亀梨和也が天才弁護士を演じる「正義の天秤」【制作統括 独占インタビュー!VOL.3】――鷹野の過去が明らかに!
はや中盤となった、亀梨和也さんが主演を務める土曜ドラマ「正義の天秤」(NHK総合)。全5回の放送なので仕方ないのですが、終わりが見えつつあり、すでに寂しい今日このごろ。TVガイドwebでは5週にわたり制作統括・真鍋斎さんから各回の注目ポイントを伺っていますが、今回は第3話のお話を伺いました! また、TVガイドwebの姉妹ブランドである「みんなドラマ」では、真鍋さんの第2話のアフタートークをお届け中です!
前回の第2話(10月2日放送)では、ブログに書かれた裁判の評議内容が原因の殺人に見えた事件が、鷹野和也(亀梨和也)らの調査により、容疑者・楠田隼人(笠松将)の妹を守ろうとする“優しさ”ゆえに偶発的に起きた過失だと判明しました。そんな楠田に対して、鷹野は被害者・山内愛理沙(森迫永依)の名誉やその母の思いを踏みにじっただけでなく、妹・悠美(吉谷彩子)も兄に罪を背負わせたことに苦しんでいたと告げ、衝撃を受けた楠田はあらためて罪の重さを知ることとなりました。
――第1話もそうでしたが、第2話も息つく暇がなく、あっという間に終わっちゃいました。
「テンポ良く見られるように作っているので、そう感じていただけてうれしいです」
――50分が短く感じました! 今回は第3話の見どころを聞く回ですが、第2話でどうしても伺いたいことがありまして…。恋人・雨宮久美子(大島優子)が雨に濡れないように鷹野が白衣で傘を作って建物まで一緒に走るシーンは、どのように作られたのでしょうか?
「あのシーンは元々雨のシーンではなかったのですが、撮影当日に雨が降ってしまって…。撮影スケジュールがタイトだったので、雨でも撮影をしなければいけなかったんです。2人で傘をさしていても良かったのですが、チーフ演出の片岡(敬司)のアイデアで、にわか雨が降ってきて、白衣を傘のように使うという設定のシーンが生まれました。雨が降ったということを逆手に取った良いシーンになりました」
――とてもすてきなシーンでした! そして、第3話は強盗殺人事件の求刑を無期懲役から懲役30年に減刑した杉村徹平(北山宏光)に対して、鷹野が検事の長谷川政尚(高橋克実)との裏取引を疑うことになりますが、もしかして鷹野と杉村がバチバチと対立するシーンが見られたりするのでしょうか?
「バチバチとやり合ってケンカをするということはないです。鷹野と杉村は上司と部下という関係で、それぞれのキャラクターと立場にあった対応をしていますよ」
――バチバチはしないんですね(笑)。今回、新たに登場する長谷川検事を高橋克実さんが演じていらっしゃいますが、撮影に入られた様子はいかがでしたか?
「楽しんでいらっしゃいました。長谷川は“ミスター検察官”と呼ばれる非常に厳格な検事の役なので、『僕でいいんですか?』とおっしゃっていましたが、私は原作を読んだ時から、高橋さんのイメージでした」
――高橋さんの厳格な役というのは、あまり拝見したことがないので楽しみです! さらに、久美子が追っていた“安倍川事件”の詳細も明らかになってくるようですが…。
「そうですね。第3話で初めて“安倍川事件”という名前が出てきます。第1話、第2話は鷹野の弁護の仕方が物語の中心になっていましたが、第3話では鷹野自身の過去や抱えているものがだんだん分かってきます。鷹野と久美子のなれそめも明らかになりますし、回を追うにつれて物語は濃密になっていくと思います。第3話はその入り口ですね」
――なるほど。また、検事と言えば、第2話の最後に一ノ瀬眞人検事(萩原聖人)が久美子の病室を訪れていたので、一ノ瀬と久美子の関係も気になっています!
「これは徐々にという感じですね。ネタバレにもなるからまだ言えませんが、徐々にじわじわと一ノ瀬の輪郭もはっきりしてきます」
――知りたいところですが、推理しながら楽しみます! 最後にあらためて真鍋さん的見どころを教えてください!
「先ほどもお話しましたが、第3話は鷹野の過去が明らかになり、ストーリーもヒートアップしていきます。この作品は『正義とは何か?』という定義めいたことを訴えたいわけでは決してなく、登場人物がそれぞれに抱えている正義に対する価値観や倫理観が、どうぶつかり合うかというところが見どころだと思っています。今週もお楽しみいただけるとうれしいです」
――ありがとうございました!
杉村の担当していた事件に加え、久美子の追っていた“安倍川事件”も登場するので、第3話も1秒たりとも見逃せません! ドラマ放送後には、無料の会員制コミュニティーサイト「TVガイドみんなドラマ」で制作統括・真鍋さんのアフタートークも公開しますので、そちらもお見逃しなく!
はや中盤となった、亀梨和也さんが主演を務める土曜ドラマ「正義の天秤」(NHK総合)。全5回の放送なので仕方ないのですが、終わりが見えつつあり、すでに寂しい今日このごろ。TVガイドwebでは5週にわたり制作統括・真鍋斎さんから各回の注目ポイントを伺っていますが、今回は第3話のお話を伺いました! また、TVガイドwebの姉妹ブランドである「みんなドラマ」では、真鍋さんの第2話のアフタートークをお届け中です!
前回の第2話(10月2日放送)では、ブログに書かれた裁判の評議内容が原因の殺人に見えた事件が、鷹野和也(亀梨和也)らの調査により、容疑者・楠田隼人(笠松将)の妹を守ろうとする“優しさ”ゆえに偶発的に起きた過失だと判明しました。そんな楠田に対して、鷹野は被害者・山内愛理沙(森迫永依)の名誉やその母の思いを踏みにじっただけでなく、妹・悠美(吉谷彩子)も兄に罪を背負わせたことに苦しんでいたと告げ、衝撃を受けた楠田はあらためて罪の重さを知ることとなりました。
――第1話もそうでしたが、第2話も息つく暇がなく、あっという間に終わっちゃいました。
「テンポ良く見られるように作っているので、そう感じていただけてうれしいです」
――50分が短く感じました! 今回は第3話の見どころを聞く回ですが、第2話でどうしても伺いたいことがありまして…。恋人・雨宮久美子(大島優子)が雨に濡れないように鷹野が白衣で傘を作って建物まで一緒に走るシーンは、どのように作られたのでしょうか?
「あのシーンは元々雨のシーンではなかったのですが、撮影当日に雨が降ってしまって…。撮影スケジュールがタイトだったので、雨でも撮影をしなければいけなかったんです。2人で傘をさしていても良かったのですが、チーフ演出の片岡(敬司)のアイデアで、にわか雨が降ってきて、白衣を傘のように使うという設定のシーンが生まれました。雨が降ったということを逆手に取った良いシーンになりました」
――とてもすてきなシーンでした! そして、第3話は強盗殺人事件の求刑を無期懲役から懲役30年に減刑した杉村徹平(北山宏光)に対して、鷹野が検事の長谷川政尚(高橋克実)との裏取引を疑うことになりますが、もしかして鷹野と杉村がバチバチと対立するシーンが見られたりするのでしょうか?
「バチバチとやり合ってケンカをするということはないです。鷹野と杉村は上司と部下という関係で、それぞれのキャラクターと立場にあった対応をしていますよ」
――バチバチはしないんですね(笑)。今回、新たに登場する長谷川検事を高橋克実さんが演じていらっしゃいますが、撮影に入られた様子はいかがでしたか?
「楽しんでいらっしゃいました。長谷川は“ミスター検察官”と呼ばれる非常に厳格な検事の役なので、『僕でいいんですか?』とおっしゃっていましたが、私は原作を読んだ時から、高橋さんのイメージでした」
――高橋さんの厳格な役というのは、あまり拝見したことがないので楽しみです! さらに、久美子が追っていた“安倍川事件”の詳細も明らかになってくるようですが…。
「そうですね。第3話で初めて“安倍川事件”という名前が出てきます。第1話、第2話は鷹野の弁護の仕方が物語の中心になっていましたが、第3話では鷹野自身の過去や抱えているものがだんだん分かってきます。鷹野と久美子のなれそめも明らかになりますし、回を追うにつれて物語は濃密になっていくと思います。第3話はその入り口ですね」
――なるほど。また、検事と言えば、第2話の最後に一ノ瀬眞人検事(萩原聖人)が久美子の病室を訪れていたので、一ノ瀬と久美子の関係も気になっています!
「これは徐々にという感じですね。ネタバレにもなるからまだ言えませんが、徐々にじわじわと一ノ瀬の輪郭もはっきりしてきます」
――知りたいところですが、推理しながら楽しみます! 最後にあらためて真鍋さん的見どころを教えてください!
「先ほどもお話しましたが、第3話は鷹野の過去が明らかになり、ストーリーもヒートアップしていきます。この作品は『正義とは何か?』という定義めいたことを訴えたいわけでは決してなく、登場人物がそれぞれに抱えている正義に対する価値観や倫理観が、どうぶつかり合うかというところが見どころだと思っています。今週もお楽しみいただけるとうれしいです」
――ありがとうございました!
杉村の担当していた事件に加え、久美子の追っていた“安倍川事件”も登場するので、第3話も1秒たりとも見逃せません! ドラマ放送後には、無料の会員制コミュニティーサイト「TVガイドみんなドラマ」で制作統括・真鍋さんのアフタートークも公開しますので、そちらもお見逃しなく!
「魔法使的新娘」新作OAD动画「魔法使いの嫁 西の少年と青嵐の騎士」中篇最新视觉图公开 中篇将于2022年3月10日面世!前篇本日面世
【CAST】
羽鳥チセ:種崎敦美
ガブリエル:五十嵐裕美
謎の少年:市川蒼
エリアス:竹内良太
ルツ:内山昂輝
シルキー:遠藤綾
ティターニア:大原さやか
スプリガン:安元洋貴
【STAFF】
原作:ヤマザキコレ「魔法使いの嫁」(ブレイドコミックス/マッグガーデン刊)
監督:寺澤和晃
脚本:高羽彩/米内山陽子
キャラクターデザイン:加藤寛崇
総作画監督:徳岡紘平
色彩設計:小針裕子
美術監督:田村せいき
撮影監督:鈴木麻予
CGIディレクター:宮地克明
編集:今井大介
音楽:松本淳一
音楽制作:フライングドッグ
音響監督:はたしょう二
音響効果:出雲範子
音響制作:サウンドチーム・ドンファン
アニメーション制作:スタジオカフカ
製作:魔法使いの嫁OAD製作委員会
【CAST】
羽鳥チセ:種崎敦美
ガブリエル:五十嵐裕美
謎の少年:市川蒼
エリアス:竹内良太
ルツ:内山昂輝
シルキー:遠藤綾
ティターニア:大原さやか
スプリガン:安元洋貴
【STAFF】
原作:ヤマザキコレ「魔法使いの嫁」(ブレイドコミックス/マッグガーデン刊)
監督:寺澤和晃
脚本:高羽彩/米内山陽子
キャラクターデザイン:加藤寛崇
総作画監督:徳岡紘平
色彩設計:小針裕子
美術監督:田村せいき
撮影監督:鈴木麻予
CGIディレクター:宮地克明
編集:今井大介
音楽:松本淳一
音楽制作:フライングドッグ
音響監督:はたしょう二
音響効果:出雲範子
音響制作:サウンドチーム・ドンファン
アニメーション制作:スタジオカフカ
製作:魔法使いの嫁OAD製作委員会
田中哲司×松田龍平が挑む伝説の舞台。ふた組の恋が今に何を響かせるか 『近松心中物語』キャストインタビュー【前編:忠兵衛&与兵衛】
初演は、42年前の1979年。戦後を代表する劇作家・秋元松代が、近松門左衛門の『冥途の飛脚』をベースに創作し、蜷川幸雄の演出で千回を超える上演が重ねられて、演劇界の金字塔と評された。その『近松心中物語』が、長塚圭史の演出で新たに立ち上がる。描かれるのは、境遇の違うふた組の男女の、心中へと追い詰められていく恋物語だ。今回はまず、その男側のふたりが登場。遊女・梅川を愛する忠兵衛役の田中哲司と、心中に憧れる妻・お亀に寄り添う与平衛役の松田龍平が、男の胸の内や、名作に挑む思いを語った。
哲司さんとの共演は「逆に警戒しています(笑)」(松田)
──舞台では、長塚圭史さん演出の『冒した者』(2013年)で共演経験のあるおふたりですが、お互いにどんな印象をお持ちですか。
田中 これはあくまでも僕の感覚なんですけど、役とか芝居へのアプローチの仕方が、僕とは全然違うところからくるなと思ったんです。芝居で絡んでみて気づいたのですが、独特のものがあってとても刺激になります。なので当時、ふたりで向かい合って座って長いセリフのやりとりをしたのが、すごく楽しかったんですよ。僕はあまりしゃべってなかったです(笑)。ほぼ龍平くんがしゃべってました。だから今回は、忠兵衛が与平衛に、梅川の身請けの手付金を借りに行くシーンでふたりでしゃべるので、そこが楽しみですね。
松田 『冒した者』ほんと楽しかったなぁ。あの舞台は今も自分の中に大きく残ってますね。哲司さんの佇まいとか、雰囲気に救われていました。実は、最後の通し稽古の途中、ふたりで向かいあってるシーンで、セリフが飛んじゃったんですけど、その時もめちゃくちゃスムーズに助けてもらって。
田中 そんなことあった? ちゃんと助けられた?
松田 はい(笑)。サラッと助けてもらったのを覚えてます。だから今回もまた助けてもらえるという安心感で、逆に、またセリフが出てこないみたいなことが起きるんじゃないかと思って、警戒してます(笑)。
「与平衛が龍平くんなので安心」(田中)
──前回共演されたのが三好十郎さんの戯曲で日本の名作でしたが、今回も伝説の舞台と言われているような名作ですね。
田中 この『近松心中物語』は、ニナガワカンパニーにいた僕にとっては、本当に敷居が高い作品です。本番の舞台を観たことはないのですが、やっぱり大きな存在なんですよね。しかも、その忠兵衛役をやるので、心して挑まねばならないなと思っています。ただ、与平衛が龍平くんなので安心であったりもします。ちょっと気弱な遊び人で、人に流される与平衛っていうのがすでに見えてくるので。今は、「よし、そっちは大丈夫だ、あとはこっちが頑張ればいい」という感じになれています。
松田 たくさんの人に愛されてる作品ですから、プレッシャーはありますが、面白くなるに違いないという期待を胸に、これから皆さんと作っていけたらと思っています。ただ、哲司さんが演じる忠兵衛の年齢が20代だって聞いて、大丈夫かなって、さっき話していたんですけど(笑)。
田中 (笑)。それを圭史くんに聞いて、そうか、若いから心中できるんだよな、若い命が散っていくから悲しいんだよなと思えるんです。当初それが頭になかったから、このまま稽古に入ってたら危ないところでした。だから、若さゆえっていうところを、動きとか感情の揺れで、ちゃんと出さなきゃいけないなと思いますね。それこそ歌舞伎でも有名な“封印切”のシーンなんかは、はっちゃけてウワーッと。
松田 オジサンが無理しちゃってる感じに見えないようにしないと(笑)。
田中 心中へ追い詰められる悲壮感にちゃんとつながるように演じなければと思っています。片や龍平くんの与平衛とお亀には、本当に笑える面白いシーンもあるよね。
松田 与平衛とお亀では温度差が面白いですよね。お亀は、与兵衛のことが好きで仕方ないと言う感じで、与兵衛は色々うんざりしちゃって、乞食にでもなって、自由に暮らすのも良いかもと思っていて。ふたりが心中に向かっていくところも、お亀のロマンチックモードに、なんとかついていってる感じで(笑)。 与平衛は心優しい真っ直ぐな男なんですけど、後先考えず「わかった」と言ってしまうんです。与兵衛は間違ったことはしていないように思うんだけど、なんか、ずれちゃってて。その感じがすごく魅力的なんですよ。
──ちなみに、それぞれのお相手となる、梅川役の笹本玲奈さん、お亀役の石橋静河さんの印象は?
田中 笹本さんは『ピーターパン』の主演でデビューされていて芸歴が長いですし。ミュージカル畑の方だから、どういう感じの芝居でこられるのか、ワクワクしてます。やっぱり思わぬものがきたほうが、予定調和よりも全然楽しいですからね。ふたりでどんなものが作れるか、本当に楽しみにしています。
松田 僕は石橋さんのことは、親の繋がりもあって小さい頃から知ってるんです。お亀と与兵衛も幼なじみなので、繋がるところがあるのは面白いですし、お芝居するのが楽しみです。
描かれていることは、今の時代とまったく変わらない(田中)
──身請けのお金が工面できない忠兵衛と、忠兵衛にお金を貸せる与平衛。この物語にはそうした境遇の違いが様々にあって、それを今の格差や貧富の問題につながるものとして描きたいと長塚さんはおっしゃっています。おふたりは、今にどんなものが届く芝居になると思われますか。
田中 ここに描かれていることは、今の時代とまったく変わらないですよね。忠兵衛は、何百両何千両のお金を扱う仕事をしていながら給料は少なくて、女のために使い込みを働いてしまう。だから、若さもそうですけど、遊女になるしかなかった梅川も含め、貧しいっていうことは強調して出していかないといけないなと思いますね。
松田 でも、現代で「心中」っていう言葉を聞くと、家族で無理心中。みたいなイメージがありますけど、この時代に、自由に恋愛をすることが出来なかった男女にとって「心中」は最後のチャンスだったのかもしれないですね。心中にポジティブ、みたいな(笑)。哲司さんは「心中」どうですか?
田中 絶対できない。だから、与平衛の感じはすごくわかります。お客さんも与平衛に共感する人が多いんじゃないかな。でも、龍平くんは、お亀の心臓を突かないといけない。そんなの一発で上手くいかないよね。
松田 なかなか死ねないみたいな(笑)。それ、芝居でやってみますか?
田中 稽古でやってみる価値はあるかも。笑いにならない程度に。
松田 圭史さんにすぐ「それいらないな」って言われそう(笑)。
──その長塚さんの演出は、いかがですか。
田中 厳しくもありやさしくもあり。
松田 圭史さんは鋭いんですよね、芝居してる時の気持ちが全部バレちゃう感じで。そうなると油断できないし、遅刻も出来ないし、話を聞いてないと怒られるからなー。
田中 そりゃそうでしょ(笑)。
松田 でも、今回嬉しいですね。これまで圭史さんとやった2作は、セットが椅子ばかりだったから(笑)。『冒した者』は音楽もなくて、すごい緊張感の中で芝居してたし。『イーハトーボの劇列車』は汽車の音を役者が奏でたり。今回はみんなで楽器で盛り上がったり、色々装置もあって。
田中 音楽もあるよ。それもスチャダラパーさんが作ってくれる音楽が。
松田 もうね、本当にありがたいです(笑)。
圭史さんの舞台をやると、また一歩踏み出すきっかけをもらえる(松田)
──松田さんにとって舞台出演は今回が5作目で、そのうちの3作が長塚さん演出の作品になりますが、舞台に出るときは何か決め手となるポイントがあるんでしょうか。
松田 舞台は大変ですよね。稽古を重ねて、本番が始まったら何があっても最後まで止まらないし。ちゃんとやり切れるのか、ビビっちゃいますね(笑)。でも、なんだかんだ、これはやらないと勿体ないぞっていう、そういう絶妙なタイミングで、いつも長塚さんに声をかけてもらってる気がしてます。
田中 しかも龍平くん、圭史くんの中でも大変な作品ばかりやってるよね。
松田 そうなんですね(笑)。でも、ほんと、稽古から本番にかけて、夢中になって。舞台を終えると、なんだか一歩踏み出せるような感じがあって。
──一方田中さんは、数え切れないほど舞台に出ておられます。その中でも、この作品はどんな存在になりそうでしょうか。
田中 僕も龍平くんと似たような、「これキツイなぁ。でもやるしかないよな」みたいなところはあります。
松田 ありますね。
田中 特に圭史くんは、大変な作品をやるときに声をかけてくれるので、ちょっと追い込まれる感じになるんですよね。『浮標』(2011年、12年、16年)も『冒した者』もそうでしたけど、その都度、この年齢になってもこういうことをクリアしなきゃいけないのかっていう気持ちになる。でも、これでまた大きくなれたらいいな、自信になればいいなと思ってやっています。だから今回も、あの忠兵衛をやれたんだ、55歳で20代の忠兵衛をやれたんだって(笑)、また自信になったらいいなと思っています。
初演は、42年前の1979年。戦後を代表する劇作家・秋元松代が、近松門左衛門の『冥途の飛脚』をベースに創作し、蜷川幸雄の演出で千回を超える上演が重ねられて、演劇界の金字塔と評された。その『近松心中物語』が、長塚圭史の演出で新たに立ち上がる。描かれるのは、境遇の違うふた組の男女の、心中へと追い詰められていく恋物語だ。今回はまず、その男側のふたりが登場。遊女・梅川を愛する忠兵衛役の田中哲司と、心中に憧れる妻・お亀に寄り添う与平衛役の松田龍平が、男の胸の内や、名作に挑む思いを語った。
哲司さんとの共演は「逆に警戒しています(笑)」(松田)
──舞台では、長塚圭史さん演出の『冒した者』(2013年)で共演経験のあるおふたりですが、お互いにどんな印象をお持ちですか。
田中 これはあくまでも僕の感覚なんですけど、役とか芝居へのアプローチの仕方が、僕とは全然違うところからくるなと思ったんです。芝居で絡んでみて気づいたのですが、独特のものがあってとても刺激になります。なので当時、ふたりで向かい合って座って長いセリフのやりとりをしたのが、すごく楽しかったんですよ。僕はあまりしゃべってなかったです(笑)。ほぼ龍平くんがしゃべってました。だから今回は、忠兵衛が与平衛に、梅川の身請けの手付金を借りに行くシーンでふたりでしゃべるので、そこが楽しみですね。
松田 『冒した者』ほんと楽しかったなぁ。あの舞台は今も自分の中に大きく残ってますね。哲司さんの佇まいとか、雰囲気に救われていました。実は、最後の通し稽古の途中、ふたりで向かいあってるシーンで、セリフが飛んじゃったんですけど、その時もめちゃくちゃスムーズに助けてもらって。
田中 そんなことあった? ちゃんと助けられた?
松田 はい(笑)。サラッと助けてもらったのを覚えてます。だから今回もまた助けてもらえるという安心感で、逆に、またセリフが出てこないみたいなことが起きるんじゃないかと思って、警戒してます(笑)。
「与平衛が龍平くんなので安心」(田中)
──前回共演されたのが三好十郎さんの戯曲で日本の名作でしたが、今回も伝説の舞台と言われているような名作ですね。
田中 この『近松心中物語』は、ニナガワカンパニーにいた僕にとっては、本当に敷居が高い作品です。本番の舞台を観たことはないのですが、やっぱり大きな存在なんですよね。しかも、その忠兵衛役をやるので、心して挑まねばならないなと思っています。ただ、与平衛が龍平くんなので安心であったりもします。ちょっと気弱な遊び人で、人に流される与平衛っていうのがすでに見えてくるので。今は、「よし、そっちは大丈夫だ、あとはこっちが頑張ればいい」という感じになれています。
松田 たくさんの人に愛されてる作品ですから、プレッシャーはありますが、面白くなるに違いないという期待を胸に、これから皆さんと作っていけたらと思っています。ただ、哲司さんが演じる忠兵衛の年齢が20代だって聞いて、大丈夫かなって、さっき話していたんですけど(笑)。
田中 (笑)。それを圭史くんに聞いて、そうか、若いから心中できるんだよな、若い命が散っていくから悲しいんだよなと思えるんです。当初それが頭になかったから、このまま稽古に入ってたら危ないところでした。だから、若さゆえっていうところを、動きとか感情の揺れで、ちゃんと出さなきゃいけないなと思いますね。それこそ歌舞伎でも有名な“封印切”のシーンなんかは、はっちゃけてウワーッと。
松田 オジサンが無理しちゃってる感じに見えないようにしないと(笑)。
田中 心中へ追い詰められる悲壮感にちゃんとつながるように演じなければと思っています。片や龍平くんの与平衛とお亀には、本当に笑える面白いシーンもあるよね。
松田 与平衛とお亀では温度差が面白いですよね。お亀は、与兵衛のことが好きで仕方ないと言う感じで、与兵衛は色々うんざりしちゃって、乞食にでもなって、自由に暮らすのも良いかもと思っていて。ふたりが心中に向かっていくところも、お亀のロマンチックモードに、なんとかついていってる感じで(笑)。 与平衛は心優しい真っ直ぐな男なんですけど、後先考えず「わかった」と言ってしまうんです。与兵衛は間違ったことはしていないように思うんだけど、なんか、ずれちゃってて。その感じがすごく魅力的なんですよ。
──ちなみに、それぞれのお相手となる、梅川役の笹本玲奈さん、お亀役の石橋静河さんの印象は?
田中 笹本さんは『ピーターパン』の主演でデビューされていて芸歴が長いですし。ミュージカル畑の方だから、どういう感じの芝居でこられるのか、ワクワクしてます。やっぱり思わぬものがきたほうが、予定調和よりも全然楽しいですからね。ふたりでどんなものが作れるか、本当に楽しみにしています。
松田 僕は石橋さんのことは、親の繋がりもあって小さい頃から知ってるんです。お亀と与兵衛も幼なじみなので、繋がるところがあるのは面白いですし、お芝居するのが楽しみです。
描かれていることは、今の時代とまったく変わらない(田中)
──身請けのお金が工面できない忠兵衛と、忠兵衛にお金を貸せる与平衛。この物語にはそうした境遇の違いが様々にあって、それを今の格差や貧富の問題につながるものとして描きたいと長塚さんはおっしゃっています。おふたりは、今にどんなものが届く芝居になると思われますか。
田中 ここに描かれていることは、今の時代とまったく変わらないですよね。忠兵衛は、何百両何千両のお金を扱う仕事をしていながら給料は少なくて、女のために使い込みを働いてしまう。だから、若さもそうですけど、遊女になるしかなかった梅川も含め、貧しいっていうことは強調して出していかないといけないなと思いますね。
松田 でも、現代で「心中」っていう言葉を聞くと、家族で無理心中。みたいなイメージがありますけど、この時代に、自由に恋愛をすることが出来なかった男女にとって「心中」は最後のチャンスだったのかもしれないですね。心中にポジティブ、みたいな(笑)。哲司さんは「心中」どうですか?
田中 絶対できない。だから、与平衛の感じはすごくわかります。お客さんも与平衛に共感する人が多いんじゃないかな。でも、龍平くんは、お亀の心臓を突かないといけない。そんなの一発で上手くいかないよね。
松田 なかなか死ねないみたいな(笑)。それ、芝居でやってみますか?
田中 稽古でやってみる価値はあるかも。笑いにならない程度に。
松田 圭史さんにすぐ「それいらないな」って言われそう(笑)。
──その長塚さんの演出は、いかがですか。
田中 厳しくもありやさしくもあり。
松田 圭史さんは鋭いんですよね、芝居してる時の気持ちが全部バレちゃう感じで。そうなると油断できないし、遅刻も出来ないし、話を聞いてないと怒られるからなー。
田中 そりゃそうでしょ(笑)。
松田 でも、今回嬉しいですね。これまで圭史さんとやった2作は、セットが椅子ばかりだったから(笑)。『冒した者』は音楽もなくて、すごい緊張感の中で芝居してたし。『イーハトーボの劇列車』は汽車の音を役者が奏でたり。今回はみんなで楽器で盛り上がったり、色々装置もあって。
田中 音楽もあるよ。それもスチャダラパーさんが作ってくれる音楽が。
松田 もうね、本当にありがたいです(笑)。
圭史さんの舞台をやると、また一歩踏み出すきっかけをもらえる(松田)
──松田さんにとって舞台出演は今回が5作目で、そのうちの3作が長塚さん演出の作品になりますが、舞台に出るときは何か決め手となるポイントがあるんでしょうか。
松田 舞台は大変ですよね。稽古を重ねて、本番が始まったら何があっても最後まで止まらないし。ちゃんとやり切れるのか、ビビっちゃいますね(笑)。でも、なんだかんだ、これはやらないと勿体ないぞっていう、そういう絶妙なタイミングで、いつも長塚さんに声をかけてもらってる気がしてます。
田中 しかも龍平くん、圭史くんの中でも大変な作品ばかりやってるよね。
松田 そうなんですね(笑)。でも、ほんと、稽古から本番にかけて、夢中になって。舞台を終えると、なんだか一歩踏み出せるような感じがあって。
──一方田中さんは、数え切れないほど舞台に出ておられます。その中でも、この作品はどんな存在になりそうでしょうか。
田中 僕も龍平くんと似たような、「これキツイなぁ。でもやるしかないよな」みたいなところはあります。
松田 ありますね。
田中 特に圭史くんは、大変な作品をやるときに声をかけてくれるので、ちょっと追い込まれる感じになるんですよね。『浮標』(2011年、12年、16年)も『冒した者』もそうでしたけど、その都度、この年齢になってもこういうことをクリアしなきゃいけないのかっていう気持ちになる。でも、これでまた大きくなれたらいいな、自信になればいいなと思ってやっています。だから今回も、あの忠兵衛をやれたんだ、55歳で20代の忠兵衛をやれたんだって(笑)、また自信になったらいいなと思っています。
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