高い城の男
日本では1965年に川口正吉によって翻訳され、ハヤカワ・SF・シリーズ(早川書房)から刊行された。1984年から新たに浅倉久志による新訳版がハヤカワ文庫から出版された。
2015年、ドラマ化が発表され、同年11月からAmazonビデオにおいてドラマ『高い城の男』の配信が開始された。
概要
第二次世界大戦が枢軸国の勝利に終わり、大日本帝国とナチス・ドイツによって分割占領されている旧アメリカ合衆国領を舞台にした人間群像劇。
歴史改変SFでは珍しくない設定だが、作品内世界で「もしも連合国が枢軸国に勝利していたら」という歴史改変小説が流行しているという点と、東洋の占術(易経)が同じく流行していて、複数の人物が易経を指針として行動するという部分が独創的である。ディック自身も、本作のプロットを作る際に易経を利用している。後半になるにつれてディック特有の形而上学・哲学的な思索やメタフィクションが展開される一方、ディック作品にありがちなプロットの破綻が生じていない。そうした点からアメリカやイギリスなど英語圏ではディック作品の代表作として挙げられることも多い。
作中の枢軸国の描写に関してはそれぞれに違いがある。日本人は勝者として傲慢な部分もあるものの、人種政策でドイツと対立するなどある程度は話が通じる人間的な集団として描かれている。逆にドイツ人は反ナチ派が軒並み粛清されており、ナチズムの狂気に満ちた集団として描かれている。イタリア人は表面的には日独と並んで戦勝国として扱われているが実態としてはドイツの衛星国であり、その劣等感からアメリカ人に同情する描写が描かれている。また作品中に登場する歴史改変小説は、現実の第二次世界大戦とも異なった形で連合国が勝利する内容になっている。
1947年、第二次世界大戦は枢軸国の勝利に終わり、アメリカ合衆国は戦勝国であるドイツと日本によって三つの国に分断され、両国の分割統治下に置かれていた。それから15年後の1962年、アメリカ人の間では謎の人物「高い城の男」によって執筆された『イナゴ身重く横たわる』[5] という、「連合国が第二次世界大戦に勝利していたら」という仮想小説が流行していた。『イナゴ身重く横たわる』はドイツが支配するアメリカ合衆国およびヨーロッパでは発禁本に指定され、「高い城の男」は保安警察に命を狙われていた。
日本が支配するアメリカ太平洋岸連邦のサンフランシスコにあるアメリカ美術工芸品商会を経営する美術商ロバート・チルダンは、上得意先である田上信輔に、頼まれていた品物の手配が遅れていることを叱責され、代わりの品物を届けるために田上がいる通商代表部に向かう。一方、勤め先の工場をクビになったフランク・フリンクは、これからの指針を求めて易経に勤しんでいた。田上もまた、「取引相手である実業家バイネスの正体を探れ」という日本政府からの指令に悩み易経を頼みとしていた。
日本の影響下にあるロッキー山脈連邦のキャノン・シティに暮らすジュリアナ・フリンクは、合衆国から仕事でやって来たイタリア移民のジョー・チナデーラと出会い、成り行きで一夜を共にする。ジュリアナは、ジョーが持っていた『イナゴ身重く横たわる』に興味を持ち、「高い城の男」が住むシャイアンに共に行くことになる。その頃チルダンは、日本海軍の春沢提督の使者と名乗る男から「あなたが扱っている美術品は模造品だ」と告げられ面目を失い、取引相手であるキャルヴィンを問い詰める。一方で地元の新聞社に問い合わせた結果、提督の乗艦であると聞かされていた航空母艦翔鶴は戦時中にアメリカ軍の潜水艦によって沈められており、春沢提督なる人物も存在しないことが判明する。春沢提督の使者を騙る者の正体はフランクであり、友人のマッカーシーと組み、元上司で模造品の元締めのウインダム=マトスンから退職金を巻き上げる。
同じ頃、ドイツでは最高指導者のボルマン首相が死去したことでナチ党内部の権力闘争が激化し、アメリカにも影響が及び始める。一方、フランクとマッカーシーは、ウインダム=マトスンから巻き上げた退職金でエドフランク宝飾工房を起業し、自身の腕を活かした装身具を作り、その装身具をチルダンに売り付けようとするが、チルダンに言い包められ委託取引にされてしまう。装身具を手にしたチルダンは、それまで扱ってきた過去の遺物である骨董品とは違うアメリカの「未来」の姿を感じ、アメリカ人としての自信を取り戻す。
その頃、日本軍の手崎将軍から連絡を受けた田上は、バイネスをオフィスに呼び三者会談を行う。会談の中で、バイネスは自分がドイツ国防軍情報部のヴェゲナー大尉であることを明かし、ボルマン政権と、その後を継いだゲッベルス政権が対日核攻撃作戦「タンポポ(レーヴェンツァーン)作戦」を計画していることを語り、計画を阻止するため作戦反対派のハイドリヒに助力して欲しいと告げる。その時、バイネスの正体を掴んだ保安警察のメーレ将軍が送り込んだ工作員が現れ銃撃戦となるが、田上が工作員を射殺し事態を収束させる。手崎将軍は対応を協議するため日本に帰国し、任務を果たしたヴェゲナー大尉もドイツに帰国する。
「高い城の男」に会うための旅を続けていたジュリアナとジョーはデンヴァーに到着する。しかし、そこでジュリアナは、ジョーの正体が「高い城の男」暗殺のため派遣されたナチスの工作員だと気付き、ジョーを殺害しホテルを後にする。途方に暮れたジュリアナは易経を行い、その啓示に従い、「高い城の男」に命が狙われていることを知らせるためにシャイアンに向かう。
翌日、「高い城の男」ことホーソーン・アベンゼンの邸宅に到着したジュリアナは、ナチスの工作員が迫っていることを告げると同時に、何故『イナゴ身重く横たわる』を執筆したのかを尋ねる。ジュリアナの問いに対し、アベンゼンは「易経との契約に基づき書いた」と告白する。ジュリアナは、何故易経が『イナゴ身重く横たわる』を書かせたのかを知るため易経を行い、「真理」の答えを得る。ジュリアナは、『イナゴ身重く横たわる』の世界こそが真実の世界であると知り、アベンゼンに礼を言い邸宅を後にした。
登場人物
ロバート・チルダン
アメリカ太平洋岸連邦で「アメリカ美術工芸品商会」を経営する古美術商。日本人相手に歴史的な美術品を販売しているが、旧合衆国の歴史の浅さから100年ほど前の日用品やポスターなどを扱っている。
敗戦国民として日本人に対し卑屈な態度をとっていたが、エドフランク宝飾工房の装身具をきっかけにアメリカ人としての誇りを取り戻す。
フランク・フリンク
太平洋岸連邦の工芸職人。ユダヤ系アメリカ人。本名は「フランク・フィンク」。合衆国の軍人としてアメリカ本土決戦で枢軸軍と戦った過去を持つ。
終戦後も暫くはレジスタンスを続けていたが、占領統治が進むにつれて武器を捨てた。職人としての腕前は良いが人当たり悪く職場の工場をクビになっている。妻ともども易経に凝っている。
友人のマッカーシーに誘われ「エドフランク宝飾工房」を起業するが、チルダンに対する詐欺行為とユダヤ系の素性が発覚し逮捕される。その後、ドイツへの引き渡しを拒否した田上の計らいで釈放される。
ジュリアナ・フリンク
フランクの妻。美しい風貌をした黒髪の女性。フランクの貧しい生活に嫌気が差して別居、現在はロッキー山脈連邦のコロラド州キャノン・シティで、柔道の教師をしながら暮らしている。
『イナゴ身重く横たわる』の熱心な愛読者で、知り合ったジョーと共に作者の「高い城の男」に会おうと考えている。柔道の有段者で夫と同じく易経にも精通している。
ジョー・チナデーラ
イタリア国籍の退役軍人。北イタリアのミラノ出身。出稼ぎ目的の移民として合衆国に滞在しており、貨物運搬の用心棒としてロッキー山脈連邦を訪れた際にジュリアナと知り合う。浅黒い肌に黒い髪をした男性で、地中海人種的な風貌から東側の人種政策で差別されており、戦勝国出身にも拘らず『イナゴ身重く横たわる』の愛読者となっている。
ファシスト党少年団にも入っていた愛国者でロドルフォ・グラツィアーニの下で北アフリカ戦線に従軍し、エルヴィン・ロンメルからも二級鉄十字勲章を与えられている。正体はスイス出身のブランデンブルク隊工作員。北方人種風の風貌を隠し、密かにホーソーン・アベンゼンを追っていた。
田上信輔(たがみ のぶすけ)
原文では「Tagomi」であるため、浅倉訳版で姓が改変されている(川口訳版では原文のママ)。太平洋岸連邦の第一通商代表団の代表を務める日本人官僚。日本政府からバイネスの素性を探ることを命令されている。易経を精神統一の手段としてしばしば用いている。
「タンポポ作戦」の詳細を聞き精神的に衰弱し、SDの通商代表部襲撃とフランクの引き渡し要求でライスと口論となり、心臓発作を起こし倒れる。
ポール・梶浦(ポール・かじうら)
原文では「Kasoura」であるため、浅倉訳版で姓が改変されている(川口訳版では原文のママ)。太平洋岸連邦の不遇地域生活水準向上調査委員会の日本人職員。美術品愛好家で、チルダンの店の常連客。
ベティ・梶浦(ベティ・かじうら)
ポールの妻。浅黒い肌に艶やかな黒髪をした女性。
手崎(てざき)
原文では「Tedeki」であるため、浅倉訳版で姓が改変されている(川口訳版では原文のママ)。元日本軍参謀総長の老将軍。軍部の宇宙進出推進派。「矢田部信次郎」の偽名を使い、サンフランシスコを訪れる。
府馬五十雄(ふま いそお)
原文では「Ito(名)Humo(姓)」であるため、浅倉訳版で姓名が改変されている(川口訳版では原文のママ)。日本陸軍の退役少佐。旧アメリカ美術品の収集家で、4年前に古本屋を経営していたチルダンのもとを訪れ、彼の美術商への転身のきっかけを作る。
エフレイキアン
第一通商代表団オフィスの職員で、田上の秘書。背が高く、褐色の髪をしたアルメニア系の女性。
ラムジー
第一通商代表団オフィスの職員で、田上の秘書。アメリカ系白人の男性。
ルドルフ・ヴェゲナー
ドイツ国防軍情報部の大尉。ドイツ国内の要人の密命を受け、スウェーデン人実業家「バイネス」の偽名を使いサンフランシスコを訪れる。
ドイツに帰国後、国防軍と連携したSSに拘束される。
フーゴー・ライス
サンフランシスコ駐在ドイツ帝国領事を務める男爵。SS名誉少佐の階級を持ち、形式上メーレの指揮下にある。
ブルーノ・クロイツ・フォン・メーレ
太平洋岸連邦のSD地方長官。ハイドリヒ暗殺計画を阻止したことで目をかけられ、SD内での地位を確立する。
アレックス・ロッツェ
ドイツ人芸術家。個展を開くためサンフランシスコを訪れる。飛行機で隣席だったバイネスの「自分はユダヤ人だ」という冗談を真に受け、ドイツ領事館に「サンフランシスコにユダヤ人がいる」と密告する。
ウインダム=マトスン
WMコーポレーションの社長。フランクの雇い主。複数の企業の大株主であり、太平洋岸連邦の政府首脳部と繋がっている。
エド・マッカーシー
ウインダム=マストンが経営する工場の現場監督で、フランクの友人。フランクとともにエドフランク宝飾工房を起業する。
レイ・キャルヴィン
サンフランシスコで一・二を争う卸売業者。ウインダム=マストンが製造する模造品を取扱い、チルダンと取引をしている。
ホーソーン・アベンゼン
『イナゴ身重く横たわる』の作者。通称「高い城の男」。第二次世界大戦ではアメリカ海兵隊の軍曹としてイギリス戦線に従軍した。
現在はロッキー山脈連邦のシャイアンにある山奥の要塞(通称「高い城」)で暮らしている。
キャロライン・アベンゼン
ホーソーンの妻。灰色の目をした赤茶色の髪のアイルランド系女性。
日本では1965年に川口正吉によって翻訳され、ハヤカワ・SF・シリーズ(早川書房)から刊行された。1984年から新たに浅倉久志による新訳版がハヤカワ文庫から出版された。
2015年、ドラマ化が発表され、同年11月からAmazonビデオにおいてドラマ『高い城の男』の配信が開始された。
概要
第二次世界大戦が枢軸国の勝利に終わり、大日本帝国とナチス・ドイツによって分割占領されている旧アメリカ合衆国領を舞台にした人間群像劇。
歴史改変SFでは珍しくない設定だが、作品内世界で「もしも連合国が枢軸国に勝利していたら」という歴史改変小説が流行しているという点と、東洋の占術(易経)が同じく流行していて、複数の人物が易経を指針として行動するという部分が独創的である。ディック自身も、本作のプロットを作る際に易経を利用している。後半になるにつれてディック特有の形而上学・哲学的な思索やメタフィクションが展開される一方、ディック作品にありがちなプロットの破綻が生じていない。そうした点からアメリカやイギリスなど英語圏ではディック作品の代表作として挙げられることも多い。
作中の枢軸国の描写に関してはそれぞれに違いがある。日本人は勝者として傲慢な部分もあるものの、人種政策でドイツと対立するなどある程度は話が通じる人間的な集団として描かれている。逆にドイツ人は反ナチ派が軒並み粛清されており、ナチズムの狂気に満ちた集団として描かれている。イタリア人は表面的には日独と並んで戦勝国として扱われているが実態としてはドイツの衛星国であり、その劣等感からアメリカ人に同情する描写が描かれている。また作品中に登場する歴史改変小説は、現実の第二次世界大戦とも異なった形で連合国が勝利する内容になっている。
1947年、第二次世界大戦は枢軸国の勝利に終わり、アメリカ合衆国は戦勝国であるドイツと日本によって三つの国に分断され、両国の分割統治下に置かれていた。それから15年後の1962年、アメリカ人の間では謎の人物「高い城の男」によって執筆された『イナゴ身重く横たわる』[5] という、「連合国が第二次世界大戦に勝利していたら」という仮想小説が流行していた。『イナゴ身重く横たわる』はドイツが支配するアメリカ合衆国およびヨーロッパでは発禁本に指定され、「高い城の男」は保安警察に命を狙われていた。
日本が支配するアメリカ太平洋岸連邦のサンフランシスコにあるアメリカ美術工芸品商会を経営する美術商ロバート・チルダンは、上得意先である田上信輔に、頼まれていた品物の手配が遅れていることを叱責され、代わりの品物を届けるために田上がいる通商代表部に向かう。一方、勤め先の工場をクビになったフランク・フリンクは、これからの指針を求めて易経に勤しんでいた。田上もまた、「取引相手である実業家バイネスの正体を探れ」という日本政府からの指令に悩み易経を頼みとしていた。
日本の影響下にあるロッキー山脈連邦のキャノン・シティに暮らすジュリアナ・フリンクは、合衆国から仕事でやって来たイタリア移民のジョー・チナデーラと出会い、成り行きで一夜を共にする。ジュリアナは、ジョーが持っていた『イナゴ身重く横たわる』に興味を持ち、「高い城の男」が住むシャイアンに共に行くことになる。その頃チルダンは、日本海軍の春沢提督の使者と名乗る男から「あなたが扱っている美術品は模造品だ」と告げられ面目を失い、取引相手であるキャルヴィンを問い詰める。一方で地元の新聞社に問い合わせた結果、提督の乗艦であると聞かされていた航空母艦翔鶴は戦時中にアメリカ軍の潜水艦によって沈められており、春沢提督なる人物も存在しないことが判明する。春沢提督の使者を騙る者の正体はフランクであり、友人のマッカーシーと組み、元上司で模造品の元締めのウインダム=マトスンから退職金を巻き上げる。
同じ頃、ドイツでは最高指導者のボルマン首相が死去したことでナチ党内部の権力闘争が激化し、アメリカにも影響が及び始める。一方、フランクとマッカーシーは、ウインダム=マトスンから巻き上げた退職金でエドフランク宝飾工房を起業し、自身の腕を活かした装身具を作り、その装身具をチルダンに売り付けようとするが、チルダンに言い包められ委託取引にされてしまう。装身具を手にしたチルダンは、それまで扱ってきた過去の遺物である骨董品とは違うアメリカの「未来」の姿を感じ、アメリカ人としての自信を取り戻す。
その頃、日本軍の手崎将軍から連絡を受けた田上は、バイネスをオフィスに呼び三者会談を行う。会談の中で、バイネスは自分がドイツ国防軍情報部のヴェゲナー大尉であることを明かし、ボルマン政権と、その後を継いだゲッベルス政権が対日核攻撃作戦「タンポポ(レーヴェンツァーン)作戦」を計画していることを語り、計画を阻止するため作戦反対派のハイドリヒに助力して欲しいと告げる。その時、バイネスの正体を掴んだ保安警察のメーレ将軍が送り込んだ工作員が現れ銃撃戦となるが、田上が工作員を射殺し事態を収束させる。手崎将軍は対応を協議するため日本に帰国し、任務を果たしたヴェゲナー大尉もドイツに帰国する。
「高い城の男」に会うための旅を続けていたジュリアナとジョーはデンヴァーに到着する。しかし、そこでジュリアナは、ジョーの正体が「高い城の男」暗殺のため派遣されたナチスの工作員だと気付き、ジョーを殺害しホテルを後にする。途方に暮れたジュリアナは易経を行い、その啓示に従い、「高い城の男」に命が狙われていることを知らせるためにシャイアンに向かう。
翌日、「高い城の男」ことホーソーン・アベンゼンの邸宅に到着したジュリアナは、ナチスの工作員が迫っていることを告げると同時に、何故『イナゴ身重く横たわる』を執筆したのかを尋ねる。ジュリアナの問いに対し、アベンゼンは「易経との契約に基づき書いた」と告白する。ジュリアナは、何故易経が『イナゴ身重く横たわる』を書かせたのかを知るため易経を行い、「真理」の答えを得る。ジュリアナは、『イナゴ身重く横たわる』の世界こそが真実の世界であると知り、アベンゼンに礼を言い邸宅を後にした。
登場人物
ロバート・チルダン
アメリカ太平洋岸連邦で「アメリカ美術工芸品商会」を経営する古美術商。日本人相手に歴史的な美術品を販売しているが、旧合衆国の歴史の浅さから100年ほど前の日用品やポスターなどを扱っている。
敗戦国民として日本人に対し卑屈な態度をとっていたが、エドフランク宝飾工房の装身具をきっかけにアメリカ人としての誇りを取り戻す。
フランク・フリンク
太平洋岸連邦の工芸職人。ユダヤ系アメリカ人。本名は「フランク・フィンク」。合衆国の軍人としてアメリカ本土決戦で枢軸軍と戦った過去を持つ。
終戦後も暫くはレジスタンスを続けていたが、占領統治が進むにつれて武器を捨てた。職人としての腕前は良いが人当たり悪く職場の工場をクビになっている。妻ともども易経に凝っている。
友人のマッカーシーに誘われ「エドフランク宝飾工房」を起業するが、チルダンに対する詐欺行為とユダヤ系の素性が発覚し逮捕される。その後、ドイツへの引き渡しを拒否した田上の計らいで釈放される。
ジュリアナ・フリンク
フランクの妻。美しい風貌をした黒髪の女性。フランクの貧しい生活に嫌気が差して別居、現在はロッキー山脈連邦のコロラド州キャノン・シティで、柔道の教師をしながら暮らしている。
『イナゴ身重く横たわる』の熱心な愛読者で、知り合ったジョーと共に作者の「高い城の男」に会おうと考えている。柔道の有段者で夫と同じく易経にも精通している。
ジョー・チナデーラ
イタリア国籍の退役軍人。北イタリアのミラノ出身。出稼ぎ目的の移民として合衆国に滞在しており、貨物運搬の用心棒としてロッキー山脈連邦を訪れた際にジュリアナと知り合う。浅黒い肌に黒い髪をした男性で、地中海人種的な風貌から東側の人種政策で差別されており、戦勝国出身にも拘らず『イナゴ身重く横たわる』の愛読者となっている。
ファシスト党少年団にも入っていた愛国者でロドルフォ・グラツィアーニの下で北アフリカ戦線に従軍し、エルヴィン・ロンメルからも二級鉄十字勲章を与えられている。正体はスイス出身のブランデンブルク隊工作員。北方人種風の風貌を隠し、密かにホーソーン・アベンゼンを追っていた。
田上信輔(たがみ のぶすけ)
原文では「Tagomi」であるため、浅倉訳版で姓が改変されている(川口訳版では原文のママ)。太平洋岸連邦の第一通商代表団の代表を務める日本人官僚。日本政府からバイネスの素性を探ることを命令されている。易経を精神統一の手段としてしばしば用いている。
「タンポポ作戦」の詳細を聞き精神的に衰弱し、SDの通商代表部襲撃とフランクの引き渡し要求でライスと口論となり、心臓発作を起こし倒れる。
ポール・梶浦(ポール・かじうら)
原文では「Kasoura」であるため、浅倉訳版で姓が改変されている(川口訳版では原文のママ)。太平洋岸連邦の不遇地域生活水準向上調査委員会の日本人職員。美術品愛好家で、チルダンの店の常連客。
ベティ・梶浦(ベティ・かじうら)
ポールの妻。浅黒い肌に艶やかな黒髪をした女性。
手崎(てざき)
原文では「Tedeki」であるため、浅倉訳版で姓が改変されている(川口訳版では原文のママ)。元日本軍参謀総長の老将軍。軍部の宇宙進出推進派。「矢田部信次郎」の偽名を使い、サンフランシスコを訪れる。
府馬五十雄(ふま いそお)
原文では「Ito(名)Humo(姓)」であるため、浅倉訳版で姓名が改変されている(川口訳版では原文のママ)。日本陸軍の退役少佐。旧アメリカ美術品の収集家で、4年前に古本屋を経営していたチルダンのもとを訪れ、彼の美術商への転身のきっかけを作る。
エフレイキアン
第一通商代表団オフィスの職員で、田上の秘書。背が高く、褐色の髪をしたアルメニア系の女性。
ラムジー
第一通商代表団オフィスの職員で、田上の秘書。アメリカ系白人の男性。
ルドルフ・ヴェゲナー
ドイツ国防軍情報部の大尉。ドイツ国内の要人の密命を受け、スウェーデン人実業家「バイネス」の偽名を使いサンフランシスコを訪れる。
ドイツに帰国後、国防軍と連携したSSに拘束される。
フーゴー・ライス
サンフランシスコ駐在ドイツ帝国領事を務める男爵。SS名誉少佐の階級を持ち、形式上メーレの指揮下にある。
ブルーノ・クロイツ・フォン・メーレ
太平洋岸連邦のSD地方長官。ハイドリヒ暗殺計画を阻止したことで目をかけられ、SD内での地位を確立する。
アレックス・ロッツェ
ドイツ人芸術家。個展を開くためサンフランシスコを訪れる。飛行機で隣席だったバイネスの「自分はユダヤ人だ」という冗談を真に受け、ドイツ領事館に「サンフランシスコにユダヤ人がいる」と密告する。
ウインダム=マトスン
WMコーポレーションの社長。フランクの雇い主。複数の企業の大株主であり、太平洋岸連邦の政府首脳部と繋がっている。
エド・マッカーシー
ウインダム=マストンが経営する工場の現場監督で、フランクの友人。フランクとともにエドフランク宝飾工房を起業する。
レイ・キャルヴィン
サンフランシスコで一・二を争う卸売業者。ウインダム=マストンが製造する模造品を取扱い、チルダンと取引をしている。
ホーソーン・アベンゼン
『イナゴ身重く横たわる』の作者。通称「高い城の男」。第二次世界大戦ではアメリカ海兵隊の軍曹としてイギリス戦線に従軍した。
現在はロッキー山脈連邦のシャイアンにある山奥の要塞(通称「高い城」)で暮らしている。
キャロライン・アベンゼン
ホーソーンの妻。灰色の目をした赤茶色の髪のアイルランド系女性。
#桐山涟[超话]#桐山漣兄の最新インタビューも掲載
漣哥最新訪問,獨家專訪
“妻の肝臓を病気の母に提供させる” 『肝臓を奪われた妻』で主人公の 夫・中村光星を演じる桐山漣に単独 インタビュー
毎週火曜放送の日本テレビ系・火曜プラチナイトドラ マDEEP『肝臓を奪われた妻』で主人公・北山優香(伊 原六花)の夫・中村光星(なかむらこうせい)を演じ る桐山漣に単独インタビュー。entax取材班は、出演が 決まった時の気持ちやドラマの見どころを聞いた
本作は、LINEマンガの2022年間ランキング(女性編) で6位にランクイン、国内累計閲覧数1億3300万 view sを記録した大人気作品。ヒロインの北山優香は、貧 乏だが純粋で素直な優しい子に育ち、理想の人と結ば れ、幸せな結婚生活を送るはずだった。しかし、夫・ 中村光星が優香と結婚した本当の目的は、“妻の肝臓を 病気の母に提供させる”こと。最愛の夫からだまされ裏 切られ、人を信じられなくなった主人公の復しゅう劇 が始まる
■役作りで立ち止まった時は原作からヒントをも らう
――ドラマ出演が決まった時の率直な気持ちを教えて ください
―ドラマ出演が決まった時の率直な気持ちを教えて ください。
桐山 :「肝臓を奪われた妻」というタイトルからして もうすでにパワーがあるし単純にどういう作品なんだ ろうという興味がかきたてられました。原作も時間を 忘れて読んでしまうほど素晴らしい作品ですし、今作 のドラマはどの登場人物も役が立っているので脚本を 読んでいて素直に楽しいです。
光星に関しては、初めはなんで悪いやつなんだと思っ ていましたが、読めば読むほど単なる悪役ではなく知 れば知るほど興味が湧くヒールさに出演が決定したと きは撮影がとても楽しみになりました。
――中村光星を演じる時に、どんなところを意識して いますか?
桐山: 光星の佇まいや纏う空気感、抱えているものが 目から滲み出るよう丁寧に演じていこうと思っていま す。
――原作があるドラマに出演する際に、大切にしてい ることはありますか?
桐山:表面的にならないように、キャラモノであろう となんだろうとその役1人の人間をちゃんと演じるとい うことを軸に置きながら、役作りをしています。原作 があるものに関しては、台本だけが全てというふうに 自分は思っていないので、役を作っていく上で立ち止 まった時は原作からヒントを得て取り入れるようにし ています
■実家で犬を飼うも「自分は犬種とかも選ぶ権利 ないんだな・・・」と明かす
――ドラマの様に、後から知って衝撃だったことはあ りますか?
桐山:実家で犬を飼ったんです。全然僕に懐いていな くて、まだ家族と思われてないんです(笑)。去年の 夏前くらいに「このワンちゃんにしたよ」と家族に言 われ、お会計の時だけ呼ばれて「自分は犬種とかも選 ぶ権利ないんだな」と思って衝撃でしたね(笑)。自 分は犬を飼うことに賛成だったんで全然よかったんで すけど、もうワンステップくらい段階があってもよか ったんじゃないかなと思いました。
――家族の方から「ワンちゃん飼いたいな~」みたい なご相談はあったんですか?
桐山:「ワンちゃん探してるんだよね〜」ぐらいのこ とは聞いてたんですけど、一緒に見に行くとか全くな かったですし、家族が引き取りに行く時に、僕も一緒 に行った感じだったので衝撃が大きかったです
――放送を楽しみにしている視聴者にメッセージをお 願いします。
桐山:過去に演じたことがないくらい冷徹でヒールな 役なので、本当にもう視聴者の方に嫌われてもいい覚 悟で演じていきます。中村家ひとりひとりに優香が周 りの人の愛に支えられながら、あの手この手を使い復 しゅうを果たしていくので見ていて飽きないですし何 より感情移入して応援したくなるはずです。
彼女の復しゅうとその先にある行く末を存分にお楽し みください。
※桐山漣さんの「漣」は、しんにょうの点はひとつ
URL を参照してください:
https://t.cn/A6ToQNci#桐山涟#
漣哥最新訪問,獨家專訪
“妻の肝臓を病気の母に提供させる” 『肝臓を奪われた妻』で主人公の 夫・中村光星を演じる桐山漣に単独 インタビュー
毎週火曜放送の日本テレビ系・火曜プラチナイトドラ マDEEP『肝臓を奪われた妻』で主人公・北山優香(伊 原六花)の夫・中村光星(なかむらこうせい)を演じ る桐山漣に単独インタビュー。entax取材班は、出演が 決まった時の気持ちやドラマの見どころを聞いた
本作は、LINEマンガの2022年間ランキング(女性編) で6位にランクイン、国内累計閲覧数1億3300万 view sを記録した大人気作品。ヒロインの北山優香は、貧 乏だが純粋で素直な優しい子に育ち、理想の人と結ば れ、幸せな結婚生活を送るはずだった。しかし、夫・ 中村光星が優香と結婚した本当の目的は、“妻の肝臓を 病気の母に提供させる”こと。最愛の夫からだまされ裏 切られ、人を信じられなくなった主人公の復しゅう劇 が始まる
■役作りで立ち止まった時は原作からヒントをも らう
――ドラマ出演が決まった時の率直な気持ちを教えて ください
―ドラマ出演が決まった時の率直な気持ちを教えて ください。
桐山 :「肝臓を奪われた妻」というタイトルからして もうすでにパワーがあるし単純にどういう作品なんだ ろうという興味がかきたてられました。原作も時間を 忘れて読んでしまうほど素晴らしい作品ですし、今作 のドラマはどの登場人物も役が立っているので脚本を 読んでいて素直に楽しいです。
光星に関しては、初めはなんで悪いやつなんだと思っ ていましたが、読めば読むほど単なる悪役ではなく知 れば知るほど興味が湧くヒールさに出演が決定したと きは撮影がとても楽しみになりました。
――中村光星を演じる時に、どんなところを意識して いますか?
桐山: 光星の佇まいや纏う空気感、抱えているものが 目から滲み出るよう丁寧に演じていこうと思っていま す。
――原作があるドラマに出演する際に、大切にしてい ることはありますか?
桐山:表面的にならないように、キャラモノであろう となんだろうとその役1人の人間をちゃんと演じるとい うことを軸に置きながら、役作りをしています。原作 があるものに関しては、台本だけが全てというふうに 自分は思っていないので、役を作っていく上で立ち止 まった時は原作からヒントを得て取り入れるようにし ています
■実家で犬を飼うも「自分は犬種とかも選ぶ権利 ないんだな・・・」と明かす
――ドラマの様に、後から知って衝撃だったことはあ りますか?
桐山:実家で犬を飼ったんです。全然僕に懐いていな くて、まだ家族と思われてないんです(笑)。去年の 夏前くらいに「このワンちゃんにしたよ」と家族に言 われ、お会計の時だけ呼ばれて「自分は犬種とかも選 ぶ権利ないんだな」と思って衝撃でしたね(笑)。自 分は犬を飼うことに賛成だったんで全然よかったんで すけど、もうワンステップくらい段階があってもよか ったんじゃないかなと思いました。
――家族の方から「ワンちゃん飼いたいな~」みたい なご相談はあったんですか?
桐山:「ワンちゃん探してるんだよね〜」ぐらいのこ とは聞いてたんですけど、一緒に見に行くとか全くな かったですし、家族が引き取りに行く時に、僕も一緒 に行った感じだったので衝撃が大きかったです
――放送を楽しみにしている視聴者にメッセージをお 願いします。
桐山:過去に演じたことがないくらい冷徹でヒールな 役なので、本当にもう視聴者の方に嫌われてもいい覚 悟で演じていきます。中村家ひとりひとりに優香が周 りの人の愛に支えられながら、あの手この手を使い復 しゅうを果たしていくので見ていて飽きないですし何 より感情移入して応援したくなるはずです。
彼女の復しゅうとその先にある行く末を存分にお楽し みください。
※桐山漣さんの「漣」は、しんにょうの点はひとつ
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https://t.cn/A6ToQNci#桐山涟#
✍中村晃は「変わらない」 後輩に見せる背中…周東佑京が「近づきたい」と思う理由
好叔叔全都是破软银对不起你
ベンチスタートが続く日々でも、生き様の全てが後輩のお手本となっている。4月6日の楽天戦(楽天モバイル)後、小久保裕紀監督も「あの喜ぶガッツポーズの姿とか、あれを見て感じない選手がいたら人じゃないですよ。あのぐらいのものを持って、1打席に懸ける選手がベンチにいてくれるっていう強さは感じました」と絶大な信頼を口にしたのが、中村晃外野手の存在だ。代打としてチームのピースとなる姿に、周東佑京内野手も「本当に参考になる」と心からのリスペクトを語る。後輩目線から見る中村晃のすごさ、そして代打としてどんな準備を重ねているのかを単独取材で迫った。
今季は山川穂高内野手やアダム・ウォーカー外野手らの加入によって、開幕スタメンを逃すことになった。開幕5戦目、3日のロッテ戦(PayPayドーム)で初安打を記録した。久々に奏でた快音の感触を「やっぱりホッとしますね」とうなずく。画面越しですら伝わってくるほどの集中力にも「全部していました。しっかりと初球から準備できていました。今日はいい打席、アウトにはなりましたけど、いい打席3つだったと思います」と語る表情が中村晃らしかった。
盛り上がりを見せたソフトバンクベンチ【写真:荒川祐史】盛り上がりを見せたソフトバンクベンチ【写真:荒川祐史】
6日の楽天戦では9回に代打で登場すると、チームに貴重な追加点をもたらす左前への適時打を放った。一塁ベース上では雄叫びをあげ、感情を爆発させた。「代打の時は1打席しかないんでしっかり集中していけたかな、と思います。しっかり1年間、いい姿を見せ続けられるようにしていきたい」。決意に満ちた表情が印象的だった。
小久保裕紀監督は3月中旬、オープン戦中盤を戦っていた中でウォーカーの開幕スタメンを明言した。中村晃もオープン戦中から「公式戦と同じように」と、準備には手を抜くことなく、シーズン同様に結果を求めてきた。ベンチから戦況を見つめる隣には、多くの若手たちがいる。中村晃自身は「自分の準備で、そんなに余裕はないです」と前だけを見つめているが、そんなベテランの背中を見ている後輩はたくさんいる。その1人である周東はこう語る。
「試合へのアプローチだとか、打席への向かい方とか、晃さんがやっていること自体は変わっていると思いますけど、根本的な入り方とか準備は変わらないのかなと思っています。むしろ、トレーニングとかやっているのかなと思います。増やしているのかなって見ていますけど」
3日のロッテ戦、延長10回2死から中村晃が中前打を放ち、打席に入ったのが周東だった。結果は、9球粘っての四球。キャンプ中から、1番打者として「打つ球を選んでいく」と出塁率に重点を置いた成果が表れた。開幕5試合を終えて、3つ目の四球に「いいと思います。10打席に1個くらいを目標にしているんです。10打席に1個を、年間通してできたら60とか70個になるじゃないですか」という。3月以降、周東と中村晃の2人が会話をするシーンは日に日に多くなっている。
ソフトバンク・中村晃【写真:荒川祐史】ソフトバンク・中村晃【写真:荒川祐史】
ナイター開催の時、PayPayドームに来ても「晃さんの方が早いです」と“球場入り”は中村晃の方が早い。「暇なんじゃないですか? めっちゃせっかちなので、あの人」と笑いながら明かすが「あれだけヒットを重ねてきて試合に出てきた選手ですから。気持ちの持っていきようとか、技術的なこともそうですけど、参考になる部分は本当に多いです」と、頼りにしている先輩だ。周東も今季が7年目。準備の引き出しが確実に多くなる中でも、中村晃から教わっているものがたくさんある。
「利き手が違うので、バッティングの中で一緒のことをやろうとすると難しいんです。だから晃さんの考え方を聞きながら、やろうとはしています。晃さんがこんなふうに考えて1番に入っていた、とか聞きながら、それに近づきたい、近づいていけたらとは思っています。晃さんが見ている中で、どう感じているかとかは聞きながら。『こうした方がいい』っていうよりは『こうなっていると思うよ』っていう。晃さんから言われることはないですけど、自分から聞きに行っています」
ソフトバンク・中村晃【写真:荒川祐史】ソフトバンク・中村晃【写真:荒川祐史】
中村晃のルーティンにも変化は表れている。代打での出場がメインで、打席数の確保がどうしても難しい状況を「どうしても(影響は)あるというか、普通に考えたら1打席なので。集中力を発揮できるように考えてはいます」と、今は1打席1打席が貴重だ。2日、3日のロッテ戦の前はアーリーワークにも参加。若手に混じってバットを振っていたのも「速い球のマシンがあるんです。打席が少なくなっているので、できることはやろうと思っています」と少しでも目を慣らしておくためだった。
薄暗いベンチ裏と、照明に照らされる打席。明度の違いを考えて、目の準備を大切にすることも「最初は意識したんですけど」としつつ「それを気にしても仕方ないというか、他にもっと自分にはやった方がいいことがある気がしたので。今は気にしていないです。5回、6回くらいまではベンチにいて、あとはしっかりと怪我しないように動かして備える感じです」と、出番までの流れを語る。目標は当然、確固たるレギュラーに返り咲くこと。自分自身の最善の準備を、中村晃自身も探している途中だ。
「(スタメンと代打の違いは)しっかりと自分のスイングができたかどうか。その打席を増やせるかどうか。結果はもちろあるんですけど、それを意識しています。準備はしっかりとできていると思います。あとは打席での、反省とか。そういうのをしっかりして、また次に備えるということは今のところできているかなと思います」
若手への意識については「そんな余裕はない」と首を横に振ったが、最善を尽くそうとする姿を後輩は必ず見ている。代打で登場するたびに、毎回のようにファンから大きな歓声が注がれる。「本当にありがたいです」。今は出番が限られているかもしれない。だからこそ、プロとして徹底的な準備をする中村晃の一瞬一瞬を、見逃してはいけない。
记事
好叔叔全都是破软银对不起你
ベンチスタートが続く日々でも、生き様の全てが後輩のお手本となっている。4月6日の楽天戦(楽天モバイル)後、小久保裕紀監督も「あの喜ぶガッツポーズの姿とか、あれを見て感じない選手がいたら人じゃないですよ。あのぐらいのものを持って、1打席に懸ける選手がベンチにいてくれるっていう強さは感じました」と絶大な信頼を口にしたのが、中村晃外野手の存在だ。代打としてチームのピースとなる姿に、周東佑京内野手も「本当に参考になる」と心からのリスペクトを語る。後輩目線から見る中村晃のすごさ、そして代打としてどんな準備を重ねているのかを単独取材で迫った。
今季は山川穂高内野手やアダム・ウォーカー外野手らの加入によって、開幕スタメンを逃すことになった。開幕5戦目、3日のロッテ戦(PayPayドーム)で初安打を記録した。久々に奏でた快音の感触を「やっぱりホッとしますね」とうなずく。画面越しですら伝わってくるほどの集中力にも「全部していました。しっかりと初球から準備できていました。今日はいい打席、アウトにはなりましたけど、いい打席3つだったと思います」と語る表情が中村晃らしかった。
盛り上がりを見せたソフトバンクベンチ【写真:荒川祐史】盛り上がりを見せたソフトバンクベンチ【写真:荒川祐史】
6日の楽天戦では9回に代打で登場すると、チームに貴重な追加点をもたらす左前への適時打を放った。一塁ベース上では雄叫びをあげ、感情を爆発させた。「代打の時は1打席しかないんでしっかり集中していけたかな、と思います。しっかり1年間、いい姿を見せ続けられるようにしていきたい」。決意に満ちた表情が印象的だった。
小久保裕紀監督は3月中旬、オープン戦中盤を戦っていた中でウォーカーの開幕スタメンを明言した。中村晃もオープン戦中から「公式戦と同じように」と、準備には手を抜くことなく、シーズン同様に結果を求めてきた。ベンチから戦況を見つめる隣には、多くの若手たちがいる。中村晃自身は「自分の準備で、そんなに余裕はないです」と前だけを見つめているが、そんなベテランの背中を見ている後輩はたくさんいる。その1人である周東はこう語る。
「試合へのアプローチだとか、打席への向かい方とか、晃さんがやっていること自体は変わっていると思いますけど、根本的な入り方とか準備は変わらないのかなと思っています。むしろ、トレーニングとかやっているのかなと思います。増やしているのかなって見ていますけど」
3日のロッテ戦、延長10回2死から中村晃が中前打を放ち、打席に入ったのが周東だった。結果は、9球粘っての四球。キャンプ中から、1番打者として「打つ球を選んでいく」と出塁率に重点を置いた成果が表れた。開幕5試合を終えて、3つ目の四球に「いいと思います。10打席に1個くらいを目標にしているんです。10打席に1個を、年間通してできたら60とか70個になるじゃないですか」という。3月以降、周東と中村晃の2人が会話をするシーンは日に日に多くなっている。
ソフトバンク・中村晃【写真:荒川祐史】ソフトバンク・中村晃【写真:荒川祐史】
ナイター開催の時、PayPayドームに来ても「晃さんの方が早いです」と“球場入り”は中村晃の方が早い。「暇なんじゃないですか? めっちゃせっかちなので、あの人」と笑いながら明かすが「あれだけヒットを重ねてきて試合に出てきた選手ですから。気持ちの持っていきようとか、技術的なこともそうですけど、参考になる部分は本当に多いです」と、頼りにしている先輩だ。周東も今季が7年目。準備の引き出しが確実に多くなる中でも、中村晃から教わっているものがたくさんある。
「利き手が違うので、バッティングの中で一緒のことをやろうとすると難しいんです。だから晃さんの考え方を聞きながら、やろうとはしています。晃さんがこんなふうに考えて1番に入っていた、とか聞きながら、それに近づきたい、近づいていけたらとは思っています。晃さんが見ている中で、どう感じているかとかは聞きながら。『こうした方がいい』っていうよりは『こうなっていると思うよ』っていう。晃さんから言われることはないですけど、自分から聞きに行っています」
ソフトバンク・中村晃【写真:荒川祐史】ソフトバンク・中村晃【写真:荒川祐史】
中村晃のルーティンにも変化は表れている。代打での出場がメインで、打席数の確保がどうしても難しい状況を「どうしても(影響は)あるというか、普通に考えたら1打席なので。集中力を発揮できるように考えてはいます」と、今は1打席1打席が貴重だ。2日、3日のロッテ戦の前はアーリーワークにも参加。若手に混じってバットを振っていたのも「速い球のマシンがあるんです。打席が少なくなっているので、できることはやろうと思っています」と少しでも目を慣らしておくためだった。
薄暗いベンチ裏と、照明に照らされる打席。明度の違いを考えて、目の準備を大切にすることも「最初は意識したんですけど」としつつ「それを気にしても仕方ないというか、他にもっと自分にはやった方がいいことがある気がしたので。今は気にしていないです。5回、6回くらいまではベンチにいて、あとはしっかりと怪我しないように動かして備える感じです」と、出番までの流れを語る。目標は当然、確固たるレギュラーに返り咲くこと。自分自身の最善の準備を、中村晃自身も探している途中だ。
「(スタメンと代打の違いは)しっかりと自分のスイングができたかどうか。その打席を増やせるかどうか。結果はもちろあるんですけど、それを意識しています。準備はしっかりとできていると思います。あとは打席での、反省とか。そういうのをしっかりして、また次に備えるということは今のところできているかなと思います」
若手への意識については「そんな余裕はない」と首を横に振ったが、最善を尽くそうとする姿を後輩は必ず見ている。代打で登場するたびに、毎回のようにファンから大きな歓声が注がれる。「本当にありがたいです」。今は出番が限られているかもしれない。だからこそ、プロとして徹底的な準備をする中村晃の一瞬一瞬を、見逃してはいけない。
记事
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