【わたし達はおとな】

木竜麻生×藤原季節×加藤拓也監督 インタビュー(1)

理解し合えないまま生きること、を考える。

突如として訪れる関係性の破綻。あれだけ親密な時間があったのに、修復しようと努めたのに、一体どこで間違えたのか…。私たちの多くが思っている、「話し合えばわかりあえる」という考えは誤解なのかもしれません。
大学でデザインの勉強をする大学生と演劇サークルに所属する大学生の恋愛模様が描かれる映画『わたし達はおとな』(2022年6月10日公開)。どこにでもいる恋人たちの日常風景の中にある、コミュニケーションのすれ違いや、言っていることとやっていることのズレ、見えない本音など、少しずつ積み重なっていく二人の齟齬を、俯瞰した視点から描き出します。
今回主人公の優美を演じた木竜麻生さんと、優美と恋人関係のようになっていく直哉を演じた藤原季節さん、本作がオリジナル脚本による監督デビュー作となった加藤拓也監督に、映画を観た残るザラッとした違和感を出発点にお話を伺いました。
木竜麻生×藤原季節×加藤拓也監督 インタビュー
私たちの「日常」を覗き見すると、見えてくるもの
映画で描かれるのは、かつての自分にも思い当たるような、一見すると「何気ない大学生の日常風景」です。しかし、観終わったあと、「おもしろかった」で済ましていいのか迷ってしまいました。

藤原その感想、めちゃくちゃわかります。体感としては、109分が一瞬で過ぎ去っちゃうくらいおもしろいんですが、おもしろいでは片付けられないというか。「この作品をおもしろいって言ってるやつ、大丈夫?」ってなりますよね(笑)。だけどやっぱり、おもしろいっていう感想になってしまうんですけど…。

覗き見するように人間を客観視してみると、行動とか言葉とか突っかかるし、納得できないところがこんなにあるんだなって。その不思議さなんですかね。「恋愛も人間もおもしろいな」と思いました。

木竜人がいて、生活があって、映画の中の出来事を見つめられる映画ですよね。私は、自分が出ているのに、他人を見ているような感覚になったんです。これまで、そんなことはほとんどなかったので、驚きました。

撮影中はどんなお話をされていたんですか? 繊細なやりとりが交わされるシーンが多かったので、監督と話し合うことも多かったのでしょうか。

藤原くだらない話ばかりしてました。

加藤ここで思い出せないくらい、どうでもいい話しかしてないです。

木竜個々に「ここは話しておきたい」という場面はあったと思うんですけど、3人揃って真面目に話す、ということはなかったですね。

藤原核心には触れられないですよね。核心に触れちゃうと、「これです」って決まっちゃうじゃないですか。かっこいいこと言っちゃったな(笑)。

加藤わかんないけど僕が「このシーンは、こう」って外側のことを言い切ってしまうと、僕の代わりを演じることになってしまうじゃないですか。僕の役割は、あくまで役者が考えたり行動したりするきっかけを演出すること。

ある花を咲かせたいと思っていたとして、どれだけ水をあげて、太陽に当てて、どんな肥料を与えるかっていうことはするけれど、結果花の咲き方みたいなものは俳優次第。

藤原そうですね。一緒に中華料理食べに行ったりしたけど、会話の内容は一つも覚えてない。

木竜私もまったく覚えてないです。

加藤僕が、頼んだメニューの3/4くらい残したんですよ。それを、季節が全部食べてくれて。

木竜そうそう、加藤さんが全然食べきれなくて。

藤原僕は、加藤さんが残したものを食べることがよくあります。加藤さんが脚本・演出を務める「劇団た組」の公演には何度か出させてもらっているので、ご飯に行くことも多いんですけど、よく残すんですよ。そういう話を延々してました。

加藤木竜さんは、撮影中にどんどん痩せていきましたね。

木竜意識的にというより無意識に、どんどん役に入り込んでしまったんですよね。

大学生の優美は直哉と半同棲状態になるものの、突然別れを告げられるなど関係性は不明瞭なまま。そんな中で予期せぬ妊娠がわかり、優美はどんどん体調を崩していきます。その過程で、痩せてしまったんですね。

木竜ふたりは「食べな!」と言ってくれてたんですけど、お弁当も2、3口とかしか食べられなくて。これまでの現場で、一番痩せてしまいました。

加藤似顔絵を台本に描たりしました。10日目くらいかな、砂時計みたいな女の子を描きました。

木竜ふたりはよく一緒に作品を作っているから、やり方もわかっているし、本番に入っていくスイッチングもほぼ同時なんですよ。

藤原さんは、加藤監督主宰「劇団た組」の舞台『まゆをひそめて、僕を笑って』(17)『貴方なら生き残れるわ』(18)『誰にも知られず死ぬ朝』(20)『ぽに』(21)に出演されていて、加藤監督も「僕の現場や作品におけるトーン&マナーみたいなことを十分理解してくれている」とコメントされていました。

木竜ふたりは控え室でたくさん盛り上がっていたのに、急に本番モードになる。それを1週間毎日やられると情緒がおかしくなりそうで、ほんとにやめてほしくて。初めて監督という存在に言いました、「バーカ!」って(笑)。

でも、そういうことを正直に言えるくらい信頼していました。藤原さんも知っていたので、ふたりを信頼して、身を委ねて現場に立てたのは大きかったと思います。

正常と異常は両極端ではない。
重なり合ったり、近くに存在したり。
映画では何度もふたりでコミュニケーションを図るシーンが描かれているのに、演じているふたりもボロボロになるぐらい、ふたりの関係性が破綻していきます。おふたりは「わかりあうこと」について、どう思われますか? 役を演じる中で、考えられたことはありますか。

藤原映画の中のふたりは、自分たちでは「理解し合っている」と思っているんですよ。第三者的に見ている僕たちからしたら「全然、わかりあえていないな」って思うけれど。だけど、優実と直哉にもわかりあえないことも愛しい、もしかしたらわかりあえていたかもしれない幸せな時間があった、というのが大事なことなんだと思います。

わかりあえない方ばかりに目が行きがちですけど、ふたりがわかりあえない互いを理解して、心を通わせていた時間もたしかにあったので。幸せな時間も忘れちゃいけないなって思います。

木竜そうですね。それはきっと、いろんな人間関係があるからで。優実にも恋人以外に、友人、家族といった人間関係が描かれて、それぞれ気持ちや立ち振る舞いが違う。だけど、時々別のグループに別の私を持ち込んでしまうから、理解できないことが生まれるのかもしれないですよね。

藤原つまり、「わかりあうこと」について考えるきっかけになるということ?

木竜「わかりあえないこと」についても考えられる。両方の側面があるかな。

藤原監督はどうですか?

木竜どうですか?

加藤いや、「わかりあう/わかりあえない」ということではなくて大前提、他人のことは絶対にわからないですよね。その「わからない」ということを、理解しているかどうかが大事なのではないかと思います。

藤原他人のことはわからなくて、当然?

加藤わからないでしょう。

木竜たしかにこの映画は、「“理解し合えないまま生きていること”は大前提としてある」を考えるきっかけになりますよね。

お互いに本音をずっと言わないから、理解し合えないのではないかと考えていました。

木竜優実はあけすけに本音を話すような子ではなかったと思います。話す相手がどんな人で、どんな状態か、他人を探る女の子だと思いました。ただ、どんな人も、今話したことが「ほんとの本音か」わからないと思うので、優実みたいな人はいっぱいいますよね。

藤原直哉も、本音はほぼ話さない。自分が悪者にならないように、計算し尽くした本音を相手にぶつけるんです。一度相手の意見に同意して、それから自分の意見を言う。

木竜肯定しているようで、してないんだよね。

藤原そうそう。「仮にそうだったとして、でも〜」って、自分の意見をうまく通そうとするんですよ。

監督の作品のベースには「伝えたいことと言っていることとやっていることは違う」という考えがあると拝見しました。今作のように日常生活を覗き見すると、日常にあるズレが浮かび上がり、こんなにも「異常」があることを感じました。

藤原僕も加藤さんの作品を観ていると、普通の延長に異常があるなっていうのは思います。この前まで上演されていた舞台『もはやしずか』でも、成人男性が包丁を振り回すシーンがあったんですけど、明日は我が身だと思わされるような場面で。

そこだけ切り取れば異常なんだけど、普通の延長に異常とされる行動があるんだと思いました。あと、普段から僕自身が「行動が異常」って言われます。

加藤水を飲んでいたら、急に吐き出したりするんですよ。

藤原みんなが笑うから、楽しくて(笑)。木竜さんは言われますか?

木竜私は「異常」と言われたことはないですけど、正常と異常が両極端に位置しているわけじゃなくて、実は重なり合ったりものすごく近くに存在していたりするんだなってことは思います。監督の舞台を観ても、そう思いました。

加藤僕は異常だとも、普通だとも思ってないです。普通だとか異常だとかカテゴライズはしてないし、そう思うことはあまりないです。

今回の映画は、恋愛で、しかも望まない妊娠をした女性とその恋人という何度も描かれてきたテーマでした。そうしたものを書くときに、加藤監督として決めていたことはありますか?

加藤ラブストーリーという主題は依頼としてあったので、そこから僕が思う「ラブストーリー」を書いた感じです。決めていたことを聞かれると難しいですね。

藤原何度も描かれてきたテーマですけど、描かれているものは極めて個人的な気がします。正常も異常も、人によって価値観や視点が全然違いますから。

その違いを真摯に見つめて、一人の人間を描いた結果、他人から見ると異常に見えるのかもしれない。人によっては、普通に見えるかもしれない。普通に見える女子大生のお腹には子どもが宿っていて、そこに正常や異常では片付けられない感情があるってことですよね。

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【阳明晨语】1477期 阳明先生年谱六十八:宸濠反
六月,奉敕勘处福建叛军,十五日丙子,至丰城,闻宸濠反,遂返吉安,起义兵。时福州三卫军人进贵等胁众谋叛,奉敕往勘。以六月初九日启行,十五日午,至丰城,知县顾佖迎,告濠反。先生遂返舟。先是宁藩世蓄异志,至濠奸恶尤甚。正德初,与瑾纳结,尝风南昌诸生呈举孝行,抚按诸司表奏,以张声誉。安成举人刘养正,素有词文名,屈致鼓众,株连富民,朘剥财产,纵大贼闵念四、凌十一等四出劫掠,以佐妄费。按察使陆完因濠器重,遂相倾附。及为本兵,首复护卫,树羽翼。而濠欲阴入第二子为武宗后,其内宫阎顺等潜至京师,发奏,朝廷置不问,且谪顺等孝陵净军。濠益无忌。完改吏部。王琼代为本兵,度濠必反,乃申军律,督责抚臣修武备,以待不虞,而诸路戒严,捕盗甚急。凌十一系狱劫逃,琼责期必获,濠始恐,复风诸生颂己贤孝,挟当道奏之,武宗见奏,惊曰:“保官好升,保宁王贤孝,欲何为耶?”是时江彬方宠幸,太监张忠欲附彬以倾钱宁,闻是言,乃密应曰:“钱宁、藏贤交通宁王,其意未可测也。”太监张锐初通濠,复用南昌人张仪言,附忠、彬自固。而御史熊兰居南昌,素仇濠,少师杨廷和亦欲革护卫免患,交为内主。上乃令太监韦霦传旨。故事王府奏事人辞见有常,今稽违非制,于是试御史萧淮上疏曰:“近奉敕旨,王人无事不得延留京师,臣有以仰窥陛下微意矣。臣不忍隐默,窃见宁王不遵祖训,包藏祸心,多杀无辜,横夺民产,虐害忠良,招纳亡命,私造兵器,潜谋不轨。交通官校有年,如致仕待郎李仕实,前镇守太监毕真,及诸前后附势者,皆今日乱臣贼子,关系宗社安危,非细故也。或逮系至京,或坐名罢削。布政使郑岳、副使胡世宁,皆守正蒙害:宜亟起用,庶几人知顺逆,祸变可弥矣。”疏入,忠、彬等赞之,欲内阁降敕责镇巡,而给事中徐之鸾、御史沈约等又具奏其不法。廷和恐祸及,欲濠上护卫自赎。同官外廷不知也。一日,驸马都尉崔元遣问琼曰:“适闻宜召,明早赴阙,何事?琼问廷和。廷和佯惊曰:“何事?”琼微笑曰:“公勿欺我。”廷和忸怩,徐曰:“宣德中,有疑于赵,尝命驸马袁泰往谕,竟得释,或此意也。”明旦,琼至左顺门,见元领敕,谓曰:“此大事,何不廷宣?”乃留,当廷领之。敕有曰:“萧淮所言,关系宗社大计,朕念亲亲,不忍加兵,特遣太监赖义、驸马都尉崔元、都御史颜颐寿往谕,革其护卫。”元领敕既行,廷和复令兵部发兵观变。琼曰:“此不可泄。近给事中孙懋、易赞建议选兵操江,为江西流贼设备。疏入,留中日久,第请如拟行之,备兵之方无出此矣。”廷和默然。会濠侦卒林华者,闻朝议二三,不得实,昼夜奔告。值濠生辰,宴诸司,闻言大惊,以为诏使此来,必用昔日蔡震擒荆藩故事。且旧制凡抄解宫眷,始遣驸马亲臣,固不记赵王事也。宴罢,密召士实、刘吉等谋之。养正日:“事急矣,明旦诸司入谢,即可行事。”是夜集兵以俟。比旦,诸司入谢,濠出立露台,宣言于众曰:“汝等知大义否?”都御史孙燧对曰:“不知。”濠曰:“太后有密旨,令我起兵监国,汝保驾否?”燧曰:“天无二日,民无二王,此是大义,不知其他。”滚怒,令缚之。按察司副使许逵从下大呼日:“朝廷所道大臣,反赋敢擅杀耶!”骂不绝口。校尉火信曳出惠民门外,同遇害。是时日午,天忽阴曀,遂劫镇巡诸司下狱,夺其印,于是太监王宏,御史王金,公差主事马思聪,金山布政使胡濂,参政陈杲、刘斐,参议许效廉、黄宏,佥事顾凤,都指挥许清、白昂,皆在系。思聪、宏不食死。濠乃伪置官属,以吉暨余钦、万锐等为太监,通士实为太师,先期迎养正南浦驿为国师,闵念四等各为都指挥,参政王伦为兵部尚书,季斅暨佥事潘鹏、师夔辈俱听役。胁布政使梁宸、按察使杨璋、副使唐锦、都指挥马骥,移咨府部,传檄远近,革年号,斥乘舆。分遣所亲娄伯、王春等四出收兵。始濠闻武宗嬖伶官臧贤,乃遣秦荣就学音乐,馈万金及金丝宝壶。一日,武宗幸贤,贤以壶注酒,讶其精泽巧丽,曰:“何从得此?”贤吐实。武宗曰:“宁叔何不献我?”是时小刘新得幸,濠失贿,深衔之。比罢归,小刘笑曰:“爷爷尚思宁王物,宁王不思爷爷物足矣!不记荐疏乎?”武宗乃益疑忠、彬,因赞萧疏,遂及贤,贤不知也。濠遣人留贤家,多复壁,外钥木橱,开则长巷,后通屋,甚隐,人无觉者。有旨大索贤家,林华遽走会同馆,得马,故速归。初,宁献王臞仙传惠、靖、康三王,康王久无子,宫人南昌冯氏以成化丁西生濠。康王梦蛇入宫,啖人殆尽,心恶之,欲弗举,以内人争免,遂匿优人家,与秦溁同寝处。稍长,淫宫中。康王忧愤且死,不令入诀。弘治丙辰袭位,通书史歌词。至是谋逆,期以八月十五日因入试官吏生校举事,比林华至,始促反。


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