#木村拓哉[超话]#木村拓哉主演『Believe-君にかける橋-』、濱田龍臣、一ノ瀬ワタルら追加キャスト11名発表

4月25日スタートする木村拓哉主演ドラマ『Believe-君にかける橋-』(テレビ朝日系/毎週木曜21時)の追加キャストとして、濱田龍臣、一ノ瀬ワタル、岩谷健司、市川知宏、尾上寛之、持田将史(s**t kingz)、澤井梨丘、近藤公園、片山友希、小野武彦、賀来千香子の出演が発表された。

木村拓哉主演「Believe-君にかける橋-」
テレビ朝日開局65周年記念作品として制作される本作では、橋づくりに情熱を燃やす狩山陸(木村)が《刑務所に収容される》という《思わぬ困難》に見舞われながらも、決して諦めることなく《希望と再生の道》を模索。《まるで先の読めない手に汗握るサスペンス》と《スリリングかつ心に染み渡る人間ドラマ》が交錯する《壮大な物語》を紡いでいく。

濱田龍臣・一ノ瀬ワタル・持田将史、“とんでもなくヤバい受刑者”熱演
18日には竹内涼真、山本舞香、一ノ瀬颯、北大路欣也(特別出演)、上川隆也(友情出演)、斎藤工、小日向文世、天海祐希ら、豪華キャスト陣の参戦も発表され、大きな話題を呼んだ本作。そんな中、濱田龍臣、一ノ瀬ワタル、岩谷健司、市川知宏、尾上寛之、持田将史(s**t kingz)、澤井梨丘、近藤公園、片山友希、小野武彦、賀来千香子と個性豊かな実力派11人の出演が解禁された。

受刑者からも恐れられる区長・林一夫(上川)が目を光らせる「国立刑務所」の処遇部門第3区に、わけあって収容されてしまう主人公・狩山。しかも、彼は《とんでもなくヤバい3人の同房者》と日夜を共にすることになる。子役時代から圧倒的な演技力に定評のある濱田が演じるのは、どこまでも暗く謎めいた影をまとう殺人未遂犯・野口ヒロト。オファーを受けた際は「受刑者役は今回が初めてで、すごく緊張していた」という濱田が、「他の受刑者たちとは違うヒロトの背景や思いと、狩山さんと同室に収容されることによって変化していくヒロトの思いを、皆様にお届けしたい」と意気込み、複雑なバックグラウンドを隠し持つ難役に挑む。

また、話題のNetflix作品『サンクチュアリ -聖域-』(2023年)で一躍脚光を浴びた一ノ瀬は、妙に頭が切れるからこそ厄介な特殊詐欺犯・灰谷耕太を力演。「木村さんがとにかくカッコよくて優しくて面白くて、現場は本当に楽しかったです。カメラが回ってないときは、僕らの103房室はまるで修学旅行の部屋みたい」と尊敬する木村に頬を緩ませる一ノ瀬だが、劇中ではのっけから狩山に鋭い牙をむいていく。

そして、親分である灰谷と共に、狩山を容赦なく打ちのめそうとする超凶暴な強盗犯・赤塚力を演じるのは持田。『半沢直樹』(2020年)やNHK連続テレビ小説『エール』(2020年)への出演を皮切りに、俳優としても注目を集め続ける持田が「木村さんと一緒にお芝居ができる日が来るなんて、夢のようでした! 素晴らしいスタッフ・キャストの皆さんと一緒にお芝居ができるのは、何よりも幸せです!」と声を弾ませた。

さらに、「国立刑務所」には要注意人物たちが。新時代のバイプレーヤーとして名を馳せる尾上が演じるのは処遇部門第3区の主任刑務官・宇崎誠吾、そしてベテランにして名バイプレーヤーの小野が演じるのは殺人未遂罪で服役中の元小学校教師・小野俊夫。2人はどんな形で狩山と関わっていくのかドラマ本編で明らかとなる。

岩谷健司・市川知宏ら“濃密な人間ドラマ”を展開
刑務所の外の人物も実力のあるキャストが勢ぞろい。自身の原点である演劇はもちろん、映像作品でも精力的な活動を展開している岩谷が演じるのは、狩山が勤める大手ゼネコン「帝和建設」の常務取締役・桑原誠。狩山に優しく寄り添う代表取締役社長・磯田典孝(小日向)とは対照的に、手厳しい姿勢を見せる。

また、物語において重要なカギを握る狩山の妻・玲子(天海)が働く「聖修大学病院」循環器センターでは、テレビ朝日系で今年放送された『グレイトギフト』でも新たな顔を見せた市川が玲子の部下である看護師・北村晴彦、NHK連続テレビ小説『ブギウギ』(2023年) で主人公・花田鈴子の少女時代を演じて注目を浴びた澤井が入院患者・井本奏美、『エルピス-希望、あるいは災い-』(2022年)などの映像作品の他、数々の舞台でも異彩を放つ近藤が医師・石原進を演じることに。

さらに、映画『茜色に焼かれる』(2021年)で多数の賞を受賞し、『ブギウギ』(2023年)でも視聴者の心を掴んだ片山は国立署の刑事・梶田千佳に扮し、警視庁捜査一課の刑事・黒木正興(竹内)と共に狩山を窮追。また、言わずと知れた名女優・賀来は、狩山が尽力してきた「龍神大橋」プロジェクトの舵を取る東京都知事・榛名文江を、堂々たる風格を漂わせながら演じる。

個性豊かなキャストたちが各所で展開する「一筋縄ではいかない濃密な人間ドラマ」。「多くの謎」と「余談を許さない劇的展開」が入り乱れる物語は4月25日、初回拡大スペシャルをもって開幕する。

濱田龍臣(野口ヒロト役) コメント
― オファーを受けた際のお気持ちをお聞かせください。

濱田:今までもいろいろな役を演じさせていただきましたが、受刑者役というのは今回が初めてだったので、すごく緊張していました。

― 狩山役の木村拓哉さんと同じシーンが多いと思いますが、撮影の感想や、現場でのエピソードをお聞かせください。

濱田:撮影期間は少し短かったですが、ご一緒させていただくシーンが多く、また刑務所内ということもあったので、ケンカをするシーンもありました。その撮影時、アクションチームのスタッフさんとコミュニケーションを取りながら、そして自分にも「これで大丈夫?」と確認しながら、アクションシーンを作ってくださって、とてもカッコよかったです。

― 視聴者に向け、メッセージをお願いいたします。

濱田:他の受刑者たちとは違うヒロトの背景や思いと、狩山さんと同室の103房室に収容されることによって変化していくヒロトの思いを、皆様にお届けしたいと思っています。

一ノ瀬ワタル(灰谷耕太役) コメント
― オファーを受けた際のお気持ちをお聞かせください。

― 狩山役の木村拓哉さんと同じシーンが多いと思いますが、撮影の感想や、現場でのエピソードをお聞かせください。

一ノ瀬:木村さんがとにかくカッコよくて優しくて面白くて、現場が本当に楽しかったです。カメラが回ってないときは、僕らの103房室はまるで修学旅行の部屋みたいに楽しかったんです。狩山とはいろいろあった灰谷耕太ですが、同じ103房でよかったです!

― 視聴者に向け、メッセージをお願いいたします。

一ノ瀬:刑務所から始まるこのお話!すごいことになってます!!ぜひご覧ください!

持田将史(赤塚力役) コメント
― オファーを受けた際のお気持ちをお聞かせください。

持田:木村さんと一緒にお芝居ができる日が来るなんて、夢のようでした! しかもそれが、大好きでいつも観ていた常廣監督の作品と聞いて、飛び跳ねて喜びました。撮影が始まるまでは「坊主にしたけど、ドッキリだったらどうしよう」と思って不安でしたが、無事に撮影が始まり、安心しました。素晴らしいスタッフ・キャストの皆さんと一緒にお芝居ができるのは、何よりも幸せです!

― 狩山役の木村拓哉さんと同じシーンが多いと思いますが、撮影の感想や、現場でのエピソードをお聞かせください。

持田:木村さんは常に現場にいて、スタッフ・キャストの声が届くところに座っているのが印象的でした。休憩時間にこれまでの撮影の経験をシェアしてくれたり、撮影中も常にアイデアを出されるなど、いつも中心となって全員を引っ張ってくれていたので、「これは全員惚れてまうやろ!」と思いながら、ご一緒させていただいていました。とても幸せな時間でした。夕食休憩の後の食事シーンは「腹パンパン」って苦しそうに言いながら、何カットも食べ続けていました(笑)。

― 視聴者に向け、メッセージをお願いいたします。

持田:狩山の波乱に満ちた人生の一部を切り取ったハラハラドキドキする物語ですが、その周りにいる人間一人一人の生き方や考え方も丁寧に、刺激的に描かれた作品になっていると思います。狩山だけでなく、周囲の人間にもフォーカスして観ていただけると、立場や状況の違いでどんな選択をしていくのか、より共感しながら楽しんでいただけると思います!

D坂の殺人事件(二)
江戸川乱歩

間もなく、一人の正服せいふくの警官が背広の男と連立ってやって来た。正服の方は、後で知ったのだが、K警察署の司法主任で、もう一人は、その顔つきや持物でも分る様に、同じ署に属する警察医だった。私達は司法主任に、最初からの事情を大略説明した。そして、私はこう附加えた。
「この明智君がカフェへ入って来た時、偶然時計を見たのですが、丁度八時半頃でしたから、この障子の格子が閉ったのは、恐らく八時頃だったと思います。その時は確か中には電燈がついてました。ですから、少くとも八時頃には、誰れか生きた人間がこの部屋にいたことは明かです」
 司法主任が私達の陳述を聞取って、手帳に書留めている間に、警察医は一応死体の検診を済ませていた。彼は私達の言葉のとぎれるのを待って云った。
「絞殺ですね。手でやられたのです。これ御覧なさい。この紫色になっているのが指の痕あとです。それから、この出血しているのは爪が当った箇所ですよ。拇指おやゆびの痕が頸くびの右側についているのを見ると、右手でやったものですね。そうですね。恐らく死後一時間以上はたっていないでしょう。併し、無論もう蘇生そせいの見込はありません」
「上から押えつけたのですね」司法主任が考え考え云った。「併し、それにしては、抵抗した様子がないが……恐らく非常に急激にやったのでしょうね。ひどい力で」
 それから、彼は私達の方を向いて、この家の主人はどうしたのだと尋ねた。だが、無論私達が知っている筈はない。そこで、明智は気を利かして、隣家の時計屋の主人を呼んで来た。
 司法主任と時計屋の問答は大体次の様なものであった。
「主人はどこへ行ったのかね」
「ここの主人は、毎晩古本の夜店を出しに参りますんで、いつも十二時頃でなきゃ帰って参りません。ヘイ」
「どこへ夜店を出すんだね」
「よく上野うえのの広小路ひろこうじへ参ります様ですが。今晩はどこへ出ましたか、どうも手前には分り兼ねますんで。ヘイ」
「一時間ばかり前に、何か物音を聞かなかったかね」
「物音と申しますと」
「極っているじゃないか。この女が殺される時の叫び声とか、格闘の音とか……」
「別段これという物音を聞きません様でございましたが」
 そうこうする内に、近所の人達が聞伝えて集って来たのと、通りがかりの弥次馬で、古本屋の表は一杯の人だかりになった。その中に、もう一方の、隣家の足袋屋たびやのお神さんがいて、時計屋に応援した。そして、彼女も何も物音を聞かなかった旨むね陳述した。
 この間、近所の人達は、協議の上、古本屋の主人の所へ使つかいを走らせた様子だった。
 そこへ、表に自動車の止る音がして、数人の人がドヤドヤと入って来た。それは警察からの急報で駈けつけた裁判所の連中と、偶然同時に到着したK警察署長、及び当時の名探偵という噂の高かった小林こばやし刑事などの一行だった。――無論これは後になって分ったことだ、というのは、私の友達に一人の司法記者があって、それがこの事件の係りの小林刑事とごく懇意こんいだったので、私は後日彼から色々と聞くことが出来たのだ。――先着の司法主任は、この人達の前で今までの模様を説明した。私達も先の陳述をもう一度繰返さねばならなかった。
「表の戸を閉めましょう」
突然、黒いアルパカの上衣に、白ズボンという、下廻りの会社員見たいな男が、大声でどなって、さっさと戸を閉め出した。これが小林刑事だった。彼はこうして弥次馬を撃退して置いて、さて探偵にとりかかった。彼のやり方は如何にも傍若無人で、検事や署長などはまるで眼中にない様子だった。彼は始めから終りまで一人で活動した。他の人達は唯、彼の敏捷びんしょうな行動を傍観する為にやって来た見物人に過ぎない様に見えた。彼は第一に死体を検べた。頸の廻りは殊に念入りにいじり廻していたが、
「この指の痕には別に特徴がありません。つまり普通の人間が、右手で押えつけたという以外に何の手掛りもありません」
 と検事の方を見て云った。次に彼は一度死体を裸体にして見るといい出した。そこで、議会の秘密会見たいに、傍聴者の私達は、店の間へ追出されねばならなかった。だから、その間にどういう発見があったか、よく分らないが、察する所、彼等は死人の身体に沢山の生傷のあることに注意したに相違ない。カフェのウエトレスの噂していたあれだ。
 やがて、この秘密会が解かれたけれど、私達は奥の間へ入って行くのを遠慮して、例の店の間と奥との境の畳敷の所から奥の方を覗き込んでいた。幸なことには、私達は事件の発見者だったし、それに、後から明智の指紋をとらねばならなかった為に、最後まで追出されずに済んだ。というよりは抑留よくりゅうされていたという方が正しいかも知れぬ。併し小林刑事の活動は奥の間丈に限られていた訳でなく、屋内屋外の広い範囲に亙わたっていたのだから、一つ所にじっとしていた私達に、その捜査の模様が分ろう筈がないのだが、うまい工合に、検事が奥の間に陣取っていて、始終殆ど動かなかったので、刑事が出たり入ったりする毎に、一々捜査の結果を報告するのを、洩れなく聞きとることが出来た。検事はその報告に基いて、調書の材料を書記に書きとめさしていた。
先ず、死体のあった奥の間の捜索が行われたが、遺留品も、足跡も、その他探偵の目に触れる何物もなかった様子だ。ただ一つのものを除いては。
「電燈のスイッチに指紋があります」黒いエボナイトのスイッチに何か白い粉をふりかけていた刑事が云った。「前後の事情から考えて、電燈を消したのは犯人に相違ありません。併しこれをつけたのはあなた方のうちどちらですか」
 明智は自分だと答えた。
「そうですか。あとであなたの指紋をとらせて下さい。この電燈は触らない様にして、このまま取はずして持って行きましょう」
 それから、刑事は二階へ上って行って暫く下りて来なかったが、下りて来るとすぐに路地を検べるのだといって出て行った。それが十分もかかったろうか、やがて、彼はまだついたままの懐中電燈を片手に、一人の男を連れて帰って来た。それは汚れたクレップシャツにカーキ色のズボンという扮装いでたちで、四十許ばかりの汚い男だ。
「足跡はまるで駄目です」刑事が報告した。「この裏口の辺は、日当りが悪いせいかひどいぬかるみで、下駄の跡が滅多無性についているんだから、迚とても分りっこありません。ところで、この男ですが」と今連れて来た男を指し「これは、この裏の路地を出た所の角に店を出していたアイスクリーム屋ですが、若し犯人が裏口から逃げたとすれば、路地は一方口なんですから、必ずこの男の目についた筈です。君、もう一度私の尋ねることに答えて御覧」
そこで、アイスクリーム屋と刑事の問答。
「今晩八時前後に、この路地を出入でいりしたものはないかね」
「一人もありませんので、日が暮れてからこっち、猫の子一匹通りませんので」アイスクリーム屋は却々要領よく答える。
「私は長らくここへ店を出させて貰ってますが、あすこは、この長屋のお上さん達も、夜分は滅多に通りませんので、何分あの足場の悪い所へ持って来て、真暗なんですから」
「君の店のお客で路地の中へ入ったものはないかね」
「それも御座いません。皆さん私の目の前でアイスクリームを食べて、すぐ元の方へ御帰りになりました。それはもう間違いはありません」
 さて、若しこのアイスクリーム屋の証言が信用すべきものだとすると、犯人は仮令この家の裏口から逃げたとしても、その裏口からの唯一の通路である路地は出なかったことになる。さればといって、表の方から出なかったことも、私達が白梅軒から見ていたのだから間違いはない。では彼は一体どうしたのであろう。小林刑事の考えによれば、これは、犯人がこの路地を取りまいている裏表二側の長屋の、どこかの家に潜伏しているか、それとも借家人の内に犯人があるのかどちらかであろう。尤も二階から屋根伝いに逃げる路はあるけれど、二階を検べた所によると、表の方の窓は取りつけの格子が嵌はまっていて少しも動かした様子はないのだし、裏の方の窓だって、この暑さでは、どこの家も二階は明けっぱなしで、中には物干で涼んでいる人もある位だから、ここから逃げるのは一寸難しい様に思われる。とこういうのだ。
そこで臨検者達の間に、一寸捜査方針についての協議が開かれたが、結局、手分けをして近所を軒並に検べて見ることになった。といっても、裏表の長屋を合せて十一軒しかないのだから、大して面倒ではない。それと同時に家の中も再度、縁の下から天井裏まで残る隈くまなく検べられた。ところがその結果は、何の得うる処もなかったばかりでなく、却って事情を困難にして了った様に見えた。というのは、古本屋の一軒置いて隣の菓子屋の主人が、日暮れ時分からつい今し方まで屋上の物干へ出て尺八を吹いていたことが分ったが、彼は始めから終いまで、丁度古本屋の二階の窓の出来事を見逃す筈のない様な位置に坐っていたのだ。
 読者諸君、事件は却々面白くなって来た。犯人はどこから入って、どこから逃げたのか、裏口からでもない、二階の窓からでもない、そして表からでは勿論ない。彼は最初から存在しなかったのか、それとも煙の様に消えて了ったのか。不思議はそればかりでない。小林刑事が、検事の前に連れて来た二人の学生が、実に妙なことを申立てたのだ。それは裏側の長屋に間借りしている、ある工業学校の生徒達で、二人共出鱈目でたらめを云う様な男とも見えぬが、それにも拘かかわらず、彼等の陳述は、この事件を益々不可解にする様な性質のものだったのである。
 検事の質問に対して、彼等は大体左さの様に答えた。
「僕は丁度八時頃に、この古本屋の前に立って、そこの台にある雑誌を開いて見ていたのです。すると、奥の方で何だか物音がしたもんですから、ふと目を上げてこの障子の方を見ますと、障子は閉まっていましたけれど、この格子の様になった所が開いてましたので、そのすき間に一人の男の立っているのが見えました。しかし、私が目を上げるのと、その男が、この格子を閉めるのと殆ど同時でしたから、詳しいことは無論分りませんが、でも、帯の工合ぐあいで男だったことは確かです」
「で、男だったという外に何か気附いた点はありませんか、背恰好とか、着物の柄とか」
「見えたのは腰から下ですから、背恰好は一寸分りませんが、着物は黒いものでした。ひょっとしたら、細い縞か絣かすりであったかも知れませんけれど。私の目には黒無地に見えました」
「僕もこの友達と一緒に本を見ていたんです」ともう一方の学生、「そして、同じ様に物音に気づいて同じ様に格子の閉るのを見ました。ですが、その男は確かに白い着物を着ていました。縞も模様もない、真白な着物です」
「それは変ではありませんか。君達の内どちらかが間違いでなけりゃ」
「決して間違いではありません」
「僕も嘘は云いません」
 この二人の学生の不思議な陳述は何を意味するか、鋭敏な読者は恐らくあることに気づかれたであろう。実は、私もそれに気附いたのだ。併し、裁判所や警察の人達は、この点について、余りに深く考えない様子だった。

臨死体験(四)
また、脳内現象説で見落とされがちであるのは、混乱状態にある瀕死の脳がいかにして現実以上にクリアーで明晰な体験を生み出すのかといった問いである。心拍が停止すると、酸欠や高炭酸症、ドラッグや代謝変化や発作が、脳の生理状態を強く混乱させる。脳への血流は途絶えるため脳は著しく損傷し、やがて脳幹の機能も停止し、大脳皮質も機能停止状態になる。心停止後に脳機能は急速に衰えていく。しかし臨死体験者が報告する「明晰な意識」や「論理的思考」「時系列に沿った記憶」「鮮明な視覚」などの精神活動自体、脳の多くの領域が関与している筈である。脳機能局在論から言っても、思考プロセスは1つのエリアではなく沢山の違った皮質エリアを介在して成り立つため、全体的に混乱した状態の脳が鮮明な意識体験を生み出すとは考えにくい。しかし心停止中の患者は、明晰な意識が本来あるべきではない時間に明らかに混乱しておらず、明晰さや注意力が増大していたと報告している。

2つ目の論点は「脳波がフラットの最中に臨死体験が起きる事は本当に不可能か」という点である。ある神経学者は、脳波がフラットの最中に、脳が臨死体験を生み出す可能性は「極めて低い」と端的に述べているが[62]、一方で「脳波はあくまで大脳皮質の表面的な活動の現れであるから、脳波がフラットであってもわずかな脳活動が残る可能性は排除できない」という指摘もある。この指摘に対し、医師ヴァン・ロンメルは、以下のように応答した。
問題は(心停止患者の脳に)計測不能な脳活動があるかどうかではなく、近年の神経生理学が意識を成立させるうえで不可欠だと考えている特定の脳活動が見られない事だ。
— vanLommel,Endless Consciousness:A scientific Approach to the Near Death Expericence,chapter8
こうした中で注目されている仮説が、心停止後の脳内で神経活動のバーストが起きているというものである。2013年に発表された米ミシガン大学の研究論文によれば、マウスを人工的に心停止させて観察した脳電図は、心臓が停止後30秒間、脳の活動が通常より急増し、精神状態が非常に高揚していることが判明している。またワシントン大学のLakhmir Chawlaは、死亡直前の7人の患者から30秒〜3分間にわたる活発な脳波が検出できた事から、酸素欠乏状態の脳が電気サージ現象を起こすのではないかと述べている。(このサージ現象自体はどのようにも解釈できる上に、7人の患者は全員、臨死体験を報告せずに死亡している事から、Chawla自身は臨死体験との間に何らかの関連性がある事を指摘するに留めている。)

しかし全身麻酔下で手術を受けている心停止患者の脳には、心拍停止後の数秒には既に計測可能な反応はない。こうした患者が意識を保つためには、心停止と全身麻酔という2つのハードルを越えねばならない。
一方で、脳の表面的な計測には現れない、脳の深層である皮質下の活動のみで臨死体験を説明しようと試みる者もいる。Jason Braithwaiteによれば、海馬や扁桃体の働きのみで、大脳皮質が関与しないまま有意味で複雑な幻覚が起こり得るという。しかし皮質下の脳機能のみでは、臨死体験のような双方向的で複雑な体験は成立しない、という見方も強く、高度な意識が脳の深層構造の働きにより生み出される事を説明するモデルは、近年の神経科学には未だ無い。また、電極を脳の深部に埋め込んだ動物実験では、心停止後の大脳皮質の活動停止は、脳の深部の活動停止(または減退)も招くことが示されている。

脳の機能停止(低下)状態における臨死体験
脳内現象説では説明が難しい現象の代表例として、脳の機能が停止(あるいは極端に低下)している最中に患者が臨死体験をしていたという事例が存在する。以下は代表例である。
パム・レイノルズのケース
最も詳細な医学的データが残されたケースとされる。当時34歳であったパム・レイノルズは「低体温循環停止法」と呼ばれる治療を受けた。この治療では患者の体温を15.5度にまで下げたうえで、心拍と呼吸を停止させ脳波を平坦にし、頭部からの血液を抜き取ったうえで、脳幹の動脈瘤の摘出を行った。パムはこの手術中に臨死体験をした。
エベン・アレグザンダーのケース
ハーバード大学の脳外科医であったエベン・アレグザンダーは、2008年に昏睡状態となっている間に臨死体験をした。体験後にエベンが自身の脳の状態を調べた結果、7日間の昏睡状態の間にエベンの脳の大部分は機能停止していた事が判明した。

特にエベンの大脳皮質は機能していなかったため、幻覚を見る事すらできない状態であった。エベンの臨死体験では鮮明かつ複雑な内容の映像も現れたため、「脳幹による幻覚説」でも説明がつかない。「一時的に機能が停止していた脳が意識を回復する際、それまでの古い記憶が支離滅裂に放出された」とする「脳の再起動説」も検討されたが、エベンは昏睡状態中の病室の様子を一部記憶していたため、この説も否定された。最も印象的な例は、エベンには一度も面識もなく顔も知らないまま他界した実の妹が存在したが、臨死体験中に対面した女性がこの妹であったという(エベンは臨死体験後に両親から渡された顔写真を見て、初めて実の妹の顔を確認した)。

このエベンのケースは、もともと臨死体験などに否定的であった著名な脳外科医が、臨死体験を経て、それが死後の世界への来訪であるとして肯定的な認識に転じた例として有名になった。後に、エベンの昏睡は麻酔により引き起こされたものであり完全な無意識状態とは言えなかった、とする「暴露記事」がweb上に掲載される騒動が起きた。しかしエベンの担当医師は記事の内容に否定的であり、実際の昏睡状態で起きた反射的な発作を、意識があった証拠と取り違えた記事である事が指摘されている。
脳損傷時の臨死体験
ピーター・フェンウィックは、頭部に重傷を負い、脳機能が混乱状態に陥っている中で臨死体験が起きたというケースを自著で3例挙げている。

重大な損傷を受けた脳が、鮮明で首尾一貫とした体験をしたとは考えにくく、仮に無意識下で何らかの意識モデルが脳で作られたとしても、それらのモデルは断片化され、ランダムで不鮮明なはずであり、臨死体験のように整合性のある物語体験とはならないと考えられる。また、人の脳が重大な損傷を受けたとき、記憶はダメージを受けやすいため、通常は事件の間の記憶はロストされる。そのため、仮に損傷した脳が何らかの理由で明晰な体験を持ち得たとしても、その記憶を後から明晰な記憶で思い出すのは困難である。

フェンウィックは大脳皮質に重大な損傷を受けたDavid Verdegaal[69]の例などを挙げている。1986年、Davidは脳卒中を伴う心臓発作により2週間の昏睡状態に陥り、その間に臨死体験をした。Davidの大脳皮質は発作の影響により、大きな損傷を受けていたため、記憶能力は著しく弱まり、また心拍停止時の血圧低下が原因で脳が損傷したため、視覚も機能していなかった。こうした状況にもかかわらず、Davidは非常に鮮明なビジョンを伴う体験を報告した。仮に臨死体験が昏睡中ではなく心臓発作直前に起こったとしても、彼はそれを記憶し思い出すことは出来なかったと考えられる。
一方で、2060名を調査対象としたイギリスのAWAREプロジェクトでは、脳損傷による心停止患者は、心停止中による無意識中の記憶を持たなかったと報告された。

臨死共有体験
研究者であるレイモンド・ムーディは、臨死体験は死にかけた者のみならず、周りにいる健康な人々にも共有されるという「臨死共有体験」が存在する事から、脳内現象説に否定的な見解を示している。

ムーディによれば、臨死体験は死にゆく者の周りにいる人と共有される事がある。死の際にいる患者に一人付き添っている者に起きることもあれば、複数人に共有されることもあり、「光体験」や「体外離脱体験」、「人生回顧体験」など臨死体験とほぼ同様の現象が起きるという。また、この世のものとは思えない音楽を周りの者と共に聞くという「音楽体験」や、自分のいた部屋の空間が膨張するなどの「空間変容体験」の証言が多い。この現象は、1980年代からムーディにより事例収集が行われた。

歴史的には、7世紀に迦才が臨死体験の収集書である「浄土論」を編集している。そこに収録された20例のうち1例は臨死共有体験であり、臨終者の側にいた全ての者が神仏の姿を見た、と記されている。1889年にはヘンリー・シジウィック率いるSPRのチームが17000人を対象にアンケートを取った結果、163名が「既に死亡している人物」の出現を目にしたことがあると回答した(うち殆どのケースでは、本人が死亡してから1時間以内に目撃されていた)。後にウォルター・プリンス(英語版)は、死亡した人物の幻姿を目撃する事で、その人物の死を初めて知ったというケースを107例収集した。20世紀初頭には、ダブリン王立科学大学の物理学教授ウィリアム・バレットが著書「臨終の床の体験」の中で、複数の共有体験例を紹介している。現在においては、イギリスの王立精神科医科大学のピーター・フェンウィックの臨床例に、4例の臨死共有体験が含まれている。
臨死共有体験は、病気でもなく脳に損傷もない健常者に起こるため脳内現象説では説明が難しい。ピーター・フェンウィックは「人が死んだ際、その死を知らない身内の人々に、死の光景が見せられる場合がしばしばある」、「病床に付き添って世話している人々が、その場で超自然的な光景を見る場合もある」と報告し、「それらは幻覚とは言えない」と述べている。ウィリアム・バレットは「互いに連絡し合っていない複数の人々が、内容の合致する出来事を目撃したという事実」が臨死共有体験の価値であると記している。

脳内現象説は「死にゆく者」の脳の生理的変化に基づく仮説であるため、臨死体験の一部が健常者に起きていた事が事実であれば、その前提が崩れる可能性が浮上する。

還元主義的解釈への批判
脳内現象説への根本的な批判として、そもそも脳内現象説は「脳内物質の発生により体験が起こっている」という「因果関係」を明らかにしているとは言えず、体験と脳内物質との「対応関係」(相関関係)を説明しているだけなので、「体験は脳内物質の分泌によるものにすぎない」と還元主義的に捉えるべきではないという批判がある。
また、仮に側頭葉への電気刺激が体外離脱現象を起こしたとしても、それは異なる経路により同じ現象が起きただけであり、どうやって意識不明者が外界の物事を知覚し得たのかという問題はそのまま残る事になる。すると「側頭葉に刺激が起きた事が引き金要因となり、何らかの認識主体(霊魂など)が身体を離れ外界を知覚した」と説明する余地も残る事になる(そうした解釈は実際に唱えられており、右側頭葉は脳と精神と魂の収束する場所であると考える者もいる)。この例において側頭葉への刺激で体外離脱が起きたという事自体は、側頭葉と体外離脱に何らかの「関連性」がある事を示しただけである事に注意する必要がある。

初期の研究者の中には、臨死体験が幻想でない事を示すために、脳機能との関連性を見出そうとした者もいた。また、ペンシルバニア大学のアンドリュー・ニューバーグ(英語版)は、深い瞑想状態に入った人の脳内に一定の神経学的な変化が現れる事を見出したが、「瞑想時における様々な神秘体験が客観的な現実であるか」と問われた時に、「それは『神経学的な現実』である」と返している。神経科医のヴィラヤヌル・S・ラマチャンドランは「脳のなかの幽霊」で、側頭葉が神秘体験に関係しているという証拠は「使いようによっては神の存在に対する反証ではなく、神の存在を支持する証拠にもなる」とも語っている。


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  • (感觉自己老委屈了 哭哭[悲伤])所以今天花都没来得及买 就自己手工了“一束花”白花总感觉哪里怪怪的 anyway收到“这束花”真的哭笑不得 看在你转钱 做手
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  • 典型的心有余而力不足,内心想嗨身体想呆,可能是老了。运动运动运动,提高免疫力b不要等老了自己身体不好的时候后悔,一开始运动都会很累啊,都会不想动,但是慢慢来吧,
  • “来之前我其实并没听说过这个青年公益组织,抱着试一试的心态,最后被平等的同事关系和舒服沟通方式所吸引。”海燕在此前的工作中总是依赖性很强,常常要有前辈带着才会有
  • 感觉没有很多用,现在路人一般都是喜欢dy ks xhs 但是皮下的账户已经发了很多私人生活 不宜使用 邀请未注册以上软件或有多个sjh的缘分可以加入我们。感觉没
  • 【#诺丁汉森林阵容分析#】英超新军诺丁汉森林,任命25岁本土中卫沃拉尔为球队的正队长,24岁本土后腰耶茨为副队长。 上赛季冲超成功之后,森林有一半以上的主力/
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  • 在他们带领下,工地上有锁了门全家上阵的,有父子比干劲的,有志比山高的英雄少年和新婚夫妇,还湧现出“铁姑娘排”、“李铁梅班”等英雄群体。最近总刷到庐山瀑布一下子回
  • 高考失利后的那三个月真的很痛苦,那时候我所有的快乐都是AG带给我的,无论是直播时的搞笑片段还是比赛胜利的开心喜悦,AG就像一道光一样,带我从黑暗中走出来,所以真
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  • 每一次的旋转,裙摆的线条都会如瀑布垂丝般自然流动,举手投足,足见风雅。水是最灵动通透之物,应该有益于聚气生财,水是至阴至寒之物,不易于阳气聚集,因此如果主家本身
  • 妈掰,有好多情侣来做蛋糕,就我是自己一个人然后剩下最后一坨面团子不知道做什么,就搓成了一坨粑粑哈哈哈哈(最后给我朋友吃了) 收到了给我买的挂件,每个都好可爱啊
  • 迅猛龙(怒):你放不放爆裂龙(不屑):不放咋的,你咬我啊迅猛龙们,欺人太甚,我咬咬咬咬咬…#爱演艺,就上你有戏#暗黑动画《西游记之再世妖王》史上“最暴虐版孙悟空