ドアを開けると、張小曼の父は大きくて強くて片手に鍋を持ってブレードを持って、エプロンをかけて台所から出て行った。 「あら、ローさん、何年も会っていないのに、あなたの子供はまた大きくなったのに、あなたのお父さんはどうして来なかったの? 何年も彼を見ていません。」 大きな顔に笑顔を見せる。 「張おじさん、お久しぶりです。父が工場の用事を料理するので、今回は来ませんでした。」 「いいから、うるさく言うな。エプロンを結んで娘たちのようにして、誰の家の大旦那たちが一日中家で料理をいじっているのか? 男らしくはない。」 張さんのお母さんはハイヒールを脱いで、文句を言いながら言いました。 「あの子、お母さん、ローちゃんがいるから、ちょっと顔を出してくれない?」 「何の麺子が欲しいんだ、おばあさんは餓死した。早く料理を持ってきて、後で姉妹と一緒に髪を作る約束をしたんだ。」 張さんのお母さんは一人でソファーに座っていました。 張小曼は食器を取りに行き、洛塵は台所に行って料理を出しに行きました。 「マンちゃん、ちょっと来て。お母さんが言ったんじゃなくて、目がいいんだよ。ほら、私はあなたのお父さんのようなつまらないものを探して、何日を過ごしていますか。あなたが探しているものを見て、すぐ台所に行って、お母さんは本当にあなたのお父さんと徳行だと心配しています。」 張小曼の母は洛塵が台所に行って料理を手伝っているのを見て、好きではないどころか、陰で洛塵を言っている。 張小曼の母のこの言叶は声を低く抑えて言ったが、洛塵はあくまでも仙尊の魂で、どうして聞こえないのか? 実は羅塵が料理を出さなければ、張小曼の母はまた言うかもしれません。本当に自分を客にしていますか? この言葉を助けに行くことを知らなかった。 すぐに料理が終わり、4人が一緒に座って食事を始めました。 「洛塵、通州に来てからの予定を聞いてみたいですか?」 張小曼の母はこの時から発話を始めました。目的は明らかで、羅塵に条件を出すことです。 「お母さん、ご飯は。」 「娘さん、何をするにしても、お金を渡してあげなければならないことがあります。」 「しばらくは何の予定もない。」 羅塵は答えました。羅塵は、実は来る前に、仕事を手配して張小マン会社に出勤したことを覚えています。ただ、羅塵は説明するのが苦手です。 「ああ? いつ家を買うつもりですか? 言っておくが、私がさっき言った時代の官邸は口に出して言ったのではなく、本当にあそこでスイートを買うことを要求していた。」 張小マンの母は眉を選んで口を開いた。 「それに私の娘はこんなに優秀なのに、あなたたちが車を買うなら、どうしても高級車を買わなければならないでしょう。私もあなたを困らせません。さすがにあなたは出てきたばかりですが、どうしても何百万台もの高級車が必要でしょう。」 張小曼の母は直接ライオンが大きく口を開いた。 「あなたも私に答えないでください。私はあなたに言ってもいいです。最近、裕福な息子が私たちの小さなマンを追いかけています。」 張小曼の母は再び口を開いて言った、その意味は明らかで、うちの娘は結婚に困らない。 「ママ!」 張さんは顔色が変わった。 そして、羅塵は張小マンを一目見たが、張小マンは慌てた目つきで身をかわした。 ちょうどその時、ドアの外でチャイムを鳴らす音がした。 張小マンは慌てを隠すために立ち上がってドアを開けた。 「やあ、マンさん、あなたは家にいたのですね。 どうして私の電話に出ないの?」 ドアの外には1メートル80センチほどのファンサ哲の背広を着た男がサングラスをかけて、手首に数十万ドルの腕時計を露出しています。一見裕福なお兄さんですが、今でも手に花を持っています。 男の後ろには黒い宴会が止まっている。 「どうやって...-->>この章はまだ終わっていません。次のページをクリックして前の章の目次の次のページを読み続けてください。私たちのクライアントをインストールしてオフラインで広告なしダウンロードしてください。APPをダウンロードして生涯無料でトップページのパソコン版を読みます。私の本棚をクリックして本を聞いてください
谈恋爱一定要会的50句日语!
1:一目ぼれする
一见钟情
2:あなたと出会ったのは何かの縁ですね
与你相遇是缘份
3:私のこと、どう思う。
你觉得我怎么样?
4:なに笑ってるの。
笑什么。
5:はっきり言えよ。
直说啊。(撒娇状)
6:本当のことを言いなさいよ。
说实话。(撒娇状)
7:どうしたの、急に黙り込んで。
怎么了?突然不说话了(关心状)
8:結婚しようよ(男性が女性に)
我们结婚吧。(男性对女性说)
9:私はきっとあなたを幸せにするよ
我一定会让你幸福。
10:あなたの優しさに私は心を引かれた
你的温柔打动了我的心。
11:本気なの。
认真地吗?
12:私は彼に会いたい。
我想你(我好想见你)
13:わたしから離れないで。
不要离开我。
14:わたしのこと嫌いになった?
你讨厌我了吗?
15:そんなにやきもち妬かないで。
不要那么吃醋嘛。
16:どうしたら許してくれるの。
怎样你才能原谅我呢?
17:嫌いだったら怒ったりしない
即使闹别扭也不会生气。
18:君のことが好きだから怒ったんだよ
正因为喜欢你才生气的。
19:けんかをするのは仲がいいからだよ。
关系好才吵架的。
20:君の言うとおりにしよう。
照你说的做吧。
21:行かないで。
别走!
23:いつもあなたと一緒にいたい。
想和你永远在一起。
22:あなたがいなくては生きていけない。
如果你不在了,我也活不下去了。
24:私はいつもあなたのことが気懸りです
我一直都在关心你。
25:遠く離れていても、あなたの気持ちは、手に取るように分かります 不管你身在何方,我都象你在我身边一样感觉的到你。
26:私はあなたとこんなに遠く離れていても、あなたの考えは分かります。
不管你离我多远,我都知道你在想什么。
27:夜、きっと電話するよ。
晚上一定打电话哟。
28:約束するよ。
说好了!(约定、拉勾)
29:6時にいつものところで待っているわ。
6点老地方见。
30:ここは君とよく来たね
这是你常来的地方吧
31:仕事が終わったら一緒に映画でもどうですか。
下班后一起看看电影怎么样。
32:奈良(なら)へ一緒に行ったこと、まだ覚えていますか。
还记得我们一起去奈良吗?
33:あれは私(わたし)たちの初(はじ)めてのデートだったかな。
那是我们第一次约会的吧。
34:私はあなたがとても好きです。
我非常喜欢你。
35:あなたがそばにいるだけで幸せです。
有你在身边,就是我的幸福。
36:あなたを想う気持洌ⅳ沥绀盲扰d奮(こうふん)して寝(ね)たくありません。
今天晚上有些兴奋睡不着。
39:明日どこで会おうか。
明天在哪儿见呢?
40.次いつ会おうか。
下次什么时候见啊?
41:会(あ)う時は楽(たの)しいけれど、別(わか)かれる時はつらい
相见是快乐的,分开是痛苦的。
42:おやすみ、夢(ゆめ)の中(なか)で会(あ)いましょう。
晚安,梦里见。
43:お元気(げんき)でね。
你很好啊(见面打招呼用)
44:またお会いできてうれしく思います。
很高兴能再次见到你。
45:あなたのこと忘れません。
我不会忘记你。
46:メールであなたと話ができるだけでも私はうれしい
能通过邮件与你联系,我就很高兴了。
47:手紙をくださいね。
给我写信哟。
48:あなたを待ってべ次见面。
49:つらいとき私のことを思い出してね
伤心的时候想想我。
50:もし君(きみ)に会えたら強(つよ)く抱きしめたい
如果能再见到你,我想紧紧地拥抱你。
1:一目ぼれする
一见钟情
2:あなたと出会ったのは何かの縁ですね
与你相遇是缘份
3:私のこと、どう思う。
你觉得我怎么样?
4:なに笑ってるの。
笑什么。
5:はっきり言えよ。
直说啊。(撒娇状)
6:本当のことを言いなさいよ。
说实话。(撒娇状)
7:どうしたの、急に黙り込んで。
怎么了?突然不说话了(关心状)
8:結婚しようよ(男性が女性に)
我们结婚吧。(男性对女性说)
9:私はきっとあなたを幸せにするよ
我一定会让你幸福。
10:あなたの優しさに私は心を引かれた
你的温柔打动了我的心。
11:本気なの。
认真地吗?
12:私は彼に会いたい。
我想你(我好想见你)
13:わたしから離れないで。
不要离开我。
14:わたしのこと嫌いになった?
你讨厌我了吗?
15:そんなにやきもち妬かないで。
不要那么吃醋嘛。
16:どうしたら許してくれるの。
怎样你才能原谅我呢?
17:嫌いだったら怒ったりしない
即使闹别扭也不会生气。
18:君のことが好きだから怒ったんだよ
正因为喜欢你才生气的。
19:けんかをするのは仲がいいからだよ。
关系好才吵架的。
20:君の言うとおりにしよう。
照你说的做吧。
21:行かないで。
别走!
23:いつもあなたと一緒にいたい。
想和你永远在一起。
22:あなたがいなくては生きていけない。
如果你不在了,我也活不下去了。
24:私はいつもあなたのことが気懸りです
我一直都在关心你。
25:遠く離れていても、あなたの気持ちは、手に取るように分かります 不管你身在何方,我都象你在我身边一样感觉的到你。
26:私はあなたとこんなに遠く離れていても、あなたの考えは分かります。
不管你离我多远,我都知道你在想什么。
27:夜、きっと電話するよ。
晚上一定打电话哟。
28:約束するよ。
说好了!(约定、拉勾)
29:6時にいつものところで待っているわ。
6点老地方见。
30:ここは君とよく来たね
这是你常来的地方吧
31:仕事が終わったら一緒に映画でもどうですか。
下班后一起看看电影怎么样。
32:奈良(なら)へ一緒に行ったこと、まだ覚えていますか。
还记得我们一起去奈良吗?
33:あれは私(わたし)たちの初(はじ)めてのデートだったかな。
那是我们第一次约会的吧。
34:私はあなたがとても好きです。
我非常喜欢你。
35:あなたがそばにいるだけで幸せです。
有你在身边,就是我的幸福。
36:あなたを想う気持洌ⅳ沥绀盲扰d奮(こうふん)して寝(ね)たくありません。
今天晚上有些兴奋睡不着。
39:明日どこで会おうか。
明天在哪儿见呢?
40.次いつ会おうか。
下次什么时候见啊?
41:会(あ)う時は楽(たの)しいけれど、別(わか)かれる時はつらい
相见是快乐的,分开是痛苦的。
42:おやすみ、夢(ゆめ)の中(なか)で会(あ)いましょう。
晚安,梦里见。
43:お元気(げんき)でね。
你很好啊(见面打招呼用)
44:またお会いできてうれしく思います。
很高兴能再次见到你。
45:あなたのこと忘れません。
我不会忘记你。
46:メールであなたと話ができるだけでも私はうれしい
能通过邮件与你联系,我就很高兴了。
47:手紙をくださいね。
给我写信哟。
48:あなたを待ってべ次见面。
49:つらいとき私のことを思い出してね
伤心的时候想想我。
50:もし君(きみ)に会えたら強(つよ)く抱きしめたい
如果能再见到你,我想紧紧地拥抱你。
1897年4月14日, 日本俳人富田 木歩(とみた もっぽ)出生。
小さな旅
富田木歩
五月六日
今宵は向嶋の姉に招かれて泊りがてら遊びに行くのである。
おさえ切れぬ嬉しさにそゝられて、日毎見馴れている玻璃窓外の躑躅でさえ、此の記念すべき日の喜びを句に纒めよと暗示するかのように見える。
母は良さんを連れて来た、良さんと云うのは此の旅を果させて呉れる――私にとっては汽車汽船よりも大切な車夫である。
俥は曳き出された。足でつッぱることの出来ぬ身体は揺られるがまゝに動く。
私の俥は充分に外景を貪り得るように[#「貪り得るように」は底本では「貧り得るように」]、能うだけの徐行を続けているのだが、矢張り車夫として洗練されている良さんの足は後へ後へと行人を置きざりにして行くのである。
やがて見覚えのある交番の前を過ぎた。道は既に紅燈紘歌の巷に近づいたのである。煙草屋の角や駄菓子屋の軒などに、江戸家とか松葉とか云うような粋な軒燈が点いている。それは煙草屋や、駄菓子屋の屋号ではなくて、それらの家々の路地奥にある待合や芸妓家の門標であることに気のついた頃はそうした軒燈を幾つとなく見て過ぎた。
旨そうな油の香を四辺に漂わしながらジウジウと音をさせている天ぷら屋の店頭に立っている[#「立っている」は底本では「立つている」]半玉のすんなりした姿はこの上もなく明るいものに見られた。
この町のこうした情調に酔いつゝある間に俥は姉の家へ這入るべき路地口へついた。蝶のように袂をひらめかしながら飛んで来た小娘が「随分待ってたのよ」と云う、それは妹であった。
家に入ると、姉は私を待ちあぐんで、既に独酌の盃を重ねているのだった。私も早速盃を受けて何杯かを傾けた。
俳句などには何の理解も持たぬ姉ながら妹に命じて椽の障子を開けさせたり、窓を開かせたりして私を喜ばしてくれるのは身にしみて嬉しかった。
三坪ほどしかない庭の僅か許りの立木ではあるが、昨年来た時の親しみを再び味わしてくれるのに充分である。昨日植木屋を入れて植えさせたと云う薪のような松が五六本隅の方に押し並んで居るのも何となく心を惹く。手水桶を吊り下げてある軒端の八ツ手は去年来た時よりも伸び太って、そのつやつやしい葉表には美しい灯影が流れている。
五勺ほどの酒でいゝ気持になった。
墓地越しに町の灯見ゆる遠蛙
行く春の蚊にほろ醉ひのさめにけり
こうした句作境涯に心ゆくばかり浸り得さしてくれた姉に感謝せざるを得ない。恰も如石が来たので妹などゝ椽先に語り合った。
五月七日
鶉來鳴く障子のもとの目覚めかな
妹は学友に起されて登校した。胃を病んでいる姉は昨夜の酒が過ぎたので痛むと云う。私は一人で朝餉をすませて、陽の一杯に漲っている若葉蔭に陣取って新聞を読む。
杉の芽に蝶つきかねてめぐりけり
新聞に鳥影さす庭若葉かな
服薬して身を横たえている姉は句作に耽っている私の方を見乍ら時々思い出したように「沢山出来るかえ」と訊く。庭へ来て交るむ雀のあわたゞしさや手近い墓地に鳴き交わす雀共の賑わしさの中に藪鶯が美しい音尻を引いては鳴くのである。
この家の裏に淡島寒月さんの居宅があって其の家裏を領している太い椎と松とに鶉が籠っている、そして昼頃から曇って来た静かな空気の中にゴロッチョゴロッチョと濁った声を伝えている。
弘福寺と牛島神社と、も一つ何処かのと三カ所で、相前後して入相の大太鼓を打ち初めた。
姉は俄かにあたふたと働き出して座敷を掃いたり庭に水を打ったりしている。
汽車音の若葉に籠る夕べかな
夕餉の後妹に少女雑誌を読みきかせていると如石が来た。私の留守に届いた聲風、良太兩兄の手紙を持って来たのである。
妹は今宵七松園の縁日へ行く約束があるので、躑躅を買うべき銭を姉から貰い受けて如石と共に出かけた。そこへ仁王丸が来た。
間もなく如石と妹とが戻って来て皆で仁王丸の蜜豆をご馳走になった。
買って来た躑躅は如石が植えると云う、けれども土を堀る道具が何もないので妹の学校の手工用の箆で掘ることにした。仁王丸が電気を持ちかざす役目で――。二本の躑躅がそれそれ配置よく植えられると庭の面は急に化粧した小娘のように見られた。
躑躅植ゑて夜冷えする庭を忘れけり
やがて仁王丸と如石と打連れて帰って行った。
五月八日
今日は快晴である。そのためか鶉の声をきかない。姉の命によって唐紙を張る。親骨を皆まぜて仕舞ったので立て付けの終ったのは日没の太鼓が鳴り渡る頃であった。姉と妹とが銭湯へ出かけた留守の独り居が徒然なので節句にとゝのえたと云う雛人形を見せて貰うことにした。
箱を出る顏忘れめや雛二對 蕪村
の句を口ずさみながら塵にまみれた箱の蓋を開けて見ていると良さんが迎えに来た。
姉も妹も帰ったので別れを告げて俥上の人となった。晩春の墨田川を眺めるために俥は堤へ上った。その辺にまだ妹が彳んでいるものと思って四顧したけれども見えない。夜のお稽古にでも行ってしまったのであろう。何となくもの淋しさを覚える。対岸には夕焼の残映が漂っている。聲風兄の家は彼の辺かと首を伸ばして見やったけれど解らなかった。墨堤の桜は悉く葉になって一片の落花さえ止めない。俥は家路へ真っ直ぐに辿る。私はふと小松島附近の青蘆が見たくなったので「家につくまでに暮れるでしょうか」と訊くと良さんは「暮れませんよ」と云う、で、早速俥は引き返された。間もなく白鬚も後にして諸会社から吐き出された職工達の芋を洗うようにこみ合う中を縫うて進んだ。
蘆はたまたま家並の間に僅か許り見られるだけで物足りない。夕空には夜の色が静かに滲み出て頭上を掠め飛ぶ蝙蝠の影が淋しい。
川蘆の蕭々として暮れぬ蚊食鳥
蝙蝠の家脚くゞる蘆の風
行けども行けども思うような蘆が見られないので引き返そうかと思ったが断行もしかねていた。
蘆の中に犬鳴き入りぬ遠蛙
併し、展けた。遂に大蘆原が眼前に展けて来た。私の心は躍った。折しも輝き出した星の色は私の心の喜びの色か。
行く春や蘆間の水の油色
思い残すこともなく帰途についた。三圍神社の蓮池には周囲の家の灯影が浮いて蛙が鳴いている。其角堂では今頃何をしているだろうか。
青蘆に家の灯もるゝ宵の程
対岸の十二階の灯にも別れを告げて、薄暗い通りを辿って家へ帰った。
留守中に山形の木屑兄の句稿と出雲の柿葉兄の絵ハガキとが来ていた。
小さな旅
富田木歩
五月六日
今宵は向嶋の姉に招かれて泊りがてら遊びに行くのである。
おさえ切れぬ嬉しさにそゝられて、日毎見馴れている玻璃窓外の躑躅でさえ、此の記念すべき日の喜びを句に纒めよと暗示するかのように見える。
母は良さんを連れて来た、良さんと云うのは此の旅を果させて呉れる――私にとっては汽車汽船よりも大切な車夫である。
俥は曳き出された。足でつッぱることの出来ぬ身体は揺られるがまゝに動く。
私の俥は充分に外景を貪り得るように[#「貪り得るように」は底本では「貧り得るように」]、能うだけの徐行を続けているのだが、矢張り車夫として洗練されている良さんの足は後へ後へと行人を置きざりにして行くのである。
やがて見覚えのある交番の前を過ぎた。道は既に紅燈紘歌の巷に近づいたのである。煙草屋の角や駄菓子屋の軒などに、江戸家とか松葉とか云うような粋な軒燈が点いている。それは煙草屋や、駄菓子屋の屋号ではなくて、それらの家々の路地奥にある待合や芸妓家の門標であることに気のついた頃はそうした軒燈を幾つとなく見て過ぎた。
旨そうな油の香を四辺に漂わしながらジウジウと音をさせている天ぷら屋の店頭に立っている[#「立っている」は底本では「立つている」]半玉のすんなりした姿はこの上もなく明るいものに見られた。
この町のこうした情調に酔いつゝある間に俥は姉の家へ這入るべき路地口へついた。蝶のように袂をひらめかしながら飛んで来た小娘が「随分待ってたのよ」と云う、それは妹であった。
家に入ると、姉は私を待ちあぐんで、既に独酌の盃を重ねているのだった。私も早速盃を受けて何杯かを傾けた。
俳句などには何の理解も持たぬ姉ながら妹に命じて椽の障子を開けさせたり、窓を開かせたりして私を喜ばしてくれるのは身にしみて嬉しかった。
三坪ほどしかない庭の僅か許りの立木ではあるが、昨年来た時の親しみを再び味わしてくれるのに充分である。昨日植木屋を入れて植えさせたと云う薪のような松が五六本隅の方に押し並んで居るのも何となく心を惹く。手水桶を吊り下げてある軒端の八ツ手は去年来た時よりも伸び太って、そのつやつやしい葉表には美しい灯影が流れている。
五勺ほどの酒でいゝ気持になった。
墓地越しに町の灯見ゆる遠蛙
行く春の蚊にほろ醉ひのさめにけり
こうした句作境涯に心ゆくばかり浸り得さしてくれた姉に感謝せざるを得ない。恰も如石が来たので妹などゝ椽先に語り合った。
五月七日
鶉來鳴く障子のもとの目覚めかな
妹は学友に起されて登校した。胃を病んでいる姉は昨夜の酒が過ぎたので痛むと云う。私は一人で朝餉をすませて、陽の一杯に漲っている若葉蔭に陣取って新聞を読む。
杉の芽に蝶つきかねてめぐりけり
新聞に鳥影さす庭若葉かな
服薬して身を横たえている姉は句作に耽っている私の方を見乍ら時々思い出したように「沢山出来るかえ」と訊く。庭へ来て交るむ雀のあわたゞしさや手近い墓地に鳴き交わす雀共の賑わしさの中に藪鶯が美しい音尻を引いては鳴くのである。
この家の裏に淡島寒月さんの居宅があって其の家裏を領している太い椎と松とに鶉が籠っている、そして昼頃から曇って来た静かな空気の中にゴロッチョゴロッチョと濁った声を伝えている。
弘福寺と牛島神社と、も一つ何処かのと三カ所で、相前後して入相の大太鼓を打ち初めた。
姉は俄かにあたふたと働き出して座敷を掃いたり庭に水を打ったりしている。
汽車音の若葉に籠る夕べかな
夕餉の後妹に少女雑誌を読みきかせていると如石が来た。私の留守に届いた聲風、良太兩兄の手紙を持って来たのである。
妹は今宵七松園の縁日へ行く約束があるので、躑躅を買うべき銭を姉から貰い受けて如石と共に出かけた。そこへ仁王丸が来た。
間もなく如石と妹とが戻って来て皆で仁王丸の蜜豆をご馳走になった。
買って来た躑躅は如石が植えると云う、けれども土を堀る道具が何もないので妹の学校の手工用の箆で掘ることにした。仁王丸が電気を持ちかざす役目で――。二本の躑躅がそれそれ配置よく植えられると庭の面は急に化粧した小娘のように見られた。
躑躅植ゑて夜冷えする庭を忘れけり
やがて仁王丸と如石と打連れて帰って行った。
五月八日
今日は快晴である。そのためか鶉の声をきかない。姉の命によって唐紙を張る。親骨を皆まぜて仕舞ったので立て付けの終ったのは日没の太鼓が鳴り渡る頃であった。姉と妹とが銭湯へ出かけた留守の独り居が徒然なので節句にとゝのえたと云う雛人形を見せて貰うことにした。
箱を出る顏忘れめや雛二對 蕪村
の句を口ずさみながら塵にまみれた箱の蓋を開けて見ていると良さんが迎えに来た。
姉も妹も帰ったので別れを告げて俥上の人となった。晩春の墨田川を眺めるために俥は堤へ上った。その辺にまだ妹が彳んでいるものと思って四顧したけれども見えない。夜のお稽古にでも行ってしまったのであろう。何となくもの淋しさを覚える。対岸には夕焼の残映が漂っている。聲風兄の家は彼の辺かと首を伸ばして見やったけれど解らなかった。墨堤の桜は悉く葉になって一片の落花さえ止めない。俥は家路へ真っ直ぐに辿る。私はふと小松島附近の青蘆が見たくなったので「家につくまでに暮れるでしょうか」と訊くと良さんは「暮れませんよ」と云う、で、早速俥は引き返された。間もなく白鬚も後にして諸会社から吐き出された職工達の芋を洗うようにこみ合う中を縫うて進んだ。
蘆はたまたま家並の間に僅か許り見られるだけで物足りない。夕空には夜の色が静かに滲み出て頭上を掠め飛ぶ蝙蝠の影が淋しい。
川蘆の蕭々として暮れぬ蚊食鳥
蝙蝠の家脚くゞる蘆の風
行けども行けども思うような蘆が見られないので引き返そうかと思ったが断行もしかねていた。
蘆の中に犬鳴き入りぬ遠蛙
併し、展けた。遂に大蘆原が眼前に展けて来た。私の心は躍った。折しも輝き出した星の色は私の心の喜びの色か。
行く春や蘆間の水の油色
思い残すこともなく帰途についた。三圍神社の蓮池には周囲の家の灯影が浮いて蛙が鳴いている。其角堂では今頃何をしているだろうか。
青蘆に家の灯もるゝ宵の程
対岸の十二階の灯にも別れを告げて、薄暗い通りを辿って家へ帰った。
留守中に山形の木屑兄の句稿と出雲の柿葉兄の絵ハガキとが来ていた。
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