【敦賀気比・上加世田、5回途中降板も4番打者の存在感発揮 渡辺との「最強バッテリー」で勝利に貢献】
[ 2022年8月9日 04:00 ]
第104回全国高校野球選手権大会第3日・1回戦敦賀気比13ー3高岡商 ( 2022年8月8日 甲子園
敦賀気比(福井)の上加世田頼希は帽子にしのばせた紙を取り出した。4回に2点差に追い上げられ、なおも2死二、三塁のピンチ。中学から6年間バッテリーを組む渡辺優斗から渡されたカードには「最強バッテリー!2人でひとつ」の言葉。力を振り絞り、次打者を二ゴロに封じた。
「いっぱいいっぱいだったけど、カードを見て落ち着けた。渡辺がいたから、今の自分がある」
ピンチに耐え、5回途中から左腕・清野仁楽(とら)にマウンドを譲っても、打撃では4番として6回の2点、9回の5点にしっかりと絡んだ。4季連続の甲子園もこのバッテリーで勝利に貢献したのは初めてだった。
今春の選抜初戦では広陵に0―9で大敗。「自分の力が足りないんだと思った。とにかくチームのために投球と打撃に専念するしかない」と一球一打に集中することで、春夏通算30勝、東監督の甲子園20勝を実現した。地元・敦賀は記録的大雨で今も交通網が寸断されている。「背中を押してくれている地元に元気を与える試合をしたい」とエースは自分に言い聞かせた。(鈴木 光)
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<高岡商・敦賀気比>2回無死一塁、敦賀気比・上加世田は高岡商・清水を三ゴロ併殺打に抑え笑顔を見せる(撮影・後藤 大輝)
[ 2022年8月9日 04:00 ]
第104回全国高校野球選手権大会第3日・1回戦敦賀気比13ー3高岡商 ( 2022年8月8日 甲子園
敦賀気比(福井)の上加世田頼希は帽子にしのばせた紙を取り出した。4回に2点差に追い上げられ、なおも2死二、三塁のピンチ。中学から6年間バッテリーを組む渡辺優斗から渡されたカードには「最強バッテリー!2人でひとつ」の言葉。力を振り絞り、次打者を二ゴロに封じた。
「いっぱいいっぱいだったけど、カードを見て落ち着けた。渡辺がいたから、今の自分がある」
ピンチに耐え、5回途中から左腕・清野仁楽(とら)にマウンドを譲っても、打撃では4番として6回の2点、9回の5点にしっかりと絡んだ。4季連続の甲子園もこのバッテリーで勝利に貢献したのは初めてだった。
今春の選抜初戦では広陵に0―9で大敗。「自分の力が足りないんだと思った。とにかくチームのために投球と打撃に専念するしかない」と一球一打に集中することで、春夏通算30勝、東監督の甲子園20勝を実現した。地元・敦賀は記録的大雨で今も交通網が寸断されている。「背中を押してくれている地元に元気を与える試合をしたい」とエースは自分に言い聞かせた。(鈴木 光)
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<高岡商・敦賀気比>2回無死一塁、敦賀気比・上加世田は高岡商・清水を三ゴロ併殺打に抑え笑顔を見せる(撮影・後藤 大輝)
【父は「契約金0」の元プロ 敦賀気比・高見沢が値千金打 夏の甲子園】
毎日新聞 2022/8/8 20:06(最終更新 8/8 20:06) 721文字
第104回全国高校野球選手権大会は8日、阪神甲子園球場で1回戦があり、敦賀気比(福井)が高岡商(富山)を13―3で破った。値千金の適時打を放ったのは、元プロ野球選手の父から教えを受けた2年生の5番・高見沢郁魅だった。
心がけているのは「シンプルに野球をすること」。元プロ野球選手を父に持つ5番打者が一、二回、2打席連続でタイムリーを放った。その打球は父の教え通り、いずれも相手投手の球に逆らわず、素直に強いゴロではじき返して内野手の間を抜いたもの。「打ちたいところで打てた。チームに流れを持ってこられた」と喜んだ。
まずは一回、1点を先取した直後の第1打席だ。1死一、二塁で打席に入ると、外寄りの高めに甘く入ったチェンジアップをたたいて三遊間を破った。続く二回は2死二塁の場面。外寄りの高め直球をピッチャー返しで中前適時打とした。
埼玉県出身で、父は元プロ野球・オリックスの外野手、考史さん(47)。2001年に社会人野球の強豪・東京ガスからドラフト6位でオリックスに入団したが、当時チームはドラフト下位指名選手に「契約金ゼロ・出来高払い」の独自プランを打ち出しており、考史さんも契約金は無かった。2年目の02年に西武の松坂大輔投手からプロ入り初ヒットをホームランで飾って注目され、その年は62試合で43安打、打率2割7分9厘と活躍したが、けがもあって03年限りで引退した。
夢を追いかけた父。その背中を見て育った息子は、たくましく成長した。離れて暮らす父への思いを聞かれると、表情を緩めて「やることはできたよと言いたい」。元プロの父も出場を果たせなかった甲子園の舞台で、「値千金」のタイムリーを放って最高の親孝行をしてみせた。【伝田賢史】
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①【敦賀気比-高岡商】二回表敦賀気比2死二塁、高見沢が中前適時打を放つ(投手・川尻)=阪神甲子園球場で2022年8月8日、前田梨里子撮影
②【敦賀気比-高岡商】一回表敦賀気比1死一、二塁、高見沢が左前適時打を放つ(投手・川尻)=阪神甲子園球場で2022年8月8日、前田梨里子撮影
毎日新聞 2022/8/8 20:06(最終更新 8/8 20:06) 721文字
第104回全国高校野球選手権大会は8日、阪神甲子園球場で1回戦があり、敦賀気比(福井)が高岡商(富山)を13―3で破った。値千金の適時打を放ったのは、元プロ野球選手の父から教えを受けた2年生の5番・高見沢郁魅だった。
心がけているのは「シンプルに野球をすること」。元プロ野球選手を父に持つ5番打者が一、二回、2打席連続でタイムリーを放った。その打球は父の教え通り、いずれも相手投手の球に逆らわず、素直に強いゴロではじき返して内野手の間を抜いたもの。「打ちたいところで打てた。チームに流れを持ってこられた」と喜んだ。
まずは一回、1点を先取した直後の第1打席だ。1死一、二塁で打席に入ると、外寄りの高めに甘く入ったチェンジアップをたたいて三遊間を破った。続く二回は2死二塁の場面。外寄りの高め直球をピッチャー返しで中前適時打とした。
埼玉県出身で、父は元プロ野球・オリックスの外野手、考史さん(47)。2001年に社会人野球の強豪・東京ガスからドラフト6位でオリックスに入団したが、当時チームはドラフト下位指名選手に「契約金ゼロ・出来高払い」の独自プランを打ち出しており、考史さんも契約金は無かった。2年目の02年に西武の松坂大輔投手からプロ入り初ヒットをホームランで飾って注目され、その年は62試合で43安打、打率2割7分9厘と活躍したが、けがもあって03年限りで引退した。
夢を追いかけた父。その背中を見て育った息子は、たくましく成長した。離れて暮らす父への思いを聞かれると、表情を緩めて「やることはできたよと言いたい」。元プロの父も出場を果たせなかった甲子園の舞台で、「値千金」のタイムリーを放って最高の親孝行をしてみせた。【伝田賢史】
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①【敦賀気比-高岡商】二回表敦賀気比2死二塁、高見沢が中前適時打を放つ(投手・川尻)=阪神甲子園球場で2022年8月8日、前田梨里子撮影
②【敦賀気比-高岡商】一回表敦賀気比1死一、二塁、高見沢が左前適時打を放つ(投手・川尻)=阪神甲子園球場で2022年8月8日、前田梨里子撮影
星稜4番・若狭が甲子園で意地の適時打 12点差負けも「悔いない」
7日、全国高校野球選手権大会1回戦 星稜2―14愛工大名電
12点を追う最終回、2死一塁で、4番の若狭遼之助(3年)に打順が回ってきた。打席に入る前、主将の佐々木優太(同)から「誰よりも努力しているのを見てきた。楽しめ」と声をかけられた。次につなぐことを意識してバットを振り抜いた。快音を響かせたが、打球は中堅手のグラブへ。星稜の今年の夏が終わった。
若狭は石川大会ではチーム最多の6打点を挙げたが、自身は納得していなかった。打率2割5分の成績を「みんなに迷惑をかけた」と反省した。大会後、原点に戻りタイミングをしっかり合わせることやバットの軌道を再調整した。
甲子園ではその成果が出た。13点を追う五回表、石川大会から調子がよかった垣淵祥太朗(同)の適時打で1点を返し、さらに2死一、三塁の場面で打席が回ってきた。3球目の外角直球を思い切り振り抜いた。打球は右前適時打となり、1点を加え、意地を見せた。「イメージ通りのスイングができた」と振り返った。
昨年7月、複数の部員がコロナに感染し、勝ち進んでいた石川大会の準々決勝を辞退した。先輩から「来年がんばってくれ」とたくさん声をかけられた。その思いも含め、「甲子園では1本でも2本でもヒットを打てるように」と頑張ってきた。
二回表の1打席目も先頭で打席に入り、中前安打を放った。4打席目の七回は四球を選ぶとガッツポーズを見せ、2死満塁と好機を広げて、チームプレーにも徹した。
埼玉県出身で祖父母が住む石川の星稜に入った。父・勝さんは単身赴任先の山口県からアルプススタンドで応援してくれた。コロナ禍での入学当初は、誰も友達がいなかったというが、「最高の舞台で最高の仲間と試合ができた。悔いはない」と感謝を口にして、球場を後にした。(敬称略)(朝倉義統)
7日、全国高校野球選手権大会1回戦 星稜2―14愛工大名電
12点を追う最終回、2死一塁で、4番の若狭遼之助(3年)に打順が回ってきた。打席に入る前、主将の佐々木優太(同)から「誰よりも努力しているのを見てきた。楽しめ」と声をかけられた。次につなぐことを意識してバットを振り抜いた。快音を響かせたが、打球は中堅手のグラブへ。星稜の今年の夏が終わった。
若狭は石川大会ではチーム最多の6打点を挙げたが、自身は納得していなかった。打率2割5分の成績を「みんなに迷惑をかけた」と反省した。大会後、原点に戻りタイミングをしっかり合わせることやバットの軌道を再調整した。
甲子園ではその成果が出た。13点を追う五回表、石川大会から調子がよかった垣淵祥太朗(同)の適時打で1点を返し、さらに2死一、三塁の場面で打席が回ってきた。3球目の外角直球を思い切り振り抜いた。打球は右前適時打となり、1点を加え、意地を見せた。「イメージ通りのスイングができた」と振り返った。
昨年7月、複数の部員がコロナに感染し、勝ち進んでいた石川大会の準々決勝を辞退した。先輩から「来年がんばってくれ」とたくさん声をかけられた。その思いも含め、「甲子園では1本でも2本でもヒットを打てるように」と頑張ってきた。
二回表の1打席目も先頭で打席に入り、中前安打を放った。4打席目の七回は四球を選ぶとガッツポーズを見せ、2死満塁と好機を広げて、チームプレーにも徹した。
埼玉県出身で祖父母が住む石川の星稜に入った。父・勝さんは単身赴任先の山口県からアルプススタンドで応援してくれた。コロナ禍での入学当初は、誰も友達がいなかったというが、「最高の舞台で最高の仲間と試合ができた。悔いはない」と感謝を口にして、球場を後にした。(敬称略)(朝倉義統)
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