危険」な住宅に人が…なぜ?独自調査 石川 珠洲 地震1か月
2023年6月5日 6時46分
石川県珠洲市で震度6強の揺れを観測する地震が発生してから、5日で1か月です。現地では今も、被災した住宅を修繕できないまま生活を続けている人たちがいます。
いったいなぜなのか。NHKの調査から見えてきた実情とは。
【1か月前に地区を襲った地震は】
1か月前の5月5日の午後3時前、石川県の能登地方を震源とするマグニチュード6.5の地震が発生し、石川県珠洲市で震度6強の揺れを観測しました。
珠洲市内だけで657棟の住宅被害が確認されていますが、経済的な事情や工事業者が依頼に対応しきれないなどの理由から、住宅を修繕できないまま生活を続けている住民が多くいます。
市内で建物被害が特に多いのは正院町正院で、地震の後に自治体が行った建物の応急的な調査=「応急危険度判定」では、納屋や倉庫を含むおよそ100棟が倒壊や落下物などのおそれがある「危険」と判定されています。
【地区の調査で見えたのは】
今の生活はどうなっているのか、NHKはこの地区を調査しました。
「危険」判定の37棟に住民
玄関先に貼られた赤いステッカーなどをもとに「危険」判定の建物を調査したところ、納屋や倉庫を除く住宅は65棟でその半数を超える37棟に住民が暮らしていました。
このほか、空き家が3割以上の23棟で、住民の公営住宅や親戚の家への避難・転居が確認されたケースが3棟でした。
「危険」判定の住民半数以上で修繕めど立たず
「危険」と判定された37棟の住宅で暮らす人に修繕のめどが立っているかを尋ねたところ「めどは立っていない」と回答した割合が57%。
「めどが立っている、または修繕の必要がないと考えている」と回答した割合が11%でした。
転居や避難をしない理由は?
転居や避難をしない理由を複数回答で尋ねると、「生活は可能だから」という回答の割合が49%だった一方、「危険を感じるが、慣れた場所を離れたくない、離れられない」などの回答が32%、「仮設住宅などでの生活に不安や抵抗感がある」といった回答が24%ありました。
珠洲市では65歳以上の人の割合が去年10月時点で52.8%にのぼり、今回の調査で被災した住宅に残っていたのも高齢者が多く、住宅の修繕や転居に踏み切れない理由の1つと考えられます。
石川県の能登地方ではその後も地震が相次いでいて、被災した住宅の修繕や住民の生活をどう支えるのかが課題になっています。
【「危険」でも離れられない理由は】
応急危険度判定で「危険」と判定された住宅に暮らす人たちからは、地震が続くことへの不安を感じながらも自宅を離れられないさまざまな事情が聞かれました。
当面、修繕工事できず
正院町正院で1人暮らしの奥ふみ子さん(88)の自宅は基礎の部分が傾き、敷地のブロック塀が倒れるなどの被害がありました。
業者に修繕を頼んでいますが、依頼が殺到していて当面、工事はできないと言われています。
足が不自由なこともあり、自分をよく知る人が周りにいる地域を離れることには不安を感じるといいます。
奥さんは「今の家でも寝起きはできるし、何かあれば、近所どうし声もかけられます。ほかの場所に移るのは心が落ち着かないので嫌です」と話していました。
「家のことが心配」
澤田洋子さん(81)の自宅は屋根瓦が落ちたり、窓ガラスが割れたりする被害があり、先月30日に取材した時にも窓枠にはブルーシートが張られていました。
澤田さんには、金沢市で暮らす娘もいますが、自宅を離れることは考えていないといい「再び地震が来る怖さはありますが、ほかの場所に行っても家のことが心配になるので一緒だと思います。倒壊まではしないと思うし、悩んでも仕方がないです」と話していました。
「受験控える娘が…」 比較的新しいスペースで生活
岡村好志美さん(48)の自宅は築100年の伝統的な家屋で、地震で外壁の一部が崩れ落ち、柱が傾いたり基礎部分にひびが入ったりしました。
修繕を依頼した業者からは「次に大きな地震が来れば倒壊するおそれが大きい」と言われていますが、工事を開始できるめどはまだ立っていません。
岡村さんは「仮設住宅に移れるなら移りたい気持ちもありますが、受験を控えた高校生の娘の通学や、自分たち夫婦の仕事のことを考えると環境を変えることは難しい」と話しています。
家族はいつ来るかわからない地震に備え、比較的新しい、増築されたスペースで生活を送っていますが、業者から「工事をしても住宅の安全性は十分ではない」と言われているということです。
岡村さんは「経済的に家を建て直すことは難しいし、どこまでお金をかけて修繕すればよいか頭を悩ませています」と話していました。
【「危険」判定の住宅 3割超が空き家】
今回、正院町正院で取材した「危険」判定の住宅65棟のうち、3割を超える23棟が空き家でした。
珠洲市によりますと、空き家の中には、老朽化が進み倒壊の危険などがあるにもかかわらず、所有者と連絡がついていないものもあるということです。
珠洲市は1950年代に3万8000人を超えていた人口が、ことし5月時点で1万2000人台にまで落ち込むなど人口減少が続き、空き家が急増しています。
「危険」と判定された空き家の近くに住む男性は「20年以上放置されていた空き家が傾いていて、次に大きな地震が来れば倒壊してしまうのではないかと心配しています。空き家の前を散歩しているお年寄りを見ていても危険性を感じるので、解体などの対応を早くしてほしい」と不安を語っていました。
【自治体 手続きや精神面のサポートへ】
危険性が指摘された住宅で生活を続ける人たちについて、石川県珠洲市の泉谷満寿裕市長は「できるだけ修繕をして、慣れ親しんだ自宅や地域で住み続けてほしいと思っているが、高齢であることや経済的な事情からそのめどが立たないか、そもそも修繕するかどうかを悩んでいる人もいる。何から手をつけてよいか、わからない人も多い」と述べ、巡回訪問などを通じて手続きや精神面のサポートを行っていく考えを示しました。
また、被災した住宅の解体・修繕を行う人の費用負担を軽減する市独自の支援を検討していること、自宅での生活が困難な人たちの長期的な住まいを確保するため、国と連携し災害公営住宅を整備することも検討していく方針を示しました。
【専門家 “個々の状況やニーズ踏まえた支援を”】
地震や水害などで住宅が被害を受け応急危険度判定で「危険」とされたものの、そこで住民が生活を続けるケースは過去も相次いでいます。
地域防災に詳しく、7年前の熊本地震で被災者の生活状況などを調査した熊本県立大学の澤田道夫教授は、珠洲市の現状について「危険性がある住宅で住民が生活を続ける状況は熊本地震の際にもあった。地震が継続する中、被害を受けるリスクが高いうえ仮設住宅などに入居した場合と比べて行政からの情報が届きにくく、必要な支援を受けられない懸念もある」と指摘しています。
高齢者が多いことについて澤田教授は「特に高齢者の場合、被災した住宅を再建しても資金返済のあてがないとして最初から諦めてしまうケースがあり、支援の存在を知らないままの人もいる」としています。
その上で「行政にはわかりやすいことばで支援制度を説明することが求められる。例えば被災者が住み慣れた地域に災害公営住宅を整備するなど、個々の状況やニーズを踏まえた支援を行う必要がある」としています。
一方で、規模の大きい災害で被災者のニーズに幅広く対応するためには、珠洲市の財政規模では難しいことが想定され、国や県がより踏み込んだ形でサポートしていくことが必要だと話しています。
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2023年6月5日 6時46分
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「危険」判定の住民半数以上で修繕めど立たず
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「めどが立っている、または修繕の必要がないと考えている」と回答した割合が11%でした。
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転居や避難をしない理由を複数回答で尋ねると、「生活は可能だから」という回答の割合が49%だった一方、「危険を感じるが、慣れた場所を離れたくない、離れられない」などの回答が32%、「仮設住宅などでの生活に不安や抵抗感がある」といった回答が24%ありました。
珠洲市では65歳以上の人の割合が去年10月時点で52.8%にのぼり、今回の調査で被災した住宅に残っていたのも高齢者が多く、住宅の修繕や転居に踏み切れない理由の1つと考えられます。
石川県の能登地方ではその後も地震が相次いでいて、被災した住宅の修繕や住民の生活をどう支えるのかが課題になっています。
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応急危険度判定で「危険」と判定された住宅に暮らす人たちからは、地震が続くことへの不安を感じながらも自宅を離れられないさまざまな事情が聞かれました。
当面、修繕工事できず
正院町正院で1人暮らしの奥ふみ子さん(88)の自宅は基礎の部分が傾き、敷地のブロック塀が倒れるなどの被害がありました。
業者に修繕を頼んでいますが、依頼が殺到していて当面、工事はできないと言われています。
足が不自由なこともあり、自分をよく知る人が周りにいる地域を離れることには不安を感じるといいます。
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「家のことが心配」
澤田洋子さん(81)の自宅は屋根瓦が落ちたり、窓ガラスが割れたりする被害があり、先月30日に取材した時にも窓枠にはブルーシートが張られていました。
澤田さんには、金沢市で暮らす娘もいますが、自宅を離れることは考えていないといい「再び地震が来る怖さはありますが、ほかの場所に行っても家のことが心配になるので一緒だと思います。倒壊まではしないと思うし、悩んでも仕方がないです」と話していました。
「受験控える娘が…」 比較的新しいスペースで生活
岡村好志美さん(48)の自宅は築100年の伝統的な家屋で、地震で外壁の一部が崩れ落ち、柱が傾いたり基礎部分にひびが入ったりしました。
修繕を依頼した業者からは「次に大きな地震が来れば倒壊するおそれが大きい」と言われていますが、工事を開始できるめどはまだ立っていません。
岡村さんは「仮設住宅に移れるなら移りたい気持ちもありますが、受験を控えた高校生の娘の通学や、自分たち夫婦の仕事のことを考えると環境を変えることは難しい」と話しています。
家族はいつ来るかわからない地震に備え、比較的新しい、増築されたスペースで生活を送っていますが、業者から「工事をしても住宅の安全性は十分ではない」と言われているということです。
岡村さんは「経済的に家を建て直すことは難しいし、どこまでお金をかけて修繕すればよいか頭を悩ませています」と話していました。
【「危険」判定の住宅 3割超が空き家】
今回、正院町正院で取材した「危険」判定の住宅65棟のうち、3割を超える23棟が空き家でした。
珠洲市によりますと、空き家の中には、老朽化が進み倒壊の危険などがあるにもかかわらず、所有者と連絡がついていないものもあるということです。
珠洲市は1950年代に3万8000人を超えていた人口が、ことし5月時点で1万2000人台にまで落ち込むなど人口減少が続き、空き家が急増しています。
「危険」と判定された空き家の近くに住む男性は「20年以上放置されていた空き家が傾いていて、次に大きな地震が来れば倒壊してしまうのではないかと心配しています。空き家の前を散歩しているお年寄りを見ていても危険性を感じるので、解体などの対応を早くしてほしい」と不安を語っていました。
【自治体 手続きや精神面のサポートへ】
危険性が指摘された住宅で生活を続ける人たちについて、石川県珠洲市の泉谷満寿裕市長は「できるだけ修繕をして、慣れ親しんだ自宅や地域で住み続けてほしいと思っているが、高齢であることや経済的な事情からそのめどが立たないか、そもそも修繕するかどうかを悩んでいる人もいる。何から手をつけてよいか、わからない人も多い」と述べ、巡回訪問などを通じて手続きや精神面のサポートを行っていく考えを示しました。
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高齢者が多いことについて澤田教授は「特に高齢者の場合、被災した住宅を再建しても資金返済のあてがないとして最初から諦めてしまうケースがあり、支援の存在を知らないままの人もいる」としています。
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とにかく早めの避難を
四国や近畿、東海で「線状降水帯」が相次いで発生し、東海では記録的な大雨となっています。
関東甲信でも非常に激しい雨が断続的に降っていて、土砂災害や洪水の危険性が高まっています。
四国や近畿では2日夜にかけて、東海と関東甲信では3日の午前中にかけて「線状降水帯」が発生して災害の危険度が急激に高まる可能性があります。
以下のポイントを確認して、状況が悪化する前に早めの避難を心がけてください。
《状況悪化後の避難は危険》
雨が激しく降って、状況が悪化してからの避難は危険が伴います。
2018年の西日本豪雨では、降り続く雨であっという間に家の周りが浸水したり土砂崩れが起きたりして、逃げようと思った時には家から出られなくなって亡くなった人もいました。
また、2015年の関東・東北豪雨では茨城県の鬼怒川で、2019年の東日本台風では長野県の千曲川で堤防が決壊して住宅が流され、住民がヘリコプターで救助される事態となりました。
雨が強まる前に、早めの行動を心がけてください。
《声を掛け合って避難を》
避難する際には、地域の人と声をかけあって一緒に避難すれば、多くの人の命を救うことにつながります。
もし、大雨が降りそうな地域に自分の家族が住んでいたら、電話するなどして少しでも危機感を強めておくことも重要です。
避難する時に状況悪化していたら…
早めの避難が重要ですが、もしも避難する際に状況が悪化し始めていたら、必ず周辺を確認しながら、できるだけ安全な方法で避難するようにしてください。
《道路が冠水していたら》
道路が冠水している場合は、足元が確認できずに転倒したり、側溝やふたが開いたマンホールに転落したりする危険があります。
冠水した道路を移動するのは避けてください。
どうしても通らなければならない場合は、2人以上で行動し、傘や長い棒などで足元をよく確認しながら避難してください。
膝の高さを超えるくらい水かさが増すと、押し流す水の力も強くなり歩いて逃げるのが難しくなるので無理は禁物です。
《車の移動も注意を》
車での移動にも危険があります。
浸水の深さが30cmに達するとエンジンが止まり、さらに深さが増すとドアが開けにくくなるうえ、車ごと流される場合があります。
車が浸水し始めたら、すぐに外に出てください。
《土砂崩れが起きていたら》
避難しようとした時に、すでに周辺で土砂崩れなどが発生するなど、避難所に向かうのが危険な場合は崖や川から少しでも離れた建物に移動することも命を守るひとつの方法です。
最後の手段「垂直避難」
家から外に出るのが危険で、自宅にとどまらざるを得ない時は、建物の2階以上や、崖や斜面の反対側の部屋に移動することで、安全を確保できることもあります。
ただし、これはあくまでも最後の手段です。
過去の災害では、大量の水と土砂、流木に家ごと流され、犠牲になった人も数多くいます。
状況が悪化する前の避難を
状況が悪化してからの避難は大きな危険を伴い、日中と比べ、夜間は周囲の状況を把握するのが難しくなります。
「今までの大雨でも何も無かったから自分は大丈夫」と考えてしまいがちですが、状況が悪化する前に避難すれば命は助かります。
とにかく早めの行動を心がけ、避難するようにしてください。
四国や近畿、東海で「線状降水帯」が相次いで発生し、東海では記録的な大雨となっています。
関東甲信でも非常に激しい雨が断続的に降っていて、土砂災害や洪水の危険性が高まっています。
四国や近畿では2日夜にかけて、東海と関東甲信では3日の午前中にかけて「線状降水帯」が発生して災害の危険度が急激に高まる可能性があります。
以下のポイントを確認して、状況が悪化する前に早めの避難を心がけてください。
《状況悪化後の避難は危険》
雨が激しく降って、状況が悪化してからの避難は危険が伴います。
2018年の西日本豪雨では、降り続く雨であっという間に家の周りが浸水したり土砂崩れが起きたりして、逃げようと思った時には家から出られなくなって亡くなった人もいました。
また、2015年の関東・東北豪雨では茨城県の鬼怒川で、2019年の東日本台風では長野県の千曲川で堤防が決壊して住宅が流され、住民がヘリコプターで救助される事態となりました。
雨が強まる前に、早めの行動を心がけてください。
《声を掛け合って避難を》
避難する際には、地域の人と声をかけあって一緒に避難すれば、多くの人の命を救うことにつながります。
もし、大雨が降りそうな地域に自分の家族が住んでいたら、電話するなどして少しでも危機感を強めておくことも重要です。
避難する時に状況悪化していたら…
早めの避難が重要ですが、もしも避難する際に状況が悪化し始めていたら、必ず周辺を確認しながら、できるだけ安全な方法で避難するようにしてください。
《道路が冠水していたら》
道路が冠水している場合は、足元が確認できずに転倒したり、側溝やふたが開いたマンホールに転落したりする危険があります。
冠水した道路を移動するのは避けてください。
どうしても通らなければならない場合は、2人以上で行動し、傘や長い棒などで足元をよく確認しながら避難してください。
膝の高さを超えるくらい水かさが増すと、押し流す水の力も強くなり歩いて逃げるのが難しくなるので無理は禁物です。
《車の移動も注意を》
車での移動にも危険があります。
浸水の深さが30cmに達するとエンジンが止まり、さらに深さが増すとドアが開けにくくなるうえ、車ごと流される場合があります。
車が浸水し始めたら、すぐに外に出てください。
《土砂崩れが起きていたら》
避難しようとした時に、すでに周辺で土砂崩れなどが発生するなど、避難所に向かうのが危険な場合は崖や川から少しでも離れた建物に移動することも命を守るひとつの方法です。
最後の手段「垂直避難」
家から外に出るのが危険で、自宅にとどまらざるを得ない時は、建物の2階以上や、崖や斜面の反対側の部屋に移動することで、安全を確保できることもあります。
ただし、これはあくまでも最後の手段です。
過去の災害では、大量の水と土砂、流木に家ごと流され、犠牲になった人も数多くいます。
状況が悪化する前の避難を
状況が悪化してからの避難は大きな危険を伴い、日中と比べ、夜間は周囲の状況を把握するのが難しくなります。
「今までの大雨でも何も無かったから自分は大丈夫」と考えてしまいがちですが、状況が悪化する前に避難すれば命は助かります。
とにかく早めの行動を心がけ、避難するようにしてください。
震度7も想定…「首都高」最新の地震対策は“橋げたの真下”に “高速道路で大地震に遭遇”そのとき、できることは…
今年は関東大震災から100年です。「首都高速道路」は、大地震の際、緊急車両などが使う重要な道路となります。首都直下地震発生が懸念される中、この道路を守るための最新の地震対策を取材しました。
◇◇◇
2011年3月、東日本大震災では東京都心で震度5強を観測。首都高でも車が大きく揺れました。震度6弱以上の地震が発生した場合、首都高は、救助活動を行う緊急車両などのための専用道路となります。
首都高速道路 防災対策課・西島剛課長代理
「地震発生から24時間以内に一車線を確保して、緊急車両を通すことが使命」
今週、震度7の大地震が発生したことを想定した訓練を取材しました。訓練では、乗り捨てられた車をレッカー車などで移動し、緊急車両が通れるよう車線を確保していました。
さらに、地震の揺れで道路の継ぎ目に40センチの段差が発生し、通行不能になった想定での訓練も行われていました。
車両を移動させたあとに行われるのが「段差の修正」です。使われるのは、「段差修正材」と呼ばれる板で、これを積み重ねて段差をなくしていきます。
実はこの素材――。丈夫な発泡スチロールでできていて、一人で持ち運べる重さにもかかわらず大型車も通行可能です。使える機材が限られる災害時。人の手でも運べる資材を使って、作業の効率化を図っています。首都高速道路 東京東局保全管理課・竹内祐二さん
「緊急車両を早期に通行させるため、迅速に行うことがポイント」
首都高は、1962年に開通し、首都圏の大動脈で1日の交通量は100万台にのぼります。総延長およそ327キロのうち、7割以上が高架橋です。
1995年1月の阪神・淡路大震災では、高速道路などの高架橋が倒壊しました。この震災をきっかけに首都高は地震対策を見直し、橋脚の耐震性を向上させました。
さらに、最新の地震対策が橋げたの真下にあります。
首都高速道路 防災対策課・西島剛課長代理
「橋脚と橋げたの間にある灰色の装置。万が一地震動で、段差が生じてしまうことが起きる。その段差を最小限にとどめる役目」
これは「段差防止構造」というもの。地震の大きな揺れにより、橋げたと橋げたを支える台座が壊れた場合、段差が生じてしまいます。しかし、段差防止構造によって、段差を最小限に食い止めることができるといいます。
首都高では現在、災害時に緊急車両の通行が想定される重要な路線から順次、設置を進めています。では、私たちが高速道路で大地震に遭遇したら――。
まずは、車を片側の車線に寄せて、パトロールカーの指示に従ってほしいといいます。
首都高速道路 防災対策課・西島剛課長代理
「(災害時)自衛隊、警察、消防の部隊が全国から集結する。首都高は、その部隊の方たちがより早く被災地に向かうために重要な役割」
万が一、車を置いて避難する場合には、通行路の確保のため車を移動できるよう、必ず鍵を車内に置いて逃げてほしいと呼びかけています。
今年は関東大震災から100年です。「首都高速道路」は、大地震の際、緊急車両などが使う重要な道路となります。首都直下地震発生が懸念される中、この道路を守るための最新の地震対策を取材しました。
◇◇◇
2011年3月、東日本大震災では東京都心で震度5強を観測。首都高でも車が大きく揺れました。震度6弱以上の地震が発生した場合、首都高は、救助活動を行う緊急車両などのための専用道路となります。
首都高速道路 防災対策課・西島剛課長代理
「地震発生から24時間以内に一車線を確保して、緊急車両を通すことが使命」
今週、震度7の大地震が発生したことを想定した訓練を取材しました。訓練では、乗り捨てられた車をレッカー車などで移動し、緊急車両が通れるよう車線を確保していました。
さらに、地震の揺れで道路の継ぎ目に40センチの段差が発生し、通行不能になった想定での訓練も行われていました。
車両を移動させたあとに行われるのが「段差の修正」です。使われるのは、「段差修正材」と呼ばれる板で、これを積み重ねて段差をなくしていきます。
実はこの素材――。丈夫な発泡スチロールでできていて、一人で持ち運べる重さにもかかわらず大型車も通行可能です。使える機材が限られる災害時。人の手でも運べる資材を使って、作業の効率化を図っています。首都高速道路 東京東局保全管理課・竹内祐二さん
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首都高は、1962年に開通し、首都圏の大動脈で1日の交通量は100万台にのぼります。総延長およそ327キロのうち、7割以上が高架橋です。
1995年1月の阪神・淡路大震災では、高速道路などの高架橋が倒壊しました。この震災をきっかけに首都高は地震対策を見直し、橋脚の耐震性を向上させました。
さらに、最新の地震対策が橋げたの真下にあります。
首都高速道路 防災対策課・西島剛課長代理
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首都高速道路 防災対策課・西島剛課長代理
「(災害時)自衛隊、警察、消防の部隊が全国から集結する。首都高は、その部隊の方たちがより早く被災地に向かうために重要な役割」
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