【DIVOC-12】Interview 1/2

チャンスは自分から作っていくしかない 藤原季節

歩の年表を埋めたり衣装を着て生活することで余白をひとつひとつ埋めていった

――今作に参加されたきっかけを教えてください。

藤原 僕がW主演を務めた短編映画『中村屋酒店の兄弟』(20)が、「東京学生映画祭」というコンテストでグランプリをいただいたんですが、そのときの審査員が三島有紀子監督で、そこでご挨拶させて頂いたことがありました。いつか三島監督の作品に出演したいと思っていたので、この作品のお話をいただいたときはうれしかったですね。

――実際に作品をご覧になって、いかがでしたか?

藤原 この作品は世界の片隅で誰にも知られず生きている人たちが出会う物語だなと思っています。その人たちを取り巻く環境は閉塞しているけど、こういった状況を出会いという物語で打ち倒すんだという気概というか、気持ちにあふれた映画になっていて。現実を厳しく見つめながらも、物語にロマンを持っている三島監督だからこそ撮れた作品だと思いました。他の『DIVOC-12』の作品とはいい意味で全然似ていなくて、この作品に出演できて本当に幸せです。

――短編だけに余白が多く、説明されない部分も多かったと思います。

藤原 台本から読み取れることは本当に少なかったです。三島さんと初めて打ち合わせをしたときに、主人公の歩という人物に何があったのかが書かれた年表みたいなものをもらって、「どんどん自分で埋めていっていいから」と言われて。衣装が決まってからは普段から歩の衣装を着て生活させてもらって、歩という人物を自分の中に馴染ませていきました。最初に本を読んだ段階では余白の部分が多くて、「なぜこのセリフになってるんだろう」と簡単には結びつかなかったので、三島さんと相談しながら一つ一つ埋めていった感じです。

――それを演技で伝える難しさはありましたか?

藤原 画面の向こう側にどう届けるかというのは、監督や見てくださるお客さんにゆだねた部分は大きいです。自分自身がリアリティーを感じ、それを信じることが大切だと思いました。一つ一つ、目に見えないものを埋めていくことでようやく信じる気持ちが強くなっていくというか。自分の中でそういうものが弱いと、自分の存在は正解なのだろうかみたいな気持ちになって、立っているだけで不安になるような気がします。それを埋めていくことで初めて、現場に立っても怖くなくなるのかなと思っています。

――改めて三島監督の印象をお聞かせください。

藤原 現場でも、われ先に行くというか、誰よりも率先して傷つきにいく姿を見せてくださいます。三島さんが撮った『ぶどうのなみだ』(14)という映画は、大泉洋さん演じるアオがもがき苦しみながらやっと一本のワインを誕生させるという物語なんですけど、その主人公を地で体現している監督というか。10分の映画を撮るためにここまで魂を削っているんだなというのを間近で見せて頂きましたね。感受性が豊かな方ってたくさんいらっしゃると思うんですけど、三島さんは感受性がせき止められずにあふれ出ちゃっている感じです。

――共演した富司純子さんに対する印象を教えてください。

藤原 去年の緊急事態宣言中に、家でずっと高倉健さんの映画を見ていたんです。その中で富司さんが主演を務められている作品もあって、「この女優さん素晴らしいな」と思っていた矢先のことだったので、体が震えました。そんな伝説の方とご一緒できるんだ、と思って。でも実際にお会いするとすごく優しい方でした。完成した映画を見たときに一番驚いたのは、富司さんがあまりに軽やかに演じられていたことです。懸命さやひたむきさという分かりやすいことはさておき、もっともっとリアリティーを持って生活されていて。必死に生きていて、辛くて辛くてという人が何かを変えようとする映画じゃなくて、たくましく生きているけど「焼肉食べたい、ハーゲンダッツ食べたい」と思ったときに、人生を変えようとするっていうのはこの作品っぽいなと思いました。

一つの作品を通過するたびに大切な出会いが増えている

――富司さん演じる冬海さんと出会ったことで、歩が生き生きしてきたように思えました。

藤原 お金だとか目に見えるもの……、そういうものでしか大切なことを語れなくなっちゃっていたんだろうなと思います。僕もこの1年間でそうなってしまいそうだったんですけど、そのたびにこういう作品が人間らしいところに引き戻してくれている感じがしました。だから多分、歩にとっては冬海さんがまさにそういう存在だったのかな。大切なものはそれだけじゃないんだよと、心というものを取り戻すきっかけになったんだと思います。

――出演が発表されたときに、「この作品のことを思い出そうとすると頭が真っ白になります」とコメントされていたのも印象的です。

藤原 この作品のタイトルが入る場面を撮ったときに、余計なことは何も考えられなくなりました。自分自身がこの物語にすごく救われているんだなと思ったんです。それまで悶々とした生活を送っていて、携帯とかテレビから入ってくるいろいろな情報に自分自身が踊らされて、アタフタして暮らしていたんです。でも、あの海に立った瞬間だけは冬海さんの姿しか見えなかったので、そこに向かって駆け出していくときは、開放感に満ち溢れていました。三島さんが泥だらけになりながらそういう環境を与えてくださって、本当に頭が真っ白になるような感覚でしたね。たった2日間の撮影であそこまでひとつの役に入れ込んだことは初めてかもしれないですし、仮に撮影期間の長い作品であっても、現場に入る前に10日間役として生活するというのはやったことがなかったので、不思議な体験でした。この作品に自分自身が何かを懸けて臨んでいたな、と思います。

――『よろこびのうた』が伝えたいテーマは何だと思いますか?

藤原 言葉にするとちょっと簡単に聞こえてしまうかもしれないんですけど、不安や喜びを分かち合うということ。生きていると、一緒にいることでより悲しくなったりとか、よりうれしくなったりすることもありますよね。この人と出会わなければこんな苦しい思いをせずに済んだのにと思いつつ、この人と過ごしたから自分は豊かさを知ることができたなという。豊かさを知るのは痛みを伴うことだと思うんですけど、それがまさに歩にとって冬海さんと経験したことで、その後のカラオケのシーンでは涙が止まらなくなる。知らなくてもよかったかもしれないんですけど、僕は歩にとって必要な時間だったのかなと思いました。実はあのカラオケのシーン、ザ・ブルーハーツを歌っているんですよ。三島さんと一緒に決めたんです。

――歩が冬海さんに出会ったように、今までの人生で藤原さんにとって印象的な出会いはありますか?

藤原 たくさんありましたね。この映画でいえば冬海さん、三島監督との出会い、あと『DIVOC-12』には12本の映画が集まっていて、同世代の俳優や新しい監督たちともたくさん出会うことができました。僕の人生でいえば、二十歳のときの松田美由紀さんとの出会い、『his』(20)という映画で宮沢氷魚という男に出会ったこと、『佐々木、イン、マイマイン』(20)の細川岳。一つの作品を通過するたびに大切な出会いがどんどん増えている感じがします。逆にそれがあるから続けていられるのかもしれません。

――具体的にお名前があがった松田さんと宮沢さんとの出会いは、藤原さんにとってどんな出来事だったのでしょうか。

藤原 最近『his』を見直したんですけど、宮沢くんは一滴の涙も流さずに悲しみを表現していたんだなと思ったんです。なんて正々堂々と演技する人だろう、とすごい発見でした。一方の僕は、すべてのシーンでめそめそ泣きそうな感じで芝居していたんですけど、それを包むように宮沢くんは演技してくれたんだなと思って。撮影が終わって数年経って、こんなに支えてもらっていたんだなと彼の優しさに改めて気づきました。あんな俳優になりたいという意味でもすごく尊敬しています。高倉健さんの映画にハマっているときは、彼の家の前に「高倉健さんの映画観て」と置き手紙したこともありました(笑)。美由紀さんは僕にとって、唯一怒ってくれる存在。僕が熊本の天草で撮影していた「のさりの島」という映画の現場に会いに来てくれたこともあります。言葉では尽くせない恩がありますね。

https://t.cn/A6M6b0Pd

整理了一些目前开了的导航语音,注意这个是罗玛尼单人的不是和玛修的双人,而且并不完整,比如礼拜一到礼拜五的限定语音前几天太忙了我就没时间开……之后会翻译一下整理到lof上,有新的也会更新的,如果有补充也欢迎[悲伤]

ボクはロマニ・アーキマン。みんなからは略してドクターロマンと呼ばれている。キミも遠慮なく呼んでくれていいよ。

あははっ、く、くすぐったいな。キミのスキンシップは独特だね…嫌いじゃないけど…

ふぁぁ……キミの体力はデータ以上だね……ボクのためにも……休憩してくれるとありがたいかも……

やあやあ、今日も出かけるのかい?もちろん。ボクもついていくよ。

今日は土曜日か、こういう日はゆっくり過ごして日頃の疲れを癒したいね

ゆるやかな旅路……いい……実に平和でいい……仕事は山ほどあるけど、帰ったら誰かが片付けてくれるという、根拠のない安心感すら覚えるよ

カルデアのみんなにお土産買っていく?というか、買わないと後でどうなることやら……

せっかく二人きりなんだ。旅路を共にする者同士、交友を深めようじゃないか

そういえば、ダ・ヴィンチちゃんがナビアプリを作るって息巻いていたよ。ボクのせっかくの仕事が奪われちゃうなあ

キミの健康管理はボクの仕事だからね、不調が出たらすぐに言うんだよ。わかった?

いやー、こうしてのんびりと景色を見ながら移動ができるなんて最高だよ。やっぱり、ゆとりは必要だね

もし道中厄介ごとに巻き込まれたら、考えすぎない方が楽だよ。ボクはこの思考で、たいていの難問やトラブルをやり過ごしてきたからね

どうせいつやろうと、仕事は山積みなんだ。こうなったらキミの行きたいところまでとことん付き合うよ

……ハッ!? い、いや、なんでもないよ!そうだ、あんなところにマーリンがいるわけない、気のせいだ、気のせい……

今度はカルデアのみんなも連れていきたいね。きっと想像もつかないほど騒がしくて、楽しい旅になるんじゃないかな

ウソだろ、このタイミングでマギ☆マリの更新……!?すす、少しだけ待っててくれ……!

カルデアを発つ前、みんなから羨ましがられたよ……今ごろ寂しがってるだろうし、帰ったら土産話をしてあげるといいよ

ようし!夏だ!海だ!そして!ボクは変わらず仕事だ!

今日は日曜日だね。せっかくだしちょっと遠出して美味しいものでも食べに行く?

ぜェ……ぜェ……自慢じゃないけど、ハードなデスクワークですでに体はボロボロ……!ちょっと歩いただけでご覧の有様さ……!

歩きながらの道案内って、なかなかしんどいな……!カルデアに帰ったらもう少しちゃんと運動しようかな……

ふう、ちょっと疲れたな……でも、キミやマシュ達は、普段この何倍も過酷な道を歩いているんだもんね、こんなところで音を上げられないな

こういう時間もいいものだね。キミさえよければ、また誘ってほしいな

周囲の状況を確認してから操作を行うように。怪我とかしたら大変だからね

え、もう出発かい?まま、待ってくれ!まだ準備が……あーもう仕方ない!出たとこ勝負だっ!

名残惜しいけど、今日の旅はここまでみたいだ。まだボクの案内が必要だったら、遠慮せず呼んでおくれよ

おっと、外を出歩くときはちゃんと前を見ないと。キミに怪我でもされたら各方面から文句が飛んでくるからね……ボクのためにも頼むよ

そんなに急かさなくても、いつでも出発の準備は出来ているよ。キミと出かけるの、ボクも楽しみにしていたからね

よし、目的地に向かってどんどん進むぞー! なーに、ボクも大人だからね、これくらいでへばったりしないさ!

たまにはこうやって身体を動かすのも気持ちいいね。たまにはだけど

おーい、大丈夫かい? もしかして、何かトラブルでも起きているのかな……

あ、歩いても歩いても目的地が見えない……あとどれくらい歩くんだっけ……いや! やっぱり聞きたくない!

いつかボクの買い物にも付き合っておくれよ。とびきりの和菓子屋を紹介するよ

もしかしてキミも徹夜コースかい?なら、ボクも同じだね。よし、一緒に乗り越えようじゃないか

おぉ、今日もキミに会えるとは。いい一日になりそうだ

仕事がぜんっぜん終わらない!……よ~し、いったんマギ☆マリのブログでも覗いて心を落ち着かせよう

画面を見るときは必ず周りを気を付けるんだよ? 人間の視野はそんなに広くはないし、何が起こるかわからないからね

あれ、どうしたんだい。何か考え事かな? 何かあったら相談してね

シミュレーターばかりは飽きただろう?そろそろ実戦に出ても良い頃合いだと思わないかい?

ふー、何事もなくてよかった……ダ・ヴィンチちゃんに怒られなくてすむよ……

あまり夜更かしはしちゃダメだよ?キミがマスターだからとか関係ないさ。医者の端くれとして心配してるんだよ

キミはこんな時間まで大変だね……よし、ボクもダ・ヴィンチちゃん特製のちょっと怪しいエナジードリンク片手に頑張るよ

こらこら、歩きながらの操作は危ないよ? どこにきけんが潜んでいるかわからないからね、周りにはしっかり気を付けること

おや、ここは……ああいや、実はボクもここに興味があったんだ。奇遇だね

しまった…このペースだよ、次の会議には間に合わないな…ま、まぁ、少しくらいの遅刻は許されるよ、きっと

日本には色々と縁があってね。機会があれば、ボクのオススメの場所も案内させてほしいな

こういったナビゲーションに関してはボクはまだ未熟だ。キミと一緒に成長させておくれ

カルデアに昼夜は関係ないからね

大分遅い時間だね。なるべく明るい道を選んで進もう

遅い時間までご苦労様。疲れは平気かい?この後もまだ運転するなら、無理はせず一度休憩したほうがいいかもね

う……徹夜明けにこの道のりはキツいかも…3キロメートル先を……

……実は出発前、マシュから差し入れを託されていたんだ。後で食べないかい?ここから1キロメートル先……

英霊には旅慣れた者も多いからね。今度、彼らにも助言をもらったらどうだい?あと900メートル……

……あれ?あっちの道の方が近かったかな……?まあ、誤差みたいなものだね!あと900メートル先……

旅はいいよね。自分で見聞きするものは、手に入る情報が段違いだから。およそ900メートル先……

ボクばっかり喋って退屈じゃないかい? もしよかったらキミの話も聞かせてほしいな。ここから700メートルを……

ここによっておきの和菓子があるんだけど、食べる?マシュたちには内緒だよ。ここから700メートル先……

準備はいいかい?ここからはキミの戦いだ。700メートル先を……

カルデア医療部門トップの権限をもって命じる!今すぐ休憩を……まだダメ?ちぇ……およそ600メートル先……

ックシュン!……むぅ。さてはまた誰かがボクのうわさ話をしているな……?およそ600メートル先……

明確に目的地に近づいていることが分かるっていいよね。ゴールがわからない旅は大変だからね……。この先500メートルを……

あはは、サボってるように見える?これでも全力なんだけどなぁ…およそ500メートル先……

間違えたっていいんだ。それが旅の醍醐味だからね。気楽に行こうよ。およそ400メートル先……

定時連絡終了。皆、君の帰りを今か今かと待ちわびているよ。およそ400メートル先……

手短に行くよ?大丈夫、キミならできるさ!あと300メートル先を……

音声案内を終了するよ。報告書は後でいいから、まずはゆっくり休んでくれ

田中哲司×松田龍平が挑む伝説の舞台。ふた組の恋が今に何を響かせるか 『近松心中物語』キャストインタビュー【前編:忠兵衛&与兵衛】

初演は、42年前の1979年。戦後を代表する劇作家・秋元松代が、近松門左衛門の『冥途の飛脚』をベースに創作し、蜷川幸雄の演出で千回を超える上演が重ねられて、演劇界の金字塔と評された。その『近松心中物語』が、長塚圭史の演出で新たに立ち上がる。描かれるのは、境遇の違うふた組の男女の、心中へと追い詰められていく恋物語だ。今回はまず、その男側のふたりが登場。遊女・梅川を愛する忠兵衛役の田中哲司と、心中に憧れる妻・お亀に寄り添う与平衛役の松田龍平が、男の胸の内や、名作に挑む思いを語った。
哲司さんとの共演は「逆に警戒しています(笑)」(松田)
──舞台では、長塚圭史さん演出の『冒した者』(2013年)で共演経験のあるおふたりですが、お互いにどんな印象をお持ちですか。

田中 これはあくまでも僕の感覚なんですけど、役とか芝居へのアプローチの仕方が、僕とは全然違うところからくるなと思ったんです。芝居で絡んでみて気づいたのですが、独特のものがあってとても刺激になります。なので当時、ふたりで向かい合って座って長いセリフのやりとりをしたのが、すごく楽しかったんですよ。僕はあまりしゃべってなかったです(笑)。ほぼ龍平くんがしゃべってました。だから今回は、忠兵衛が与平衛に、梅川の身請けの手付金を借りに行くシーンでふたりでしゃべるので、そこが楽しみですね。

松田 『冒した者』ほんと楽しかったなぁ。あの舞台は今も自分の中に大きく残ってますね。哲司さんの佇まいとか、雰囲気に救われていました。実は、最後の通し稽古の途中、ふたりで向かいあってるシーンで、セリフが飛んじゃったんですけど、その時もめちゃくちゃスムーズに助けてもらって。

田中 そんなことあった? ちゃんと助けられた?

松田 はい(笑)。サラッと助けてもらったのを覚えてます。だから今回もまた助けてもらえるという安心感で、逆に、またセリフが出てこないみたいなことが起きるんじゃないかと思って、警戒してます(笑)。

「与平衛が龍平くんなので安心」(田中)
──前回共演されたのが三好十郎さんの戯曲で日本の名作でしたが、今回も伝説の舞台と言われているような名作ですね。

田中 この『近松心中物語』は、ニナガワカンパニーにいた僕にとっては、本当に敷居が高い作品です。本番の舞台を観たことはないのですが、やっぱり大きな存在なんですよね。しかも、その忠兵衛役をやるので、心して挑まねばならないなと思っています。ただ、与平衛が龍平くんなので安心であったりもします。ちょっと気弱な遊び人で、人に流される与平衛っていうのがすでに見えてくるので。今は、「よし、そっちは大丈夫だ、あとはこっちが頑張ればいい」という感じになれています。

松田 たくさんの人に愛されてる作品ですから、プレッシャーはありますが、面白くなるに違いないという期待を胸に、これから皆さんと作っていけたらと思っています。ただ、哲司さんが演じる忠兵衛の年齢が20代だって聞いて、大丈夫かなって、さっき話していたんですけど(笑)。

田中 (笑)。それを圭史くんに聞いて、そうか、若いから心中できるんだよな、若い命が散っていくから悲しいんだよなと思えるんです。当初それが頭になかったから、このまま稽古に入ってたら危ないところでした。だから、若さゆえっていうところを、動きとか感情の揺れで、ちゃんと出さなきゃいけないなと思いますね。それこそ歌舞伎でも有名な“封印切”のシーンなんかは、はっちゃけてウワーッと。

松田 オジサンが無理しちゃってる感じに見えないようにしないと(笑)。

田中 心中へ追い詰められる悲壮感にちゃんとつながるように演じなければと思っています。片や龍平くんの与平衛とお亀には、本当に笑える面白いシーンもあるよね。

松田 与平衛とお亀では温度差が面白いですよね。お亀は、与兵衛のことが好きで仕方ないと言う感じで、与兵衛は色々うんざりしちゃって、乞食にでもなって、自由に暮らすのも良いかもと思っていて。ふたりが心中に向かっていくところも、お亀のロマンチックモードに、なんとかついていってる感じで(笑)。 与平衛は心優しい真っ直ぐな男なんですけど、後先考えず「わかった」と言ってしまうんです。与兵衛は間違ったことはしていないように思うんだけど、なんか、ずれちゃってて。その感じがすごく魅力的なんですよ。

──ちなみに、それぞれのお相手となる、梅川役の笹本玲奈さん、お亀役の石橋静河さんの印象は?

田中 笹本さんは『ピーターパン』の主演でデビューされていて芸歴が長いですし。ミュージカル畑の方だから、どういう感じの芝居でこられるのか、ワクワクしてます。やっぱり思わぬものがきたほうが、予定調和よりも全然楽しいですからね。ふたりでどんなものが作れるか、本当に楽しみにしています。

松田 僕は石橋さんのことは、親の繋がりもあって小さい頃から知ってるんです。お亀と与兵衛も幼なじみなので、繋がるところがあるのは面白いですし、お芝居するのが楽しみです。

描かれていることは、今の時代とまったく変わらない(田中)
──身請けのお金が工面できない忠兵衛と、忠兵衛にお金を貸せる与平衛。この物語にはそうした境遇の違いが様々にあって、それを今の格差や貧富の問題につながるものとして描きたいと長塚さんはおっしゃっています。おふたりは、今にどんなものが届く芝居になると思われますか。

田中 ここに描かれていることは、今の時代とまったく変わらないですよね。忠兵衛は、何百両何千両のお金を扱う仕事をしていながら給料は少なくて、女のために使い込みを働いてしまう。だから、若さもそうですけど、遊女になるしかなかった梅川も含め、貧しいっていうことは強調して出していかないといけないなと思いますね。

松田 でも、現代で「心中」っていう言葉を聞くと、家族で無理心中。みたいなイメージがありますけど、この時代に、自由に恋愛をすることが出来なかった男女にとって「心中」は最後のチャンスだったのかもしれないですね。心中にポジティブ、みたいな(笑)。哲司さんは「心中」どうですか?

田中 絶対できない。だから、与平衛の感じはすごくわかります。お客さんも与平衛に共感する人が多いんじゃないかな。でも、龍平くんは、お亀の心臓を突かないといけない。そんなの一発で上手くいかないよね。

松田 なかなか死ねないみたいな(笑)。それ、芝居でやってみますか?

田中 稽古でやってみる価値はあるかも。笑いにならない程度に。

松田 圭史さんにすぐ「それいらないな」って言われそう(笑)。

──その長塚さんの演出は、いかがですか。

田中 厳しくもありやさしくもあり。

松田 圭史さんは鋭いんですよね、芝居してる時の気持ちが全部バレちゃう感じで。そうなると油断できないし、遅刻も出来ないし、話を聞いてないと怒られるからなー。

田中 そりゃそうでしょ(笑)。

松田 でも、今回嬉しいですね。これまで圭史さんとやった2作は、セットが椅子ばかりだったから(笑)。『冒した者』は音楽もなくて、すごい緊張感の中で芝居してたし。『イーハトーボの劇列車』は汽車の音を役者が奏でたり。今回はみんなで楽器で盛り上がったり、色々装置もあって。

田中 音楽もあるよ。それもスチャダラパーさんが作ってくれる音楽が。

松田 もうね、本当にありがたいです(笑)。

圭史さんの舞台をやると、また一歩踏み出すきっかけをもらえる(松田)
──松田さんにとって舞台出演は今回が5作目で、そのうちの3作が長塚さん演出の作品になりますが、舞台に出るときは何か決め手となるポイントがあるんでしょうか。

松田 舞台は大変ですよね。稽古を重ねて、本番が始まったら何があっても最後まで止まらないし。ちゃんとやり切れるのか、ビビっちゃいますね(笑)。でも、なんだかんだ、これはやらないと勿体ないぞっていう、そういう絶妙なタイミングで、いつも長塚さんに声をかけてもらってる気がしてます。

田中 しかも龍平くん、圭史くんの中でも大変な作品ばかりやってるよね。

松田 そうなんですね(笑)。でも、ほんと、稽古から本番にかけて、夢中になって。舞台を終えると、なんだか一歩踏み出せるような感じがあって。

──一方田中さんは、数え切れないほど舞台に出ておられます。その中でも、この作品はどんな存在になりそうでしょうか。

田中 僕も龍平くんと似たような、「これキツイなぁ。でもやるしかないよな」みたいなところはあります。

松田 ありますね。

田中 特に圭史くんは、大変な作品をやるときに声をかけてくれるので、ちょっと追い込まれる感じになるんですよね。『浮標』(2011年、12年、16年)も『冒した者』もそうでしたけど、その都度、この年齢になってもこういうことをクリアしなきゃいけないのかっていう気持ちになる。でも、これでまた大きくなれたらいいな、自信になればいいなと思ってやっています。だから今回も、あの忠兵衛をやれたんだ、55歳で20代の忠兵衛をやれたんだって(笑)、また自信になったらいいなと思っています。


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