#平手友梨奈[超话]#平手友梨奈、映画デビュー作「響」新人賞/映画大賞
欅坂46平手友梨奈(17)が3日、第31回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞(日刊スポーツ新聞社主催、石原プロモーション協賛)の新人賞に輝いた。映画初出演で初主演の「響 -HIBIKI-」でエキセントリックな天才女子高生を演じ、鮮烈な印象を残した。授賞式は28日、東京・紀尾井町のホテルニューオータニで行われる。
普段はステージのパフォーマンスで多くのファンを魅了する平手だが、映画で賞を贈られるのは初めてだ。スクリーンデビュー作での受賞に「正直、あまりよく分からないです。実感が湧かないので」と率直な心境を語り、ほほえんだ。
原作者の柳本光晴氏から「もし響が実写化するなら、主演は平手さんしかいない」と太鼓判を押され、天才女子高生小説家、鮎喰響(あくい・ひびき)役に抜てきされた。信念を曲げず、建前やごまかしを許さず、時に暴力的な行動にも出てしまう役どころだ。クールで大人や体制への反抗を歌う欅坂46の世界観とシンクロする部分もあり、存分に存在感を発揮した。
今年6月に終わった撮影を振り返り、「『響』チームの皆さん、スタッフさんから、演者さんまで、いい出会いをさせていただいたな、と思います」と話した。特に、響の担当編集者、花井ふみ役の北川景子(32)に「現場でも『響』と『ふみ』として接してくださって、本当に助かりました」と感謝する。今でも毎日連絡を取り合い、「ふみ」「ひーちゃん」と呼び合う仲だ。「ご飯のこととか、仕事のこととか、いろいろ話します。テレビでドラマの再放送を見た時に、『ふみ、出てたよ』って写真を送ったりしました」と笑顔で明かす。
中学3年生だった16年4月に「サイレントマジョリティー」でデビュー。以来シングル7作でグループのセンターを務めた。「普通の高校生と比べて、大人と関わる機会は多いと思います。いろんな人がいるけど、ちゃんと理解してくださるというか、一緒に何かを作ってくださる人と出会うこともできました」。劇中の響と同様、世間から一挙手一投足を注目される現役女子高生。「人生、いいことばかりじゃないけど、その中でいいこともあるから」。独特の言い回しで、異色の青春時代を表現した。
現在は欅坂46での活動に集中しており、大みそかに控えるNHK紅白歌合戦をはじめ、音楽特番の出演が続く。ただ、時折、「響」のスタッフや共演者と会いたくなるという。「『響』のことは、何年先になっても…一生残るかもしれないです。出会った人たちとの関係も、ずっと残るといいなと思います。初めて欅坂から1歩飛び出した外の世界。その作品が『響』でよかったなあ、と思います」。あらためて「響」との出会いに感謝した。【横山慧】
◆平手友梨奈(ひらて・ゆりな)2001年(平13)6月25日、愛知県生まれ。15年8月、欅坂46の1期生オーディションに合格。愛称「てち」。昨年12月放送のフジテレビ系「FNS歌謡祭」では、平井堅との「ノンフィクション」のコラボパフォーマンスが話題になった。ヤクルト「ミルミル」のCMに出演中。163センチ。血液型O。
◆響-HIBIKI- 出版不況の中、15歳の天才少女、響の小説が脚光を浴びる。生き方を絶対曲げず「この天才、ヤバい。」がキャッチフレーズの響の行動は、有名作家や記者、売れない小説家、さまざまな人に影響を与えていく。そして、処女作が直木賞、芥川賞に同時ノミネートされた。月川翔監督。
◆新人賞・選考経過 木竜麻生、平手友梨奈が票を争った。「感情を上下させながら、アップで5分間、撮られる場面は相当な演技力」(渡辺武信氏)という木竜への高評価を、「正直びっくりした。目ぢからもすごい。次の映画もやってほしい」(木下博通氏)と平手を推す声が、決選投票で上回った。
欅坂46平手友梨奈(17)が3日、第31回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞(日刊スポーツ新聞社主催、石原プロモーション協賛)の新人賞に輝いた。映画初出演で初主演の「響 -HIBIKI-」でエキセントリックな天才女子高生を演じ、鮮烈な印象を残した。授賞式は28日、東京・紀尾井町のホテルニューオータニで行われる。
普段はステージのパフォーマンスで多くのファンを魅了する平手だが、映画で賞を贈られるのは初めてだ。スクリーンデビュー作での受賞に「正直、あまりよく分からないです。実感が湧かないので」と率直な心境を語り、ほほえんだ。
原作者の柳本光晴氏から「もし響が実写化するなら、主演は平手さんしかいない」と太鼓判を押され、天才女子高生小説家、鮎喰響(あくい・ひびき)役に抜てきされた。信念を曲げず、建前やごまかしを許さず、時に暴力的な行動にも出てしまう役どころだ。クールで大人や体制への反抗を歌う欅坂46の世界観とシンクロする部分もあり、存分に存在感を発揮した。
今年6月に終わった撮影を振り返り、「『響』チームの皆さん、スタッフさんから、演者さんまで、いい出会いをさせていただいたな、と思います」と話した。特に、響の担当編集者、花井ふみ役の北川景子(32)に「現場でも『響』と『ふみ』として接してくださって、本当に助かりました」と感謝する。今でも毎日連絡を取り合い、「ふみ」「ひーちゃん」と呼び合う仲だ。「ご飯のこととか、仕事のこととか、いろいろ話します。テレビでドラマの再放送を見た時に、『ふみ、出てたよ』って写真を送ったりしました」と笑顔で明かす。
中学3年生だった16年4月に「サイレントマジョリティー」でデビュー。以来シングル7作でグループのセンターを務めた。「普通の高校生と比べて、大人と関わる機会は多いと思います。いろんな人がいるけど、ちゃんと理解してくださるというか、一緒に何かを作ってくださる人と出会うこともできました」。劇中の響と同様、世間から一挙手一投足を注目される現役女子高生。「人生、いいことばかりじゃないけど、その中でいいこともあるから」。独特の言い回しで、異色の青春時代を表現した。
現在は欅坂46での活動に集中しており、大みそかに控えるNHK紅白歌合戦をはじめ、音楽特番の出演が続く。ただ、時折、「響」のスタッフや共演者と会いたくなるという。「『響』のことは、何年先になっても…一生残るかもしれないです。出会った人たちとの関係も、ずっと残るといいなと思います。初めて欅坂から1歩飛び出した外の世界。その作品が『響』でよかったなあ、と思います」。あらためて「響」との出会いに感謝した。【横山慧】
◆平手友梨奈(ひらて・ゆりな)2001年(平13)6月25日、愛知県生まれ。15年8月、欅坂46の1期生オーディションに合格。愛称「てち」。昨年12月放送のフジテレビ系「FNS歌謡祭」では、平井堅との「ノンフィクション」のコラボパフォーマンスが話題になった。ヤクルト「ミルミル」のCMに出演中。163センチ。血液型O。
◆響-HIBIKI- 出版不況の中、15歳の天才少女、響の小説が脚光を浴びる。生き方を絶対曲げず「この天才、ヤバい。」がキャッチフレーズの響の行動は、有名作家や記者、売れない小説家、さまざまな人に影響を与えていく。そして、処女作が直木賞、芥川賞に同時ノミネートされた。月川翔監督。
◆新人賞・選考経過 木竜麻生、平手友梨奈が票を争った。「感情を上下させながら、アップで5分間、撮られる場面は相当な演技力」(渡辺武信氏)という木竜への高評価を、「正直びっくりした。目ぢからもすごい。次の映画もやってほしい」(木下博通氏)と平手を推す声が、決選投票で上回った。
テレビ質問状:「ノンフィクションW 野村家三代 パリに舞う[给力][给力][给力]――番組の概要と魅力は?
狂言師・野村萬斎といえば、東京2020大会開会式・閉会式のチーフ・エグゼクティブ・クリエーティブディレクター(東京2020総合)として注目されています。
そんな大注目の萬斎さんですが、年間300も数える狂言の公演で忙しい毎日を送っており、今回は親子三代でフランス・パリでの「三番叟(さんばそう)」の公演に挑みました。三人三様の舞ですが、まさしく、三代を見比べていただけるような、贅沢なものに仕上がりました。
――今回のテーマを取り上げたきっかけと理由は?
「三番叟(さんばそう)」というのは、250を超える狂言の演目の中で最も古いものの一つで、お祝いの場で披露されることが多い舞です。日仏友好160年を記念し、フランス・パリを中心に行われているたジャポニスム2018という“世界にまだ知られていない日本文化の魅力”を紹介する大規模な複合型文化芸術イベント日本文化の祭典で披露されたのですが、なにより、三代が同じ演目を日替わりで公演するというのはなかなか見られないものでもあります。その中で、野村家の芸のDNAというのがどう受け継がれてきたか、これからどう伝承されていくのかがまさしく体感できればと思い、制作に至りました。
――制作中、一番に心がけたことは?
日本が誇る伝統芸能ですが、身近なエンターテインメントとして捉えにくいというのが現状かと思います。敷居が高いと感じたり、狂言を見たことがないという人は多いと思います。それを取っ払っていただき、野村家三代、万作先生、萬斎さん、裕基さんそれぞれ、一人の役者として注目していただきたいと思います。舞台にかける思い、芸を伝承していく思い、それを祖父・父・子と家族でつなげていく思い、そういった人間ドラマを引き出せればと心がけました。
――番組を作る上でうれしかったこと、逆に大変だったエピソードは?
パリ市内でのドキュメンタリー撮影というのが割と寛容で、私たち制作側にとってはありがたいことでした。行く先々で、道路の使用許可を取らなくていいわけですから(笑い)。けれども、野村家の三代の皆さんが、休演日にシャンゼリゼ通りにお出かけされるということで同行させていただいたのですが、その日のお天気が雨予報で。折角三代そろってのお出かけだったので、雨が降らないように祈るばかりでした。そうしたら取材中はなんとかお天気も持ったのですが、いざ皆さんと離れると、雨が降り出して。しかも、かなりのどしゃ降りで。機材を持ったままでしたので、スタッフ全員、あわてて避難しました(笑い)。
――番組の見どころを教えてください。
日本でも滅多に見ることのできない、三代が日替わりで披露するパリの「三番叟」。それを見比べていただけるというのが一番の見どころです。海外公演にはなかなか出向けないということもありますし、パリのお客様にはどう響いたのか、というところも体感していただけます。野村家三代の皆さまがパリで「三番叟」に挑戦し、伝統をどのように「未来」へつなげていくかにも注目です。
――視聴者へ一言お願いします。
WOWOWでは「特集:野村萬斎の世界」と題して、このドキュメンタリーだけでなく、萬斎さんの主演映画や、狂言、舞台など8作品を、2週にわたって18時間も放送いたします。萬斎さんがいかに多岐に渡って活動されているかが分かると同時に、本業である狂言がテレビでもお楽しみいただけるという貴重な機会です。先の第31回東京国際映画祭で特別上映された今回のドキュメンタリーですが、お客さまから“狂言が見たくなった”という声もいただき、今回の特集はまさにぴったりだと思います! 18時間という長い時間ですが、録画機器の準備もしっかりしていただき、2週にわたって楽しんでいただけるとうれしいです。
WOWOW 制作部 プロデューサー 長野公美
狂言師・野村萬斎といえば、東京2020大会開会式・閉会式のチーフ・エグゼクティブ・クリエーティブディレクター(東京2020総合)として注目されています。
そんな大注目の萬斎さんですが、年間300も数える狂言の公演で忙しい毎日を送っており、今回は親子三代でフランス・パリでの「三番叟(さんばそう)」の公演に挑みました。三人三様の舞ですが、まさしく、三代を見比べていただけるような、贅沢なものに仕上がりました。
――今回のテーマを取り上げたきっかけと理由は?
「三番叟(さんばそう)」というのは、250を超える狂言の演目の中で最も古いものの一つで、お祝いの場で披露されることが多い舞です。日仏友好160年を記念し、フランス・パリを中心に行われているたジャポニスム2018という“世界にまだ知られていない日本文化の魅力”を紹介する大規模な複合型文化芸術イベント日本文化の祭典で披露されたのですが、なにより、三代が同じ演目を日替わりで公演するというのはなかなか見られないものでもあります。その中で、野村家の芸のDNAというのがどう受け継がれてきたか、これからどう伝承されていくのかがまさしく体感できればと思い、制作に至りました。
――制作中、一番に心がけたことは?
日本が誇る伝統芸能ですが、身近なエンターテインメントとして捉えにくいというのが現状かと思います。敷居が高いと感じたり、狂言を見たことがないという人は多いと思います。それを取っ払っていただき、野村家三代、万作先生、萬斎さん、裕基さんそれぞれ、一人の役者として注目していただきたいと思います。舞台にかける思い、芸を伝承していく思い、それを祖父・父・子と家族でつなげていく思い、そういった人間ドラマを引き出せればと心がけました。
――番組を作る上でうれしかったこと、逆に大変だったエピソードは?
パリ市内でのドキュメンタリー撮影というのが割と寛容で、私たち制作側にとってはありがたいことでした。行く先々で、道路の使用許可を取らなくていいわけですから(笑い)。けれども、野村家の三代の皆さんが、休演日にシャンゼリゼ通りにお出かけされるということで同行させていただいたのですが、その日のお天気が雨予報で。折角三代そろってのお出かけだったので、雨が降らないように祈るばかりでした。そうしたら取材中はなんとかお天気も持ったのですが、いざ皆さんと離れると、雨が降り出して。しかも、かなりのどしゃ降りで。機材を持ったままでしたので、スタッフ全員、あわてて避難しました(笑い)。
――番組の見どころを教えてください。
日本でも滅多に見ることのできない、三代が日替わりで披露するパリの「三番叟」。それを見比べていただけるというのが一番の見どころです。海外公演にはなかなか出向けないということもありますし、パリのお客様にはどう響いたのか、というところも体感していただけます。野村家三代の皆さまがパリで「三番叟」に挑戦し、伝統をどのように「未来」へつなげていくかにも注目です。
――視聴者へ一言お願いします。
WOWOWでは「特集:野村萬斎の世界」と題して、このドキュメンタリーだけでなく、萬斎さんの主演映画や、狂言、舞台など8作品を、2週にわたって18時間も放送いたします。萬斎さんがいかに多岐に渡って活動されているかが分かると同時に、本業である狂言がテレビでもお楽しみいただけるという貴重な機会です。先の第31回東京国際映画祭で特別上映された今回のドキュメンタリーですが、お客さまから“狂言が見たくなった”という声もいただき、今回の特集はまさにぴったりだと思います! 18時間という長い時間ですが、録画機器の準備もしっかりしていただき、2週にわたって楽しんでいただけるとうれしいです。
WOWOW 制作部 プロデューサー 長野公美
狐狸长大了聊自己演乱b[给力][给力][给力]能や狂言の中にある”序破急”という構成
『羅生門』にしても、だんだんテンポがあがってくる。
そこらへんは、頭で黒澤さんが理解しているというよりも、彼の感性が序破急的なものに、非常に影響を受けていたんじゃないかと思います。
娯楽の乏しい戦時中、黒澤さんは若くして能楽堂に頻繁に通ってらしたそうです。
そこでの感動のエネルギーとか、見る者の感動の盛り上がり方を強く意識して、いろいろな作品をお撮りになったのではないか。
だから、割合最初はゆったり始まって、最後は噴き上がるようなクライマックスを迎えるのでしょう。
『椿三十郎』にしても、最後に激しく血を噴き出す。
そこまでずっと、みんなの血流がどんどん膨れ上がって血管が破裂しそうなくらいまで緊張が高まっていって、最後にあそこ血が噴き出る。
そこでみんな、その一瞬の勢いに打たれて、一緒に飛んで行ってしまう。それは、能や狂言の中にある序破急という構成にも通じるようにおもうのです。
『乱』のテストは、鶴丸がいる夕日のシーンですが、うまく夕日が撮れず、雲の形が悪いと言って、監督は途中でお帰りになっちゃった。
そうすると、その日朝から100人ぐらいスタッフがいたんですけれども、そのまま一日がおじゃんなんでよね。
その一日の人件費とかを考えると、一体いくらのお金がそこで飛んだのかということなんだけれど…
やはり序破急の、ラストシーンのそこにかけないと。
細部にこだわる完璧主義というのは、そういうことだと思います。
『乱』の中で、狂阿弥がどうして狂言師かというと、黒澤さんは狂言の中の謡を憶えているんですね。
それを使いたいと明らかに思っていらっしゃいます。
能・狂言から採ったアイデアを、いつか使ってやろうと思っていらっしゃったんだと思うんです。
例えばピーターさんが『乱』の中で、秀虎の長男・太郎をからかって「兎」という謡をうたいますね。
あれは狂言から採っている。
その後の『夢』の中の「狐の嫁入り」なんかも、うちの父の『釣狐』のビデオでずいぶん研究されたようです。
監督は、常に使ってやりたいという思いがあって、きっと若い頃ご覧になった謡をたぶん耳で憶えてらっしゃったんでしょう。
そうじゃなきゃ、わざわざ調べてそれを持ってくるというのはなかなか出来ないと思うのです。
謡自体にそんなに意味はないんだけれども、酒宴の席なんかで、非常に意味のある効果的な使い方ができるな、ということを、きっとどこかで思い留めてらっしゃったんだと思います。
それから、例えば能でいうとワキの前でいろいろ罪人が出てきて自分をの述懐したりするんですが、そういうひとつ離れた、僕の印象では、わりあい醒めた目もお持ちのような気がします。 例えば、『野良犬』の最後の面会室で語るところとか。能ではワキというのはお坊さんですから、ある意味では仏の視点とも言えるわけで、ちゃんと聞いてくれ、かつ上の方からものを見ている、という感じですね。
僕は古典芸能の役者ですが、海外で黒澤さんが「世界のクロサワ」となぜ評価されるかというと、
日本のアイデンティティをちゃんとお持ちで、それを表現することが出来たということだと思います。
例えば『マクベス』を新劇みたいな形でやって海外に持っていっても、なんだこれはということになっちゃいますよね。
蜷川幸雄さんも世界的に評価されるのは、日本的なアイデンティティを表現して、しかも題材として海外のものを消化しきっている。
猿真似だったり、単なるジャポニズムじゃないこと。
ぼくら古典芸能の役者が「世界」というものを目の当たりにしたときに、狂言は日本のものですから日本だけで理解されればいいということじゃなくて。
その日本での狂言の感性が世界にも通じるんだということを、これだけ狂言の要素が感じられる映画を作って世界に知らしめていただいたことを感謝しています。
そういう意味でも素晴らしく、僕らにとっても憧れの人で、映画界に留まらず、アーティストとして発信できる力がおありだった。
私自身にとっても、狂言を継承していくというのは、狂言を発信していくということですからね。
あと、できることなら黒澤版『ハムレット』というものに出てみたくもあり、観て見たかったという気がいたしております。
※4 河出書房新社発行 「黒澤明 生誕100年総特集」より抜粋
『羅生門』にしても、だんだんテンポがあがってくる。
そこらへんは、頭で黒澤さんが理解しているというよりも、彼の感性が序破急的なものに、非常に影響を受けていたんじゃないかと思います。
娯楽の乏しい戦時中、黒澤さんは若くして能楽堂に頻繁に通ってらしたそうです。
そこでの感動のエネルギーとか、見る者の感動の盛り上がり方を強く意識して、いろいろな作品をお撮りになったのではないか。
だから、割合最初はゆったり始まって、最後は噴き上がるようなクライマックスを迎えるのでしょう。
『椿三十郎』にしても、最後に激しく血を噴き出す。
そこまでずっと、みんなの血流がどんどん膨れ上がって血管が破裂しそうなくらいまで緊張が高まっていって、最後にあそこ血が噴き出る。
そこでみんな、その一瞬の勢いに打たれて、一緒に飛んで行ってしまう。それは、能や狂言の中にある序破急という構成にも通じるようにおもうのです。
『乱』のテストは、鶴丸がいる夕日のシーンですが、うまく夕日が撮れず、雲の形が悪いと言って、監督は途中でお帰りになっちゃった。
そうすると、その日朝から100人ぐらいスタッフがいたんですけれども、そのまま一日がおじゃんなんでよね。
その一日の人件費とかを考えると、一体いくらのお金がそこで飛んだのかということなんだけれど…
やはり序破急の、ラストシーンのそこにかけないと。
細部にこだわる完璧主義というのは、そういうことだと思います。
『乱』の中で、狂阿弥がどうして狂言師かというと、黒澤さんは狂言の中の謡を憶えているんですね。
それを使いたいと明らかに思っていらっしゃいます。
能・狂言から採ったアイデアを、いつか使ってやろうと思っていらっしゃったんだと思うんです。
例えばピーターさんが『乱』の中で、秀虎の長男・太郎をからかって「兎」という謡をうたいますね。
あれは狂言から採っている。
その後の『夢』の中の「狐の嫁入り」なんかも、うちの父の『釣狐』のビデオでずいぶん研究されたようです。
監督は、常に使ってやりたいという思いがあって、きっと若い頃ご覧になった謡をたぶん耳で憶えてらっしゃったんでしょう。
そうじゃなきゃ、わざわざ調べてそれを持ってくるというのはなかなか出来ないと思うのです。
謡自体にそんなに意味はないんだけれども、酒宴の席なんかで、非常に意味のある効果的な使い方ができるな、ということを、きっとどこかで思い留めてらっしゃったんだと思います。
それから、例えば能でいうとワキの前でいろいろ罪人が出てきて自分をの述懐したりするんですが、そういうひとつ離れた、僕の印象では、わりあい醒めた目もお持ちのような気がします。 例えば、『野良犬』の最後の面会室で語るところとか。能ではワキというのはお坊さんですから、ある意味では仏の視点とも言えるわけで、ちゃんと聞いてくれ、かつ上の方からものを見ている、という感じですね。
僕は古典芸能の役者ですが、海外で黒澤さんが「世界のクロサワ」となぜ評価されるかというと、
日本のアイデンティティをちゃんとお持ちで、それを表現することが出来たということだと思います。
例えば『マクベス』を新劇みたいな形でやって海外に持っていっても、なんだこれはということになっちゃいますよね。
蜷川幸雄さんも世界的に評価されるのは、日本的なアイデンティティを表現して、しかも題材として海外のものを消化しきっている。
猿真似だったり、単なるジャポニズムじゃないこと。
ぼくら古典芸能の役者が「世界」というものを目の当たりにしたときに、狂言は日本のものですから日本だけで理解されればいいということじゃなくて。
その日本での狂言の感性が世界にも通じるんだということを、これだけ狂言の要素が感じられる映画を作って世界に知らしめていただいたことを感謝しています。
そういう意味でも素晴らしく、僕らにとっても憧れの人で、映画界に留まらず、アーティストとして発信できる力がおありだった。
私自身にとっても、狂言を継承していくというのは、狂言を発信していくということですからね。
あと、できることなら黒澤版『ハムレット』というものに出てみたくもあり、観て見たかったという気がいたしております。
※4 河出書房新社発行 「黒澤明 生誕100年総特集」より抜粋
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