【新闻】髙橋ひかる 「お客さんの歓声に包まれて、会場の熱気と興奮を共有」 Interview
史上最大級のファッションフェスタ「第36回 マイナビ 東京ガールズコレクション 2023 SPRING/SUMMER」が、3月4日(土)に開幕。今年は3年半ぶりの声出し解禁となり、多いに盛り上がった。ショーを終えたばかりの髙橋ひかるさんにインタビュー。ランウェイの感想、コーデのポイント、新たにチャレンジしてみたいことなどを聞いた。
TGCはファンが身近に感じられる場所
――3年半ぶりに声出し解禁になったTGCはいかがでしたか?
髙橋ひかる(以下、髙橋) 最高でした。お客さんの声があるのとないのでは全然違います!コロナ禍の期間は、声出し禁止の有観客や、無観客ライブ配信など、いろんなケースがありましたが、お客さんの声が聞こえると、感情の高まりが伝わりやすいし、声を出すことでショーもより楽しくなるから、今回はそれが共有できてすごくうれしかったです。
――改めてTGCはどんなイベントだと思いますか?
髙橋 ひと言で言うと、憧れであると同時にファンの方々を身近に感じることができる場所。私自身ずっと憧れていた場所なので、TGCのランウェイを歩けたことに誇りを感じていますし、お客さんとの距離を近くに感じられる場所でもあります。
――今日のコーディネートのポイントを教えてください。
髙橋 カジュアルな雰囲気ですが、色使いがおしゃれで、デイリーでも着られるところがポイントです。薄いニット素材でクシュクシュしてかぶれる帽子もかわいい。ヘアもそれに合わせてツイストさせて、シルバーのアクセサリーでキラキラを加えて、カジュアルだけど、華やかさもある感じに仕上げてもらいました。
――コーディネートに合わせてメイクとヘアスタイルもキュートでインパクトがあります。
髙橋 ここまで派手なのはなかなかないので、ショーならではのヘアメイクが合わさることによって完成形になると感じます。
――この春夏で髙橋さんが注目しているファッションや、挑戦したいアイテムなどはありますか?
髙橋 今日のコーデで着たようなダメージ加工を施したパンツやスカートです。フリンジもおしゃれで、少し色が抜けたようなカラーの感じもかわいいですよね。今年の春夏は、ビビットカラーやパステルカラーなどの色味の強いアイテムもたくさん着たいなと思っています。
――色物の洋服は好きですか?
髙橋 ファッションのお仕事では、シンプルなモノトーンのものを着ることが多いですが、最近はバラエティなど、いろいろなお仕事をさせてもらっているので、そういう場では、カラフルなオシャレも楽しみたいと思っています。
――服を買う時に参考にしているものはありますか?
髙橋 海外のショーを観て色の組み合わせを勉強したり、雑誌を参考にしたりすることが多いです。お仕事の現場や、今日みたいなステージもすごく勉強になりますね。現場で着た服をチェックして、自分で購入することもあります。
ペットの犬と過ごす時間が一番の至福
――バラエティ番組でもご活躍されていますが、以前と比べてバラエティ番組への臨みかたは変わりましたか?
髙橋 どんどんナチュラルに寄っている感じがします。頭に浮かんだことをそのまま喋ってしまうので、不安になることも多いですが(笑)。マネージャーさんに「あれはダメだよ」と言ってもらいつつ、うまく調整しています。なので最近は、肩の力を抜くことを覚えましたね。
――いろいろな経験をされているからですね。
髙橋 初めての現場や、初めて共演する方と現場でお会いする時はどうしても緊張してしまいます。そんな時に、よく知っているスタッフさんや共演者の方がいると安心します。
――個人的に髙橋さんがバラエティで熱く語るボディビルの話が大好きです。大会には行けていますか?
髙橋 最近は行けてないので、映像で観ることが多いです。むしろ、自分が鍛える側になろうと思っていて、プロの方の力を借りたトレーニングを考えています。人に話すと「筋肉つけようとしてるの?」と不思議がられることもありますが、ファッションの仕事でもボディメイクは欠かせないので、そういう意味でもしっかり鍛えることが大切だと思っています。
――ちなみにボディビルの大会はどういうところが見どころですか?
髙橋 壇上で輝く筋肉は中途半端な努力では作れません。リスペクトを持って努力の結晶を拝ませてもらっています。観客が選手にかける声、いわゆる“かけ声”を知ってから見ると、仕上がりが分かりやすくて楽しいです。
――ドラマ、映画、舞台と活躍されていますが、バラエティから芝居へのモードはすぐに変えられるものですか?
髙橋 あまり引っ張られることはないですね。切り替えは得意なほうだと思います。
#高桥光[超话]##高桥光##髙桥ひかる#
史上最大級のファッションフェスタ「第36回 マイナビ 東京ガールズコレクション 2023 SPRING/SUMMER」が、3月4日(土)に開幕。今年は3年半ぶりの声出し解禁となり、多いに盛り上がった。ショーを終えたばかりの髙橋ひかるさんにインタビュー。ランウェイの感想、コーデのポイント、新たにチャレンジしてみたいことなどを聞いた。
TGCはファンが身近に感じられる場所
――3年半ぶりに声出し解禁になったTGCはいかがでしたか?
髙橋ひかる(以下、髙橋) 最高でした。お客さんの声があるのとないのでは全然違います!コロナ禍の期間は、声出し禁止の有観客や、無観客ライブ配信など、いろんなケースがありましたが、お客さんの声が聞こえると、感情の高まりが伝わりやすいし、声を出すことでショーもより楽しくなるから、今回はそれが共有できてすごくうれしかったです。
――改めてTGCはどんなイベントだと思いますか?
髙橋 ひと言で言うと、憧れであると同時にファンの方々を身近に感じることができる場所。私自身ずっと憧れていた場所なので、TGCのランウェイを歩けたことに誇りを感じていますし、お客さんとの距離を近くに感じられる場所でもあります。
――今日のコーディネートのポイントを教えてください。
髙橋 カジュアルな雰囲気ですが、色使いがおしゃれで、デイリーでも着られるところがポイントです。薄いニット素材でクシュクシュしてかぶれる帽子もかわいい。ヘアもそれに合わせてツイストさせて、シルバーのアクセサリーでキラキラを加えて、カジュアルだけど、華やかさもある感じに仕上げてもらいました。
――コーディネートに合わせてメイクとヘアスタイルもキュートでインパクトがあります。
髙橋 ここまで派手なのはなかなかないので、ショーならではのヘアメイクが合わさることによって完成形になると感じます。
――この春夏で髙橋さんが注目しているファッションや、挑戦したいアイテムなどはありますか?
髙橋 今日のコーデで着たようなダメージ加工を施したパンツやスカートです。フリンジもおしゃれで、少し色が抜けたようなカラーの感じもかわいいですよね。今年の春夏は、ビビットカラーやパステルカラーなどの色味の強いアイテムもたくさん着たいなと思っています。
――色物の洋服は好きですか?
髙橋 ファッションのお仕事では、シンプルなモノトーンのものを着ることが多いですが、最近はバラエティなど、いろいろなお仕事をさせてもらっているので、そういう場では、カラフルなオシャレも楽しみたいと思っています。
――服を買う時に参考にしているものはありますか?
髙橋 海外のショーを観て色の組み合わせを勉強したり、雑誌を参考にしたりすることが多いです。お仕事の現場や、今日みたいなステージもすごく勉強になりますね。現場で着た服をチェックして、自分で購入することもあります。
ペットの犬と過ごす時間が一番の至福
――バラエティ番組でもご活躍されていますが、以前と比べてバラエティ番組への臨みかたは変わりましたか?
髙橋 どんどんナチュラルに寄っている感じがします。頭に浮かんだことをそのまま喋ってしまうので、不安になることも多いですが(笑)。マネージャーさんに「あれはダメだよ」と言ってもらいつつ、うまく調整しています。なので最近は、肩の力を抜くことを覚えましたね。
――いろいろな経験をされているからですね。
髙橋 初めての現場や、初めて共演する方と現場でお会いする時はどうしても緊張してしまいます。そんな時に、よく知っているスタッフさんや共演者の方がいると安心します。
――個人的に髙橋さんがバラエティで熱く語るボディビルの話が大好きです。大会には行けていますか?
髙橋 最近は行けてないので、映像で観ることが多いです。むしろ、自分が鍛える側になろうと思っていて、プロの方の力を借りたトレーニングを考えています。人に話すと「筋肉つけようとしてるの?」と不思議がられることもありますが、ファッションの仕事でもボディメイクは欠かせないので、そういう意味でもしっかり鍛えることが大切だと思っています。
――ちなみにボディビルの大会はどういうところが見どころですか?
髙橋 壇上で輝く筋肉は中途半端な努力では作れません。リスペクトを持って努力の結晶を拝ませてもらっています。観客が選手にかける声、いわゆる“かけ声”を知ってから見ると、仕上がりが分かりやすくて楽しいです。
――ドラマ、映画、舞台と活躍されていますが、バラエティから芝居へのモードはすぐに変えられるものですか?
髙橋 あまり引っ張られることはないですね。切り替えは得意なほうだと思います。
#高桥光[超话]##高桥光##髙桥ひかる#
【blog】2023.03.26
少女は卒業しない
今日、映画「少女は卒業しない」の打ち上げをする夢を見た。生徒がたくさんいて、一人一人が好きなシーンやロケーションを発表したり、未公開シーンやメイキングを皆で見て笑ったりした。
映画の打ち上げで一番思い出深かった作品は「アイネクライネナハトムジーク」という映画だ。実は僕にとってこの映画は「少女は卒業しない」と関係がある。今日はそこから話したいと思う。
公開から一ヶ月が経ったので裏側を公開していますが、まだ純粋に物語を楽しみたい方はお気をつけください。この文章は良いも悪いも、役に立つか立たないかもわからず、ただただ僕の個人的な話を書いているに過ぎません。この誰のためでもない個人のブログも、今日で最後になってしまいました。LINEブログのサービスが終了するためです。良い機会なのかもしれません。僕自身、自分がなぜこんなに言葉を届けようとするのかわかっていないのだから。今年出版する本の執筆も佳境です。自宅にこもって言葉と向き合うと自分が何者かわからなくなります。しかしこのブログを楽しんでくれる皆さまの存在はすごくありがたかった。皆さまの存在が僕の財産です。今までありがとうございました。では本題に戻ります。
アイネクライネの打ち上げは、僕がこれまで経験してきた打ち上げとは少し違った。普段の打ち上げでは、皆でご飯を食べてお酒を飲んだりして、最後にキャストと監督がスピーチをしてお開きといった感じだった。ところがアイネクライネの打ち上げでは、キャストスタッフ関係なくマイクの前に立って、現場で自分が最も印象的だった瞬間を語っていった。語った人は次の人を指名する、そんな風にしてマイクが回り、皆でお互いを称賛し合った。僕はこの映画のラストにしか出演しなかったので、打ち上げに参加するときはアウェイな気持ちを感じていたにも関わらず、これまでで最も忘れられない素敵な時間を過ごすことができた。
そのマイクリレーの中で、僕のことを讃えてくれた助監督がいた。その人を中里洋一さんという。僕の出演シーン、ボクシング世界戦の客席で僕がリングにいるチャンピオンに向かって枝を折り曲げるシーン。中里さんが話したのは、そのリングのチャンピオン側を撮っているときに、チャンピオンの目線の先にいる僕が必死に枝を折り曲げるフリをしているのを見て、なぜだか泣きそうになったという話だった。その話を聞いて、僕はすごく嬉しかった。このアイネクライネの現場が誇らしかった。主演の三浦春馬さんは自分の撮影シーンは終わったにも関わらず、仙台のボクシング会場まで現れて、エキストラに感謝の挨拶をして、僕らのシーンが終わるのを見届けてくれた。その主演の美しさ清らかさが打ち上げ会場にもあった。
それから数年後、映画「少女は卒業しない」のオファーがあった。僕は、教室に通いづらい作田さんという女の子が唯一安心できる場所、図書室にいる先生の役だった。その図書室には作田さんと先生の二人しか登場しない。誰にも知られない、小さな図書室の物語だ。「カランコエの花」という中川駿監督の前作に感銘を受けて、出演を決めた。
出演を決めてから少し経ったある日、僕は別の作品の舞台挨拶に参加していた。挨拶が終わり、お客さんが帰っていくロビーに見知った顔を見つけた。
「中里さん!」
「季節くん久しぶり」
「観に来てくれたんですね。ありがとうございます」
「映画とても良かったです。実は今度、中川組で一緒です」
「え!少女は卒業しないですか?めっちゃ嬉しいです」
「僕も嬉しいです。よろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
僕らは再会を喜び、また一緒に映画が作れることを喜び、解散した。
その夜、僕の頭にはアイネクライネのことがあった。あの打ち上げや撮影のこと、何より映画のことを思い出していた。僕はまた中里さんと同じ現場で群像劇の映画を作れることに妙な高揚を感じていた。
「アイネクライネナハトムジーク」「小さな夜の音楽」
僕は自宅のテレビで、映画を再生した。その映画を観るのは久しぶりだった。そこには小さな、小さな恋の物語があった。特別華やかでもロマンチックでもない、けれども健気で一生懸命で奇跡的な物語だった。中里さんと現場で再会し、また群像劇に挑戦する。俺たちのアイネクライネナハトムジーク。この高揚する想いや、三浦春馬さん演じる佐藤への憧れを携えて、僕は「少女は卒業しない」に突入した。
衣装合わせでは衣装部にお願いして、派手な色の服ではなく、全て地味な色の服に替えてもらった。シャツはパリッと糊のきいたものではく、全てシワをつけてクタクタにしてもらった。中川監督は意図を汲み取って、卒業式のスーツを黒ではなく、茶色いものに替えるようオーダーしてくれた。眼鏡をつけ、結婚指輪ははめると、少しずつ物語や生活が見えてきた。この坂口という人物を、世界から見つけ出すのは作田さんだけであって欲しかった。出来るだけ小さな、ふたりの物語であるようにした。
撮影では、作田さんを演じる中井友望さんの心が揺れ動くその瞬間を何度も見ることができた。みずみずしい情感を持った人だった。その瞬間に立ち会えただけでも素晴らしい時間だった。
撮影の途中に八百屋で買い物をしていたら、その買い物袋を急遽小道具で使うことになった。中川監督はその場で「今日は僕が作る番なんです」という台詞を足した。その即興力とセンスに驚いた。
正直に言って、僕は俳優としてサポート役に回るつもりはないし、新しい監督を助けようという気持ちも別にない。そんなに自分が偉いとも演技ができるとも思わない。ただただ良い瞬間に出会いたい。新しい自分にも出会いたい。この映画が良くなればいいと思ってその場に立っていた。僕はまだまだ深いところへ進んでいきたい。
もう一つ、河合優実さんの初主演作に出演できたことを誇り思う。彼女とは映画「佐々木、イン、マイマン」で出会った仲間だ。お互いの主演作を支え合えたことが嬉しかった。
卒業式のシーンに僕は映っていないが、撮影には呼ばれ参列していた。僕の参加は、中里さんの直訴だったらしい。中里さんは、アイネクライネの客席に座っていた過去の僕を信じ、あの頃とは何も変わっていない今の僕を信じてくれた。その卒業式の会場で、河合優実さんの演技を見つめることができた。遠くからでもわかる凄まじい集中力で、悲しみを背負った少女が立っていた。
「がんばれ」
心の中で、彼女がラストシーンの最後の最後までやり遂げられるよう願った。最後の場面は彼女が一人で乗り越えないといけないから。何度も何度も脚本を読んで、僕も大好きなラストシーンだったが祈ることしか出来なかった。完成した映画を観た時、二時間を通して彼女の無言に目を奪われた。沈黙の中にある彼女の気持ちを二時間想像して、その目線の先を追った。高校生を演じた俳優たちは皆、透明で躍動していて複雑で才能に溢れていて、観ていて本当に楽しかった。次世代の俳優たちすげえなと思ったし、そこに肩を並べる自分も次世代なんじゃないかとちょっとテンションが上がった。
映画はどうやら評判がいい。けれども僕は自分がどんな映画に参加したのか未だにわかっていない。それはいつものことだ。自分が参加した映画のことを噛み砕き愛するまでに時間がかかる。それとも僕がみずみずしい感性を失っただけなのかもしれない。卒業式に特別な思い出があったことは人生で一度もない。この映画では少女たちが恋をしている。恋だけが青春だとは思わないが、誰かを想う気持ちやそれを後押しする映画になれば良いなと思う。
卒業式を迎えた皆さま、おめでとうございます。これから新しい生活が待っていますね。僕の経験によると、環境が大きく変わる前の瞬間が、一番暗いです。目の前が真っ暗になることがあります。でも、絶望に負けないでください。いつだって停滞の先には夢が待っています。そのことを信じて、泣きながらでもいいので一歩ずつ進んでください。立ち止まっても全然いいと思います。スマホの電源を切って自分の声に耳を傾けてください。そしていつか自分を認めてあげてください。これは僕にとっても最大の難関なんだけどね。
/
「少女は卒業しない」の撮影が全て終わった日、
空にウサギが飛んでいました。
さようなら。寂しいけれど、終わります。
2023.03.26
藤原季節
https://t.cn/A6CeifIz
少女は卒業しない
今日、映画「少女は卒業しない」の打ち上げをする夢を見た。生徒がたくさんいて、一人一人が好きなシーンやロケーションを発表したり、未公開シーンやメイキングを皆で見て笑ったりした。
映画の打ち上げで一番思い出深かった作品は「アイネクライネナハトムジーク」という映画だ。実は僕にとってこの映画は「少女は卒業しない」と関係がある。今日はそこから話したいと思う。
公開から一ヶ月が経ったので裏側を公開していますが、まだ純粋に物語を楽しみたい方はお気をつけください。この文章は良いも悪いも、役に立つか立たないかもわからず、ただただ僕の個人的な話を書いているに過ぎません。この誰のためでもない個人のブログも、今日で最後になってしまいました。LINEブログのサービスが終了するためです。良い機会なのかもしれません。僕自身、自分がなぜこんなに言葉を届けようとするのかわかっていないのだから。今年出版する本の執筆も佳境です。自宅にこもって言葉と向き合うと自分が何者かわからなくなります。しかしこのブログを楽しんでくれる皆さまの存在はすごくありがたかった。皆さまの存在が僕の財産です。今までありがとうございました。では本題に戻ります。
アイネクライネの打ち上げは、僕がこれまで経験してきた打ち上げとは少し違った。普段の打ち上げでは、皆でご飯を食べてお酒を飲んだりして、最後にキャストと監督がスピーチをしてお開きといった感じだった。ところがアイネクライネの打ち上げでは、キャストスタッフ関係なくマイクの前に立って、現場で自分が最も印象的だった瞬間を語っていった。語った人は次の人を指名する、そんな風にしてマイクが回り、皆でお互いを称賛し合った。僕はこの映画のラストにしか出演しなかったので、打ち上げに参加するときはアウェイな気持ちを感じていたにも関わらず、これまでで最も忘れられない素敵な時間を過ごすことができた。
そのマイクリレーの中で、僕のことを讃えてくれた助監督がいた。その人を中里洋一さんという。僕の出演シーン、ボクシング世界戦の客席で僕がリングにいるチャンピオンに向かって枝を折り曲げるシーン。中里さんが話したのは、そのリングのチャンピオン側を撮っているときに、チャンピオンの目線の先にいる僕が必死に枝を折り曲げるフリをしているのを見て、なぜだか泣きそうになったという話だった。その話を聞いて、僕はすごく嬉しかった。このアイネクライネの現場が誇らしかった。主演の三浦春馬さんは自分の撮影シーンは終わったにも関わらず、仙台のボクシング会場まで現れて、エキストラに感謝の挨拶をして、僕らのシーンが終わるのを見届けてくれた。その主演の美しさ清らかさが打ち上げ会場にもあった。
それから数年後、映画「少女は卒業しない」のオファーがあった。僕は、教室に通いづらい作田さんという女の子が唯一安心できる場所、図書室にいる先生の役だった。その図書室には作田さんと先生の二人しか登場しない。誰にも知られない、小さな図書室の物語だ。「カランコエの花」という中川駿監督の前作に感銘を受けて、出演を決めた。
出演を決めてから少し経ったある日、僕は別の作品の舞台挨拶に参加していた。挨拶が終わり、お客さんが帰っていくロビーに見知った顔を見つけた。
「中里さん!」
「季節くん久しぶり」
「観に来てくれたんですね。ありがとうございます」
「映画とても良かったです。実は今度、中川組で一緒です」
「え!少女は卒業しないですか?めっちゃ嬉しいです」
「僕も嬉しいです。よろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
僕らは再会を喜び、また一緒に映画が作れることを喜び、解散した。
その夜、僕の頭にはアイネクライネのことがあった。あの打ち上げや撮影のこと、何より映画のことを思い出していた。僕はまた中里さんと同じ現場で群像劇の映画を作れることに妙な高揚を感じていた。
「アイネクライネナハトムジーク」「小さな夜の音楽」
僕は自宅のテレビで、映画を再生した。その映画を観るのは久しぶりだった。そこには小さな、小さな恋の物語があった。特別華やかでもロマンチックでもない、けれども健気で一生懸命で奇跡的な物語だった。中里さんと現場で再会し、また群像劇に挑戦する。俺たちのアイネクライネナハトムジーク。この高揚する想いや、三浦春馬さん演じる佐藤への憧れを携えて、僕は「少女は卒業しない」に突入した。
衣装合わせでは衣装部にお願いして、派手な色の服ではなく、全て地味な色の服に替えてもらった。シャツはパリッと糊のきいたものではく、全てシワをつけてクタクタにしてもらった。中川監督は意図を汲み取って、卒業式のスーツを黒ではなく、茶色いものに替えるようオーダーしてくれた。眼鏡をつけ、結婚指輪ははめると、少しずつ物語や生活が見えてきた。この坂口という人物を、世界から見つけ出すのは作田さんだけであって欲しかった。出来るだけ小さな、ふたりの物語であるようにした。
撮影では、作田さんを演じる中井友望さんの心が揺れ動くその瞬間を何度も見ることができた。みずみずしい情感を持った人だった。その瞬間に立ち会えただけでも素晴らしい時間だった。
撮影の途中に八百屋で買い物をしていたら、その買い物袋を急遽小道具で使うことになった。中川監督はその場で「今日は僕が作る番なんです」という台詞を足した。その即興力とセンスに驚いた。
正直に言って、僕は俳優としてサポート役に回るつもりはないし、新しい監督を助けようという気持ちも別にない。そんなに自分が偉いとも演技ができるとも思わない。ただただ良い瞬間に出会いたい。新しい自分にも出会いたい。この映画が良くなればいいと思ってその場に立っていた。僕はまだまだ深いところへ進んでいきたい。
もう一つ、河合優実さんの初主演作に出演できたことを誇り思う。彼女とは映画「佐々木、イン、マイマン」で出会った仲間だ。お互いの主演作を支え合えたことが嬉しかった。
卒業式のシーンに僕は映っていないが、撮影には呼ばれ参列していた。僕の参加は、中里さんの直訴だったらしい。中里さんは、アイネクライネの客席に座っていた過去の僕を信じ、あの頃とは何も変わっていない今の僕を信じてくれた。その卒業式の会場で、河合優実さんの演技を見つめることができた。遠くからでもわかる凄まじい集中力で、悲しみを背負った少女が立っていた。
「がんばれ」
心の中で、彼女がラストシーンの最後の最後までやり遂げられるよう願った。最後の場面は彼女が一人で乗り越えないといけないから。何度も何度も脚本を読んで、僕も大好きなラストシーンだったが祈ることしか出来なかった。完成した映画を観た時、二時間を通して彼女の無言に目を奪われた。沈黙の中にある彼女の気持ちを二時間想像して、その目線の先を追った。高校生を演じた俳優たちは皆、透明で躍動していて複雑で才能に溢れていて、観ていて本当に楽しかった。次世代の俳優たちすげえなと思ったし、そこに肩を並べる自分も次世代なんじゃないかとちょっとテンションが上がった。
映画はどうやら評判がいい。けれども僕は自分がどんな映画に参加したのか未だにわかっていない。それはいつものことだ。自分が参加した映画のことを噛み砕き愛するまでに時間がかかる。それとも僕がみずみずしい感性を失っただけなのかもしれない。卒業式に特別な思い出があったことは人生で一度もない。この映画では少女たちが恋をしている。恋だけが青春だとは思わないが、誰かを想う気持ちやそれを後押しする映画になれば良いなと思う。
卒業式を迎えた皆さま、おめでとうございます。これから新しい生活が待っていますね。僕の経験によると、環境が大きく変わる前の瞬間が、一番暗いです。目の前が真っ暗になることがあります。でも、絶望に負けないでください。いつだって停滞の先には夢が待っています。そのことを信じて、泣きながらでもいいので一歩ずつ進んでください。立ち止まっても全然いいと思います。スマホの電源を切って自分の声に耳を傾けてください。そしていつか自分を認めてあげてください。これは僕にとっても最大の難関なんだけどね。
/
「少女は卒業しない」の撮影が全て終わった日、
空にウサギが飛んでいました。
さようなら。寂しいけれど、終わります。
2023.03.26
藤原季節
https://t.cn/A6CeifIz
山賊と桑の木
山賊が街道で1人の旅人を殺しましたが、近くにいた人々が追いかけてきたので、手が血で血まみれになったまま逃げました。
ところが、向こうからも旅人たちがやってきて、
「おや、あなたの手はどうして、そんなに赤く汚れているのですか?」と、尋ねました。
「いえ、なに、今桑の木に登って、実をとっていたものですから」
桑の実は、赤い色をしています。
山賊がこう言って誤魔化している時、追っ手の人たちが追いついて、山賊を捕まえると、桑の木に縛り首にしました。
その時、桑の木が山賊に言いました。
「お前を縛り首にするのに役に立って、わたしは嬉しいよ。だって、お前は人を殺したくせに、手についた血をわたしのせいにしたのだからね」
生まれつき心の優しい人でも、悪いやつに濡れ衣をきせられれば、その相手に対して手厳しいことをいったりするものです。
山贼与桑树
山贼在大街上杀了一位旅客,因为附近的人追赶上来了,所以他就满手是血的逃跑了。
可是,对面也来了一群旅客。
问他:“喂,你的手为什么弄红了呢?”
他说:“不,没什么,是因为我刚才爬上桑树,摘果实了。”
桑树的果实是红的。
山贼正这样说着蒙骗大家的时候,追他的人追上来了,他们把山贼抓起来,在桑树上绞首。
这时,桑树对山贼说:“能对你绞首派上用场,我好高兴啊!因为你明明杀了人,却说沾在手上的血是因为我。”
即使是天生心地善良的人,要是被坏人冤枉,也会对对方说出很严厉的话的。
#身边人抑郁该如何帮助##睡前听歌##实力科普#
山賊が街道で1人の旅人を殺しましたが、近くにいた人々が追いかけてきたので、手が血で血まみれになったまま逃げました。
ところが、向こうからも旅人たちがやってきて、
「おや、あなたの手はどうして、そんなに赤く汚れているのですか?」と、尋ねました。
「いえ、なに、今桑の木に登って、実をとっていたものですから」
桑の実は、赤い色をしています。
山賊がこう言って誤魔化している時、追っ手の人たちが追いついて、山賊を捕まえると、桑の木に縛り首にしました。
その時、桑の木が山賊に言いました。
「お前を縛り首にするのに役に立って、わたしは嬉しいよ。だって、お前は人を殺したくせに、手についた血をわたしのせいにしたのだからね」
生まれつき心の優しい人でも、悪いやつに濡れ衣をきせられれば、その相手に対して手厳しいことをいったりするものです。
山贼与桑树
山贼在大街上杀了一位旅客,因为附近的人追赶上来了,所以他就满手是血的逃跑了。
可是,对面也来了一群旅客。
问他:“喂,你的手为什么弄红了呢?”
他说:“不,没什么,是因为我刚才爬上桑树,摘果实了。”
桑树的果实是红的。
山贼正这样说着蒙骗大家的时候,追他的人追上来了,他们把山贼抓起来,在桑树上绞首。
这时,桑树对山贼说:“能对你绞首派上用场,我好高兴啊!因为你明明杀了人,却说沾在手上的血是因为我。”
即使是天生心地善良的人,要是被坏人冤枉,也会对对方说出很严厉的话的。
#身边人抑郁该如何帮助##睡前听歌##实力科普#
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