田中 厳しくもありやさしくもあり。

松田 圭史さんは鋭いんですよね、芝居してる時の気持ちが全部バレちゃう感じで。そうなると油断できないし、遅刻も出来ないし、話を聞いてないと怒られるからなー。

田中 そりゃそうでしょ(笑)。

松田 でも、今回嬉しいですね。これまで圭史さんとやった2作は、セットが椅子ばかりだったから(笑)。『冒した者』は音楽もなくて、すごい緊張感の中で芝居してたし。『イーハトーボの劇列車』は汽車の音を役者が奏でたり。今回はみんなで楽器で盛り上がったり、色々装置もあって。

田中 音楽もあるよ。それもスチャダラパーさんが作ってくれる音楽が。

松田 もうね、本当にありがたいです(笑)。

圭史さんの舞台をやると、また一歩踏み出すきっかけをもらえる(松田)
──松田さんにとって舞台出演は今回が5作目で、そのうちの3作が長塚さん演出の作品になりますが、舞台に出るときは何か決め手となるポイントがあるんでしょうか。

松田 舞台は大変ですよね。稽古を重ねて、本番が始まったら何があっても最後まで止まらないし。ちゃんとやり切れるのか、ビビっちゃいますね(笑)。でも、なんだかんだ、これはやらないと勿体ないぞっていう、そういう絶妙なタイミングで、いつも長塚さんに声をかけてもらってる気がしてます。

田中 しかも龍平くん、圭史くんの中でも大変な作品ばかりやってるよね。

松田 そうなんですね(笑)。でも、ほんと、稽古から本番にかけて、夢中になって。舞台を終えると、なんだか一歩踏み出せるような感じがあって。

──一方田中さんは、数え切れないほど舞台に出ておられます。その中でも、この作品はどんな存在になりそうでしょうか。

田中 僕も龍平くんと似たような、「これキツイなぁ。でもやるしかないよな」みたいなところはあります。

松田 ありますね。

田中 特に圭史くんは、大変な作品をやるときに声をかけてくれるので、ちょっと追い込まれる感じになるんですよね。『浮標』(2011年、12年、16年)も『冒した者』もそうでしたけど、その都度、この年齢になってもこういうことをクリアしなきゃいけないのかっていう気持ちになる。でも、これでまた大きくなれたらいいな、自信になればいいなと思ってやっています。だから今回も、あの忠兵衛をやれたんだ、55歳で20代の忠兵衛をやれたんだって(笑)、また自信になったらいいなと思っています。

堂本光一×井上芳雄、奇跡のタッグが再び! 「僕たちにできることはとにかくやり続けること」~ミュージカル『ナイツ・テイル-騎士物語-』製作発表会レポート
https://t.cn/A6IXeC2m

堂本光一(アーサイト役)

「世の中、まだまだ本当に落ち着かない中ではありますが、こうしてジョンがイギリスから来てくださった。この作品自体がジョンの愛で包まれた作品なんです。改めて台本を読んでいると毎日いろんな発見があって。ニューノーマルと言われているこの時代に沿った作品に感じております。僕自身もこのコロナ禍になってからコンサートや舞台作品をやってきましたが、何よりもお客様がその場所のルールを守ってくださって協力くださっている。我々としては、安心してステージに立てる環境を逆にいただいてしまっているような感覚です。そういった意味でも、たくさんの方の協力があって自分は今ステージに立てているんだなと感じておりますので、感謝を忘れずにいたいなと思います。周りを見渡せば本当に素晴らしい実力のあるキャストの皆さんです。いろんな意味で自分の気持ちを律してステージに立つことができたらなと感じております」

7名が挨拶を終えると、質疑応答の時間が設けられた。

ーーキャストの4人に質問です。再演の稽古に臨んでいる今、改めて感じる『ナイツ・テイル-騎士物語-』の根本的な魅力を聞かせてください。

堂本:千穐楽まで毎日必ず何か発見があるのは、3年前もそうだったんです。ジョンから言われたのは「千穐楽まで答えは見つからないはずだよ。でもそれでいいんだよ。毎日それを楽しんで」と。今稽古に入って、それらを乗り越えてきたいい意味での自信と、素晴らしいキャスト・スタッフに囲まれている安心もあって、3年前よりも落ち着いて稽古場にいることができているんです。その環境で台本を読んでみるとたくさん発見があります。前はそんな余裕なかったんですけれど、今自分の中で深堀りし始めて、それぞれの発見が面白くて。この時代に必要なメッセージがすごく入っているとも思います。僕ら(堂本と井上の役)は頑張れば頑張る程、「あの二人バカだなあ」となるコメディなんですけど(笑)、視点を変えてみると、昔のがんじがらめだった思想がいかにバカらしいか、そこが笑えてくる作品になっているんです。3年前にご覧になったお客様もいらっしゃると思うんですが、そういう方たちにも新しい発見があるんじゃないかなと思います。

ーー堂本さんと井上さんに質問です。エンターテインメントを通して思いを伝える役割のあるお二人から、全国の皆さんに向けて応援のメッセージをお願いします。

堂本:我々はエッセンシャルワーカーではないので、こういったイベントを開催することが良いのか悪いのか、それは日々葛藤でもあったりするんです。でもこういう状況だからこそ、心を豊かにしたいと思われている方がいるのは間違いないことで。泣く泣く観に行くことを断念する方もいると思います。でも今芳雄くんが言ったように、僕らとしては繋げていくことが大切だなとも思うんですよね。もちろん、止めてしまう覚悟というのも今は持っていないといけない。何としてでもやるという気持ちではいけないと思っています。そのバランスがすごく大事なときだなと。とにかく僕たちは繋げていきたいなと感じております。たくさんの方の協力をいただいて、大事にやっていきたいです。

会見の直後には、フォトセッションを挟んで囲み取材が行われた。囲み取材には、堂本、井上、音月、上白石の4名のキャストが登壇。直前まで行われていた緊張感ある会見とは打って変わって、リラックスした雰囲気の笑いの絶えない時間となった。

ーー久しぶりに4人が顔を合わせたときはどんな印象でしたか?

堂本:久しぶりという感覚はあんまりなくて。萌音ちゃんがリモートで繋いでくれていたので、萌音ちゃんの功績が大きいと思います。

井上:今回の稽古に入る前にも久しぶりにリモート飲みをしたので、顔を合わせたような気はしていますね。

堂本:初演のときは本当に大変で、全体像が見えない中でもうすぐ初日というのを乗り越えてきた仲間たちなので、その信頼と自信があります。今稽古で女性陣のシーンを見ていると、3年前も同じことを思ったんですけど、完璧にやっているんですよね。

井上:女性陣は準備がちゃんとしていますよね。

堂本:それを見てちょっとイラッとして(笑)。また僕たちに見せつけてきやがったって(笑)。

井上:僕たちは3年間全然成長がないってことですね(笑)。

堂本:いい意味で乗り越えてきたみんなとの信頼関係というのがすごく厚くなっています。「この作品を良くしよう」「コロナ禍でできる最善を尽くしていこう」という想いが溢れていて、すごく幸せな空間だなあと。

井上:本当その通りだと思います。新しいキャストも自然と楽しそうに稽古していて、それはジョンのおかげが大きいと思います。キャスト同士の繋がりが3年経っても強くて、さらに深まっているというのは本当に珍しいこと。普通、公演中は仲が良くても1年経つと音信不通になるというか、それがカンパニーの常なんです(笑)。でもこの作品は再演が決まっていたこともあったかもしれないですけど、萌音ちゃんのお陰もあって。

堂本:この3年間で一番はねたのが萌音ちゃんだと思うので、そんな萌音ちゃんが僕らを見捨てないでいてくれたっていうのがね。

井上:確かに! ヒヤヒヤしたよねえ〜。萌音ちゃんが変わってたらどうしようって(笑)。

音月:グループLINEから途中退出していたらどうしようってね(笑)。

井上:でも全然変わらず。今も会見の直前に「緊張しますねえ」って言ってて、「あ、まだ萌音ちゃん緊張するんだな」って(笑)。

上白石:私がどうなったと思っているんですか!(笑)

井上:何も動じない、何の心もない、みたいになっていないかなと思っていたけど全然(笑)。だから奇跡のカンパニーだなと思います。

上白石:私はこの作品もカンパニーも本当に大好きで、リモート飲みも楽しいし、個々で連絡を取り合っているときに皆さんが「リモート飲みやりたいな」とおっしゃっていたのでこれはやらなきゃなと(笑)。本当に離れていても同じ場所を向いているってすごく心強いことですし、稽古場で顔を合わせたら本当に全然変わらない空気感があって、座長のお二人もこれだけの大スターなのに、何か全然……。

井上:オーラがない? ただの40代のおじさん? 夕方になるとボーッとしてるなみたいな?(笑)

堂本:おじさんたち疲れちゃってるんだよね。眠くなっちゃうんだよねえ。

上白石:(笑)。変な圧がなくて、どちらかというと脱力系の座長お二人で、全然嫌な緊張感がないんです。みんなが新しいことややってみたいことに挑戦できるお稽古場なので、そういう空気感を作ってくださる脱力系騎士のお二人です。

井上:それ(脱力系騎士)すごい弱そうだよ(笑)。

上白石:ステージに立つと本当に別人のようになられるので、勉強させてもらっているんです。毎日大好きな人たちと顔を合わせられるということで、元気いっぱいです!

ーー音月さんも、座長のお二人が温かい雰囲気を作っているとおっしゃっていましたが。

音月:私たちが稽古をしているときに、お二人の椅子を見たら同じ角度で二人共「スン」ってスイッチがお切れになっていらっしゃるんです(笑)。

堂本:あのねえ、最近3時くらいになるとすごく眠くなるのよ。

井上:時差ボケみたくなっちゃうんだよね。

音月:そういうところまでリンクしているんだなという、夫婦感(笑)。だからすごく私たちは伸び伸びとお稽古場にいます。萌音ちゃん企画のリモート飲みも私は仕事で1時間以上遅れちゃったんですけど、島田歌穂さんが「桂ちゃん! まだやってるから入っておいで!」と連絡をくれて待っていてくださって。岸(祐二)さんがよく面白い発言をされるんですけど、それを光一さんはいつも優しく「ハハハ」って笑っていて、芳雄さんがスパルタでツッコむみたいな感じの図がすごく懐かしくて(笑)。

井上:(ツッコむのは)しょうがなくですよ? 盛り上げるために。今日は岸さんどうしたんですか? 呼ばれてないんだ? 岸さん、今多分すごく怒っていると思います(笑)。

音月:こういう空間がすごく心地良いんです(笑)。

堂本:これは多分ジョンが作る空気感だと思うんですけど、他の人が稽古をしている間もみんなが楽しんで稽古を見ているんですよ。それは素敵な空気感だなあって。稽古場だけど素敵な空気感のあるカンパニーですね。

ーー堂本さんと井上さん、お互いの印象で改めて変わったことがあれば教えてください。

堂本:二つのものがすごく共存しているんです。僕が持っていないものを持っているので、そこは任せればいいやという安心感。あとはステージに立つという部分では実力者なので、うかうかしていると大パンチ食らっちゃうなという緊張感。だから「よし頑張ろう!」って思えるんですよ。そう思えるってすごく幸せなんですね。ずっとその感じが続いています。

井上:ありがたいですね。元からわかっていたことなんですけど、やっぱりスターなんだなって改めて思います。普段は隣をパッと見たら寝ているということもあるんですけど(笑)。常に自分を更新し続けていっているアーティストであり大スター。でも一緒にいるときはだれよりもシンプルというか素朴というか、飾りっ気がないんですよね。ステージ上に立っている光一くんと普段の光一くんのギャップがすごいんですけど、それがスターなんだなって年々思います。今久しぶりにやってみて、3年前よりエネルギッシュにいろんなことをしているんだなとも。今もコンサートをやりながら他の作品の演出もやって、自分の稽古もやっている。光一くんの役割が増えてそれを嬉々としてやっていて、その結果ちょっと夕方に眠くはなっていますけど(笑)、それくらいフル回転していてエネルギッシュにやっているなって。

堂本:一緒に寝てるじゃな〜い(笑)。

井上:僕なんかはこの稽古しかやってないのに寝てますけど(笑)。今の光一くんには、エネルギッシュさを感じますね。すごいなあ、更新してるなあって思います。

取材・文=松村蘭(らんねえ)


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