【対談企画第一弾】大塚紗英×植田真梨恵、自分の歌の根本にあるもの
2020.2.29 18:00
■共に生きていける人間を増やしたい、そのためのツールが音楽だった──大塚紗英
──曲の作り方についても伺いたいのですが、大塚さんは曲を作るときはピアノを使うことが多いですか。
大塚:ピアノが多いですね。ただ最終的な着地がそういうジャンルじゃないと思ったら、ギターで作ることもあります。楽器にとらわれてしまうとどうしても理論的に見えてメロディに制限が生まれてしまうこともあって。ここは五度上がってここはこうなるはずだ、とか。だから楽器が見えない方がいいなという時は、鼻歌でメロディを考えたりもしますね。歌詞先行とかメロディ先行とかいろいろありますけど、そういうのに当てはめるのもイヤだなっていうのがあるんです。いろいろやってみますね。
植田:紗英ちゃんは、いろんなバランスが広く細かく見えているタイプの人だと思うので、楽器を持っちゃったりすると、そのせいで感覚でこっちのほうがいいっていうものが弱まっちゃうのかもしれないですね。自由な発想でいる方が面白いものができるのかも。面白いものを目指しているのかはわからないですけど。
大塚:面白いものは作りたいなっていうのはありますね。やっぱりエンターテインメントだから、ワクワクとかドキドキとか、高揚するものを作りたいなって。でも計算に頼りすぎないようにっていうのは気をつけていて。私は真梨恵さんのような天才肌ではないと思うから。
植田:私は全然天才肌ではないですよ(笑)。
大塚:多分、持ってるチャンネルがちがうんだろうな。私自身は、自分の中に思考や発想を網の目上に張り巡らせていて、この曲は感情型でいくのか、計算でいくのか、と体系立てて考えていくのが自分のスキルだと思ってて。でも真梨恵さんみたいに感情の器を広げていくことって誰にでもできることではないなって思うんです。
植田:そうなんですかね。私もでもそういう意味では、今と昔どちらが優れていましたかと聞かれると、今がずっと成長できているとは思っていないし。若い時にしかできなかったこともあるだろなと思うんです、日々感覚も死に続けているので(笑)。だからちゃんと尖らせて欲張っていないとすぐに考えるのをやめるし、怠けるし、って最近はすごく感じてる。鍛えたいですよ。……素朴な質問をしてもいいですか? 紗英ちゃんは小さい時、何になりたかったですか?
大塚:小さい時は、歌を歌いたいって言ってましたね。
植田:言ってたんだ! それはどんな歌手になりたいとかって想像できました?
大塚:できなかったです。誰みたいになりたいっていう、“誰”がいなかったから。真梨恵さんはありました?
【対談企画第一弾】大塚紗英×植田真梨恵、自分の歌の根本にあるもの
2020.2.29 18:00
■共に生きていける人間を増やしたい、そのためのツールが音楽だった──大塚紗英
──曲の作り方についても伺いたいのですが、大塚さんは曲を作るときはピアノを使うことが多いですか。
大塚:ピアノが多いですね。ただ最終的な着地がそういうジャンルじゃないと思ったら、ギターで作ることもあります。楽器にとらわれてしまうとどうしても理論的に見えてメロディに制限が生まれてしまうこともあって。ここは五度上がってここはこうなるはずだ、とか。だから楽器が見えない方がいいなという時は、鼻歌でメロディを考えたりもしますね。歌詞先行とかメロディ先行とかいろいろありますけど、そういうのに当てはめるのもイヤだなっていうのがあるんです。いろいろやってみますね。
植田:紗英ちゃんは、いろんなバランスが広く細かく見えているタイプの人だと思うので、楽器を持っちゃったりすると、そのせいで感覚でこっちのほうがいいっていうものが弱まっちゃうのかもしれないですね。自由な発想でいる方が面白いものができるのかも。面白いものを目指しているのかはわからないですけど。
大塚:面白いものは作りたいなっていうのはありますね。やっぱりエンターテインメントだから、ワクワクとかドキドキとか、高揚するものを作りたいなって。でも計算に頼りすぎないようにっていうのは気をつけていて。私は真梨恵さんのような天才肌ではないと思うから。
植田:私は全然天才肌ではないですよ(笑)。
大塚:多分、持ってるチャンネルがちがうんだろうな。私自身は、自分の中に思考や発想を網の目上に張り巡らせていて、この曲は感情型でいくのか、計算でいくのか、と体系立てて考えていくのが自分のスキルだと思ってて。でも真梨恵さんみたいに感情の器を広げていくことって誰にでもできることではないなって思うんです。
植田:そうなんですかね。私もでもそういう意味では、今と昔どちらが優れていましたかと聞かれると、今がずっと成長できているとは思っていないし。若い時にしかできなかったこともあるだろなと思うんです、日々感覚も死に続けているので(笑)。だからちゃんと尖らせて欲張っていないとすぐに考えるのをやめるし、怠けるし、って最近はすごく感じてる。鍛えたいですよ。……素朴な質問をしてもいいですか? 紗英ちゃんは小さい時、何になりたかったですか?
大塚:小さい時は、歌を歌いたいって言ってましたね。
植田:言ってたんだ! それはどんな歌手になりたいとかって想像できました?
大塚:できなかったです。誰みたいになりたいっていう、“誰”がいなかったから。真梨恵さんはありました?
植田:私もなかったんです。漠然と歌手になりたくて。歌が好きだし、多分歌ちょっとうまいから、歌を歌ったほうがいいな。そういう人の職業って多分、歌手だなって思っていて。
大塚:なるほど(笑)。
植田:それでオーディションを受けたりして、それこそこのエイベックスのビルにも20年くらい前にきたことがあるんです。ただオーディションを受けているさなか、自分がどんな歌手になるのかとか、どうして写真撮影の衣装にこれを選んだのかとか、そういうひとつひとつの細かい要素を含めて、道筋を立てて、自分がどんな歌手になるのかっていうところは全然想像できてなかったんです。そうやって当時のことを振り返ると、今私がやってることって、すごく腑に落ちていて(笑)。オーディションに落ちたことも、納得するっていうか。当時は何もわからないまま、夢として歌手になりたいって思っていたんですよね。今、紗英ちゃんが理想としている自分とか、やりたいこととか、今どんなことに心が動いたり感動していて、どんなことをしてる時が楽しいのかなって思ったので、それで小さい時に何になりたかったんですかって聞いたんです。
大塚:心が動く時か……多分私は、人間がすごい好きで、人と触れ合ってる時間が好きなんです。心と心が通う瞬間っていいですよね。だけど本当にきれいに生きるのってすごく難しいし、いろんな人間がいるし……。
植田:うん、いますね。
大塚:それぞれいろんな差異があるから、普通に生きていたら仲良くなれる人って選ばざるを得ないけど。音楽を使えば、きっとたくさんの人の心に触れることができる。それが幸せだなって感じるんだと思います。やっぱり私は最終的に、人を幸せにしたいっていう気持ちが強くて。でもその幸せっていうのは別に、楽しいだけじゃないと思っていて。苦楽とかを共にして、人生を共に歩む時間を慈しむことが幸せだから。共に生きていける人間を増やしたい、そのためのツールが自分の音楽だったという感じで思ってるのかな。
──それは大塚さん自身が、音楽にそれだけのものをもらっていたからというのもあるんですか。
大塚:思い返せばそうですね、ずっと音楽にいろんな実感をもらっていて。受験勉強をしてる時とか音楽がなかったら勉強を頑張れなかったな、とか。それこそ真梨恵さんが私にとってそういう対象なんですけど、何かがあった時に音楽を聴くことで幸せな気持ちになったり一緒に涙を流せたりする、そういうものに心が動くっていうか。
──せっかくの対談ですから、大塚さんから植田さんに聞いてみたかったことというのはありますか。
大塚:真梨恵さんはよく綴られる文章やインタビューなどでも、歌手になりたいんだって言っていて。歌はもちろん素晴らしくて、曲も独創性があって、真梨恵さんにしか作れない唯一無二のもので。そこが好きというお客さんも多いと思うんです。でも、真梨恵さんは歌が根幹にある。その感覚って面白いなって思うんです。歌を歌いたいっていう人って、もっとなんというか歌が好きな人の曲を作りやすいというか……。曲を聴いてほしくて曲を作る人間と、歌が歌いたくて曲を作る人間の曲って、明らかにちがう線があるように思うんです。それを感じないのが面白いなって思っていて。
植田:なるほど。私は文化系の芸術全般がどうやら好きみたいで(笑)。自分の好きを自覚することって難しいから、時間はかかりましたけど。映画を観るとかもそうだし、本を読むとか、そういうものが好きなんですね。ただ私の歌を歌いたい思いの根本にあるのは“認められたい”というもの……それは誰になのかって言ったら、母親だと思うんです……今、いろんなことを思い出して、ちょっと泣きそうになってますけど。
2020.2.29 18:00
■共に生きていける人間を増やしたい、そのためのツールが音楽だった──大塚紗英
──曲の作り方についても伺いたいのですが、大塚さんは曲を作るときはピアノを使うことが多いですか。
大塚:ピアノが多いですね。ただ最終的な着地がそういうジャンルじゃないと思ったら、ギターで作ることもあります。楽器にとらわれてしまうとどうしても理論的に見えてメロディに制限が生まれてしまうこともあって。ここは五度上がってここはこうなるはずだ、とか。だから楽器が見えない方がいいなという時は、鼻歌でメロディを考えたりもしますね。歌詞先行とかメロディ先行とかいろいろありますけど、そういうのに当てはめるのもイヤだなっていうのがあるんです。いろいろやってみますね。
植田:紗英ちゃんは、いろんなバランスが広く細かく見えているタイプの人だと思うので、楽器を持っちゃったりすると、そのせいで感覚でこっちのほうがいいっていうものが弱まっちゃうのかもしれないですね。自由な発想でいる方が面白いものができるのかも。面白いものを目指しているのかはわからないですけど。
大塚:面白いものは作りたいなっていうのはありますね。やっぱりエンターテインメントだから、ワクワクとかドキドキとか、高揚するものを作りたいなって。でも計算に頼りすぎないようにっていうのは気をつけていて。私は真梨恵さんのような天才肌ではないと思うから。
植田:私は全然天才肌ではないですよ(笑)。
大塚:多分、持ってるチャンネルがちがうんだろうな。私自身は、自分の中に思考や発想を網の目上に張り巡らせていて、この曲は感情型でいくのか、計算でいくのか、と体系立てて考えていくのが自分のスキルだと思ってて。でも真梨恵さんみたいに感情の器を広げていくことって誰にでもできることではないなって思うんです。
植田:そうなんですかね。私もでもそういう意味では、今と昔どちらが優れていましたかと聞かれると、今がずっと成長できているとは思っていないし。若い時にしかできなかったこともあるだろなと思うんです、日々感覚も死に続けているので(笑)。だからちゃんと尖らせて欲張っていないとすぐに考えるのをやめるし、怠けるし、って最近はすごく感じてる。鍛えたいですよ。……素朴な質問をしてもいいですか? 紗英ちゃんは小さい時、何になりたかったですか?
大塚:小さい時は、歌を歌いたいって言ってましたね。
植田:言ってたんだ! それはどんな歌手になりたいとかって想像できました?
大塚:できなかったです。誰みたいになりたいっていう、“誰”がいなかったから。真梨恵さんはありました?
【対談企画第一弾】大塚紗英×植田真梨恵、自分の歌の根本にあるもの
2020.2.29 18:00
■共に生きていける人間を増やしたい、そのためのツールが音楽だった──大塚紗英
──曲の作り方についても伺いたいのですが、大塚さんは曲を作るときはピアノを使うことが多いですか。
大塚:ピアノが多いですね。ただ最終的な着地がそういうジャンルじゃないと思ったら、ギターで作ることもあります。楽器にとらわれてしまうとどうしても理論的に見えてメロディに制限が生まれてしまうこともあって。ここは五度上がってここはこうなるはずだ、とか。だから楽器が見えない方がいいなという時は、鼻歌でメロディを考えたりもしますね。歌詞先行とかメロディ先行とかいろいろありますけど、そういうのに当てはめるのもイヤだなっていうのがあるんです。いろいろやってみますね。
植田:紗英ちゃんは、いろんなバランスが広く細かく見えているタイプの人だと思うので、楽器を持っちゃったりすると、そのせいで感覚でこっちのほうがいいっていうものが弱まっちゃうのかもしれないですね。自由な発想でいる方が面白いものができるのかも。面白いものを目指しているのかはわからないですけど。
大塚:面白いものは作りたいなっていうのはありますね。やっぱりエンターテインメントだから、ワクワクとかドキドキとか、高揚するものを作りたいなって。でも計算に頼りすぎないようにっていうのは気をつけていて。私は真梨恵さんのような天才肌ではないと思うから。
植田:私は全然天才肌ではないですよ(笑)。
大塚:多分、持ってるチャンネルがちがうんだろうな。私自身は、自分の中に思考や発想を網の目上に張り巡らせていて、この曲は感情型でいくのか、計算でいくのか、と体系立てて考えていくのが自分のスキルだと思ってて。でも真梨恵さんみたいに感情の器を広げていくことって誰にでもできることではないなって思うんです。
植田:そうなんですかね。私もでもそういう意味では、今と昔どちらが優れていましたかと聞かれると、今がずっと成長できているとは思っていないし。若い時にしかできなかったこともあるだろなと思うんです、日々感覚も死に続けているので(笑)。だからちゃんと尖らせて欲張っていないとすぐに考えるのをやめるし、怠けるし、って最近はすごく感じてる。鍛えたいですよ。……素朴な質問をしてもいいですか? 紗英ちゃんは小さい時、何になりたかったですか?
大塚:小さい時は、歌を歌いたいって言ってましたね。
植田:言ってたんだ! それはどんな歌手になりたいとかって想像できました?
大塚:できなかったです。誰みたいになりたいっていう、“誰”がいなかったから。真梨恵さんはありました?
植田:私もなかったんです。漠然と歌手になりたくて。歌が好きだし、多分歌ちょっとうまいから、歌を歌ったほうがいいな。そういう人の職業って多分、歌手だなって思っていて。
大塚:なるほど(笑)。
植田:それでオーディションを受けたりして、それこそこのエイベックスのビルにも20年くらい前にきたことがあるんです。ただオーディションを受けているさなか、自分がどんな歌手になるのかとか、どうして写真撮影の衣装にこれを選んだのかとか、そういうひとつひとつの細かい要素を含めて、道筋を立てて、自分がどんな歌手になるのかっていうところは全然想像できてなかったんです。そうやって当時のことを振り返ると、今私がやってることって、すごく腑に落ちていて(笑)。オーディションに落ちたことも、納得するっていうか。当時は何もわからないまま、夢として歌手になりたいって思っていたんですよね。今、紗英ちゃんが理想としている自分とか、やりたいこととか、今どんなことに心が動いたり感動していて、どんなことをしてる時が楽しいのかなって思ったので、それで小さい時に何になりたかったんですかって聞いたんです。
大塚:心が動く時か……多分私は、人間がすごい好きで、人と触れ合ってる時間が好きなんです。心と心が通う瞬間っていいですよね。だけど本当にきれいに生きるのってすごく難しいし、いろんな人間がいるし……。
植田:うん、いますね。
大塚:それぞれいろんな差異があるから、普通に生きていたら仲良くなれる人って選ばざるを得ないけど。音楽を使えば、きっとたくさんの人の心に触れることができる。それが幸せだなって感じるんだと思います。やっぱり私は最終的に、人を幸せにしたいっていう気持ちが強くて。でもその幸せっていうのは別に、楽しいだけじゃないと思っていて。苦楽とかを共にして、人生を共に歩む時間を慈しむことが幸せだから。共に生きていける人間を増やしたい、そのためのツールが自分の音楽だったという感じで思ってるのかな。
──それは大塚さん自身が、音楽にそれだけのものをもらっていたからというのもあるんですか。
大塚:思い返せばそうですね、ずっと音楽にいろんな実感をもらっていて。受験勉強をしてる時とか音楽がなかったら勉強を頑張れなかったな、とか。それこそ真梨恵さんが私にとってそういう対象なんですけど、何かがあった時に音楽を聴くことで幸せな気持ちになったり一緒に涙を流せたりする、そういうものに心が動くっていうか。
──せっかくの対談ですから、大塚さんから植田さんに聞いてみたかったことというのはありますか。
大塚:真梨恵さんはよく綴られる文章やインタビューなどでも、歌手になりたいんだって言っていて。歌はもちろん素晴らしくて、曲も独創性があって、真梨恵さんにしか作れない唯一無二のもので。そこが好きというお客さんも多いと思うんです。でも、真梨恵さんは歌が根幹にある。その感覚って面白いなって思うんです。歌を歌いたいっていう人って、もっとなんというか歌が好きな人の曲を作りやすいというか……。曲を聴いてほしくて曲を作る人間と、歌が歌いたくて曲を作る人間の曲って、明らかにちがう線があるように思うんです。それを感じないのが面白いなって思っていて。
植田:なるほど。私は文化系の芸術全般がどうやら好きみたいで(笑)。自分の好きを自覚することって難しいから、時間はかかりましたけど。映画を観るとかもそうだし、本を読むとか、そういうものが好きなんですね。ただ私の歌を歌いたい思いの根本にあるのは“認められたい”というもの……それは誰になのかって言ったら、母親だと思うんです……今、いろんなことを思い出して、ちょっと泣きそうになってますけど。
人生に対して「誓う」という思いのエネルギーは、目的に向かって、前進させてくれる力となります。未来に対して「望む」という思いのエネルギーは、今この瞬間から、心を満たしてくれる力となります。自分に対して「信じる」という思いのエネルギーは、この場所に生きる自分を、肯定する力となります。自分には「たくさんの力が備わって」いて、この人生には「自分を信じて、与えられている力を使っていく」という目的があることを、いつでも心の中に留め置きましょう。
人生に対して「誓う」という思いのエネルギーは、目的に向かって、前進させてくれる力となります。未来に対して「望む」という思いのエネルギーは、今この瞬間から、心を満たしてくれる力となります。自分に対して「信じる」という思いのエネルギーは、この場所に生きる自分を、肯定する力となります。自分には、たくさんの力が備わっていて、与えられている力を使い、自分をいかすという課題が与えられていることを思い出してください。
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