木村拓哉&綾瀬はるかが築き上げた夫婦像【インタビュー】

日本映画最高峰のキャスト・スタッフで製作され、公開前から大きな話題を呼んでいる映画『レジェンド&バタフライ』。戦国武将・織田信長と謎に包まれた彼の正室・濃姫の30年にわたる夫婦の絆をかつてない迫力で描いた感動大作だ。織田信長そして濃姫を演じるのは、これが3度目の共演となる木村拓哉と綾瀬はるか。信長のオーラと濃姫の母性をそのまままとった二人。劇中では息のあった掛け合いが見どころの一つだが、インタビューでもまるで長年、寄り添った夫婦のようなあうんの呼吸を見せた。(取材・文:高山亜紀)

これがきっと最後の織田信長

Q:東映創立70周年記念の大作となりますが、オファーを受けた時の気持ちは?

綾瀬:すごくワクワクしました。「うわ、面白そう」と台本を読む段階から既にときめいていました。

木村:僕の第一印象は、「相当、デカいうねりが来たな」と。乗るかどうか、ジャッジに勇気が必要でした。本当に一生のうち出会えるか否かぐらいの伝説的なうねりが自分の目の前に現れたので、待っていたものではあったんですけど、あまりにもデカくて、巻かれたら1本や2本の骨折じゃすまないだろうなと感じました。実際、乗ってみて感じたのは腹を決めて、乗って良かったということ。ずっと待っていたうねりがこんなにも魅力的で、自分を幸せにしてくれるものだったとは思わなかったです。

Q:木村さんが織田信長を演じるのは今回が2度目ですが、本能寺の変で亡くなった信長と同年代(撮影時49歳)になり、特別な気持ちがあったのでは?

木村:コマーシャルでも何度かやっているので、回数でいったら、多分、4度目ぐらいだと思います。もちろん、特別な気持ちはあります。同世代で、タイムリーな瞬間を重ねられて、「やっと、そういう年齢になれたんだ」と感じました。多分、もう彼を演じることはないだろうと思います。劇中でも流れとしても、きちんとピリオドを打つことができました。彼が生きられなかった、この先の時間を自分はしっかり生きていきたいです。

Q:綾瀬さんはどのように濃姫の人物像を作り上げていったのですか?

綾瀬:情報があまり出てこない人だったので、撮影前に監督と話し合いました。父親の斎藤道三が「女にしとくにはもったいなかった」と言うほどの人物。もし、濃姫が男性だったなら、天下統一ぐらいしてしまうほどの精神力があったかもしれない。監督からは「女性だけど、男まさりで聡明で、それでいて姫なので、武術、茶道、そういったものがなんでも一通り全部、完璧にできる人であってください」というリクエストがありました。さらに「2回、結婚していて、信長とは3回目の結婚になるから、濃姫的に結婚は慣れている」という話にもなりましたね(笑)。信長に対して、隙あらば首をかき切ろうというスパイ的な感じで送り込まれている。だから、最初は信長のことも「うつけものめ!」みたいな感じで見ているところがあるんです。でも、だんだんと真の彼に触れていって、恋をしていく。「子どもから女性になっていく姿を撮りたいです」ということも監督から言われました。

木村版の織田信長は圧倒的な存在感

Q:これまでにも共演していますが、今回、改めて感じたことはありますか?

綾瀬:織田信長という人を演じているから余計にそう思ったのかもしれないのですが、撮影現場にいる佇まいの強さみたいなものをすごく感じました。アクションもそうですけど、気持ちの上でも、絶対に受け止めてもらえる感じがありました。とても安心感があり、恐れずにぶつかっていけました。

木村:濃姫としてもそうなんですけど、元々の性質として、自分から自身を誇示していなくてもつい、目がいってしまう。自然とみんなが魅かれてしまうような圧倒的に説得力のある存在感があり、撮影現場でもそういう印象が強かったです。

綾瀬:メイクなどのせいもあると思うんですけど、劇中、信長の表情が若い頃から、みるみる変わっていくんですね。気づいたら、「あれ? なんかかっこいい!」みたいな。

木村:「あれ?」はいらないんじゃないの(笑)。

綾瀬:濃姫からしてみたら、うつけものから入っていったから(笑)。そこからの変わりように「あれ? すごくかっこいい」と。

木村:また、「あれ?」って言ったよね(笑)

綾瀬:あれ?(笑)。どんどん、いろんなものを背負って、心が無になっていく悲しさとか、いろんな感情を抱かせてくれて。怖さと切なさといろんなものが混じって、圧倒的な存在感でした。

木村と中谷の本気の応戦に綾瀬が大喜び

Q:お二人のシーンで特に印象深かった場面はありますか?

綾瀬:私は初夜の場面ですね、かなり最初の方に撮ったんですけど、「アクションをやっているから、結構、大丈夫だよね?」みたいな感じで聞かれて、私も遠慮せず、やり合えました。動き一つとっても、全て新鮮でした。絶対に受け止めてもらえるから、こちらも思いっきり、のびのびできました。

木村:アクション部の方たちと一緒に考えたシーンもあります。僕が刀を抜いたら、濃姫はすごいスキルで、あっという間にその刀を落として、拾い上げて、僕の喉元に突きつける。「そういうのを思いっきり、やろうよ」って、アクション部の方に提案しました。

綾瀬:そのシーンの撮影では、監督がなかなかカットをかけないので、「姫~っ」と止めに入ってくる(中谷美紀演じる)侍女の各務野に信長が「どけ!」って向かって行って、もうぐちゃぐちゃでした。すっごい面白かったです(笑)。

木村:彼女の役目は姫を守ることだから、それで合っているし、自分からすれば、邪魔でしかない。濃姫の着物の袖も破れていましたけど、各務野の着物はビリビリになっていました。それでも、カットがかからないんです。

綾瀬:まさか、中谷さんに手出しはしないだろうなと思っていたんですけど、大暴れで(笑)。本編ではカットされていましたが、その後のがめちゃめちゃすごかったんですよ。みんなが本気すぎて。

木村:濃姫がお酒の器を片づけようとするシーンも印象に残っています。腰を低くした彼女のボディーラインがすごくきれいに出るから、彼女の後姿を信長がまじまじと見て、彼女がこっちを向く時は興味すらないっていう顔をする。だけど、また後ろを向いた時に、見て……という演技をしたら……。

綾瀬:監督が「かわいい! かわいい!」って大興奮していました。「信長がいいんだよ~」って。

木村:本番中も監督の大きな笑い声や普通に「いいね! いいね!」って会話している声が聞こえてくるんですよ。本番中ですよ。なんだろうなっていう(笑)。

綾瀬:監督、すごく盛り上がっていましたよね。

大友監督の熱量がないとできなかった

Q:大友啓史監督は事前に詳しく説明して、本番はおまかせというタイプの演出なんでしょうか。

綾瀬:私はそんな風に感じました。クランクインする前に一度、お会いした時に、「濃姫はこういうキャラクターなんだよね。こういうところを撮れたらいいな」とか、そういう話をしたように記憶しています。細かく言われる感じはなかったです。

木村:きっと監督には、濃姫像みたいなものがあって、彼女にはいろんな要望を伝えたと思うんですが、僕にはむしろ逆で、僕自身が信長をどう捉えたかを試されているような気がしました。そこで自分が監督にお伝えしたのは、「本当に生き生きとのびのびと生きていた人間に、いかにして鬼になる瞬間が訪れたのかがアクセントになると思います」って言ったら、していたマスクがすっ飛ぶぐらいの勢いで「それ!」って(笑)。

綾瀬:監督って、すごく面白い人なんですよね。とても独特で、話せば話すほど、盛り上がっていってしまう。特に「うん、うん、うん」「そう、そう、そう」「いいね、いいね」って、相槌のリアクションがすごくて。話していると、マスクがどんどん下がってきちゃうんです(笑)。

木村:話している間に、自分の頭の中のイメージがどんどん構築されていくんだろうね。そして、さらに盛り上がっていく。

綾瀬:でも、あれぐらいの熱さがないと、こんな大作は取り仕切れないんだと思います!

映画『レジェンド&バタフライ』は1月27日公開
(C) 2023「THE LEGEND & BUTTERFLY」製作委員会

【木村拓哉】
ヘアメイク:酒井啓介(MARVEE)/Keisuke Sakai(MARVEE)
スタイリスト:前田勇弥/Yuya Maeda

【綾瀬はるか】
ヘアメイク:中野明海
スタイリスト:山本マナ

https://t.cn/A69WTTPS

木村拓哉&綾瀬はるかが築き上げた夫婦像【インタビュー】

 日本映画最高峰のキャスト・スタッフで製作され、公開前から大きな話題を呼んでいる映画『レジェンド&バタフライ』。戦国武将・織田信長と謎に包まれた彼の正室・濃姫の30年にわたる夫婦の絆をかつてない迫力で描いた感動大作だ。織田信長そして濃姫を演じるのは、これが3度目の共演となる木村拓哉と綾瀬はるか。信長のオーラと濃姫の母性をそのまままとった二人。劇中では息のあった掛け合いが見どころの一つだが、インタビューでもまるで長年、寄り添った夫婦のようなあうんの呼吸を見せた。(取材・文:高山亜紀)

Q:東映創立70周年記念の大作となりますが、オファーを受けた時の気持ちは?

綾瀬:すごくワクワクしました。「うわ、面白そう」と台本を読む段階から既にときめいていました。

木村:僕の第一印象は、「相当、デカいうねりが来たな」と。乗るかどうか、ジャッジに勇気が必要でした。本当に一生のうち出会えるか否かぐらいの伝説的なうねりが自分の目の前に現れたので、待っていたものではあったんですけど、あまりにもデカくて、巻かれたら1本や2本の骨折じゃすまないだろうなと感じました。実際、乗ってみて感じたのは腹を決めて、乗って良かったということ。ずっと待っていたうねりがこんなにも魅力的で、自分を幸せにしてくれるものだったとは思わなかったです。

Q:木村さんが織田信長を演じるのは今回が2度目ですが、本能寺の変で亡くなった信長と同年代(撮影時49歳)になり、特別な気持ちがあったのでは?

木村:コマーシャルでも何度かやっているので、回数でいったら、多分、4度目ぐらいだと思います。もちろん、特別な気持ちはあります。同世代で、タイムリーな瞬間を重ねられて、「やっと、そういう年齢になれたんだ」と感じました。多分、もう彼を演じることはないだろうと思います。劇中でも流れとしても、きちんとピリオドを打つことができました。彼が生きられなかった、この先の時間を自分はしっかり生きていきたいです。

Q:綾瀬さんはどのように濃姫の人物像を作り上げていったのですか?

綾瀬:情報があまり出てこない人だったので、撮影前に監督と話し合いました。父親の斎藤道三が「女にしとくにはもったいなかった」と言うほどの人物。もし、濃姫が男性だったなら、天下統一ぐらいしてしまうほどの精神力があったかもしれない。監督からは「女性だけど、男まさりで聡明で、それでいて姫なので、武術、茶道、そういったものがなんでも一通り全部、完璧にできる人であってください」というリクエストがありました。さらに「2回、結婚していて、信長とは3回目の結婚になるから、濃姫的に結婚は慣れている」という話にもなりましたね(笑)。信長に対して、隙あらば首をかき切ろうというスパイ的な感じで送り込まれている。だから、最初は信長のことも「うつけものめ!」みたいな感じで見ているところがあるんです。でも、だんだんと真の彼に触れていって、恋をしていく。「子どもから女性になっていく姿を撮りたいです」ということも監督から言われました。

Q:これまでにも共演していますが、今回、改めて感じたことはありますか?

綾瀬:織田信長という人を演じているから余計にそう思ったのかもしれないのですが、撮影現場にいる佇まいの強さみたいなものをすごく感じました。アクションもそうですけど、気持ちの上でも、絶対に受け止めてもらえる感じがありました。とても安心感があり、恐れずにぶつかっていけました。

木村:濃姫としてもそうなんですけど、元々の性質として、自分から自身を誇示していなくてもつい、目がいってしまう。自然とみんなが魅かれてしまうような圧倒的に説得力のある存在感があり、撮影現場でもそういう印象が強かったです。

綾瀬:メイクなどのせいもあると思うんですけど、劇中、信長の表情が若い頃から、みるみる変わっていくんですね。気づいたら、「あれ? なんかかっこいい!」みたいな。

木村:「あれ?」はいらないんじゃないの(笑)。

綾瀬:濃姫からしてみたら、うつけものから入っていったから(笑)。そこからの変わりように「あれ? すごくかっこいい」と。

木村:また、「あれ?」って言ったよね(笑)

綾瀬:あれ?(笑)。どんどん、いろんなものを背負って、心が無になっていく悲しさとか、いろんな感情を抱かせてくれて。怖さと切なさといろんなものが混じって、圧倒的な存在感でした。

Q:お二人のシーンで特に印象深かった場面はありますか?

綾瀬:私は初夜の場面ですね、かなり最初の方に撮ったんですけど、「アクションをやっているから、結構、大丈夫だよね?」みたいな感じで聞かれて、私も遠慮せず、やり合えました。動き一つとっても、全て新鮮でした。絶対に受け止めてもらえるから、こちらも思いっきり、のびのびできました。

木村:アクション部の方たちと一緒に考えたシーンもあります。僕が刀を抜いたら、濃姫はすごいスキルで、あっという間にその刀を落として、拾い上げて、僕の喉元に突きつける。「そういうのを思いっきり、やろうよ」って、アクション部の方に提案しました。

綾瀬:そのシーンの撮影では、監督がなかなかカットをかけないので、「姫~っ」と止めに入ってくる(中谷美紀演じる)侍女の各務野に信長が「どけ!」って向かって行って、もうぐちゃぐちゃでした。すっごい面白かったです(笑)。

木村:彼女の役目は姫を守ることだから、それで合っているし、自分からすれば、邪魔でしかない。濃姫の着物の袖も破れていましたけど、各務野の着物はビリビリになっていました。それでも、カットがかからないんです。

綾瀬:まさか、中谷さんに手出しはしないだろうなと思っていたんですけど、大暴れで(笑)。本編ではカットされていましたが、その後のがめちゃめちゃすごかったんですよ。みんなが本気すぎて。

木村:濃姫がお酒の器を片づけようとするシーンも印象に残っています。腰を低くした彼女のボディーラインがすごくきれいに出るから、彼女の後姿を信長がまじまじと見て、彼女がこっちを向く時は興味すらないっていう顔をする。だけど、また後ろを向いた時に、見て……という演技をしたら……。

綾瀬:監督が「かわいい! かわいい!」って大興奮していました。「信長がいいんだよ~」って。

木村:本番中も監督の大きな笑い声や普通に「いいね! いいね!」って会話している声が聞こえてくるんですよ。本番中ですよ。なんだろうなっていう(笑)。

綾瀬:監督、すごく盛り上がっていましたよね

Q:大友啓史監督は事前に詳しく説明して、本番はおまかせというタイプの演出なんでしょうか。

綾瀬:私はそんな風に感じました。クランクインする前に一度、お会いした時に、「濃姫はこういうキャラクターなんだよね。こういうところを撮れたらいいな」とか、そういう話をしたように記憶しています。細かく言われる感じはなかったです。

木村:きっと監督には、濃姫像みたいなものがあって、彼女にはいろんな要望を伝えたと思うんですが、僕にはむしろ逆で、僕自身が信長をどう捉えたかを試されているような気がしました。そこで自分が監督にお伝えしたのは、「本当に生き生きとのびのびと生きていた人間に、いかにして鬼になる瞬間が訪れたのかがアクセントになると思います」って言ったら、していたマスクがすっ飛ぶぐらいの勢いで「それ!」って(笑)。

綾瀬:監督って、すごく面白い人なんですよね。とても独特で、話せば話すほど、盛り上がっていってしまう。特に「うん、うん、うん」「そう、そう、そう」「いいね、いいね」って、相槌のリアクションがすごくて。話していると、マスクがどんどん下がってきちゃうんです(笑)。

木村:話している間に、自分の頭の中のイメージがどんどん構築されていくんだろうね。そして、さらに盛り上がっていく。

綾瀬:でも、あれぐらいの熱さがないと、こんな大作は取り仕切れないんだと思います!

映画『レジェンド&バタフライ』は1月27日公開
(C) 2023「THE LEGEND & BUTTERFLY」製作委員会

【木村拓哉】
ヘアメイク:酒井啓介(MARVEE)/Keisuke Sakai(MARVEE)
スタイリスト:前田勇弥/Yuya Maeda

【綾瀬はるか】
ヘアメイク:中野明海
スタイリスト:山本マナ

【ギルガメッシュFIGHT】

藤原季節「『ギルガメ』が伝説的番組になっていく裏側で何があったのか...人間ドラマとしても楽しめる作品です」

裸エプロンにTバック、下着姿での歌謡祭まで......。現在のコンプライアンス事情からは信じがたい企画の数々で、世間を熱狂させた伝説のお色気情報番組「ギルガメッシュないと」(1991~1998年テレビ東京)。

動画配信サービス「Paravi」では、当時の番組スタッフの実話から着想を得たParavi オリジナルドラマ「ギルガメッシュFIGHT」を好評配信中!
天才的な発想力と分析力を誇る加藤竜也ディレクターを演じるのは、映画「his」「佐々木、イン、マイマイン」など、数々の話題作に出演している藤原季節だ。果たして藤原は、「エロへのあくなき探究心」をどう熱演したのか。話を聞いた。

細川ふみえの「ギルガメッシュ!」に納得

――あの「ギルガメ」をドラマ化するとは...。驚きました。

「主演として出演させていただくことが決まってから、伝説の『ギルガメ』の過去の映像をチェックしたり、僕なりにいろいろと調べましたが、とにかくすごい! の一言。攻めているので、これは確かに、今の時代では難しいなと(笑)」

――現場の雰囲気はいかがでしたか?

「楽しかったです。撮影期間は1ヵ月ほどでしたが、現場の雰囲気は素晴らしく、プロデューサーの栗田役を演じる大東駿介さんを中心に、みんな白熱していました。劇中では、低視聴率だった番組をどう盛り返すか、スタッフがあの手この手を打ちながら奔走します。まさに現場もそんな雰囲気でした。
もう1回やりたい、それが率直な感想ですね。『ギルガメ』の躍進から番組終了までを描いた作品なので、続編としては難しいかもしれませんが、例えば2〜4話、時間軸でのスピンオフドラマをやるとか...。今回描ききれなかった『ギルガメ』の個性豊かな企画はまだまだあると思うので、またドラマ化してもらえたらうれしいです」

――藤原さんが演じるのは、従来のテレビマンとは異なる、独創的な発想を持つディレクター。エロチシズムへのあくなき探究力が印象的です。

「脚本を読んでまず思ったのは、加藤という男は"普通の人ではない"ということ。突き抜けたカリスマ性がありますが、一方で他人とは慣れ合えない。例えば、『本日の収録、以上です!』とスタッフが声を張り上げ、みんなで肩をたたき合って盛り上がっているところに入っていけない。でもその寂しさや孤独が、ありきたりな世界と戦う原動力になっている気がします。孤立しなければ企画が尖らず、野心ゆえに一人ぼっちになっていく。ある意味、悲しい人ですよね」

――演じる上で、苦労した点は?

「動きが増えると軽薄な人物に見えてしまうので、身振り手振りといったリアクションを、やり過ぎないように気をつけました。あくまで人間的な部分は大切に演じてほしいという監督からの演出もあり、仕草の出しどころを含め、いい塩梅を見つけるのはなかなか大変でした」

――12月には「ギルガメッシュFIGHT」の記者会見があり、出演者や監督に加えて「ギルガメッシュないと」の顔でもある、イジリー岡田さん、細川ふみえさんが登壇しました。お2人とは何か話をしましたか?

「イジリーさんは撮影現場にも来てくださったんです。加藤のモデルとなった方の人物像を教えていただきました。『声が小さくてね、ボソボソしゃべるんだけど、聞き取ろうとして耳を近づけるとすごく的確な発言をピシリと言っている』とか。何を考えているかわからない、ミステリアスな方だったそうです。

細川さんは『ギルガメッシュ!』と言う前口上を記者会見で実際にしてくださいましたね。あれはテンションが上がりました(笑)。劇中でも『彼女の顔と声で世の中の人々が癒される』という加藤のセリフが出てきますが、まさにその通り。癒しの女性とエロチシズムの融合が、『ギルガメ』の中で見事なギャップを生んだんだなぁと」

混乱の現場で大東駿介が頭を下げた?

――最も印象に残ったシーンは?

「3話で登場する『ランジェリー歌謡祭』のシーンです。あの時のみんなの盛り上がりといったら......。実は面白いエピソードがあるんです。歌謡祭のシーンでは3曲撮る予定でしたが、そのうちの1曲を歌う予定だった方が体調不良で現場に来られなくなってしまったんですよ。みんなで頭を抱えていたら、大東さんが『あのエキストラの女性にお願いしてみては?』と言い始めて...。その女性は、ランウェイをただ歩くだけじゃなく、アドリブでお尻を叩いたり、ものすごく印象的なパフォーマンスをされていたんです。
それで大東さんは『あの子、めちゃくちゃ面白くない?』と目をつけて、直接女性の楽屋を訪ねて、『ラヴ・イズ・オーヴァー歌える!?』と聞いたんですよ(笑)。スタッフさんにも『お願いします』と頭を下げて回っていて、その姿は、まるで大東さんが演じているプロデューサーの栗田が乗り移ったようでした。実際に撮ってみたらものすごくいいシーンになったので、みんなのモチベーションも一気に上がったんです」

――まるで劇中の1シーンのようです。大東さん、熱いですね!

「本当に。大東さんとの会話があまりに面白すぎて、僕、ずっとそばを離れませんでしたから。富士山に登った時の話や、京都での心霊体験など、とにかく話題が尽きません。人間的にも素敵ですし、お芝居でも役に対して体当たりで、狂気の境界線を軽々と超えてしまうのがすごい!」

――加藤はエロチシズムを徹底的に追求しましたが、藤原さん自身はどういったところに「エロ」や神秘を感じますか。

「加藤は、"ギャップこそエロスを引き出す"と言いますが、僕も全面的に同意します。エロスってその人の人間性で決まるのではないかなと。加藤を演じながら勉強させていただきました!(笑)」

――ところで、テレビ東京の番組はご覧になりますか?

「やはり、テレ東といえばドラマじゃないですかね。すごく攻めているイメージがある。ドラマ24『GIVER 復讐の贈与者』(2018年 主演:吉沢亮)では、新進気鋭の映画監督である小路紘史さんや小林勇貴さんにメガホンを取らせるとか、すごいなぁと。あと、濱谷さん(濱谷晃一プロデューサー)が手掛けるドラマはチェックするようにしています」

――では最後に、これから「ギルガメッシュFIGHT」をご覧になる皆様にメッセージを!

「エロにフォーカスがいきがちですが、職業ドラマとしても人間ドラマとしても楽しんでいただける作品です。僕は、大東さん演じるプロデューサー栗田の『俺たちはエロ番組を作っているんじゃない。エロをテーマにしたバラエティーを作っているんだ』というセリフが大好きです。『ギルガメ』が伝説的番組になっていく裏側で何があったのか、どんな志を持ってスタッフたちが臨んだのか、ぜひご覧いただきたいと思います」

【藤原季節 プロフィール】
1993年1月18日生まれ、北海道出身。主に出演作に、映画「his」、「佐々木、イン、マイマイン」、「わたし達はおとな」、大河ドラマ「青天を衝け」、ドラマ「プリズム」など。待機作に、映画「少女は卒業しない」(2月23日(木)公開)、ドラマ「ウツボラ」(3月23日(木)より、WOWOWで放送予定)などがある。

(撮影・取材・文/森田浩明)


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