#健康身体 健康地球 健康生活#
〔 老いをみるまなざし〕
第6回 床屋の女房
井口 昭久(いぐち あきひさ)
愛知淑徳大学健康医療科学部教授
正月の気分も消えた1月の下旬の水曜日の午前11時に、私は行きつけの床屋へ行った。
理髪用の椅子には乾いた洗濯物が無造作に置いてあった。床屋の亭主は流し台に向かって歯を磨いていた。いつもは女房がいたのだがその日は亭主だけであった。彼は歯磨きを終えてうがいをしてから洗濯物を片付けて私の散髪を始めた。
亭主は右手にカミソリを持ち左手に石鹸の泡を抱えて私の顎をそっていた。
以前は顔を剃るのは女房の役割であった。女房のふくよかな感触に心地よく眠ったものだった。亭主では唯、寝ている間にひげが剃られていくだけだ。
けたたましい音がして電話が鳴った。電話の音を「大」にしてあるようだった。
亭主は左手の石鹸の泡をテイッシュで拭いて右手にカミソリを持ったまま受話器を取って電話機に怒鳴った。「今ちょっと忙しいんだけど、何?」受話器を戻そうとしながら「どうしたの?」と聞き返した。「いいよ。いつ?」私はそのやりとりから予約をしてきた客かなと思った。
しかし「分かった,わかった。誰と?」というのを聞いて、どうやら麻雀かゴルフのお誘いらしいなと思った。
彼は遊び人である。若い頃から麻雀、ゴルフ、釣りを楽しんできた。それにヨットまで持っている。
私は若い頃は勉強ばかりしていた。30歳から40歳代にかけてこの床屋のように過ごした人間と、私のように暇さえあれば本を読んだり論文を書いたりして脳を鍛えている人間はそのうち老人になったら何か大きな差ができるだろうと思っていた。
そして二人とも老人になったが、何も変わらなかった。
私も遊びたいのだが、私はゴルフはできない、麻雀の仲間もいない、ヨットなど乗ったことはない。居酒屋もいかない。
私は相変わらず体を使って遊ぶということができないでいる。今となっては、ひたすらに床屋が羨ましい。
しかし「生まれ変わったら床屋になろう」とは思わない。
床屋は受話器を耳から離して私の方を振り向いて「今、仕事中なんだけど」と向こうの人に言った。
「後でまた」と言って仕事に戻るだろうと、私は顎を上げる準備体制に入った。
床屋は還暦を過ぎているのに金髪である。頭のてっぺんは髪の毛が寝ぐせのままである。髪をもじゃもじゃにするのが今風の若者のスタイルなのだ。「このアタマで床屋かよ?!」と私はいつも思う。
「老人が若い者の真似をすることほど見苦しいことはない」と、ヘルマン・ヘッセは言っているが、哲学的な話は彼には似合わないので私はそのことは黙っている。
彼は一旦私の方に戻るかに見えたが「それで、どこで?」と再び電話に捕まってしまった。
「え。俺が?」と彼は受話器を握りなおした。「俺がとるの?」。
彼は受話器にくっついてしまった。
「サルーーー。あーサルカントリーか。分かった。かみさんは今いないんだわ」
私は彼の電話から一部始終を理解しようとしていた。
電話をかけてきた相手は市役所に勤めていて今は定年後で公団住宅に住んでいる村松さんであるらしい。いつもの仲間とゴルフをしたいのだが2月の18日がいい。ついては猿投カントリークラブを予約してくれないか。いつも床屋の女房が予約をするのでまた女房に頼んでもらいたい、ということだと、私は理解した。
「かみさんはねー、居酒屋を始めたんだわ、だから俺がゴルフクラブへ電話をするわ」
と彼が言った。
床屋の女房は居酒屋を始めたのである。60を過ぎてからキャリア・アップをはかったのだ。夜の飲み屋で忙しいらしく昼間に床屋に現れることはめったになくなった。
女房の愚痴を彼は村松さんに始めた。
「カミさんはねー、この頃ゼンゼン出てこんのだわ!」
タオルで湿らせた私の顔は乾いてきた。
私は電話の話を聴きながら再び寝入ってしまった。
図:第6回床屋の女房の挿絵
(イラスト:茶畑和也)
〔 老いをみるまなざし〕
第6回 床屋の女房
井口 昭久(いぐち あきひさ)
愛知淑徳大学健康医療科学部教授
正月の気分も消えた1月の下旬の水曜日の午前11時に、私は行きつけの床屋へ行った。
理髪用の椅子には乾いた洗濯物が無造作に置いてあった。床屋の亭主は流し台に向かって歯を磨いていた。いつもは女房がいたのだがその日は亭主だけであった。彼は歯磨きを終えてうがいをしてから洗濯物を片付けて私の散髪を始めた。
亭主は右手にカミソリを持ち左手に石鹸の泡を抱えて私の顎をそっていた。
以前は顔を剃るのは女房の役割であった。女房のふくよかな感触に心地よく眠ったものだった。亭主では唯、寝ている間にひげが剃られていくだけだ。
けたたましい音がして電話が鳴った。電話の音を「大」にしてあるようだった。
亭主は左手の石鹸の泡をテイッシュで拭いて右手にカミソリを持ったまま受話器を取って電話機に怒鳴った。「今ちょっと忙しいんだけど、何?」受話器を戻そうとしながら「どうしたの?」と聞き返した。「いいよ。いつ?」私はそのやりとりから予約をしてきた客かなと思った。
しかし「分かった,わかった。誰と?」というのを聞いて、どうやら麻雀かゴルフのお誘いらしいなと思った。
彼は遊び人である。若い頃から麻雀、ゴルフ、釣りを楽しんできた。それにヨットまで持っている。
私は若い頃は勉強ばかりしていた。30歳から40歳代にかけてこの床屋のように過ごした人間と、私のように暇さえあれば本を読んだり論文を書いたりして脳を鍛えている人間はそのうち老人になったら何か大きな差ができるだろうと思っていた。
そして二人とも老人になったが、何も変わらなかった。
私も遊びたいのだが、私はゴルフはできない、麻雀の仲間もいない、ヨットなど乗ったことはない。居酒屋もいかない。
私は相変わらず体を使って遊ぶということができないでいる。今となっては、ひたすらに床屋が羨ましい。
しかし「生まれ変わったら床屋になろう」とは思わない。
床屋は受話器を耳から離して私の方を振り向いて「今、仕事中なんだけど」と向こうの人に言った。
「後でまた」と言って仕事に戻るだろうと、私は顎を上げる準備体制に入った。
床屋は還暦を過ぎているのに金髪である。頭のてっぺんは髪の毛が寝ぐせのままである。髪をもじゃもじゃにするのが今風の若者のスタイルなのだ。「このアタマで床屋かよ?!」と私はいつも思う。
「老人が若い者の真似をすることほど見苦しいことはない」と、ヘルマン・ヘッセは言っているが、哲学的な話は彼には似合わないので私はそのことは黙っている。
彼は一旦私の方に戻るかに見えたが「それで、どこで?」と再び電話に捕まってしまった。
「え。俺が?」と彼は受話器を握りなおした。「俺がとるの?」。
彼は受話器にくっついてしまった。
「サルーーー。あーサルカントリーか。分かった。かみさんは今いないんだわ」
私は彼の電話から一部始終を理解しようとしていた。
電話をかけてきた相手は市役所に勤めていて今は定年後で公団住宅に住んでいる村松さんであるらしい。いつもの仲間とゴルフをしたいのだが2月の18日がいい。ついては猿投カントリークラブを予約してくれないか。いつも床屋の女房が予約をするのでまた女房に頼んでもらいたい、ということだと、私は理解した。
「かみさんはねー、居酒屋を始めたんだわ、だから俺がゴルフクラブへ電話をするわ」
と彼が言った。
床屋の女房は居酒屋を始めたのである。60を過ぎてからキャリア・アップをはかったのだ。夜の飲み屋で忙しいらしく昼間に床屋に現れることはめったになくなった。
女房の愚痴を彼は村松さんに始めた。
「カミさんはねー、この頃ゼンゼン出てこんのだわ!」
タオルで湿らせた私の顔は乾いてきた。
私は電話の話を聴きながら再び寝入ってしまった。
図:第6回床屋の女房の挿絵
(イラスト:茶畑和也)
来推ゆりか老师的《誤差の範囲内です》
⚠️髭膝
看简介也大概了解猫膝
无需警示tag,非常清水(不然呢??)
喜欢,好喜欢啊,好甜啊。
显形的时候因为婶一直在惦记别人家小猫咪好可爱啊,于是召唤的时候出现了问题,膝丸是以猫的形态落地,而非人形。
全篇都没变回人形(重点)只有在梦中可以短暂的用原本面貌和他哥说说话。且,猫的形态和人类语言是不同的,生理和猫完全一样,就当做一个特别能打架的酷帅黑猫就可以了。
整篇氛围类似夏目一样,慢悠悠的,每次觉得是不是要虐的时候,比如非人型日常会不会很麻烦,出阵该怎么办呢……所有想到的顾虑都没有,就很甜,两振在一起总有办法的,纯然双向奔赴。
是猫咪又如何呢,那也是弟弟呀。
↑这样的、安心的、最喜欢弟弟的哥,真是尊的不行。
「……兄者。よその兄者はな、ひとの姿の俺と話をしたり、身支度を手伝ってもらったり、揃いの湯飲みで俺が淹れた茶を一緒に飲んだり、それから、ええと、俺の生けた花を見て楽しんだりしているのだぞ」“... ... 兄长。别的兄长,可以和人形的‘我’聊天、可以帮忙整理衣物、可以一起喝‘我’泡的茶,还有,唔,欣赏‘我’的花道。”
「笑い事ではないぞ。兄者は羨ましくないのか?」
“这可不是闹着玩的。兄长难道不羡慕吗?”
「そりゃあ、そういうこともできたら楽しいだろうけど。よその僕はね、猫の姿のおとうとをもふもふして癒されたり、懐に入れて暖をとったり、猫じゃらしで勝負したりはできないんだよ。たぶん、おまえと出陣するのはひとの器の弟と一緒に行くより愉しめるんじゃないかな」
↑这就不翻了,哥的语气我实在拿捏不好……而且下面一句是点题全文的金句,现在透了就没意思了。希望有兴趣的可以慢慢细读!
日常小事件也是蛮可爱的,比如黑猫姿态的膝丸穿着猫用出阵服引起了话题、比如万圣节时候带着蝙蝠翅膀的使魔样膝在万屋引起了轰动www
这篇真的好可爱啊!谢谢猫之日!
赞美太太!
⚠️髭膝
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喜欢,好喜欢啊,好甜啊。
显形的时候因为婶一直在惦记别人家小猫咪好可爱啊,于是召唤的时候出现了问题,膝丸是以猫的形态落地,而非人形。
全篇都没变回人形(重点)只有在梦中可以短暂的用原本面貌和他哥说说话。且,猫的形态和人类语言是不同的,生理和猫完全一样,就当做一个特别能打架的酷帅黑猫就可以了。
整篇氛围类似夏目一样,慢悠悠的,每次觉得是不是要虐的时候,比如非人型日常会不会很麻烦,出阵该怎么办呢……所有想到的顾虑都没有,就很甜,两振在一起总有办法的,纯然双向奔赴。
是猫咪又如何呢,那也是弟弟呀。
↑这样的、安心的、最喜欢弟弟的哥,真是尊的不行。
「……兄者。よその兄者はな、ひとの姿の俺と話をしたり、身支度を手伝ってもらったり、揃いの湯飲みで俺が淹れた茶を一緒に飲んだり、それから、ええと、俺の生けた花を見て楽しんだりしているのだぞ」“... ... 兄长。别的兄长,可以和人形的‘我’聊天、可以帮忙整理衣物、可以一起喝‘我’泡的茶,还有,唔,欣赏‘我’的花道。”
「笑い事ではないぞ。兄者は羨ましくないのか?」
“这可不是闹着玩的。兄长难道不羡慕吗?”
「そりゃあ、そういうこともできたら楽しいだろうけど。よその僕はね、猫の姿のおとうとをもふもふして癒されたり、懐に入れて暖をとったり、猫じゃらしで勝負したりはできないんだよ。たぶん、おまえと出陣するのはひとの器の弟と一緒に行くより愉しめるんじゃないかな」
↑这就不翻了,哥的语气我实在拿捏不好……而且下面一句是点题全文的金句,现在透了就没意思了。希望有兴趣的可以慢慢细读!
日常小事件也是蛮可爱的,比如黑猫姿态的膝丸穿着猫用出阵服引起了话题、比如万圣节时候带着蝙蝠翅膀的使魔样膝在万屋引起了轰动www
这篇真的好可爱啊!谢谢猫之日!
赞美太太!
#吉井美优[超话]#
セルフカラーってムラなく染められるか
不安だけど、このビューティラボは
泡タイプなので塗りやすかった ️
初めてヘアカラーした時も自分で染めたので
なんだか懐かしい気持ちになった
#beautylabo #ビューティラボ #ホイップヘアカラー
#私たちのヘアカラーデビュー
#医薬部外品 #pr
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