2022.08.25
福山雅治が眼鏡を好むきっかけは、ザ・ロケッツの鮎川誠さんだった【アイヴァン】
1972年の設立以来、一貫して日本(福井県・鯖江)製の高品質なアイウェアを生みだし続ける「EYEVAN」。その眼鏡をかけた熱き男たちを写真家・操上和美が撮り下ろす連載「男を起動させる眼鏡」#44。
PERSON 44
歌手・俳優/福山雅治
福山雅治氏
福山雅治氏が装着する眼鏡は、E5 eyevan「p6」¥41,800(アイヴァンPR TEL:03-6450-5300)、シャツ¥33,000(ニューマニュアル )
「黒いレスポールに黒い眼鏡という鮎川誠さんのスタイルに強く憧れた」
「基本は裸眼の方が楽。けれど、映画を観たり、本を読んだり、クルマを運転する際は眼鏡をかけるようにしています。そういう点では眼鏡は実用品ですね」という福山雅治さん。しかし自身の公式インスタグラムなどでは、眼鏡姿のプライベートショットを度々見せている。
「僕らが中高生になった頃は、眼鏡がファッションアイテムとして少しずつ浸透していった時代だと思うんですよね。僕が眼鏡を初めてかけたのは、おそらく中学生くらいの頃で伊達眼鏡でした。その頃憧れていたのは鮎川誠さん。ザ・ロケッツのアルバム『ROKKET SIZE』のジャケ写を見てカッコいいなと思って、似た眼鏡を探しました。自分にとってのギターヒーローでしたし、黒いレスポールに黒い眼鏡という鮎川さんのスタイルに、強い憧れを抱いていました。僕にとって眼鏡はファッションのひとつでしたが、かといって今でも眼鏡を“アイウェア”って呼ぶのは気恥ずかしいです(笑)」
ちなみにステージ上ではコンタクトレンズを使用するが、それは眼鏡だとピントが合う世界が切り取られてしまい、特にギター演奏時に手元のハイポジションが見切れてしまうから。そのため必要に応じて裸眼、眼鏡、コンタクトレンズを使い分けるようにしている。眼鏡をかけることが何かのスイッチになるということはないそうだが、こと作品中にかける眼鏡に対しては、かなり意識して選んでいる。
「ガリレオシリーズで僕が演じている湯川先生は天才物理学者というキャラクターで眼鏡をかけることが多い。最初は外したシーンもありましたが、いつからかほとんど眼鏡はかけっぱなしになりましたね。作品における大切な道具なので監督と毎回相談し、時にはフレームを交換するなど改造をすることもあります。特にガリレオシリーズ最新作の映画『沈黙のパレード』での湯川先生は、ほぼ眼鏡姿ばかりですね」
ガリレオに登場する湯川学はリムレスの眼鏡で知的さを醸しつつ、眼鏡の存在感は抑えている。一方今回福山さんが選んだのは、アイヴァンの新レーベル「E5 eyevan」の「p6」。ウェリントン型のフレームは、圧縮アセテートという高密度プラスティック素材を使用しており、薄くて軽い機能的な眼鏡に仕上がっている。
「この作品はかけ心地で選びました。かけていて楽なものじゃないと最終的にはかけなくなるんですよね。この眼鏡は新しい素材を使っているということで、非常に軽くてかけ心地がいい。実際にかけた瞬間からよくできてるなと思いました。ただ気に入っているからといって、同じ眼鏡をかけ続けることは避けています。眼鏡はかけるだけで人の顔の印象を左右するほど強い存在。その眼鏡をかけていないとその人だと認識できなくなるほど。だからこそ、いろいろなタイプをかけるのが眼鏡の楽しみ方だと思います」
最近は、共演者や友人に眼鏡をプレゼントすることもあるという福山さん。
「その時、自分が使って気に入ったものを差し上げるというパターンが多いですね。それこそウイスキーなど自分の好きなものなら、自信を持ってプレゼントできますから。そして眼鏡もそういったもののひとつになっています」
俳優と音楽の両方で、数十年もトップランナーであり続ける福山さん。彼にとって眼鏡は、ファッションであり、実用品であり、自分の好きを表現するものとなっている。
Masaharu Fukuyama
1969年長崎県生まれ。’90年「追憶の雨の中」でシンガーソングライターとしてデビュー。音楽活動のほか、俳優、写真家、ラジオパーソナリティなど幅広い分野で活躍。2022年9月16日に主演を務めるガリレオシリーズの映画『沈黙のパレード』が公開。翌17日には同シリーズの完全新作SPドラマ『ガリレオ 禁断の魔術』(フジテレビ系)が放送される。
福山雅治が眼鏡を好むきっかけは、ザ・ロケッツの鮎川誠さんだった【アイヴァン】
1972年の設立以来、一貫して日本(福井県・鯖江)製の高品質なアイウェアを生みだし続ける「EYEVAN」。その眼鏡をかけた熱き男たちを写真家・操上和美が撮り下ろす連載「男を起動させる眼鏡」#44。
PERSON 44
歌手・俳優/福山雅治
福山雅治氏
福山雅治氏が装着する眼鏡は、E5 eyevan「p6」¥41,800(アイヴァンPR TEL:03-6450-5300)、シャツ¥33,000(ニューマニュアル )
「黒いレスポールに黒い眼鏡という鮎川誠さんのスタイルに強く憧れた」
「基本は裸眼の方が楽。けれど、映画を観たり、本を読んだり、クルマを運転する際は眼鏡をかけるようにしています。そういう点では眼鏡は実用品ですね」という福山雅治さん。しかし自身の公式インスタグラムなどでは、眼鏡姿のプライベートショットを度々見せている。
「僕らが中高生になった頃は、眼鏡がファッションアイテムとして少しずつ浸透していった時代だと思うんですよね。僕が眼鏡を初めてかけたのは、おそらく中学生くらいの頃で伊達眼鏡でした。その頃憧れていたのは鮎川誠さん。ザ・ロケッツのアルバム『ROKKET SIZE』のジャケ写を見てカッコいいなと思って、似た眼鏡を探しました。自分にとってのギターヒーローでしたし、黒いレスポールに黒い眼鏡という鮎川さんのスタイルに、強い憧れを抱いていました。僕にとって眼鏡はファッションのひとつでしたが、かといって今でも眼鏡を“アイウェア”って呼ぶのは気恥ずかしいです(笑)」
ちなみにステージ上ではコンタクトレンズを使用するが、それは眼鏡だとピントが合う世界が切り取られてしまい、特にギター演奏時に手元のハイポジションが見切れてしまうから。そのため必要に応じて裸眼、眼鏡、コンタクトレンズを使い分けるようにしている。眼鏡をかけることが何かのスイッチになるということはないそうだが、こと作品中にかける眼鏡に対しては、かなり意識して選んでいる。
「ガリレオシリーズで僕が演じている湯川先生は天才物理学者というキャラクターで眼鏡をかけることが多い。最初は外したシーンもありましたが、いつからかほとんど眼鏡はかけっぱなしになりましたね。作品における大切な道具なので監督と毎回相談し、時にはフレームを交換するなど改造をすることもあります。特にガリレオシリーズ最新作の映画『沈黙のパレード』での湯川先生は、ほぼ眼鏡姿ばかりですね」
ガリレオに登場する湯川学はリムレスの眼鏡で知的さを醸しつつ、眼鏡の存在感は抑えている。一方今回福山さんが選んだのは、アイヴァンの新レーベル「E5 eyevan」の「p6」。ウェリントン型のフレームは、圧縮アセテートという高密度プラスティック素材を使用しており、薄くて軽い機能的な眼鏡に仕上がっている。
「この作品はかけ心地で選びました。かけていて楽なものじゃないと最終的にはかけなくなるんですよね。この眼鏡は新しい素材を使っているということで、非常に軽くてかけ心地がいい。実際にかけた瞬間からよくできてるなと思いました。ただ気に入っているからといって、同じ眼鏡をかけ続けることは避けています。眼鏡はかけるだけで人の顔の印象を左右するほど強い存在。その眼鏡をかけていないとその人だと認識できなくなるほど。だからこそ、いろいろなタイプをかけるのが眼鏡の楽しみ方だと思います」
最近は、共演者や友人に眼鏡をプレゼントすることもあるという福山さん。
「その時、自分が使って気に入ったものを差し上げるというパターンが多いですね。それこそウイスキーなど自分の好きなものなら、自信を持ってプレゼントできますから。そして眼鏡もそういったもののひとつになっています」
俳優と音楽の両方で、数十年もトップランナーであり続ける福山さん。彼にとって眼鏡は、ファッションであり、実用品であり、自分の好きを表現するものとなっている。
Masaharu Fukuyama
1969年長崎県生まれ。’90年「追憶の雨の中」でシンガーソングライターとしてデビュー。音楽活動のほか、俳優、写真家、ラジオパーソナリティなど幅広い分野で活躍。2022年9月16日に主演を務めるガリレオシリーズの映画『沈黙のパレード』が公開。翌17日には同シリーズの完全新作SPドラマ『ガリレオ 禁断の魔術』(フジテレビ系)が放送される。
目黒蓮くんへ。
いつもいつもお仕事頑張ってくれてありがとう。
情報解禁と共に手話の初心者入門の本をポチった人がここにいます。
興味があった世界、踏み出すために背中を押してくれたのは紛れもなく蓮くんです。
ありがとう。
ドラマ楽しみにしています!
よく寝てよく食べて、楽しくお仕事してね♡
大好き!!
いつもいつもお仕事頑張ってくれてありがとう。
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興味があった世界、踏み出すために背中を押してくれたのは紛れもなく蓮くんです。
ありがとう。
ドラマ楽しみにしています!
よく寝てよく食べて、楽しくお仕事してね♡
大好き!!
世界との差は詰まったか…石川祐希、西田有志、高橋藍にバレー復権の夢を抱く
1972年ミュンヘン五輪、バレーボール男子の全日本を知っているだろうか。初の金メダルから半世紀もの時が流れた。再び、夢が見たいのである。スター選手たちが、世界一になる夢を-。
ストーリーズ2022.08.23 11:04
益子浩一
ネーションズリーグ・ブラジル戦に感じた希望
結果と、抱いた感覚-
そこに大きな隔たりがある。
結果は0-3で強国ブラジルにストレート負け。
そこに言い訳の余地はないだろう。
勝負の世界。
ことスポーツに関しては、汗と涙にまみれた努力の過程が感動を呼ぶことが多々あっても、結果こそが重要視される。
負けは負け。
オリンピック競技であれば10年、20年、たとえ半世紀が過ぎたとしても、メダリストは称賛され、歴史にも記憶にも刻まれる。
ただ、確かな感覚が、あったのである。
世界に近づいている。
五輪のメダルはそう遠くはない。
そう思える感覚が。
それは、コートに立った選手にしか分からないものだった。
もしかすると、錯覚なのかも知れない。
これから歩む過程に、その答えはある。
2024年パリ五輪へと続く道に。
その途中に世界選手権(8月26日開幕)を控える。
あるいは、そこで答えは見えるのかも知れない。
ただ、1つ言えること。
それは、バレーボール男子の日本は、近年になく期待が持てそうだという事実。
主将でエースの石川祐希に西田有志、成長著しい高橋藍。
可能性を秘めるスター選手がそろっている。
彼らには、夢を抱いてしまう何かが、あるような気がしている。
同じ「結果」でも、違った「感触」
朝潮橋駅からほど近い丸善インテックアリーナ大阪は連日、満員の観衆で埋まった。
7月に開催されたバレーボール・ネーションズリーグ男子の大阪大会。
予選ラウンドの最終週、その最終戦を終えた西田有志は悔しさとともに、どこか手応えのようなものをつかんでいるように見えた。
記者会見場。彼の言葉は印象的だった。
「4連勝を目指していた中で1、2点の差。やっとブラジルを相手に、ここまで来れたという思いです」
大観衆の後押しを受けた大阪大会はオーストラリア、カナダ、ドイツと破り3連勝。大会時点で世界ランク7位に上昇していた日本は、1993年のワールドリーグ以来、公式戦では長らく勝てていない同2位のブラジルと対戦した。
東京五輪の準々決勝でもストレート負けした相手。
雪辱を期したが、またしても0-3(23-25、23-25、22-25)の敗戦。
「結果」は同じ。
だが-。
「感覚」は違った。
コート上、西田が肌で感じたのはこんなものだった。
「僕が初めてブラジルとやったのは2019年のネーションズリーグ、東京ラウンドでした。
あの時は、『打っても決まらないだろうな』というメンタルでやっていた。キャパがなかったんですね。選手としての小ささを感じたのを覚えています。
今回はイタリア(セリエA)で何回も試合をしたことのあるメンバーで、ブロックでどう(ブラジルが)跳んでくるかという、クセも分かる。
なので、自分がこうすれば決まるというというのがありました。
迷いなくプレーできるまでに近づいている。
チームスポーツは1人では取れないんでね。でも、組織や(チームメートとの)関係性でもだんだんと。
0-3で負けても、組織としても(ブラジルに)近づいている」
本気で勝ちに行ったからこその収穫
数字には表れることのない感覚-。
彼の言葉を借りるなら、相手の「クセ」を見抜いた上で生まれるちょっとした余裕が、選手としての「キャパ」になるのだろう。
現時点でそれがスコアにつながることはなくても、小さな積み重ねが結果という大きな収穫になる。
それが分かっているからこそ、こう続けた。
「格上の相手にこういう勝負をすることができた。
本気で(ブラジルに)勝ちにいって負けたからこそ、次につながる。
(負けて)仕方がないではなく、これをこうすれば勝てるというところまで来た。
あとは体現するだけです」
ストレート負けした3セット中、2セットが2点差、1セットが3点差。
特に石川、西田のサービスエースで食らいついた第1セットは終盤、23-24までもつれた。
第2セットも14-14、19-19と大接戦。一時は大塚のスパイクが決まって22-21と勝ち越した。
23-23ともつれながら、最後に連続得点を許した。
世界トップレベルの国との真剣勝負。
確かに日本は、手を伸ばせば届くところまで世界に近づいているのである。
それは高橋藍の言葉からもうかがい知ることができる。
「世界のトップと戦う力がついてきた。そう感じることができました。
最後の1本のスパイク、0・1秒の差の駆け引き。
試合中に修正しながら、どう対応するか。今回はゲーム中にやれなかったことが課題として残った。
ちょっとした気の緩みでスピードや高さにもっていかれてしまう。
レベルが上がるにつれて、もっと集中力を研ぎ澄ませないといけないです」
予選を9勝3敗で終えた日本は、ネーションズリーグで初めて上位8カ国(16カ国中)による決勝大会(イタリア・ボローニャ)に進む。
だが、現地入り後に主将でエースの石川祐希が左足首を負傷。精神的支柱を欠き、準々決勝で東京五輪金メダルのフランスに0-3のストレートで敗れる。
差は埋まっているのか-
やはり、錯覚だったのか-
世界選手権がパリ五輪の試金石に
8月26日には世界選手権(ポーランド、スロベニア共催)が幕を開ける。
ネーションズリーグで敗れたのはブラジル、フランス、アメリカの3カ国。24年パリ五輪でのメダル獲得への道の途中で、世界ランク上位国に勝つことが必要になってくる。
この夏、石川は治療とリハビリに専念してきた。
「勝って自信をつけるしかない。
勝つ回数を増やしていくしかないです」
まずは予選突破。
日本は世界選手権の1次リーグB組でカタール、ブラジル、キューバと対戦する。
「カタール、キューバには勝って、ブラジルにもチャンスがあると思う。ベスト8には入って、準々決勝で勝つことを大事にしたい」
確実に8強入り。
その先、4強の壁を越えることができれば、進む道に光が差し込む。
世界選手権は1970、74年の銅メダルが最高成績。
オリンピックは1964年東京五輪金の東洋の魔女から遅れること8年。
1972年ミュンヘン五輪で、団体では日本男子初の金を獲得したのを最後にメダルから遠ざかる。
当時の「一人時間差攻撃」「Bクイック」は革新的だった。
あれから半世紀の時が流れた。
世界選手権を経て、パリ五輪へ。
世界に近づいているという、あの「感覚」。
大阪で感じたものが間違いではなかったということを、示す舞台。
進む道は、明確になったのである。
Victoria
1972年ミュンヘン五輪、バレーボール男子の全日本を知っているだろうか。初の金メダルから半世紀もの時が流れた。再び、夢が見たいのである。スター選手たちが、世界一になる夢を-。
ストーリーズ2022.08.23 11:04
益子浩一
ネーションズリーグ・ブラジル戦に感じた希望
結果と、抱いた感覚-
そこに大きな隔たりがある。
結果は0-3で強国ブラジルにストレート負け。
そこに言い訳の余地はないだろう。
勝負の世界。
ことスポーツに関しては、汗と涙にまみれた努力の過程が感動を呼ぶことが多々あっても、結果こそが重要視される。
負けは負け。
オリンピック競技であれば10年、20年、たとえ半世紀が過ぎたとしても、メダリストは称賛され、歴史にも記憶にも刻まれる。
ただ、確かな感覚が、あったのである。
世界に近づいている。
五輪のメダルはそう遠くはない。
そう思える感覚が。
それは、コートに立った選手にしか分からないものだった。
もしかすると、錯覚なのかも知れない。
これから歩む過程に、その答えはある。
2024年パリ五輪へと続く道に。
その途中に世界選手権(8月26日開幕)を控える。
あるいは、そこで答えは見えるのかも知れない。
ただ、1つ言えること。
それは、バレーボール男子の日本は、近年になく期待が持てそうだという事実。
主将でエースの石川祐希に西田有志、成長著しい高橋藍。
可能性を秘めるスター選手がそろっている。
彼らには、夢を抱いてしまう何かが、あるような気がしている。
同じ「結果」でも、違った「感触」
朝潮橋駅からほど近い丸善インテックアリーナ大阪は連日、満員の観衆で埋まった。
7月に開催されたバレーボール・ネーションズリーグ男子の大阪大会。
予選ラウンドの最終週、その最終戦を終えた西田有志は悔しさとともに、どこか手応えのようなものをつかんでいるように見えた。
記者会見場。彼の言葉は印象的だった。
「4連勝を目指していた中で1、2点の差。やっとブラジルを相手に、ここまで来れたという思いです」
大観衆の後押しを受けた大阪大会はオーストラリア、カナダ、ドイツと破り3連勝。大会時点で世界ランク7位に上昇していた日本は、1993年のワールドリーグ以来、公式戦では長らく勝てていない同2位のブラジルと対戦した。
東京五輪の準々決勝でもストレート負けした相手。
雪辱を期したが、またしても0-3(23-25、23-25、22-25)の敗戦。
「結果」は同じ。
だが-。
「感覚」は違った。
コート上、西田が肌で感じたのはこんなものだった。
「僕が初めてブラジルとやったのは2019年のネーションズリーグ、東京ラウンドでした。
あの時は、『打っても決まらないだろうな』というメンタルでやっていた。キャパがなかったんですね。選手としての小ささを感じたのを覚えています。
今回はイタリア(セリエA)で何回も試合をしたことのあるメンバーで、ブロックでどう(ブラジルが)跳んでくるかという、クセも分かる。
なので、自分がこうすれば決まるというというのがありました。
迷いなくプレーできるまでに近づいている。
チームスポーツは1人では取れないんでね。でも、組織や(チームメートとの)関係性でもだんだんと。
0-3で負けても、組織としても(ブラジルに)近づいている」
本気で勝ちに行ったからこその収穫
数字には表れることのない感覚-。
彼の言葉を借りるなら、相手の「クセ」を見抜いた上で生まれるちょっとした余裕が、選手としての「キャパ」になるのだろう。
現時点でそれがスコアにつながることはなくても、小さな積み重ねが結果という大きな収穫になる。
それが分かっているからこそ、こう続けた。
「格上の相手にこういう勝負をすることができた。
本気で(ブラジルに)勝ちにいって負けたからこそ、次につながる。
(負けて)仕方がないではなく、これをこうすれば勝てるというところまで来た。
あとは体現するだけです」
ストレート負けした3セット中、2セットが2点差、1セットが3点差。
特に石川、西田のサービスエースで食らいついた第1セットは終盤、23-24までもつれた。
第2セットも14-14、19-19と大接戦。一時は大塚のスパイクが決まって22-21と勝ち越した。
23-23ともつれながら、最後に連続得点を許した。
世界トップレベルの国との真剣勝負。
確かに日本は、手を伸ばせば届くところまで世界に近づいているのである。
それは高橋藍の言葉からもうかがい知ることができる。
「世界のトップと戦う力がついてきた。そう感じることができました。
最後の1本のスパイク、0・1秒の差の駆け引き。
試合中に修正しながら、どう対応するか。今回はゲーム中にやれなかったことが課題として残った。
ちょっとした気の緩みでスピードや高さにもっていかれてしまう。
レベルが上がるにつれて、もっと集中力を研ぎ澄ませないといけないです」
予選を9勝3敗で終えた日本は、ネーションズリーグで初めて上位8カ国(16カ国中)による決勝大会(イタリア・ボローニャ)に進む。
だが、現地入り後に主将でエースの石川祐希が左足首を負傷。精神的支柱を欠き、準々決勝で東京五輪金メダルのフランスに0-3のストレートで敗れる。
差は埋まっているのか-
やはり、錯覚だったのか-
世界選手権がパリ五輪の試金石に
8月26日には世界選手権(ポーランド、スロベニア共催)が幕を開ける。
ネーションズリーグで敗れたのはブラジル、フランス、アメリカの3カ国。24年パリ五輪でのメダル獲得への道の途中で、世界ランク上位国に勝つことが必要になってくる。
この夏、石川は治療とリハビリに専念してきた。
「勝って自信をつけるしかない。
勝つ回数を増やしていくしかないです」
まずは予選突破。
日本は世界選手権の1次リーグB組でカタール、ブラジル、キューバと対戦する。
「カタール、キューバには勝って、ブラジルにもチャンスがあると思う。ベスト8には入って、準々決勝で勝つことを大事にしたい」
確実に8強入り。
その先、4強の壁を越えることができれば、進む道に光が差し込む。
世界選手権は1970、74年の銅メダルが最高成績。
オリンピックは1964年東京五輪金の東洋の魔女から遅れること8年。
1972年ミュンヘン五輪で、団体では日本男子初の金を獲得したのを最後にメダルから遠ざかる。
当時の「一人時間差攻撃」「Bクイック」は革新的だった。
あれから半世紀の時が流れた。
世界選手権を経て、パリ五輪へ。
世界に近づいているという、あの「感覚」。
大阪で感じたものが間違いではなかったということを、示す舞台。
進む道は、明確になったのである。
Victoria
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