高校三年の時、彼女が隣の席に座っていた。
それで、仲良くなった。
入試の時、彼女が受かった。一方、僕が落ちてしまった。
そこで、彼女は牡丹江に行って日本語学科の一年生になった。一方、僕は浪人した。
翌年、僕はとうとう受かって、意外に日本語学科の一年生になった。
そこから、彼女とは親友になった。
大学三年の時、自分の気持ちをよく彼女に伝えた。
一年後、恋人になってくれた。
同じ出身地の同じクラスから卒業して、同じ訛りを喋って、標準語、方言と日本語が全てわかってくれるので、
恥ずかしい時やばつが悪い時、他人に聞かせたくない時は、方言と日本語で喋るのは普通だ。それが、この恋愛に中で相当嬉しいことだ!
僕の彼女になってくれて、ありがとう。

毎日日本語

僕はね、景色に恋がしたいのだ。信ちゃんという美しい風景にね。僕は夢自体を生きたい。信ちゃんの言葉だの、信ちゃんの目だの、信ちゃんの心だの、そんなものをいっぱいにつめた袋みたいなものに、僕自身がなりたいのだ。袋ごと燃えてしまいたい
————坂口安吾（さかぐち　あんご）

恋が過熱しすぎると、わけがわからなくなって、
めちゃくちゃにされたいと思うことがある。
しかし、恋にふり回されることを怖がる必要はない。
人生には、どんな失敗も、どんな恥ずかしいことも、
いつかは思い出になるというルールがあるからだ。
ならば、今は恋おかしくなる自分さえも、
楽しんでみるという気持ちでいればいい。
ふり回されるのが恋の醍醐味（だいごみ）と言ってもよいのだから。

坂口安吾
1906年10月20日生まれ。小説家、評論家、随筆家。新潟市（にいがたし）出身。1939年、友人らと同人雑誌『言葉』を創刊する。その翌年に発表した『風博士』によって一躍注目を浴びる。代表作は『白痴』『桜の森の満開の下』など。エッセイの名手としても知られる。1955年没。

毎日日本語

いつも君を見ていたいのだ。僕はいつも君を思っていた。でも思ったり想像したりするだけでは不安で死にそうになる。君の傍にいてみたりさわったりしたい。毎日髪の伸びるのを見守ったり、冷たいおしりにさわったりしたい......
————倉橋由美子（くらはし　ゆみこ）

多くの恋は、片想いから始まる。
片想いの間は妄想に明け暮れることもあるだろう。
妄想の世界では、何のリスクもなく、
恋を楽しむことができるからだ。
ただ、どんなに妄想の世界で愛をささやいても、
その声が現実の相手に届くことは決してない。
ときどき妄想の世界に逃げ込むことがあってもいい。
だが、いつまでもその世界に閉じこもっていてはだめだ。
不器用でも愛を伝える努力をすれば、
その妄想もいつか現実に変わるかもしれないのだから。

倉橋由美子
1935年10月10日生まれ。小説家。高知県出身。明治大学在学中の1960年、『パルタイ』で明治大学学長賞を受賞。代表作は『聖少女』『大人のための残酷童話』など。小説だけでなく翻訳やエッセイも発表。2005年没。